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スガシタ・パートナーズ代表 菅下清廣氏が語る 「世界と日本が直面しているリスクを考えよう」 東証ETF

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東証ETF・ETN活用プロジェクト [ ETFがわかれば世界がわかる 著名人にインタビュー ]

【第25回】

スガシタ・パートナーズ代表 菅下清廣氏が語る

「世界と日本が直面しているリスクを考えよう」

欧州金融危機は拡大の兆しが濃厚になり、ギリシャだけでなく、イタリア、スペインへもソブリンリスク問題が波及してきています。それを受け、米国では景気回復が先延ばしになるとの見方が強まり、株価が急落。中国やインドなどの新興国でも、株価が大幅に下落し、日本ではデフレ問題が長期化の兆しを見せています。今、世界経済を取り巻くリスクには何があるのか。そのなかで、個人はどのような対処をしていけば良いのかを、スガシタ・パートナーズ代表の菅下清廣氏に伺いました。
世界中でマーケットが大混乱に陥っています。この状態は今後も続くのでしょうか。
菅下氏
菅下氏 スガシタ・パートナーズ代表
菅下清廣氏
今、世界経済と日本経済は3つのリスクに直面しています。日本のデフレリスク、欧州ソブリンリスク、そして米国国債の格下げリスクです。
まず日本のデフレリスクですが、日本はかれこれ20年以上にわたって、デフレ、株安、円高が続いています。まさに、日本経済をどん底に陥れた3点セットといっても良いでしょう。特に株安、円高は、日本経済がデフレに陥っているからこそ進んでいるものなので、今後、日本経済が回復へと向かうためには、一にも二にも、とにかくデフレから脱却することが必要になってきます。
次に欧州のソブリンリスクですが、このリスクが目下、世界経済の行方を左右する、非常に大きな要因になってきています。ギリシャの債務問題をきっかけに浮上してきた欧州ソブリンリスクの影響は、ギリシャに止まらず、その他のPIIGSと呼ばれている国々へも波及しようとしています。特にイタリア、ポルトガルなどは、深刻さの度合いを増してきています。
そして3点目ですが、これは米国の債券格下げリスクです。米国国債の格付けは、今年8月2日に米政府の債務上限引き上げが上下両院で可決したのち、スタンダード&プアーズ社が1段階の引き下げを実行しました。その後、格付けの妥当性をめぐり、さまざまな思惑が交錯しましたが、今後も米ドルに対する信任の低下は続くでしょうし、それによって米国国債の信用リスクが高まる恐れも否定できません。
これら3つのリスクが払しょくされない限り、「フライ・トゥ・クオリティ(質への逃避)」というグローバル・マネーの動きに歯止めがかかることはないでしょう。つまり、リスク資産から安定資産への資金の流れが、まだまだ進むことになります。
安定資産への流れというのは、具体的にどういう状況のことを指しているのでしょうか。
菅下氏
株式やコモディティ(商品)など、リスクのある資産に投資されるリスクマネーというのは、世界的に景気が好調な時ほど資金量的に拡大傾向をたどり、それがさらなる株高の原動力になります。
ところが、昨今のように世界的な金融不安が浮上し、さらに景気に対するマイナスの影響が高まってくると、株式などのリスク資産からは、お金が逃げるようになります。特にリーマンショック前までは、リスク資産にどんどん資金が流れ込んでいましたが、今はまさにそれとは逆の現象が生じていることになります。
リスク資産のなかで、株式はひたすら売り込まれる一方ですし、唯一買われているリスク資産といえば、金くらいのものでしょう。金は、株式や債券のように発行体の信用リスクによる影響を受けずに済むので、それが好感されて、金の買いにつながっています。
図表1:ロンドン金相場
図表1:ロンドン金相場
出所:QUICK ActiveManager
