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7月にかけて外国人売り その後は上昇基調に

オピニオンリーダーが語る

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昨年を通じて57%も上昇した日本の株価ですが、今年に入ってからは、値動きが一進一退の状態が続いています。4月に入り、消費税率が5%から8%に引き上げられ、実体経済への影響も懸念されるところですが、これからの日本の景気、株価はどうなるのでしょうか。経済評論家の今井澂さんに話を伺いました。


国内株式市場は昨年末、1万6,320円の高値を付けましたが、今年に入ってからは2月にかけて急落。その後もボックス圏内で推移しています。株価はそろそろ頭打ちですか。

経済評論家 今井 澂氏
今井氏

2月にかけて株価が急落したのは、ヘッジファンドの動向によるものと見ています。安倍政権発足後、円安と株高が急速に進みました。この背景にあったのもヘッジファンドです。
彼らが何をやったのか。民主党時代の為替レートは、ドル/円で1ドル=79円台、日経平均株価は8,000円台でした。ところが、2012年11月14日に野田民主党政権が解散し、同月17日に「三本の矢」を核としたアベノミクスが公表されるや否や、為替は円安、株価は上昇に転じました。この時、「We want ABE」と題したニューズレターを執筆したのが、ゴールドマンサックスのパートナーであるジム・オニールです。このレポートの中で、「これからは円を売り、日本株を買うのが最良の投資戦略である」と明言しました。


これに飛び乗ってきたのが、ジョージ・ソロスです。彼は、わずか3カ月間で90億ドルもの運用益を弾き出しました。この額は、彼が1992年に英ポンドの売り崩して得た利益を上回るもので、彼自身の中でも過去最高額です。これに他のヘッジファンドが追随し、海外の投資信託や年金も日本株に流れ込み、結果、株高が急速に進みました。

さて、問題はこれからです。2013年中の外国人投資家による日本株売買動向を見ると、15兆円程度の買い越しで、このうちヘッジファンドの買い越し額が5~6兆円程度あります。2月にかけて日本株が急落したのは、このうち2兆7,000億円程度を売却したからですが、仮にヘッジファンドの買い越し額が5兆円だとしても、まだ2兆3,000億円の売り圧力が残っています。これが、いつ出てくるのかが、これからの注目点でしょう。

なぜ、彼らは日本株を売ろうとしているのですか。
今井氏

買い持ちになっている日本株を2兆3,000億円も抱えていて、それらに含み益が出ているので、どこかで利益確定のための売りを出してくるのは自明です。ヘッジファンドの多くは、5月と11月に決算を行いますから、ファンドの運用成績を高めに維持するためにも、利益が出ているものについては利益を確定させようとします。したがって、これから先、株価が堅調に推移したとしても、5月には利益確定の売りに押されることになりそうです。
それと共に、今年に入ってから円安が進まず、株価もボックス圏で推移している背景としては、安倍首相の靖国参拝問題が大きかったと思います。

実はジム・オニールによれば、為替は1ドル=120円を想定していたのです。米国もそこまでの円安は容認する構えだったということです。ところが、昨年12月26日に靖国参拝問題が大きくクローズアップされたことによって、米国は安倍首相の行為に対し、極めて深い失望感をあらわにしました。結果、1ドル=120円という円安容認が飛んでしまい、株価も売り優勢になったということです。
ヘッジファンドというのは、結構ワシントンとつながっていて、時々、ワシントンの政策を後押しする、あるいはワシントンの顔色を伺って、ポジションを取る傾向があります。今回も、米国政府が日本に対して不快感を露わにしたことを察知して、円買い、日本株売りに転じたと考えられます。

5月に利益確定の売りが出た後は、売りも一巡と考えて良いでしょうか。
今井氏

気がかりなのが、それでもまだヘッジファンド勢は日本株を売りたがっているということです。だから注意したいのは、今年11月の決算に向けての動きですね。恐らく、2月に起こったのと同じような下げが、11月までのどこかで起ると思います。その引鉄が何かは、まだ分かりません。尖閣諸島問題がいよいよ深刻化するかも知れませんし、中国国内が内乱状態に陥るかも知れません。いずれにしても、ヘッジファンドが日本株を売るネタを探しているのは事実です。
だから、逆にいえば理由は何でも良いのかも知れません。身近なところでは、この4月からの消費税率引き上げによって、日本国内の消費が大きく落ち込み、4月~6月期のGDP成長率などが大きくスローダウンすることも、ヘッジファンド勢にとっては格好の売り材料になるはずです。

なかでも尖閣問題については、これから非常にナーバスになると思います。ウクライナ情勢問題で、ロシアがクリミア半島を編入することになった時も、結局のところ米国は何もしませんでした。これを見た中国政府は、尖閣諸島に進出したとしても、きっと米国は何も言わないだろうと考えたはずです。そうなると、11月にかけて尖閣諸島問題が極めてナーバスになる恐れがあることは否定できません。つまり、株式市場について言うならば、5月が過ぎたとしても、少なくとも年内は非常に不安定な推移になる恐れがあるということです。

