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『バークシャ・ハサウェイの株主総会に行ってみた』

オピニオンリーダーが語る

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 「伝説の投資家」と呼ばれるウォーレン・バフェット。その彼が率いている投資会社が、バークシャ・ハサウェイです。同社株式は米国市場に上場されており、当然、株主総会も毎年開催しています。今回、資産運用アドバイザーの尾藤峰男さんがその株主総会に参加しました。出席者総数は何と過去最高の3万8,000人。その様子について、話を伺いました。


まず、バークシャ・ハサウェイという会社の概略について教えていただけますか。

びどうファイナンシャルサービス代表取締役 尾藤 峰男氏
尾藤氏

 もともとは繊維会社で、ウォーレン・バフェットが1964年に買収しましたが、繊維産業としてはほとんど利益が出ませんでした。バフェットが会社を経営していくなかで、さまざまな分野に事業投資を行った結果、現在のように投資会社としての形態へと転換していったわけです。現在は保険ビジネスを中核とした投資会社であり、もともとのビジネスだった繊維産業は、1985年に閉じられました。


そもそも、日本の投資家でもバークシャ・ハサウェイの株主総会に出席できるものなのですか。
尾藤氏

 バークシャ・ハサウェイの株式に投資するのは、実は簡単なのですよ。A株とB株の2種類があって、A株は1株が19万ドル以上ですから、日本円にして1,900万円超。なかなか投資できるものではありませんが、B株というのもあって、これなら130ドル程度ですから、1万円ちょっとで投資できます。今はインターネット証券会社などを通じて米国株式に投資できるので、B株であれば、誰でも簡単にバークシャ・ハサウェイの株式に投資できるといっても良いでしょう。

 ただ、株式に投資したからといって株主総会に出席できるかというと、ここでひとつ大きなハードルを越えなければなりません。株主総会に出席する権利は、B株を保有している投資家にも付与されています。なので、B株を保有していれば株主総会に出席できるのですが、 日本の証券会社を通じて外国株式であるバークシャ・ハサウェイ株に投資した場合、その株式の名義人は、売買を仲介している証券会社(または代理人)になっているのです。ということは、いくら待っていても、私たちのもとには、バークシャ・ハサウェイの株主総会の招集通知は来ないのです。
 そこで、私はその事情をレターにして、ウォーレン・バフェット宛に送ってみました。すると、ある特定日(株主基準日)にバークシャ・ハサウェイの株式を保有していることを証明できれば、株主総会参加証を送るという返事をもらうことができました。早速、証券会社に証明書を出してもらい、それをスキャニングしてバークシャ・ハサウェイにメールをすると、株主総会の会場に入れるカードを4枚送ってきてくれたのです。

会場の雰囲気はいかがでしたか。
尾藤氏

 何しろ3万8,000人もの出席者ですから、物凄い熱気でしたよ。バークシャ・ハサウェイがあるネブラスカ州のオマハにあるスタジアムで開かれました。開場時間が午前7時と聞いていたので、少し早目に並ぼうと思って午前6時半に行ってみたのですが、その時点ですでに長蛇の列でした。一番早くから並んだ人は午前2時半に来たそうです。これをウォーレン・バフェットは「Woodstock for Capitalists」と言っています。投資家のためのウッドストックという意味ですね。それだけ熱狂的なバフェット信者がたくさんいるということです。
 会場では午前9時半から午後3時半まで、途中に1時間の休憩を挟んで5時間、ウォーレン・バフェットと、その長年にわたるビジネスパートナーである90歳のチャーリー・マンガーは壇上で、株主から寄せられた60以上の質問に丁寧に、ユーモアを交えて答えていました。

バークシャ・ハサウェイの企業規模というのは、どのくらいなのですか。
尾藤氏

 2013年の売上高は1,822億ドル。純利益は195億ドルで、株式時価総額は米国5位の3,156億ドルにも上ります。その傘下には、全米第2位の自動車保険会社であるGEICOや大手食品会社のハインツなど80を超える企業群があります。これら80を超える企業群はM&Aによってバークシャ・ハサウェイが買収し、100%子会社や大部分の株式を保有している会社です。

 これに加えて、バークシャ・ハサウェイはさまざまな企業の株式にも投資しています。有名なところではコカ・コーラやアメリカン・エクスプレス、IBM、ムーディーズ、ウエルス・ファーゴあたりでしょうか。2013年末の保有株式の時価総額は1,175億500万ドルになります。

バークシャ・ハサウェイの株式に投資した場合のリターンは、どのくらいになるのですか。
尾藤氏

 これが驚異的です。1965年から2013年までで、1株純資産は6,942倍。株価は1万3,425倍にも値上がりしました。これを年率換算すると、1株純資産は年19.7%、株価は年21.4%で上昇したことになります。
 ちなみに、同期間のS&P500のパフォーマンスは98倍で、年率換算で9.4%でしかありません。

