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中野晴啓氏に聞く なぜ「預金バカ」なの?

オピニオンリーダーが語る

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「預金バカ」という、いささか刺激的なタイトルの本を先日刊行したばかりのセゾン投信代表取締役社長中野晴啓氏に、「預金バカ」という言葉に込められた想いを伺いました。ちなみに預金バカは講談社刊で、すでに現在4刷まで順調に版を重ねてきています。預金がダメだとしたら、私たちは何で資産形成を進めていけば良いのか。じっくりとお話を伺いたいと思います。


本のタイトルの由来から教えていただけますか。

セゾン投信株式会社
代表取締役社長 中野晴啓氏
中野氏

 今、世の中は大きな変化に直面しています。それは、アベノミクスによって、過去20年にわたって続いたデフレ経済が終わり、インフレ経済に変わろうとしているというものです。物価がひたすら下がり続けるデフレ経済から、逆に上昇を続けるインフレ経済へと転換すること自体、世の中的には物凄い変化ですが、同時に「お金」の面でも、大きな分岐点を迎えています。
 日銀が定期的に公表している「資金循環統計」によると、2014年3月末時点における個人金融資産の総額は1,630兆円。このうち現預金の額は865兆円で、53%もの比率となっています。ちなみに、それ以外の資産がどのようになっているのかと言うと、

債券・・・・・・29兆円(1.8%)
投資信託・・・・・・78兆円(4.8%)
株式・出資金・・・・・・148兆円(9.1%)
保険・年金準備金・・・・・・442兆円(27.1%)
その他・・・・・・67兆円(4.1)

 このようになっています。とにかく、圧倒的に現預金で占められているというのが、私たちの個人金融資産の実体です。
 資産運用の目的は、資産価値を増やしていくことですが、同時にインフレに対する資産防衛の意義もあります。資産を現金のまま保有していても、利息は一切付きませんし、もちろんキャピタルゲインも得られません。現金のまま持っていた資産がインフレに直面したらどうなるでしょうか。100万円は、いくら保有し続けても100万円に過ぎませんが、一方でインフレが進行すれば、100万円で買えたモノの値段が、10年後に120万円、20年後に140万円というように、値上がりしていきます。もし、そうなったら、ひたすら持ち続けている100万円の資産価値は、実質的に目減りしていきます。もちろん預金も同じことです。ここへの気づきになって欲しいという願いが、「預金バカ」というタイトルには込められています。

ただ、預金に預けておけば利息は付きます。本当に「預金バカ」と言い切ってしまっても良いのでしょうか。
中野氏

 日本人の頭の中には、戦後約70年の間に刷り込まれた、なかなか拭い去ることのできないひとつの神話があります。それは「銀行神話」というものです。
子供の頃、親からこう言われた経験のある方は多いと思います。
「ちゃんと預金しておくのですよ」。
銀行に預けておけば安心だと思っているからこそ、このような言葉が出てきたのでしょう。
 かつては、それにも一理ありました。銀行は護送船団方式の下、競争を抑制することで経営の安定化を維持していたので、確かに銀行に預けておけば安心だったと言えるでしょう。こうして銀行を信頼して集まってきた多額のお金は、日本全国あまねく、20世紀の高度成長期には、産業資本として有効に活用されていました。その意味では、確かに銀行預金は、私たちの生活向上に寄与していたのです。
 では、今はどうでしょうか。金融は自由化されていますから、かつての護送船団方式による保護は期待できません。そのうえ預金の利率は今、日銀の量的金融緩和政策によって、「ゼロ金利水準」に張り付いています。さらに言えば、預金を通じて集められた資金の使い道が、かつてのように国内産業を育成するためには回っておらず、かなりの部分が日本国債に回っています。つまり預金は、日本の産業ではなく、国の借金を支える原資になっているのです。
 このような状況で、もし急激なインフレに見舞われたら、どうなるでしょう。銀行預金の利率が上昇するには、相当のタイムラグがあります。物価が上がっても、金利上昇がなかなか追いつかないとなれば、インフレリスクのヘッジ効果は期待できません。また、預金が国債で運用されている状態で長期金利が大きく跳ね上がったら、銀行が保有している国債には多額の含み損が発生します。特に、地方銀行は国債を大量に保有しているだけに、この面のリスクが非常に気になります。
つまり、金利が底ばいのままであったとしても、逆に跳ね上がったとしても、預金にはネガティブな影響が及ぶ恐れがあります。それなのに、まだ預金に預けておくのが安心と言っても良いのでしょうか。

インフレ経済に転換するなか、預金がダメだということになったら、私たちはどこに資産を持っていけば良いのでしょうか。
中野氏

 まずはお金を動かすことが大事です。デフレ経済の最大の問題点は、「何もしない人が勝つ」ことにあります。物価がどんどん下がるのですから、資産を現預金でじっと持ち続ければ、それだけで実質的な資産価値は増えていきます。その状況が、バブル経済崩壊後、20年以上に亘って続いたのです。もう、私たちは完全に、デフレに慣らされてしまったと言っても良いでしょう。
 でも、何もしないのが良いことだという考えが蔓延したら、社会の発展はあり得ません。かつて民主党政権時代、ある重要閣僚が「日本はもう成長しなくても良い。成長の正義は終わった。これからは今まで蓄積した富を、国民全員で分配する時代だ」というようなことを述べていましたが、これはまさに社会主義の考え方です。それに、国民全員で富をふやさずただ分配し続けたら、やがてその富は底を尽き、後の世代になるほど、何も残っていないという状況に直面してしまいます。つまり、この元閣僚の発言には、次世代に対する配慮が一切ないのです。
 逆に、インフレの時代というのは、行動をしないとダメになります。それはそうですよね。物価はどんどん上昇していくのですから、何もせずにじっとしたままの人は、着実に落ちこぼれることになります。確実に格差が広がっていくのです。そういう状況の下では、とにかく動かなければなりません。それはビジネスの分野においてはもちろんのこと、資産運用にも当てはまります。現預金でじっとしていると、資産の価値はどんどん目減りしていくのがインフレですから、とにかく現預金以外のものに資産を移していかなければなりません。その移動先のひとつが、投資です。

