株式・投資信託・ETF・退職・年金 投資に役立つ「ケイゾンマネー」

(特集)2014年の経済、投資戦略を占う!(全3回)アナリスト泉田良輔氏に聞く 株価の8-9合目を取りに行く2014年の投資戦術

【著名人インタビュー】

  • PR
  • PR
  • PR
 
 

東証時価総額の対名目GDP比率は「いいところ」まで来ている

図表1は2001年1月以降の東証時価総額の対名目GDP比率を示したものです。足元では、東証時価総額は名目GDPに対して97%程度の水準にあり、2005年以降に世界的に景気拡大を迎えた時期を除けばピークとも言える水準です。今後、米国で起きたサブプライムローンによる消費刺激のような施策があるかどうかはわかりませんが、仮にそうしたバブルを誘発するようなイベントがなければ、現在の株価水準は高値水準に来ているともいうことができます。

2004年以降、株価と為替レートの動きが似通っているように見えます。足元では、円安傾向が一服しているのに対して、株価の上昇ピッチが目立ちます。株価上昇が早すぎたためそう見えるのか、それとも為替レートがさらに円安に振れるのかは今後も注目ですが、株価の上昇ピッチが2014年の何を期待しているのかは理解し難いです。

2013年は内需株に資金が流入した-キーワードは「内需」×「先進国」

2013年は日本銀行による量的緩和の規模が取りざたされ、為替レートが円安へ反転しました。円安の恩恵を受ける輸出企業の株価が目立ったかに思われますが、実はそうでもありません。図表2は日本を代表する大型株の株価とTOPIXの年初来からの株価及び指数の推移を示したものです。トヨタはTOPIXのパフォーマンスを上回っていますが、その程度は内需銘柄である東日本旅客鉄道やセブン&アイホールディングスといった銘柄と大差ありません。小松製作所にいたっては、輸出比率が高いにもかかわらずTOPIXのパフォーマンスを大きく下回っています。これは当社の製品が使用される鉱山などの商品市況が低迷したことなどもありますが、以前の収益貢献要因であった新興国での建設需要が盛り上がってきていないからだと考えられます。

一方で、ソフトバンクのパフォーマンスは目覚ましいものがあります。これは、株式市場の期待する2つの大きな要因が重なったからだと思います。それは「内需」×「先進国」です。ソフトバンクは、国内ではiPhoneを武器に競合キャリアから市場シェアを取っていくというストーリーがありました。また、通信事業という内需事業からはキャッシュフローを生み出すことができるという安心感があったと思います。また、米国のスプリントを買収することも大きく株価上昇を支えたと考えています。一つには、円安によりスプリントの外貨建て資産評価が円建てで上昇することもあったでしょう。もう一つは、スプリントが米国という先進国の内需事業だったことが挙げられます。今回の買収先企業が新興国の事業であれば株価はここまでは上昇していなかったでしょう。

2014年の投資「戦術」を考える

現状、米国の量的緩和の縮小の影響が景気に対してどのように出てくるのかが相場の最大の関心事です。日本の株式市場が「アベノミクス」とどんなに騒いだところで、米国の株式市場が調整してしまえば、影響を受けずにはいられません。現状の資本市場は、米国の量的緩和の縮小だけを変動要因と考えて、他の条件を不変とみている気がします。結果、じりじりと円安トレンドとなり、日本株は上昇しました。

しかし、日本では2014年4月に消費税増税も行われます。増税前の駆け込み需要を考慮すると高額商品や高級品の反動は2014年前半では避けられないと思います。これまで株高などで資産効果なども手伝い堅調であった消費も一時的にスローダウンする可能性が高いとみております。これも周りとの比較になりますが、「内需」と「先進国」いうキーワードでも日本の「内需」よりも「米国」の内需での事業比率が高い企業の方が業績がよく見えるかもしれません。

また、米国が量的緩和を縮小させることで、米国株の下落という局面は十分にありえます。そうした場合には、インパクトの程度の議論は必要ですが、日本株全体も下落するでしょう。米国株の下落がひどければ、日本の投資家も海外資産を売却し、円転する動きも出てくるでしょう。その動きは円高に振れ、輸出株は一段と売られるでしょう。これでは「先進国」である米国での「内需」比率が高い企業の株価も下がることになります。

ただ、前回の各社の決算内容を見れば、世界の先進国の景気は回復トレンドにありますし、設備投資も戻ってきています。そうした背景を考えれば、仮に米国や日本をはじめとして株式市場が大きく調整すれば、先進国に強い輸出企業には絶好の買い場が訪れます。日本国内で考えれば、2020年の東京オリンピックを目指し、インフラの更新を目的とした政府による景気刺激策が具体的に出てくるという見方に変わりがありません。次に、日本株が大きく下落する局面では「内需」×「先進国」を切り口とした投資を仕込むチャンスだと考えています。

2014年の注目点のもうひとつは新興国の景気が回復してくるかどうかです。米国や日本での事業が中心の企業業績が安泰していることは、これまでの決算内容を見ればわかります。その一方で、不調であった新興国での事業比率が高い企業業績がいつ反転するのかがいつになるのかを2014年中に見極めることになると思います。2014年にはBRICsとよばれている新興国のうち2カ国で世界的イベントがあります。一つは2月にロシアのソチオリンピック、もう一つは6月から7月にかけてブラジルでFIFAワールドカップです。新興国が再び注目されることは間違いないのですが、今後影響が出てくるであろう米国の量的緩和縮小の効果を見ながら新興国での事業比率の高い企業の株を買う機会を探る展開になりそうです。

執筆:株式会社ナビゲータープラットフォーム取締役 アナリスト兼Longine編集委員長



泉田 良輔(いずみだ りょうすけ)氏

個人投資家向け投資アイデアサイト「Longine(ロンジン、http://www.longine.jp/)」編集委員長

慶應義塾大学商学部卒。日本生命保険、フィデリティ投信で日本株式の証券アナリストや外国株式のポートフォリオマネージャーとして従事。2013年に株式会社ナビゲータープラットフォームを設立し、Longine(ロンジン)を運営。著書に「日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか」(日本経済新聞出版社)

掲載日:2014年1月9日



 
   
    

特集

「証券アナリストの調査手法とこだわり」(全6回)

「証券アナリストの調査手法とこだわり」

証券アナリストの行動パターンをご紹介!個人投資家のリスク回避術を学ぼう。

特集を読む »

おもしろ企業探検隊

おもしろ企業探検隊

平林亮子&内田まさみの「そうだ!社長に会いに行こう」ナブテスコ株式会社

特集を読む »