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【第40回】 HSBC投信 代表取締役社長 松田 宇充 氏 - 新興国をコア投資に - 投資信託

 

投資信託 [ トップインタビュー ]

【第40回】

HSBC投信 代表取締役社長 松田宇充氏

新興国をコア投資に

運用会社の役割は相場変動時のブレないメッセージを言い続けること。そして『HSBC ニューリーダーズ・ソブリン・オープン(毎月決算型)』を推す理由をファンドの生みの親でもあるHSBC投信社長 松田宇充 氏に伺った。

最近の円高をどう捉えていますか?

松田氏:

過去5年間、米国がドル安政策を取った結果です。昔は海外に積極的に投資をしたのでドル高が好都合でした。強いドルで海外の資産を安く購入するためにもドルは強い方が良かったわけです。投資が一巡したころから米国は「ドル高」を言わなくなりました。ここ5年で主要通貨に対してドルは36%程度安くなっています。米国政府は財政赤字が積み上がっている状況でも現役の納税者に負担させたくないし、将来の納税者にも負担させず、海外の投資家にドル債に投資をさせることで財政赤字のファイナンスをしています。米国としてはドル安にすることで実質負担を軽減させる政策をとっていると考えています。


現在のドル円の水準については。

松田氏:

ドル円の76円近辺は居心地の良い水準です。これは、私の意見ということでもなく、日銀の白川総裁が本年8月におっしゃっていることです。それによると日米の2年物国債の金利水準と為替には強い相関があるということです。それをベースに試算してみると過去5年から10年のデータを回帰分析すると日米の金利差がゼロになる水準が1ドル76円近辺なのです。

株価調整をしているBRICsの評価は?

松田氏:

一番分かり易いのは中国です。サブプライム以前はGDPに占める純輸出の比率は8~10%でした。従って、輸出が落ち込むとインパクトがありました。現在、単月ベースでみると純輸出がGDPに寄与する割合がほとんどゼロになっています。先進国の需要が落ちても影響は限定的というわけです。ブラジルは、総輸出がGDPに占めるウェートは10%でしかありません。従って、相当内需型経済です。インドもブラジルまで行かないものの内需型経済と定義しても良いでしょう。その中で、コスト競争力があるITのアウトソーシングなどは米国経済の停滞で逆に需要が増えて来ています。インド経済にとっては、外需は落ち込まず、景気の過熱感が残っている状況です。サブプライム以降、BRICs各国で先進国の需要に頼らない政策を取ってきた結果ではないかと考えています。こうした中でロシアは欧州の影響で厳しい状況です。欧州の銀行の貸し渋りの影響が強く出ているためです。

BRICsは、ロシアを除けば楽観視しています。もともとBRICsはボラティリティの大きいマーケットです。相場の調整と経済の実態を投資家が認識しながら、相場の戻りが速くなるなど通貨、株価とも徐々に底堅い動きになると判断しています。つまり経済の実態認識が先進国離れを評価する動きになるのではないでしょうか。


今、力を入れているファンドは?又、その理由は?

松田氏:

基本的には、安定的に投資家の皆さんが保有したいと思われる投資対象先は、ある意味リスクが小さく、そのリスクがしっかりマネージされていることが重要です。通貨が将来強くなることが見通せて、イールドもそれなりに高い国に投資をするファンドだと思います。外国債券投資の基本は実質金利が高いこと、つまり潜在的な成長率があることです。現在、先進国の潜在成長率は1%台でしょう。そのような先進国でボラティリティのリスクを取りに行くという投資行動には無理があります。先進国の中では、資源を持った国、オーストラリア、カナダ、ノルウェーなど潜在成長力がある国々でしょう。全世界をみると潜在成長率が本当に高いところは新興国で、人口構成が良く、将来の成長の糧になる労働供給や需要の創出が期待できる国々です。この国々は年間5%近辺の潜在的な経済成長力があって、実質金利がとれると思います。その意味で、次世代を担うニューリーダー国の債券に投資する『HSBC ニューリーダーズ・ソブリン・オープン(毎月決算型)』(本年12月1日現在で取り扱い販社11社)に期待しています。このファンドは、潜在成長力のある先進資源国(カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど)と新興国(ブラジル、南アフリカ、インドネシア、メキシコなど)の、主に国債に投資します。先進資源国は中国、インド等の台頭とこれらの国々が成長軌道に乗ることで、モメンタムとしての資源需要が背景にあるからです。そして新興国の中で主要国に絞っているのは中小の新興国はボラティリティが高くて全体のリタ-ンの足を引っ張ると考えているためです。新興国の中でも信用格付けが高い国々に投資をするのは理論的に正しいことです。


投資家の皆様に訴えたいこと。

松田氏:

基本的な投資は中長期(5年から10年)のスタンスで臨んで頂きたいと思います。その場合、5年後、10年後の経済実態がどうなるかをしっかり考えながら投資をする必要があります。過去、50年、100年の投資の歴史の中に、どのようなアセットクラスに投資をするとどういうリターンがあって、どういうリスクがあったかという例がたくさんあります。それを踏まえて投資対象を絞って行くと投資ができる先はそんなに多くないことに気づくはずです。それをしっかりと見極めて投資をすれば良いと思います。マクロ経済の方向性を考えますと新興国は伸びる(6%以上の成長率)一方、先進国は停滞(1%程度の成長率)でしかも財政収支が相当厳しく、国の債務レベルはどんどん上がる方向です。そのような環境を考えると、コアとなるべき投資対象の性格は変わったという認識が大切です。いかに早くしっかりとその変化を認識して、コア資産のシフトをすべきだと思います。勿論、先進国から新興国へのシフトです。リターンが上がらず、リスクがある資産から世界中の機関投資家も徐々に資金を引き揚げる方向です。我々も投資家の皆様にお役に立つファンドの提供と相場変動時に「ブレないメッセージ」の提供で支援したいと考えています。

ありがとうございました。


聞き手:QBR 小林新(掲載日:2011年12月05日)

松田 宇充(まつだ しょうへい)氏
HSBC投信株式会社 代表取締役社長 

経歴

出身:兵庫県
1977年 一橋大学商学部卒業後、東京銀行、カリフォルニア・ファーストバンク等勤務を経て
1992年末に香港上海銀行入社、HSBC証券会社デピュティー・チーフ・オペレーティング・オフィサーを経て
2003年 5月にHSBCアセット・マネジメント株式会社(現HSBC投信株式会社)に異動、同年9月より現職。

   
    

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