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【第32回】セゾン投信 中野 晴啓 社長 - 「直販投信」を「チョクハン」に代えること - 投資信託

 

投資信託 [ トップインタビュー ]

【第32回】

セゾン投信 中野晴啓社長

「直販投信」を「チョクハン」に代えること

セゾン投信が誕生して4年。同投信の立ち上げから関わって来た中野社長は「自分たちの使命は一部の投資家のためでなく、多くの人を投資家になってもらうこと。そして投資信託の直接取引である「直販投信」を「チョクハン」に代えること」と胸を張る。同投信から見た直販の現状と将来についてお話を伺った。

セゾン投信を直販専門にした理由は。

中野氏:

会社設立のモチベーションは既存の業界に対する憤りでした。これは販売会社を経由してしか投資家は投信を購入できない構造的なものに対する憤りです。販売会社の本音は自分たちの手数料収入を得るという事に重点を置きがちでどうしてもお客さまとの利益相反に傾いてしまうことがあります。投資信託はそのためのツールでしかない。投資信託の本来持っている魅力を発揮させるためには作り手が販売会社を経由せず直接お客さまに接する直接販売しかないと考えたわけです。

商品の選定にあたって当時一番考慮したことは。

中野氏:

そこで考えなくてはいけないことはどういう投資家にどういう商品を提供するかです。私たちが意識した投資家は株や投資が大好きで売ったり買ったりする人たちではありませんでした。21世紀の成熟した経済の中で一生懸命将来を見据えて生きていく人たちです。彼らにあるのは時間です。従って長期投資を軸にそこそこの運用成績が出ることを目的にした商品、それが国内外の株式、債券のバランス型になりました。また、長い時間の中では複利でリターンが積み上がると同時にコストも積み上がってしまうのでインデックスファンドでコストセーブができればと考えました。

インデックスでポートフォリオを作ってそれで長期投資のソリューションにするという考え方です。その視点でパートナーを探した結果、バンガードになったわけです。

直近の口座数が4万口弱です。当初のイメージと比較していかがですか。

中野氏:

直販を前面に出した尖ったビジネスモデルなので、いろいろなシュミレーションを想定していました。そこには正直、当面は壁にぶち当たって苦労するものも想定していました。結果として設立当初から支持を頂けたことは想定外でした。3年後の経営目標の成功例として描いていた口座数3万、純資産残高300億円、それが現実のものとなりました。

現在の提供ファンドは2本(「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」と「セゾン資産形成の達人ファンド」)ですが、新たに増やす予定は。

中野氏:

当面は増やす予定はありません。それはファンドの本数を増やすことで投資家に選択肢という苦痛を与えることになると思っているからです。現在の2本のファンドをコアにしてそこで投資家に信頼を醸成していくことが大切です。かなり長い目で見ていつかは2本のコアにサテライトのファンドを加えることもあるかも知れませんがあくまでコアは現在の2本です。

ファンドの保有者(受益者)との接点について。

中野氏:

受益者との接点は各地で開催するセミナーとHPでの開示情報やコラムです。セミナーの中身は投資の啓蒙や哲学をお伝えするものやファンドの運用報告を行うものです。ただ現在の4万人の受益者のうち実際に足を運んでお会いできる方は限られて来ます。また、特に当初から電子交付を選択したお客さまの中にはコミュニケーションの接点が少なく不安になって解約するケースなどもありました。これは課題だと思っています。

ファンドの資金流入が40か月連続です。

中野氏:

はい、おかげさまで。受益者の60%強が積立のお客さまだということが大きいと思います。また事とあるごとに長期投資の素晴らしさを訴えて来ていて、今ではセゾン投信は長期投資の代名詞になって来ています。マーケットが下がると長期投資、積み立て投資のお客さまに有利になります。良いファンドはお客さまの良質な資金流入に恵まれると誕生します。つまりキャッシュフローの良いファンドは成績も良くなります。そのためにはお客さまに支持される信用が大切です。時間の概念を話の中に入れて長期投資を語ることです。運用の世界では、今をみて納得するところに超過リターンはありません。今をみることから将来の何を創造するかが長期投資家の仕事です。例えば、今資源が足りないから資源株に食いつくのが今をみる投資家で、資源を使わなくていい産業を作ろうというところにお金を向けるのが長期投資家ですと説明するとお客さまは納得されます。

今後5年後を展望して何に注目しますか。

中野氏:

世の中の価値観の変化に注目しています。21世紀に入って与えられる文化から与える文化に変わったことをあと数年すると皆さんが気付くと思います。この新しい価値観が僕らの「チョクハン」のビジネスにプラスになります。携帯電話が片仮名の「ケータイ」に代わったように、投信の直接販売が「チョクハン」に代わって生活者主導の長期投資が当たり前な時代にパラダイムシフトが起こることを確信しています。


(インタビュー:7月7日実施) 執筆:QBR 小林新(掲載日:2010年7月16日)

中野晴啓(なかの はるひろ) 氏

経歴

東京都、明治大学商学部卒
西武クレジット(現クレディセゾン)入社
インベストメント事業部長
2006年セゾン投信を設立し、2007年から現職。セゾン投信代表取締役社長

   
    

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