投資にもさまざまなスタイルがあります。インフレ時代に合った資産運用法とは?
中野氏

 投資は、株式でも為替でもとにかく短期で売買を繰り返す短期トレードと、その真逆にある長期投資とがあります。ただ、インフレ時代に合うかどうかはともかく、投資は長期スタンスで臨むことをお勧めします。
 短期トレードというのは、基本的にゼロサムゲームです。つまり、市場参加者の間で売った買ったを繰り返すことによって、一方の利益が他方の損失を招くという構図です。つまり、収益と損失が移転しているだけに過ぎません。
 これに対して長期投資は、参加者全員がリターンを得られる世界です。企業に投資する。その企業が新技術の開発などに成功して、より大きな企業に成長する。その過程で、企業価値が上昇する、つまり株式は値上がりし、配当金も増える。この企業に長期投資している投資家は皆、その恩恵に浴することができます。
 もし、短期トレードで成功しようと思ったら、それこそ常時、パソコンの前に座って、マーケットを見続けなければならないでしょう。普段、会社で仕事をしている人には無理な話です。だからこそ、長期投資のスタイルが合うのです。これはインフレ時代に合うかどうかという問題以前に、普通の生活者がインフレリスクをヘッジし、かつ将来のために資産を殖やす、あるいは投資を通じて世の中を変えていくという場合も含めて、長期投資が最良の選択肢であることを意味しています。

長期投資とは具体的にどのくらいの期間を指すのでしょうか。
中野氏

これはよく聞かれることなのですが、長期投資に期限はありません。一般的には10年くらいを長期投資のイメージとして描いている方が多いと思うのですが、ずっと投資し続けることが本当の長期投資だと考えています。
 「それではせっかく殖やしたお金を使うことができない」という疑問もあるでしょう。でも、ここでいう長期投資は、決して長期間、絶対に使ってはいけないという意味ではありません。もし、何か欲しいものがあって現金が必要な場合は、投資しているポジションの一部を取り崩して使えば良いのです。大事なのは、保有資産の一部を常に投資しておくことです。
 それに、殖やした資産を全部、自分で使わなければならないという決まりもありません。自分の人生の終焉が近づいてきた時、資産が大きく殖えていたら、そのまま子供に引き継いでいけば良いのです。こうして子供から孫へ、孫からその次の世代へと、ずっと投資を続けることによって、徐々にファミリーアセットが大きくなっていく。欧州のプライベートバンクというと、富裕層の資産管理というイメージが先に立ちますが、実際は、こうして何代にもわたってファミリーアセットをコツコツと築き上げてきた家の資産管理から歴史が始まったのです。
 子どもに引き継いだ資産が、何代か後にもの凄い額の資産になっているかも知れません。その時あなたは、莫大な資産を持つ家系の始祖になれるのです。そんなことを考えて長期投資をするというのも、ある種のロマンではないでしょうか。


中野 晴啓(なかの はるひろ)

セゾン投信株式会社 代表取締役社長

1963年東京生まれ。1987年明治大学商学部卒。同年、株式会社クレディセゾン入社。セゾングループの金融子会社にて債券ポートフォリオを中心に資金運用業務に従事した後、投資顧問事業を立ち上げ運用責任者としてグループ資金の運用のほか外国籍投資信託をはじめとした海外契約資産等の運用アドバイスを手がける。その後、(株)クレディセゾン インベストメント事業部長を経て2006年セゾン投信(株)を設立、2007年4月より現職。米バンガード・グループとの提携を実現させ、現在2本の長期投資型ファンドを設定、販売会社を介さず資産形成世代を中心に直接販売を行っている。また、全国各地で講演やセミナーを行い、社会を元気にするための活動を続けている。

公益財団法人 セゾン文化財団理事
NPO法人 元気な日本をつくる会理事

著書
『運用のプロが教える草食系投資』(共著)日本経済新聞出版社
『積立王子の毎月5000円からはじめる投資入門』中経出版
『投資信託は、この8本から選びなさい。』ダイヤモンド社
『定年までにいくらあれば生きていけるか』アスキー新書
『20代のうちにこそ始めたいお金のこと』すばる舎
『30歳からはじめるお金の育て方入門』(共著)同文館出版
『年収500万円からはじめる投資信託入門』ビジネス社
『投資信託は、この9本から選びなさい。』ダイヤモンド社
『30代でも定年後でもほったらかしで3000万円! 投資信託はこうして買いなさい』ダイヤモンド社
『預金バカ 賢い人は銀行預金をやめている』講談社+α新書  等

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掲載日:2014年11月26日

 
   
    

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