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国際ジャーナリスト蟹瀬誠一氏が語る「広く世界を見れば国際分散投資が魅力的になる」 - 著名人インタビュー - 東証ETF活用プロジェクト 東証ETF

 

東証ETF・ETN活用プロジェクト [ ETFがわかれば世界がわかる 著名人にインタビュー ]

【第1回】

国際ジャーナリスト蟹瀬誠一氏が語る

広く世界を見れば国際分散投資が魅力的になる

国際ジャーナリスト蟹瀬誠一氏
国際ジャーナリスト
蟹瀬誠一氏

これまで取材などを通じて、30カ国以上を回ったという国際ジャーナリストの蟹瀬誠一さん。

外資系通信会社を経てフリーのニュースキャスターに転進。現在もメディアの第一線に立つとともに、明治大学国際日本学部長として後進の育成にもあたっています。

投資の出会いは、もう30年以上にもなるとのこと。外資系企業、そしてフリーという立場で働いてきた蟹瀬さんにとって、資産運用は経済的な自立を確保するうえで必要不可欠なものだったようです。そんな蟹瀬さんに、資産運用との付き合い方をうかがいました。

-資産運用を始めてだいぶ長いそうですね。
蟹瀬氏
外資系通信社からキャリアをスタートさせて、そのままフリーになりましたから、終身雇用制度とは無縁で来てしまいました。だからといっては何ですが、当時から資産運用に対する興味はありましたね。
最初の目標は、とにかく自分の年収分の貯蓄を作ろうということでした。当時は今に比べると金利が高かったので、預貯金に預けてさえおけば、それなりに利率が付きましたが、元金がそんなにたくさんあったわけではないので、年収分の余裕資金を作ろうとすると、預貯金ではなかなか実現が難しい。そこで考えたのが株式投資でした。
初めての株式投資は、ある電機会社の株式でした。実はその銘柄に投資する前から、新聞などで株価を毎日のようにチェックして、自分なりに値動きをシミュレーションしていたのです。すると、ちょっとした規則性を持って株価が動いていることに気づきました。それにそって今度は実際に何度か売買を繰り返しているうちに、目標金額を達成することができました。
当時はまだ蟹瀬さんの周りでも、投資をしている方というのは珍しかったのではありませんか。
蟹瀬氏
そうですね。でも、取材先のひとつである海外企業の経営者、あるいは記者仲間などは、資産運用に対する意識が高かったと思います。もちろん、当時の日本人は、資産運用といえば預貯金が普通で、株式投資をしている人はごく一部だったのは事実ですね。
その違いは何なのかということを時々考えるのですが、やはり日本は当時から非常に国が安定していたということが大きいと思います。社会そのものが安定していて、社会保障制度がしっかりしている。会社も終身雇用制で定年まで働ける。定年を迎えた後は、退職金をもらって、年金を合わせれば何とか一生を無事終えることができる。
でも海外の国は、そこまで至れり尽くせりではないのですよ。私は米国とフランスの通信社に所属していましたが、当然、終身雇用制ではなくて、記者は皆、自分で実力をつけて、より良い条件で他の会社に移っていく。それが当たり前でした。それは日本に住み慣れた人からすれば、極めて不安定な世界に映るでしょう。ただ、自分自身で計算できるリスク、これをカリキュレート・リスクというのですが、それを取れば、取ったなりのリターンを得ることができる。そういう世界ですから、お金を増やすにしても、預貯金よりも株式投資でという意識が強いのは、当然なのだと思います。
もっとも、私が通信社の記者をしていた当時に比べて、今の日本は着実に安定感が落ちてきています。終身雇用制度を取っている企業はどんどん少なくなり、年金をはじめとする社会保障制度も揺らいできています。そうなると、やはり自分の財産は自分で守る、作るということを考える必要がありますから、これからは資産運用の必要性が高まっていくと思います。
日本では「投資」あるいは「資産運用」というと、まだまだリスクがあるから嫌だという人も多いようです。
蟹瀬氏
確かに、株式にしても何にしても、投資をするということは、ある程度のリスクが伴います。でも、だからといってすべての資産を円建ての預貯金にしておくことが、本当に安全なのかということを、きちっと考えた方が良いのではないでしょうか。今の日本政府は多額の財政赤字を抱えています。日本国債の信用力も徐々に低下してきているというのが現実の姿です。
もし国債の価格が暴落したら、いろいろな意味で個人金融資産は影響を受けることになるでしょう。個人の多くは「国債なんて買っていないから大丈夫」と思っているでしょうが、預貯金に集められたお金の運用先は、実は国債だったりします。年金だって国債を買っています。つまり日本人の多くは、間接的に国債を保有しているのです。ですから、国債が暴落した時、何の影響も受けずに済むなどということは、ありえません。
そうであれば、やはり海外投資も含めて資産を効率的に分散させておくことが、リスクを管理するうえで重要になってきます。究極的には、海外に移住してしまうということも考えられますが、現実的に難しい人が大半だと思います。ですから、せめて資産だけでも海外に移住させるくらいのことは、しておいた方が良いと思うのです。
海外投資といっても、いろいろな国があります。投資先を見極めるためには、どうすれば良いのでしょうか。
蟹瀬氏
海外投資をする場合は、やはり情報を集めるということが大切です。本当は、実際に現地に行ってリサーチをするのが良いのですが、それをするには手間とお金がかかります。ですから、大きなニュースがあった時、その出来事がどういう波及効果をもたらすのかということを、自分で想像してみましょう。たとえばギリシャ問題が起こったことによって、ユーロ圏にどのような影響を及ぼすのか、日本経済にとってはどうなのかといったことを考えてみるのです。
