株式・投資信託・ETF・退職・年金 投資に役立つ「ケイゾンマネー」

【第33回】新光投信 吉田 昭 社長 - 求められるのは「クライアント・ファースト」の徹底 - 投資信託

 

投資信託 [ トップインタビュー ]

【第33回】

新光投信 吉田昭社長

求められるのは「クライアント・ファースト」の徹底

1961年6月に創立した新和光投信委託と太陽投信委託が2000年4月に合併して誕生した歴史のある資産運用会社である新光投信。同社社長に就任して4年目に入った吉田社長に同社の目指す、『クライアント・ファーストとは何か』を中心に伺った。

いろいろな分野をご経験されていますね。

吉田氏:

そうですね。みずほ証券(旧 新光証券)時代には英国勤務のほか商品部門、営業部門を経験しました。当時は商品を知っていて、法人が分かっていて、リテールの現場を知っている、ということでリテールの戦略関係を中心にやってきました。

まず新光投信の特色についてお聞きします。

吉田氏:

特色の一つは、証券系の運用会社の長い歴史、経験によるバックオフィス(トレーディング部門や投信計理部門など)の人材がおり、お客さまから高い信頼を得ていると思います。例えば、派生商品を利用したファンドの申込時間は他社より遅い時間まで受け付けています。二つ目は、外部の運用機関と提携するコーディネート力です。運用会社の常として全て自前でやろうとしがちですが、最良のパフォーマンス、サービスをお客さまに提供することが我々運用会社の責務であり、最大の使命だと考えております。従って、海外関連では、海外の一流の運用機関と提携することも有効な手段としています。具体的には、中国では招商証券、インドではTATA アセット マネジメント、ブラジルではユニバンコ・アセットマネジメント等、現地の有力企業と提携してファンドを提供しています。三つ目が、商品企画力です。ファンド情報(R&I)が実施した「窓販会社実態調査・投信会社満足度調査」(2010年2月発表)の運用企画力で第一位を頂きました。ファンドを50本以上取り揃えている販売金融機関の評価で第一位は本当に光栄です。

日本株の運用力についてはいかがですか。

吉田氏:

海外の運用助言やファンド・オブ・ファンズなどコーディネート力によったアドバイザリーファンドのウェイトは50%近くになっており、業界平均よりもかなり高いと思います。スピーディーな商品開発や、多様なニーズへの柔軟で臨機応変な対応をした結果です。ご質問のホームマーケット(日本株)については、各評価機関から表彰を受けたファンドも多数あり、自信を持って運用しております。また、運用会社評価で定評のある世界的な資産運用会社であるラッセル・インベストメントの訪問を定期的に受けており、同社と日本株についてビジネスを行っています。

日本株運用について海外年金などからの資金導入にも役立つものと考えています。

世界同時金融危機などにどのように対応されましたか。

吉田氏:

金融ショック後の対応は不安になっているお客さまのフォローでした。これが最優先、『クライアント・ファースト』です。マーケット悪化の影響を受けて困っている投資家や営業職員の方々がいる現場に行き、説明会や勉強会で顔をみて徹底的に説明することでした。一般的な経費節減に努める一方、この時期の出張旅費は従前と比較してむしろ増加し、過去最高を更新しました。こうした流れが、今も続いています。勉強会やセミナーの実施件数をみると、2008年度1080件から、2009年度1278件、2010年度は前半で前年度並みの1235件となる勢いです。

チャネル戦略としては証券以外に銀行と郵政グループですが。

吉田氏:

正直言って1998年12月の窓販開始では銀行への展開が遅れましたが、直近(2010年9月末現在)では証券が90社、銀行などが77社となっています。本年3月に郵政グループのネット販売で『新光サザンアジア株式ファンド』が採用され、10月からはゆうちょ銀行や郵便局の店頭でも販売されています。勉強会やセミナーも多く開催されることになります。

百年に一度の金融危機で得た教訓は。

吉田氏:

我々の立場から申し上げますと資産運用業は誰のためにあるのかということを突きつけられたと思います。運用会社は投資家のために商品を作り、運用し、サービスを提供することです。運用会社の評価は自社の利益の最大化を求めるのではなく、顧客の利益にどれだけ貢献したかで決まるはずです。運用会社の姿勢として重要なのは通常の事業会社とは異なり、ROEを追求することではなく、何よりもクライアント・ファーストが大事だということを教訓として再認識したことではないでしょうか。

運用業界の展望について。

吉田氏:

まず、考えなくてはいけないのは投信業界を取り巻く環境でしょう。一つ目が低水準の国内金利の継続です。これは需給ギャップ(推定25兆円と言われる)を背景にしたデフレ経済が続くこと、個人金融資産と企業の潤沢な手元流動性資金を背景にした資金余剰によります。二つ目が個人を中心にした国債の大量償還と定期・定額預貯金の満期到来です。これらの資金は基本的にマーケットリスクを取らない資金であり、大半が預貯金や国債・社債など債券市場へ流れる動きが予想されます。投信業界としては国内債券ファンドや毎月分配型の外債型・REIT型などを中心に流入が期待されます。個人金融資産の中のリスク資産のウェイトアップはドイツの例が参考になるかもしれません。1980年代のドイツでは1年以上保有の株式は原則非課税、さらに、自社株投資と株式投信に対する投資を対象に、国が個人投資家に奨励金を与える「財産形成制度」も奏功して1980年代に2%台だった個人の株式保有比率が1999年末には13.1%まで上昇しました。

運用会社のミッションは。

吉田氏:

クライアント・ファーストの徹底です。この4年間で人員を150名から200名に増やしたのもそのためです。勉強会やセミナーを通じて偏った個人金融資産の構成の改善に寄与することであり、かつてイギリスがそうであったように成長の高い地域にお金を輸出して働かせることです。人口と名目GDPと株式の時価総額は長期的にパラレルに動くことを1人でも多くの人に理解して頂くことだと思います。

有難う御座いました。


執筆:QBR 小林新(掲載日:2010年10月08日)

吉田 昭 氏

経歴

出身:京都府
京都外国語大学 外国語学部卒
新日本証券(現 みずほ証券)入社
同社   営業企画部長
新光証券(現 みずほ証券)執行役員 営業企画部・ホームトレード部担当
同社   常務執行役員 金融法人部・公共法人部・ファイナンシャル営業部・法人資金部・プライベートバンキング部担当
同社   取締役専務執行役員 投資銀行本部副本部長
新光投信 顧問
同社   代表取締役副社長
2007年5月から現職 新光投信株式会社 代表取締役社長

   
    

特集

「証券アナリストの調査手法とこだわり」(全6回)

「証券アナリストの調査手法とこだわり」

証券アナリストの行動パターンをご紹介!個人投資家のリスク回避術を学ぼう。

特集を読む »

おもしろ企業探検隊

おもしろ企業探検隊

平林亮子&内田まさみの「そうだ!社長に会いに行こう」ナブテスコ株式会社

特集を読む »