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【第35回】 国際投信 投資顧問 駒形 康吉 社長 - 普及させたい『ベース資産』という考え方 - 投資信託

 

投資信託 [ トップインタビュー ]

【第35回】

国際投信投資顧問 駒形康吉社長

普及させたい『ベース資産』という考え方

3兆円の大台を割ったとはいえ依然として日本一のファンド「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)(以下、グロソブ)」を擁する国際投信投資顧問。同社社長の駒形康吉氏にグロソブの今を中心に伺った。

早速ですが、基幹ファンドである「グロソブ」の3兆円割れをどう捉えていらっしゃいますか。

駒形氏:

お話の3兆円割れは、円高の進行による資産評価の目減りとお客さまの解約による元本の減少が純資産の減少となった結果です。主因は円高だとみています。こうした中で投資環境は今年から回復に向かうと分析しています。つまり全面的な円高が今後大幅に進行するとは考えていません。投資環境の改善で流出していた資金も止まるとみています。これまでの資金流出の中身をみると設定(資金の流入)の減少であり解約率が増加しているわけではありません。口数ベースでみた残高はピーク時(2年前)の27%減にとどまっています。グロソブへの漠然とした不安はあると思いますが設定来のリターン水準は低下しているものの運用実績はプラスです。グロソブの商品性から長期投資は依然として有効である証左です。この漠然とした受益者の不安に答えるために販売用資料として『グロソブの不安に答えるQ&A』を作成しました。販売会社に納品して活用して頂いています。その資料の最後には、主要資産の中で先進国国債は『市場規模が大きく流動性が高いこと』『新興国に比べて価格変動も相対的に小さいこと』からリスクを抑えつつ中長期的に安定的な投資成果を目指す投資家の皆さんにとってポートフォリオの中核に置くべき投資対象資産(=ベース資産)であるとお訴えしています。

改めて御社の強みについてお聞かせ下さい。

駒形氏:

国際投信はグロソブの会社とどなたもおっしゃると思います。そのグロソブで得た財産が三つあると考えています。それが当社の強みです。まず、10年以上にわたる投資期間の中で運用をやり続けてきたことで現実に信託された資産に加えて、有形無形の世の中の評価です。二つ目が説明力に対するノウハウの蓄積です。これは、商品性から投資環境、そして投資の意義まで幅広い情報提供を顧客である受益者や販売会社に積極的に行ってきた結果です。そして三つ目が国際分散投資の運用ノウハウ、およびその考え方の浸透です。グロソブという具体的な商品と関わることでこの考え方が当社の中で深まったということです。自分たちで納得したことが外部発信の源となっています。これら3点が現在の商品開発やファンドラインアップ、アフターフォローにつながっています。

ところで証券優遇税制の2年延長が決定されましたが。

駒形氏:

そのようですね。10%の優遇税制の2年延長は株式投信の投資家や証券投資を始める方々にとって朗報であると投信協会長も談話を出しています。これは業界も要望してきたことです。但し、軽減税率の延長に伴い少額の上場株式等投資のための非課税制度(日本版ISA)の実施時期も最低2年間延びることになりました。この制度も金額期間(年100万円の3年間)を見直しながら多くの国民により豊かで幸福な生活を目指すための資産形成制度になることが望ましいと思います。

投信の個人金融資産のウェートを二桁にするには。

駒形氏:

投資家自身が投資信託に投資をして良かったと思う経験がまず必要ではないでしょうか。現在まで、正直言って投資信託を持っていて良かったとの経験が少ないのではないでしょうか。つまり夢や希望を託す商品が少なかったのではないでしょうか。これが個人金融資産に占めるウェートが5%止まりだった要因の一つと考えています。投資信託はリスク商品なので絶対的な収益を約束することはできません。しかし安定したパフォーマンスを実現できるファンドを組成することは可能ではないかと思います。従って、運用会社として商品の提供でまだまだできることはあります。また、先ほど話した日本版ISAのような制度の後押しも必要です。預金ではない手段で国民の資産形成を促進するような仕組みが期待されます。そうすれば二桁も夢ではないと思います。

投資の啓蒙や投資教育で運用会社がやらなくてはいけないことがあるとすると。

駒形氏:

投資家の立場にたった啓蒙が必要でしょう。そこで考慮しなくてはならないのは投資家の実感に訴求できる啓蒙です。これがポイントです。投資家の利益のために運用会社ができることを考えなければ投資信託の普及もないと見ています。そこでアピールすべきことは「投資信託」だけではなく「資産運用」という大きな視点です。資産運用の一つに投資信託があるわけですから。例えば、資産運用の必要性や資産運用を通じて投資家がどんな貢献を世界に向けてできるのかなど、資産運用を幅広くとらえて訴え続けることが大切だと思います。

つまり投資家が聞いてみたいことという視点ですか?

駒形氏:

そうです。例えば『グロソブへの不安に答える』でも(1)このまま保有し続けても大丈夫ですか?(2)円高局面で具体的にどのような運用をしたのですか?(3)二番底シナリオで基準価額が下落する恐れはないのでしょうか?(4)ドル安はいつまで続くのでしょうか?(5)欧州のソブリンリスクの再燃で基準価額が下落する恐れはないのでしょうか?(6)先進国資産への投資はこれからも必要でしょうか?これら投資家の疑問に真摯にお答えしています。

ありがとうございました。


執筆:QBR 小林新(掲載日:2011年01月21日)

駒形康吉(こまがたこうきち)氏

経歴

出身:新潟県
東京大学卒業。
1975年 東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。
2000年 東京三菱インターナショナル社長。
2002年 東京三菱銀行執行役員、三菱セキュリティーズインターナショナル社長。
2004年 三菱証券(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)の常務執行役員に就任。
2009年6月 国際投信投資顧問株式会社 取締役副社長。
2010年6月より現職。

   
    

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