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【第46回】 新光投信 社長 椛嶋 文雄 氏 - 新光投信の今を同社社長椛嶋文雄氏に伺った - 投資信託

 

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【第46回】

本年6月に創立51年を迎えた老舗(しにせ)の運用会社、新光投信。

新光投信の今を同社社長椛嶋文雄氏に伺った

6月に創立51年目に入りました。新光投信の特色、強みをお話し下さい。

椛嶋氏:

当社が提供して来た金融サービスは決して先鋭的なものではなく、丁寧、慎重であると言えます。これは経営姿勢にも繋がります。例えば、リーマンショックのような危機に際してもドラスティックな人員削減やインフラの縮小は行っていません。このことは、投資家に対するサービスや運用の継続性や能力維持といった面を重視しているからです。当社の強みは我が国の投資信託会社設立の草創期よりスタートした歴史を持つ会社であることです。これは、業界の老舗であることに加え、50年に亘り行政処分や受益者との係争等が一切なく、金融サービスを一般投資家に対して地道にかつ誠実に提供し続けた証とも言えるでしょう。また、経済のグローバル化の流れから投資家の視線も海外志向を強めており、それに応え得る運用体制の強化も課題だと認識しています。本年4月に国際業務部を新設し、当社自身の海外進出も検討するなど、今後はグローバルな視野で経営を進めて行きたいと思っています。


販売チャネルについて。

椛嶋氏:

主力のみずほ証券向け残高は当社の純資産残高の過半を占めています。ここ数年、銀行窓販や公販証券向けチャネルの強化を着実に図って来ており、これらの残高比率は2割程度増えております。特に、2011年度は『新光US-REITオープン(愛称:ゼウス)』の拡販が寄与しています。投資家のみなさまの資産運用の手段として、良い商品、運用手法をお届けするという考えのもと、多面的に各販売チャネルにアプローチを行っています。クライアント・ファーストの精神で「魅力ある商品開発、優れた運用成果、質の高いサービスの提供」を心掛け、販売会社のみなさまにきめ細かい対応を取っています。

ゼウス(新光US-REITオープン)への資金急増の要因について。

椛嶋氏:

確かに急増しています。2010年7月末の純資産は200億円程度でしたが、1年後の2011年7月末には取扱販売会社も急増して7,000億円を超える規模となりました。この間の堅調なパフォーマンスと分配水準に加えて単一国、単一資産という分かりやすい商品性が投資家人気を集めたようです。


出所:(株)QBR

また、2011年の秋にかけて起きた欧州危機時には、投資家や販売会社のみなさまに対してレポートによる情報発信や説明会を頻繁に実施したことも、その後の残高安定につながっていると考えています。

ところで話題の「目標払出し型ファンド」について開発の背景をお聞かせ下さい。

椛嶋氏:

高齢化を背景に継続してキャッシュフローが提供できる金融商品がお客さまの間で選好されています。毎月分配型の投資信託はそのようなニーズに応えたものです。一方で、お客さまの中には投資信託の分配の仕組みをよくご理解されていない方もいらっしゃるようです。単位型と違って受益者ごとに買付価格が異なる追加型では、実質的な元本の払い戻しが制度上も認められています。しかし、収益の分配とか収益分配金という用語があるように、いまだに分配は収益だけから行うものという建前があるように見えます。日本における投資信託の分配金の歴史を振り返りますと、戦後の投資信託制度は、インカムゲインだけを分配していた単位型を起源としており、後からできた追加型の信託約款もそのような考え方を下敷きにしてできたことが影響していると思います。そのような建前と歴史の中で信託約款や目論見書が作られている部分があるので、追加型の分配金は実質的に元本を含む場合があるという事前の説明がこれまでどうしても十分とはいえず、お客さまに誤解を招く余地を生んでいるのではないかと懸念していました。

そこで元本の払い戻しを前提とする分配金の決定方法を明確に表示し、またそれを商品性として前面に打ち出すことで、継続的なキャッシュフローを提供しながら分配の仕組みについてのご理解も得られる新しいジャンルの商品として「目標払出し型ファンド」を開発しました。

先般の金融審議会でも投資家の資金ニーズと投資家保護を満たすために「元本払出し型」という商品ジャンルを業界で作ってみては、という提言が参加者からあったと聞いています。目標払出し型をバックアップするエピソードとして心強いものがあります。我々の商品は必ず元本を払い戻すというのではなく、分配金の決め方として目標額を設定するということなので「目標払出し型」というネーミングが適切だと思っています。

投資家や販売会社の反響はいかがですか。

椛嶋氏:

当社の目標払出し型は、分配金を多く払い出すコースと少なく払い出すコースの複数の分配パターンを設けています。こうすることで、販売ご担当の方にも商品性をしっかり説明していただけるし、投資家にも事前にしっかりと分配の意味がご理解いただけると考えました。実際、投資信託の分配の意味が良く理解できたという投資家が多かったと聞いています。ただ、販売会社の中には分配は収益から行うべきものだという思いから、違和感があるとおっしゃるところもあります。なにぶん新しい商品ジャンルですので浸透はこれからです。

中長期的に投信マーケットをどうみていますか。

椛嶋氏:

投資信託の運用資産残高は2007年10月に史上最高を記録しました。その後、世界的な金融不安、欧州債務問題等により増勢は一服していますが、「貯蓄から投資へ」の流れは定着しつつあると思います。個人金融資産に占める投資信託の比率も欧米先進国と比較してまだまだ低く、今後上昇する余地があると考えています。投信業界の中長期展望は引き続き明るいと認識しています。こうした中で、日本国内の少子高齢化等による実体経済の成熟化と新興国経済の台頭を背景とした対外投資の増加傾向は今後も継続するものと見込んでいます。国内投資信託市場は多くの運用会社が類似商品を提供することで競争が激化しています。新商品の開発では、顧客ニーズに敏感で、一般投資家の感覚と親和性を持つサービスを提供できる運用会社、既存商品のフォローアップではお客さまの視点に立った分かりやすい親切丁寧なサービスを提供できる運用会社が差別化されていくと思います。当社の現状を踏まえていうと、対面販売の取扱販売会社数をもっと増やす必要があります。加えて世の中の流れとしてネットの比率が高まる方向にあり電子媒体を使った拡販の強化も必要だと思っています。

ありがとうございました。


聞き手:QBR 小林 新(掲載日:2012年06月06日)

椛嶋文雄(かばしま ふみお)氏
新光投信株式会社 代表取締役社長

経歴

出身:北海道
1974年4月 新日本証券株式会社(現 みずほ証券株式会社)入社
2008年4月 新光証券株式会社(現 みずほ証券株式会社)取締役副社長
2011年5月 新光投信株式会社 代表取締役社長(現在)

   
    

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