 なぜ、これだけ高いリターンが実現できているのか。ひとつヒントになるのが、バークシャ・ハサウェイは下げ相場に強いという点が挙げられます。1989年から2011年までのリターンについて、プラスの月とマイナスの月の平均を比較してみると、プラスの月はS&Pの上昇率平均が3.4%であるのに対して、バークシャ・ハサウェイは3.0%です。バークシャ・ハサウェイは上昇局面において、市場平均値であるS&P500株価指数よりも劣るのですが、重要なのは下げ相場です。マイナスの月を平均すると、S&P500株価指数はマイナス3.6%なのですが、バークシャ・ハサウェイはマイナス1.5%にとどまるのです。つまり下げ相場に強いということです。
 これは実際に個人が投資する場合も重要なことを示唆しています。つまり、下げ相場において、大きく下げないようにすれば、その累積効果でリターンは安定、かつ伸びる可能性が大きいということです。

 たとえば、100のものが50まで値下がりした場合、下落率は50%ですが、これだけ下げたものを元の水準に戻すためには、50のものを100にしなければなりません。つまり100%の上昇率を達成しないと、元の水準には戻らないのです。要するに、リスク資産で運用する際には、下げ局面におけるリスクコントロールをしっかり行うことが大事だということです。

下げ相場の時に大きな値下がり損を被らないようにするためには、たとえば株式投資でいうと、企業選びが重要になると思います。ウォーレン・バフェットはどういう視点で投資する企業を選んでいるのでしょうか。
尾藤氏

 いくつか選択基準があるようですが、まず自分が理解できる、質の良い企業であること。この「自分が理解できる」という点が重要で、バフェットは米国でITバブルが起こった時、自分には理解できないという理由で、ドットコム企業には一切投資しませんでした。S&P500株価指数に比べてリターンが大幅に劣ったにも関わらず、その姿勢を貫いたのです。特にリスク資産に投資する場合、自分が理解できないものには投資しないというスタンスは、とても大事です。

  さらに言えば、10年、20年という期間、安定した成長が見通せる企業であり、ブランド価値や寡占的優位など競合他社に対する優位性がある企業であり、経営者の能力やモラルが高く、株主還元を重視する企業であり、規模が大きい企業ということになります。そういう企業の株式を、時価が本来の価値より割安になっている時に投資しています。

投資している企業の保有期間はどのくらいなのでしょうか。
尾藤氏

 これについても、非常に示唆に富んだ考え方をしています。もちろん、短期トレードなどはするはずもなく、長期投資が基本です。
 日本で「長期投資」というと、せいぜい5年~10年程度で考えている方が大半だと思いますが、バフェットの場合、保有期間は「永久」だというのです。投資した銘柄は永久に保有し続ける。だからこそ、10年あるいは20年という期間で、安定した成長が見通せることを、投資先企業の選定基準のひとつに設けているのでしょう。

株主総会の質問項目で印象に残ったものはありますか。
尾藤氏

 たとえば遺産の話。バフェットも83歳ですから、そのような話が出てきても不思議はないのですが、その質問というのは、「遺言書には、妻への遺産は10%が現金、90%がS&P500指数のインデックスファンドにするように、と書かれている。なぜバークシャ・ハサウェイの株ではないのか」というものがありました。
 これに対する答えは、「妻に残す遺産は、すでに0があまりにも多い莫大なものになっているので、更に殖やす必要はない。心に平安を持ってもらいたいと思っている」ということでした。

 確かに、もうすでに大金持ちですから、ここからガツガツ殖やすこともないという意味でしょうし、バフェットといえばこれから成長が期待できる銘柄を選別して投資するというスタンスなのに、市場全体に投資するインデックスファンドにするというのが面白いと思います。それだけ銘柄を選ぶということが大変な作業であることを、当の本人が一番理解しているということなのでしょう。

最後に、バフェット自身は米国経済に対して、どのような見解をお持ちでしたか。
尾藤氏

 楽観的です。「アメリカンビジネスは非常によくやっていると思う。実に、誰が過去237年間、アメリカに反して賭けて利益を得ただろうか。今の我々の国の状況を1776年の時と比べたら、あまりの違いに驚き、目をこするだろう。そして、我々の市場経済に組み込まれたダイナミズムは、そのマジックを発揮し続けるだろう。アメリカの最高の日々は、この先にある」というのが、米国経済の先行きに関する質問への答えでした。
 なお、バフェットは投資で成功するための原則として、次のようなことを言っております。
 「No.1 お金を失うな。No.2 No.1のルールを絶対に守れ」というものです。投資というと、どうしても一攫千金を目指してしまいがちですが、それだと大きくお金を失う恐れがあります。とにかくお金を大きく減らさないことが、投資で成功するためには大事だということなのでしょう。


尾藤 峰男(びとう みねお)氏

資産運用アドバイザー
びとうファイナンシャルサービス代表取締役
米国CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員、1級FP技能士、CFP®

早稲田大学法学部卒。旧日興証券で1999年まで21年間、個人の投資アドバイス、国際金融、コーポレート・ファイナンス業務に携わる。英国、カナダ、豪州で9年近く海外勤務。2000年に当社を設立し、金融機関から完全独立の資産運用アドバイザーとして、公正・中立な立場で個人の金融資産や退職金の運用アドバイス、ライフプランニングを提供している。個人の資産形成、国際分散投資、外国株投資に詳しい。

著者に「いまこそ始めよう 外国株投資入門」(日本経済新聞出版社)。

投資助言・代理業登録(関東財務局)


掲載日:2014年7月25日

 
   
    

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