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HSBC投信 松田 宇充 社長 「今年のキーワードは資源」 - トップインタビュー(第28回) - 投資信託

 

投資信託 [ トップインタビュー ]

【第28回】

HSBC投信 松田宇充社長

今年のキーワードは資源

2009年の新興国経済の行方をピタリと当てたHSBC投信。そこで、2010年の見通しについても同社の松田宇充社長に聞いた。松田氏は「今年のキーワードは資源」という。

2009年の新興国で印象に残ったことは。

松田氏:

当社では09年の世界経済について中国とインドがまず回復し、この影響がブラジルなど資源国に波及、そして先進国全体の経済を底上げするとのシナリオを描いていた。このシナリオ通りとなったうえ、中でも中国に対する読みは的中した。中国の強みは政府が経済をコントロールできることだ。金融政策面では中国政府によるトップダウン型の仕組みが優位性を発揮したことに加え、サブプライムローン問題の悪影響が少なく銀行のバランスシートがほとんど傷んでいなかったため、銀行に貸し出し余力があったことが奏功した。財政政策面では財政赤字の少なさがプラスだった。HSBCは全世界にネットワークを張って銀行業を行っているため、各国の経済状況が手に取るように分かる。こうしたグローバルのリサーチ能力を基に中国経済の底堅さを読んでいた。各国の株式相場は最悪期を脱して相場が反転するとの期待感から、リーマン・ショックを底に反動局面となっている。だが、先行きを見るにはもう少ししっかりと実体を把握する必要がある。

中国やインドの景気回復に死角があるということか。

松田氏:

先進国だ。先進国が不況に陥った場合、従来は資源の需要が減少して価格が下落するため、企業は自動的に生産コストを低下できた。これに企業の自助努力によるコスト削減効果も加わり、企業収益は後に回復、そして世界経済が持ち直すというのがこれまでの景気回復のパターンだった。だが、今回は資源価格が高止まっている点がポイントだ。例えば、原油先物価格は08年の高値から半分程度の水準に下落しているものの、過去の水準と比較すると依然高い。これは中国の存在が大きい。中国経済が世界に占める割合と世界経済に与えるインパクトが大きくなっており、中国の需要が資源の価格形成に大きな影響を及ぼしている。需要減少による自動的な資源価格の低下が期待できないため、先進国の企業はよりタイトな構造調整を強いられる。従来の不況期の脱出シナリオと今回は異なる点に世界の投資家はまだ気付いておらず、こうしたディスカウント要因が株価に反映されていない。このため、2010年の先進国の株式相場は停滞し、経済指標等に一喜一憂しながら最終的には失望に終わる可能性が高い。

では、今年の新興国は軟調な先進国の経済と株式相場に引きずられるのでは。

松田氏:

逆に先進国が停滞する分だけ、新興国経済の堅調さが浮き彫りとなる。なかでも、中国のGDP(国内総生産)成長率は10%近く、インドは8.5%の高い経済成長が見込め、これに伴い資源国の経済も堅調となるだろう。このため、新興国の株価は上ブレする見通しだ。世界全体の過剰流動性も新興国の株価上昇要因だ。余剰資金は経済が堅調な新興国に向かうことになろう。中国では昨年後半から景気の過熱をコントロールする方向に舵取りを変えた。全世界の経済が再度悪化した場合、中国はコントロールを緩め、この結果、中国株市場に投資資金が再び流入する局面があるかもしれない。

今年の新興国で懸念するリスク要因を挙げると。

松田氏:

バブルだ。過剰流動性の向う先は経済が好調な新興国だ。新興国で資産価格が上昇して株式相場も上昇すれば、各国は金利の引き上げなどインフレ抑制に動くだろう。この際の株価の上下変動は比較的大きくなる可能性がある。バブルがどこまで進むのかを見極めながら投資比率を柔軟に変える必要がある。だが、中国をみていると上手く過熱をコントロールしながら、8~10%の経済成長を維持している。オリンピックを控えるブラジルについてはインフラ整備や内需拡大への期待が持てるが、生産能力を超えるほどの強い需要ではないのでバブルの懸念はほとんどない。

HSBC投信が運用している公募・追加型株式投信の大半は新興国に関連したファンドだが。

松田氏:

今後10年の世界経済を予測した場合、世界は中国やインドの生産国(財とサービスの世界への供給国)、ブラジルなどの資源国、そして先進国に三分されるだろう。このうち、成長ドライバーは生産国と資源国だ。低成長の先進国に投資してもリターンが限られる。こうした見通しを軸に当社は新興国に力を入れている。ポストBRICsのあともBRICs、つまりBRICsの代わりはないと考えているが、今年については中国とインド、そしてブラジルなどの資源国に注目しているのでこれを踏まえた商品提供を検討している。


執筆:QBR 小林新、根岸てるみ(掲載日:2010年1月7日)

松田宇充 氏

経歴

一橋大学商学部卒
東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行
東銀リース香港現地法人社長に就任
香港リース協会会長を兼務
香港上海銀行本店、日系法人部長
同行大阪支店長を経て在日本部、事業法人本部長
2003年9月 HSBCアセット・マネジメント(現HSBC投信)社長

   
    

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