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投資信託協会 稲野 和利 会長 「簡易版目論見書の比較閲覧サイト開設に意欲」 - トップインタビュー(第24回) - 投資信託

 

投資信託 [ トップインタビュー ]

【第24回】

投資信託協会 稲野和利会長

簡易版目論見書の比較閲覧サイト開設に意欲

2008年9月のリーマン・ショックを受けて冷え込んでいた投信市場だが、今年5月以降は個人投資家による資金流入が鮮明となっている。6月末に投資信託協会の会長に就任した稲野和利氏(野村アセットマネジメント会長)に投資家層の裾野拡大に向けた今後の課題などについて聞いた。

任期中にぜひ取り組みたいこととは。

稲野氏:

投資信託の普及・発展に努め、個人金融資産1410兆円に占める投資信託の比率3.3%を引き上げるうえ、投資信託を通じて金融リテラシー(金融に関する基礎知識を身につけて各個人が判断・意思決定すること)の普及にも貢献したい。具体的には数十ページとかなりボリュームのある交付目論見書を冊子程度に簡素化したタイプを今年度中に公開し、理解しやすいものにする。そしてこの冊子の内容を個人投資家がWebサイト上で閲覧、比較できるようにする予定だ。

証券優遇税制の延長や特定口座制度の開始、銀行の投信窓販解禁など制度やインフラが整ってきているものの、個人金融資産は預金に偏重している。投資信託への資金シフトが加速しない原因は何か。

稲野氏:

トレンドとして投資信託の残高が増加傾向にあることは間違いない。2008年末時点の公募・株式投信の残高は約40兆円と前年末比で26兆円近く減少したものの、資金流入ベースでみると約2兆3000億円流入した。資金流入は1998年から11年連続と、投信に対する期待値が高いことがうかがえる。

ただ、投資家の裾野を拡大するために取り組むべき課題もある。例えば、損益通算の対象範囲を広げることで投資家の利便性をより高めることや、小口投資家を対象とした日本版ISA(※1)の実施および子供向けにチャイルド・トラスト・ファンド(※2、CTF)を創設するなど税制面でメリットを与えることだ。CTFの導入は子供の投資教育にも効果が期待できそうだ。

民主党への政権交代による投信市場への影響は。

稲野氏:

企業型の確定拠出年金(日本版401k)で従業員も掛金の拠出ができる"マッチング拠出"を盛り込んだ確定拠出年金法改正案が流れてしまったことは残念だ。証券優遇税制も含め、個人の市場参加を促す措置に期待したい。

定期分配型ファンドの人気が高い中、分配金の水準および利回りが先行する現状をどう思うか。

稲野氏:

分配金への関心が高まると逆に基準価額の変動に対する関心は薄れ、結果的に長期保有につながるという皮肉な事実もある。だが、分配金に過度に目を向け過ぎるのはどうかと思う。やはり、基準価額の上昇と分配金を合わせたトータルリターンで判断すべきだろう。だが、投資信託は変動する商品であり、個人投資家にとって運用成果がつかみ難い中、"手触り感"を感じるものといえばこの分配金。今後は分配金とは異なる形で"手触り感"という投資家ニーズに応える方法を考える必要があるのかもしれない。

※1 日本版ISA(Individual Savings Account)
新規投資額100万円/年を上限に上場株式等の配当、譲渡益を非課税とする案。
非課税投資総額は100万円×5年=500万円。導入は上場株式等の配当、譲渡益に対する20%税率の適用開始時。

※2 チャイルド・トラスト・ファンド(Child Trust Fund)
イギリスで2005年4月から開始。
2002年9月1日以降に生まれたイギリス居住の子供向けに株式投資口座や預金口座、ステークホルダー口座を開設した場合、政府からの補助金や税制優遇などの特典が得られる。子供が16歳になるまで親または担当者が資金を運用し、16歳になると子供自身が運用することもできる。口座終了の18歳になると引き出しが可能。


聞き手:QBR 小林新、根岸てるみ

掲載日:2009年9月25日


稲野 和利 氏

経歴

神奈川県出身、東大卒
野村證券(現野村ホールディングス)入社後、
野村證券副会長を経て現職野村アセットマネジメント会長


   
    

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