あるいは外国為替市場においては、相対的に信用力の高い通貨が買われています。具体的には円とスイスフランです。特にユーロは、ギリシャ問題に端を発した欧州ソブリンリスクにより買われにくい状態ですし、米ドルも前述したように債券格付けが引き下げられていますから、やはり買いにくい。
もちろん、日本も先進国のなかでは最悪の財政赤字を抱えていますが、日本の場合、国内調達が大半を占めていることもあり、米国をはじめ、その他の国々のように、急速にソブリンリスクが高まるリスクは低いとみなされています。結果、円が買われているというわけです。
またスイスフランについては、ユーロに加入していない永世中立国という国の独自性もあり、対ユーロで大きく買われてきました。
日本のデフレリスクを回避するためには、何が必要なのですか?
菅下氏
やはり一番大事なものは政策です。日本政府が、脱デフレを意識した政策を、今後打っていくことができるのかどうかに、すべてがかかっているといっても良いでしょう。それは、野田新内閣の脱デフレ意識がどのくらいあるのかということでもあります。鳩山政権、菅政権の両方とも、脱デフレに対する認識が非常に低く、そのためデフレからの脱却が、今もって進まないという状態にあるわけですが、野田新内閣に関しては、円高阻止に関するコメントを述べているので、ひょっとしたら、前任者、前々任者に比べると、脱デフレ意識は強いのかも知れません。大事なことは、「円高を阻止するためには、デフレを阻止する必要がある」という認識を持っているかどうかということです。円高を阻止するといっても、円売り介入を行うだけではダメです。デフレを根本から治癒するための政策を講じないと、本当の意味で円高を阻止することはできないのです。
為替レートの推移(ドル円)
為替レートの推移(ドル円)
出所:QUICK ActiveManager
では、具体的にどのような政策が必要なのか、ということですが、3つの方法が考えられます。
第一に、金融の量的緩和を進めること。20兆円のデフレギャップがあるのだから、それを埋めるためには、20兆円の量的金融緩和を行えばよいのです。今回、東日本大震災の被害から復興させる必要があるので、名目は復興債が良いでしょう。とにかく20兆円規模の国債を発行し、それを日本銀行が引き受けるのです。そうすれば、日銀から政府にお金が回り、政府はそれを用いて東日本震災復興を名目にして、市中に資金をばら撒くことができます。
第二に、資金をばら撒いた後、産業振興が必要になること。これも、東日本の復旧・復興を名目にした新産業の育成を行うと良いでしょう。具体的には、たとえば2030年までに原子力発電への依存度をゼロにする一方、太陽光発電などのニューエネルギー関連で新産業を育成していきます。あるいは海洋資源の開発なども良いでしょう。いずれにしても、ニューエネルギー関連にお金を投じることによって、金融の量的緩和を行った後の契機回復を目指します。
そして第三は、何が何でも円高を阻止するという強いメッセージを打ち出すことです。これについては、すでにスイス政府が、対ユーロで大幅に進んだスイスフラン高を阻止するために行いました。絶対に円高を阻止してやるんだという強いメッセージを発信することができれば、為替は徐々に円安へと向かうでしょう。
すでに日本は、ゼロ金利政策を行って長いのですが、それでも金融緩和は十分に行われていないということですか?
菅下氏
菅下氏
日本経済は今もなおデフレ拡大に直面しています。2008年に起こったリーマンショックの直後は、日本だけでなく、世界的にデフレが加速するリスクに直面していましたが、米国やユーロ経済圏などは、積極的な金融緩和政策を実行に移したことによって、デフレ危機から脱出することができました。ちなみに、マネタリーベースで見ると、リーマンショック後に金融の量的緩和を打ち出してから3カ月間で、米国は100兆円規模でマネタリーベースを拡大させましたが、これに対して日本は、同じ期間でわずか10兆円しかマネタリーベースを拡大させませんでした。つまり、ほとんど量的緩和を行わなかったということになります。結果、日本経済はリーマンショックから3年が経過したにも関わらず、未だにデフレから脱出できずにいるのです。