あるいは、海外旅行に出かけた時、観光地めぐりも結構ですが、実際にそこで住んでいる人たちの生活ぶりに目を向けてみましょう。中国のように、大きく経済が成長している国に行くと、その熱気が伝わってきます。投資というのは、将来の成長期待にお金を投じることなのですから、やはり熱気が伝わってくる、成長している国に投資するのが一番です。
こうした視点で世の中を見ていると、徐々に今、どこに人々の焦点が向いているのかということが見えてくるはずです。そういう気付きを持つことが、海外投資では必要だと思います。
ただ、こういったことをすべて「勉強」と思ってはいけません。これは資産運用にも当てはまることなのですが、日本人はなぜか、「資産運用をしなければならない」、「投資をするためには勉強しなければならない」というように、どこかに悲壮感を漂わせてしまうケースが多いようです。そうではなく、楽しみのひとつとして資産運用を考える、海外投資を考えるという感覚を持つことが大切です。
蟹瀬さんはジャーナリストというお仕事を通じて、いろいろな方に会っていらっしゃいますが、資産運用の上手な方に共通する点というのはありますか?
蟹瀬氏
これは資産運用に限らず、ビジネスにも当てはまると思うのですが、成功している人は4つの点が共通しています。
○自分のことは自分で決める
○中長期的なトレンドを追う
○決断したら素早く行動する
○出口戦略をきちっと考える
要は戦略的な思考を持っているということですね。特に資産形成を前提にした投資をするのであれば、中長期的なトレンドを追うというのは、とても大切です。短期投資は、どちらかというと運が左右する世界ですから、どうしてもばらつきが生じてしまいます。そして、中長期投資をする場合に、私が常に心がけているのが「コア・サテライト投資」の考え方です。
ポートフォリオを組む場合に、コア部分とサテライト部分を分けて考えるのです。コアには中長期的な成長が期待できる資産を組み入れる。中国をはじめとする新興国の株式や、日本でいえば国際優良銘柄などがここに入ります。コア部分はあくまでも中長期投資が前提になります。
そして、サテライトは、短期売買も含めて、ちょっとした楽しみをもってトレードするものを組み入れます。新興企業の株式などが、ここに含まれてくるでしょう。
いずれにしても、資産運用は戦略的に行うことが肝心です。上がったから飛びつくというような、エモーショナルな投資をしてしまうと、必ず失敗することになります。自分でルールを決め、それをきちっと守る。それが資産形成には必要です。
これからの世界経済の流れのなかで、蟹瀬さん自身が興味を持っている国、あるいは技術というのは、どういうものなのでしょうか。
蟹瀬氏
国際ジャーナリスト蟹瀬誠一氏
長い目で世界経済の成長過程を見ていくと、やはりこれからはアジアが経済の中心になるのではないでしょうか。かつて、チンギスハーンがアジアを席捲していた時代がありました。まさしくアジアが世界の中心だった時代です。その後、産業革命などを通じてイギリスが台頭し、パックスブリタニカと呼ばれる時代があり、第二次世界大戦後から現在に至るまでは、パックスアメリカーナと呼ばれ、アメリカが世界経済の中心でした。
そして、その成長プロセスが一巡し、再びアジアに戻ってくる。実際、中国をはじめとしてアジアは人口が非常に多く、巨大なマーケットを形成しつつあります。これからの成長センターは、アジアでしょう。それとともに、成熟経済に入った先進国のなかでも、これから成長が期待されるセクターが生まれてきます。高齢社会、人口減少社会に突入していくなかで、医療やロボット技術、ITといったものが、将来的に成長が期待される業種として浮上してくると思います。
ただ、こういった成長期待の高いものに投資するといっても、たとえば個別銘柄で投資しようと考えた場合には、やはり個別企業を細かく調べるなど、いろいろ手間がかかるのも事実です。昼間、仕事に大部分の時間を割かれているビジネスパースンにとっては、なかなかその時間がないという方も少なくないでしょう。
自分で調べる時間がないというのであれば、細かいことは専門家に任せるということも、必要かも知れません。たとえばインデックス運用などを利用して、成長が期待される国や地域、あるいは業種に投資をしておけば、世界経済の潮流に乗って自分の資産を増やすことも可能です。
資産運用は目的ではなく、あくまでも自分が豊かに暮らすための手段に過ぎません。もちろん、投資が趣味という方であれば、銘柄のリサーチやチャート分析に時間をかけるのも良いと思いますが、多くの人はそこまで投資に時間を割くようなことはしないでしょう。そうであれば、個別銘柄ではなく指数=インデックスに投資をするという大きな時代の潮流を捉えるというスタイルが適していますし、資産運用をしながら自分のライフスタイルを豊かに楽しむ余裕も生まれると思います。
その意味で市場動向、世界の動きをみながらいつでも売り買いができ、分散投資が可能なETFは資産運用に興味を持った人にも手軽に始めることができる敷居が低い金融商品だといえます。最近では日本、海外のインデックスだけでなく、原油、金といった商品、さらには目的に合わせた分配型のETFまで選べるようになりました。世界経済の潮流に眼を向けながら、将来の豊かな生活の実現に向けてまずは資産運用の第一歩をはじめてみることが大切です。
掲載日:2010年月06月09日


   
    

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