株式・投資信託・ETF・退職・年金 投資に役立つ「ケイゾンマネー」

【第43回】 三菱UFJ投信 執行役員 営業企画推進部長 大平 恒敏 氏 - 現場の啓蒙活動を強化し、投信の未来を展望 - 投資信託

 

投資信託 [ トップインタビュー ]

【第43回】

三菱UFJ投信 執行役員 営業企画推進部長 大平恒敏氏

現場の啓蒙活動を強化し、投信の未来を展望

投資信託の需要拡大の鍵を握る販売員及び管理者の研修を強化。同業他社との差別化をはかるためには「リサーチ&コンサルティング室」を活用しているという。DC(確定拠出型年金)の普及とパソコンの浸透によりネット専用ファンドeMAXISシリーズは将来の中心的存在へ。

販売員への投資の啓蒙・教育への取組とその体制について。

大平氏:

基本的には東京、大阪、名古屋に拠点を置き、われわれのメインの取引先であるグループ販社、地銀さん、日本郵政さん向けにサポート体制を敷いています。こうした中で、地銀さんについては弊社のRM部が要望を集約化して対応させて頂いています。また、郵政については、エリアを決めて同様のサービスをさせて頂いています。陣容ですが、研修専任のメンバーとRMを合わせると55名(東京40名、大阪・名古屋15名)の体制です。勉強会や販売員研修の開催頻度は、年4,000回程度になっています。


リーマンショック以降、販売員や投資家に変化は?

大平氏:

リーマンショックから立ち直った一昨年以降は通貨選択型ファンドで一息ついたものの昨年中頃からの欧州危機に遭遇して正直悩みは深いなと受け止めています。その意味で販売現場の悩みを解決するような営業支援が必要であると痛切に感じています。

今のマーケットで何が起きているかを正確に投資家に伝えることができるように「相場環境」の勉強会を実施することで、販売員の方が損をされた投資家のアフターフォローやポートフォリオ診断が可能になります。

投資家に損をさせてしまったことに責任を感じて、もう二度と投信の販売はしたくないと思っている販売員の方もいるでしょう。その意味でも「相場環境」の勉強会を通して投資家とのコミュニケーションを絶やさない状況を作ることが大切です。

投資家の現状はどうでしょうか。

大平氏:

不安心理が強まっているという印象です。特に為替についての不安感が強くなっています。ただ、我々としては、為替についても一律に円高というわけではないと説明しています。ドル円では円高になったといえ現状は安定しだしたこと。豪ドルは落ち着いた状態であること。ただ、ユーロが安定していない。このように説明しても為替について不安がある人には円債やフルヘッジの外債をご紹介することを勧めています。

地銀で評判のリサーチ&コンサルティング室について。

大平氏:

活動は直近3年くらいです。商品の採用担当にとどまらず、地銀さんを中心に担当役員や経営トップにも投信についての問題意識を持っていただくための情報発信をしています。ここ2年くらいでは10行程度の地銀さんに対してリサーチ情報を提供するだけではなくもう一歩踏み込んだ活動を行っています。具体的には、投信販売についてのコンサルティングです。それぞれの販売会社の販売した投信のポートフォリオ分析や全部組み合わせるとどこの通貨のウェートが大きくなっているかなど全体像の分析、これに加えて支店毎の販売情報の提供を受けた浸透度(銀行預金口座数と投信保有口座数の比較)、深耕度(1口座当りの投信保有額)分析を通じて本部に支店ごとの指導をアドバイスしています。


浸透度、深耕度分析について解説下さい。

大平氏:

地銀の中でも郡部と都市部では違いがあります。これは物理的な競争条件の違いです。都市部である県庁所在地ではメガバンクや大手の証券の支店があり、そこでは競合があるので一部の富裕層を取り込むことで深耕度が大きく、浸透度は小さくなりがちです。一方、郡部では競合はほとんどなく面で捉えることが可能です。そのため浸透度は大きくなるものの深耕度は小さいのが一般的です。

今後、強化する施策について。

大平氏:

販売会社には、コンサルティングをやった上で、「管理者研修」をやりましょうとお声掛けをさせていただいています。うまくいっている支店とうまくいっていない支店が浸透度、深耕度分析で明確に出てきます。この原因の一つが管理者である支店長や投信推進リーダーの投信に対する考え方の違いです。地銀さんの場合、預貸率が低下する中で手数料ビジネスに切りかえていくべきという意識は会社全体としてあっても実際の現場ではどうかというと必ずしもそうではありません。そこで、業界動向や地銀の平均的な姿はどうなっているかを実際の数値を使ってお話をします。それによって投信販売に対する動機付けを変化させることが可能となります。その意味で、投信販売が継続的に大きくなっていくには管理者クラスの意識改革が必要です。

運用会社が求められる情報提供について。

大平氏:

速報性を求められる情報としっかり分かりやすく解説をする情報に大別されます。前者は、マーケット情報やファンドの臨時レポートです。このうちマーケット情報(為替や債券、株式の値動き)をひとつにまとめた「モーニングサマリー」は毎日午前8時半ころに販売会社147社に配信しています。販社さんでは、朝のミーティングに使っていただいて好評のようです。後者は、商品が複雑になってきていることや金融庁の規制の強化などに対応するための説明資料を分かりやすくしたものです。具体的には「図解よくわかる投資信託の分配金」、「通貨選択型ファンドまるわかりBOOK」、「図解「資源」の教科書」などを通常の本のスタイルだけではなく、DVDやWeb版でも対応させて頂いています。また、個別ファンドの説明を販売の現場で使用して頂くことを目的にした「提案シート」も評価頂いています。

ネット証券専用のeMAXISシリーズ(12商品、純資産残高は288.85億円(2012年1月末現在))の位置づけは。

大平氏:

次世代を担うファンド群というふうに捉えています。10年後、20年後を考えると大事な商品群になっていると思います。現在の投信業界の顧客は60歳代以上が中心です。これに対して、eMAXISシリーズは50歳代以下が90%を占めています。このファンドの投資家はご自分でファンド選択をすることが求められる金融リテラシーの高い方が中心です。特に、若い世代の方は長期に亘って積立投資をされるので信託報酬等コストに敏感です。

現在のネット販売比率は全体の2%程度ですが、伸びはかなり高いのが現状です。この背景はパソコンの浸透とDC(確定拠出型年金)の普及だと分析しています。DCによって投資信託が身近なものになって来ているのです。将来、遺産を相続したり、退職金をもらったりする世代がDCを通じて投信を知り、自らネットを通じて投信を選択する行動をとっていると考えると彼らの存在は今後ますます大きくなると思います。

ありがとうございました。


聞き手:QBR 小林 新(掲載日:2012年02月03日)

大平 恒敏(おおひら つねとし)氏
三菱UFJ投信 執行役員 営業企画推進部長

経歴

出身:長崎県
1986年 山一證券投資信託委託入社(現三菱UFJ投信) 国内外のファンドマネジャー、エコノミスト
2000年 運用企画部長
2002年 営業企画部長
2011年 執行役員営業企画推進部長、現在に至る。

   
    

特集

「証券アナリストの調査手法とこだわり」(全6回)

「証券アナリストの調査手法とこだわり」

証券アナリストの行動パターンをご紹介!個人投資家のリスク回避術を学ぼう。

特集を読む »

おもしろ企業探検隊

おもしろ企業探検隊

平林亮子&内田まさみの「そうだ!社長に会いに行こう」ナブテスコ株式会社

特集を読む »