したがって、デフレが終わらないのは、まさに政策の失敗であり、今の不況は政策不況といっても良いと思います。
この状況が変わらない限り、日本がデフレ不況から脱出することはできませんし、結果的に日本国内には何の投資チャンスもないという状態が、今後もしばらく続くことになります。
金利ゼロ、株安、不動産安という、投資チャンス・ゼロという状態は、日本経済がバブル崩壊に直面した90年代の初頭から続いていますが、当時はまだ世界経済が非常に堅調でした。米国も欧州も、そして新興国も、非常に息の長い景気拡大局面にあり、その恩恵で日本経済も、成長率は低いものの、何とか世界経済の拡大にキャッチアップしていくことができました。
しかし、今回はその当時と大分様子が異なります。何しろ、米国経済も欧州経済も、前述したようなソブリンリスクを抱え込んでおり、景気回復も後ろにずれてきました。BRICsをはじめとする新興国も、やはり先進国経済、とりわけ米国経済が停滞している状態では、なかなか経済を拡大させていくことができません。さらに言えば、新興国ではインフレリスクが徐々に高まってきました。
今のうちに、少しでも早くデフレ経済から脱却しないと、日本経済は本当にひどい状態に陥ることになります。そのためにも、早期に大幅な金融緩和を実行する必要があります。
投資チャンスが生まれてくるとしたら、どのタイミングでしょうか。
菅下氏
やはり野田政権がどこで脱デフレ政策を打ち出してくるかということが、最大の注目点です。脱デフレ政策を全く打たないということになれば、さらに円高ドル安が加速し、日本経済は深刻なデフレ不況に直面することになります。
でも、真剣に脱デフレ政策を検討し、実行に移すということになれば、日本経済は徐々に回復へと向かうはずです。その時、投資のビッグチャンスが到来します。
もちろん、今は米国の債券格下げリスクや、ユーロ圏のソブリンリスクが大きな注目を集めていますが、基本的に欧米の中央銀行は対応が素早いので、本当の意味での危機に陥るリスクは極めて低いと考えられます。欧州発のリーマンショックが起こるなどと言われていますが、それが現実化するようなことにはならないと思います。
むしろ、資源価格が暴落したり、BRICsの株価が暴落したりした時には、投資のチャンスと捉えるようにしましょう。いずれ世界経済の混乱が落ち着けば、資源価格やBRICs諸国の株価は、再び上昇傾向をたどります。その局面を捉えれば、資産形成を有利に推し進めることができます。
その際に、さまざまな投資対象に簡単にアクセスできるETFは、非常に有利な投資手段になるはずです。
掲載日:2011年月10月13日
菅下清廣(すがした きよひろ)氏プロフィール
スガシタ・パートナーズ代表
菅下清廣氏 国際金融コンサルタント、経済評論家。スガシタパートナーズ株式会社代表取締役社長、立命館アジア太平洋大学学長特別顧問。立命館大学経済学部卒業後、大和証券入社。1974~83年世界最大の証券会社メリルリンチに入社。ニューヨーク本社での研修後、メリルリンチ東京支店にて事業法人および機関投資家の資金運用担当。メリルリンチ時代には、世界トップクラスの成績を挙げた社員が表彰されるクラブ、Chairman’s Club、Million Dollar Producer’s Clubのメンバーに招待される。その後国際投資では世界トップクラスの定評があるフランス系投資銀行ラザールフレールの日本法人 ラザード・ジャパン・アセット・マネージメント株式会社の代表取締役社長に就任。
現在は、内外の金融機関、新興企業、ベンチャー企業のコンサルタントや金融顧問を務める。また、主に経営者向けのセミナー、フォーラム、勉強会などを多数主宰している。著書に「2011年まで待ちなさい!」「アブストラクト化する世界経済」「世界のマネーは東へ動き出した!」(フォレスト出版)などベストセラー続出。最新刊「3.11後、日本人はどう生きるべきか?」(フォレスト出版)好評発売中。


 
   
    

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