年内の株価に要注意ということは分かりました。では、それ以降の日本の株価、景気はどうなるでしょうか。
今井氏

私は、長期的には日本の株価にしても、景気にしても、全力買いして良いと考えています。株式市場では黒田バズーカ第二弾に期待している声も多いようですが、それよりもはるかに高い効果が得られる方法があります。それは日本の公的年金です。
現在、日本の年金資金は、総額で160兆円ほどあります。この数字は、どんなヘッジファンドや他国の年金資金、あるいは各国の政府が出資する政府系投資機関が運営するファンドSWF(Sovereign Wealth Funds)と比べても、はるかに大きな規模を持っています。
それが今、どのような運用をしているのか。たとえば海外の年金ファンドが、何に投資しているのかを調べると、非常にざっくりした数字で恐縮ですが、基本的に60~65%を株式で運用しています。その点では、債券への投資はかなり低めに抑えれています。

一方、日本の160兆円が何で運用されているのかというと、海外の年金などとは全く正反対のポートフォリオです。具体的には、国内外の債券に71%、残りを株式で運用しています。ちなみに、そのうち日本株への投資比率は、12%程度です。
何という彼我(ひが)の差か、などと思った方もいらっしゃると思いますが、これが来年4月以降、大きく見直される可能性が高まってきました。今まで以上に株式への投資比率を高めていこうというもので、これに関する関連省庁の合意は、3月31日に決まっています。具体的には、現行制度上において12%とされている日本株への投資上限を、25%まで引き上げるというものです。買いは来年4月から開始です。
これは非常に大きい。25%ということは、単純に計算すれば現在に比べて13%、株式への投資比率が高まったことを意味します。ちなみに日本の年金資金が160兆円だから、組入比率を13%引き上げるとなれば、それだけで200兆円もの新規買い需要が生じてきます。株価は再び上昇するでしょうし、売ろうと思っていたヘッジファンドも、日本株売りを止めるのではないでしょうか。
したがって、今年の日本の株価はダメですが、来年以降は順調に推移するものと見ています。だから、NISA口座を通じて「JPX日経インデックス400」に連動するETFを、自分のポートフォリオに組み入れておけば、非常に効率の良い運用が期待できそうです。

オリンピック景気には期待できそうですか。
今井氏

まず、東京都が見積もっている経済効果3兆円というのは、あまりにもコンサバティブな見方だと思います。長野オリンピックでさえ4兆7,000億円の経済効果があったのですから、3兆円で済むはずはないでしょう。
オリンピックで注目されるのは、オリンピックそのものの経済効果よりも、それに向けて行われるさまざまなインフラ投資で広がる経済効果です。今回の東京オリンピックでも、たとえば3本の環状道路、首都高速の改修工事、空港における滑走路の増設、空港から都内までの輸送路の敷設、リニア新幹線の開業など、さまざまなものが考えられます。あるいは、オリンピック観戦に来た外国人観光客が、日本の地方に観光に出かければ、地方経済にもさまざまな経済効果が波及していきます。
それらを合計すれば、少なくとも30兆円を超える経済効果は期待できるでしょう。前述した公的年金の運用体制見直しは、株式市場の需給改善につながりますが、同時に東京オリンピックの開催によって、日本の実体経済面にも大いにプラスの効果が期待できます。したがって、今年は確かに株価面でも厳しい局面を経験することになりますが、2020年に向けての日本経済、株価は、非常に期待できると思います。

ただ、オリンピック後は祭りの後で、経済は一気に冷え込むという見方もあります。オリンピック後を展望した場合、日本経済はどうなるでしょうか。
今井氏

アベノミクスでは「三本の矢」が注目されていますが、今後を展望した場合、やはり第四の矢、第五の矢の登場に注目したいと思います。

第四の矢は、タンス預金をどう引っ張り出すか、ということです。現在、タンス預金は30兆円超と言われています。タンス預金というのは、文字通り、現金のまま保有されているお金で、経済的には何ら貢献しない、寝ているだけのお金ですが、もしこのうち1割でも動けば、世の中は大きく変わるでしょう。
すでに、孫の教育費として贈与した分については非課税にするという贈与新制度がスタートしていますが、これに加えて、個人型物価連動国債の発行、介護・医療関連REITの解禁など、新しい投資対象が増えれば、投資マーケットにも資金が流れ込んでいきます。

そして第五の矢ですが、これは海洋産業です。といっても、造船、海運といった既存の海洋産業ではなく、これから出てくるのは海洋資源開発や、それにともなう海洋プラント建設といったジャンルです。現在の日本は資源輸入国ですが、海洋資源開発が進めば、資源輸出大国になる可能性があります。たとえば日本近海にはメタンハイドレートが眠っていますが、金や銀などの鉱物資源も期待されています。
イギリスは、北海油田の開発で資源大国になり、多額の財政赤字を返済することができました。それと同じことが、これからの日本にも訪れるでしょう。その意味でも、日本の未来は明るいといえるのです。



今井 澂(いまい きよし)氏
1935年 東京生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業。
1959年 山一證券入社。30年間1貫して山一證券経済研究所を中心に証券アナリスト・ファンド運用・年金営業など情報と市場、資産運用をつなげる業務に従事。山一投資顧問取締役。
1989年 日債銀顧問として転出
日債銀投資顧問専務、日債銀ガートモア投資顧問会長も兼任。後に特別理事
1996年 慶應義塾大学商学部講師、国際経済論(欧州通貨統合中心)
1997年 日債銀退職。以降大学での講義の傍ら国際エコノミストとして活躍
1999年 白鴎大学経済学部教授就任 金融論
2000年 日本メディアーク番組審議会委員就任
2001年 財団法人国民年金基金連合会「確定拠出年金(40lk)規約策定委員会」委員就任
2002年 NPO金融知力普及委員会理事就任
2006年 財団法人年金シニアプラン総合研究機構理事就任

掲載日:2014年4月16日

 
   
    

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