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【第34回】 PCAアセット 広瀬取締役専務執行役員 - ネット販売は深化する"マニア"から"シニア"へ - 投資信託

 

投資信託 [ トップインタビュー ]

【第34回】

PCAアセット 広瀬取締役専務執行役員

ネット販売は深化する"マニア"から"シニア"へ

PCAアセットにマーケティング担当専務執行役広瀬康令氏。外資系リテールバンクを経て、98年米系投信会社で銀行窓販がスタート時に担当営業部の創設に従事。広瀬氏に最近の投信販売の動向を伺った。

早速ですが、投信の対面販売やネット販売の最近の動向についてお聞かせ下さい。

広瀬氏:

2008年9月のリーマン・ショック以降、投信の販売状況をみてみると証券会社がいち早く市場の回復に合わせて行動を起こし、次にそれが銀行に波及して来たという印象を受けます。ただ、銀行に波及するまでに時間がかかったというのが正直な感想です。落ち込んだマーケットが回復に向うタイミングでいち早く動いた証券会社とそのお客さまは回復を享受しました。市場が急落したところで行動を起こすというのは気持ち的に一般の個人投資家にとって難しいと思われがちですが、インターネットや運用会社からのレポートにより、いち早く正確な情報を入手できるようになった今、昔と違って、投資家自身が行動を起こそうと思えば動ける態勢が整って来たと言えます。

相場の急落局面での長期、分散投資という考え方に赤信号が点ったとは思いませんか?

広瀬氏:

窓販開始以降、各金融機関はお客さまに長期投資、分散投資を普及して来ました。その中で分散投資は有効だったと思います。これは落ち込みの影響をあまり受けなかった地域や回復の度合いが大きく早く現れた市場もあったからです。日本株を例にとっても20年前にくらべかなり落ち込んでいることは事実です。従って日本株長期投資一本やりではアドバイスにはならなかった。長期投資については、適した投資対象地域があるのではないかと考えています。現時点でも5年から10年の長期投資に適した、そのストーリーが描ける投資対象地域があります。新興国がこれにあたります。個人個人がある程度、金融商品やマーケットを勉強しなくてはならない時代になり、10年前とは比べ物にならないくらいお客さまの知識は増えています。インターネットのチャンネルでの販売が増えている理由もここにあります。投資家自身が自ら情報を入手し、ご自分で投資判断したいとい方々が非常に増えたからです。

販売金融機関も投資商品に対する考え方が変わって来ているとか---。

広瀬氏:

そうですね。金融機関でもインターネット経由での取り扱い投信の拡充に積極的になって来ています。この理由は、対面の営業の限界です。ネットですと地域に依存しない。お客さまがネット銀行に口座を保有し、そこで取引が自由にできるわけです。このため、運用会社としてはネットの投資家にも意識して情報提供を考えなくていけない局面に来ていると言えます。ネット経由の投信の販売高は正確には分かりませんが、ファンドによっては販売量の20~30%位になっているのではないかと思われます。

ネットチャネルの投資家像についてお話し下さい。

広瀬氏:

9月にモーニングスター社にご協力いただき、PCAインドネシア株式オープンのセミナーを開催しました。インターネット経由でお客さまに募集をかけたところ730名を超える応募がありました。当日は、会場に約350名が集まり大盛況でした。参加者はネットで募集をかけたので若い方が中心ではと考えたのですが、実際には半数以上がシニアの個人投資家の方々でした。開催当日、インターネットでセミナーを生中継したところ1100名以上の方にご覧いただきました。またセミナー後、ビデオ映像をネット配信したところ5500名以上の方が見に来られています。これはものすごいパワーです。ネットチャネルの投資家というと、若い方を想像しがちですが、実際はシニアの投資家が携帯電話やインターネットで取引を始めているのではないかと思います。インターネットチャンネルは、一部のマニアから若者に、さらに一般向けになり、それがやがてシニアにまで広がって来ています。最近投信販売のインターネット戦略についていろいろ議論が行われていますが、最初のきっかけはネットかも知れませんが、金融機関の店頭でのフォローと合わせて考えてゆくことも必要ではないかと考えています。

投信が個人金融資産に占めるシェアが2ケタになるためには。

広瀬氏:

既に投信に投資している方々では金融資産に占める投信の割合は10%を超えています。それではなぜ個人金融資産に占める投信の割合が1ケタかというと、大部分の方が投信を全くやっていない方々で、金融機関がその方々へのアプローチをしていないからです。確かに、効率を考えるとこれらの層を掘り起こすのには時間も手間もかかります、しかし、これらのお客さまに声を掛けたら興味を持って下さるかも知れません。興味を持ったらその金融機関に預けている資産だけでなく、他の資産を含めて投資を考えてもらえる可能性があります。投資家のセグメント分けを目の前の口座に蓄えられた預金量でのみ行うのではなく、投信購入層のすそ野を広げていく活動を行うことが必要だと考えます。さらに、店頭にお見えになる動機付けやきっかけを作るにあたり、ネットはその手段として活用できると思います。

新興国の投資に注力する意味は。

広瀬氏:

新興国に投資をする意味はその国の成長に尽きます。今のシニアの方たちは頻繁に海外旅行に行かれており、その成長具合を肌で実感されているはずです。今、成長ストーリーを享受するためには新興国に投資をすることでしょう。投資の基本は自国の成長(GDP)より高いところに投資をすることだと思います。アジアにはインド、インドネシアをはじめとして、日本よりはるかにGDP成長率を誇っている国々が多くあります。新興国への投資に限ってのことではありませんが、保有金融資産の大半を投資するのではなく、分散投資を基本に、ご自身の投資ポートフォリを考慮し、投資割合を決定すべきでしょう。

ありがとうございました。


執筆:QBR 小林新(掲載日:2010年11月22日)

広瀬 康令(ひろせ やすのり)氏

経歴

出身:東京都
1965年生まれ。中央大学商学部卒。
米国系リテール銀行、米系投信会社等にてマーケティング部長を歴任。
2010年1月から現職。

   
    

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