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投資信託事情編集長島田知保氏に聞く「ETFの上手な活用法」 東証ETF

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東証ETF・ETN活用プロジェクト [ ETFがわかれば世界がわかる 著名人にインタビュー ]

【第26回】

投資信託事情編集長島田知保氏に聞く

「ETFの上手な活用法」

東証上場から10年を迎えたETF。今では大証、名証にも上場され、その本数は全部で120本(2011年11月7日現在)になりました。その種類も国内の株価指数だけでなく、海外の株価指数、あるいはコモディティ価格など幅広く、ETFだけで非常に幅広い分散投資も可能です。今回は、投資信託事情編集長の島田知保氏に、ETFの上手な活用法を伺いました。
ETFが登場して10年が経過しました。この間、ETFは個人にとって、どのようなメリットをもたらしましたか?
島田氏
島田氏 投資信託事情編集長
島田知保氏
今ひとつ、テイクオフとは言えない状況が続いていますが、個人にとっても、非常に優れた投資ツールに育ってきたと思います。信託報酬や売買手数料などのコストが割安で、かつさまざまな投資対象も揃っており、ポートフォリオを組むには便利な商品です。特に資金量の大きな人が、投資信託でポートフォリオを構築する場合などには、使い勝手が良いのではないでしょうか。
特にこのところ増えているのが、金などのコモディティに投資するタイプです。
コモディティといえば、これまで先物取引を用いるのが一般的でしたが、やはり先物取引となると、個人にはハードルが高いのは事実です。レバレッジをかける投資はハイリスクですし、限月といって、最終決済日が決められているので、それまでに損益を確定させなければなりません。
でも、ETFなら長期保有が可能ですし、現物で取引すれば、先物取引のように高いレバレッジを強いられることもありません。コモディティを加えることによって、ポートフォリオのリスク・リターン特性は大幅に選択肢が増えますから、先物取引以外の方法でコモディティに投資できるというのは、個人にとって大きなメリットになります。その点を考えても、ETFが多様化した意味は大きいと思います。
ETFといえばインデックス型が中心です。長期的な資産形成を考えた場合、やはりインデックス型は有利ですか?
島田氏
今、この点については2つの見方に分かれています。ひとつは従来のように、インデックス運用は長期的に見て、アクティブ運用を上回るパフォーマンスが得られるという見方。もうひとつは、従来のインデックス運用が、本当に長期投資で機能するのかどうかという、疑問を抱いた見方です。
仮にインデックス運用が長期的に優秀なパフォーマンスを実現できるのだとしたら、日本株のインデックス運用はどうなんだということになります。ご存じのように、日本株はこの20年、大きく株価を下げてきました。20年といえば、十分、長期投資の範囲に含まれます。つまり、経済成長がピークをつけた国の株式市場にインデックス運用で臨んでも、絶対値で見た場合、なかなか良いパフォーマンスが得られないというケースが考えられるのです。
日経平均(1982年~2011年)
日経平均(1982年~2011年)
出所:QUICK ActiveManager
したがって、これからはインデックス運用の在り方も、大きく変わってくるのではないでしょうか。たとえば、インデックス運用に何か新しい価値観を付加することによって、従来のインデックス運用に対してプラス・アルファのリターンが得られるような、新しいインデックスが登場し、それに連動することを目指したETFが登場してくるのではないかと思うのです。
ただ、そうなった時、アクティブ運用との違いはどうなるのかという議論も出てくるでしょう。インデックス運用の将来像を考えた場合、インデックス運用とアクティブ運用の間にある垣根は、大幅に低下してくるのではないでしょうか。そして、それとともに新しいインデックスが登場することによって、インデックスの多様化が今以上に加速すると考えています。
今、注目されているETFは何ですか?
島田氏
やはり今年3月11日以降は金ETFに対する関心が高っています。ETFというと、どちらかといえば機関投資家のマーケットというイメージが強いのですが、金ETFに関していえば、個人の注目度が高いですね。
金ETFには、金価格に連動する仕組み債を組み入れたノート型と、金の現物そのものを組み入れた現物保管型があるのですが、信用リスクの有無という点から、現物保管型に注目する個人が多いようです。
ただ、非常に詳しく調べていらっしゃる方もいて、なかには現物保管型といっても、日本で保管している限り、地震や津波で金の現物が流されてしまうのではないかという心配をしている方もいらっしゃるくらいです。
このところ、金価格は乱高下を繰り返していますが、将来、インフレリスクが高まるということになれば、再び金に対する関心も高まってくると思われます。資産保全という意味合いもあって、個人の金に対する関心が高まっており、それが金ETFの人気につながっているのでしょう。
具体的に、ETFを用いてポートフォリオを構築する場合、どのような組み合わせが考えられますか?
島田氏
島田氏
一言で「ポートフォリオ」といっても、各人のライフスタイル、ライフサイクル投資目的などによって、いくつものパターンが考えられますから、万人に共通する何かこれひとつというものはありえません。
ただ、あえていうならば、MSCI-KOKUSAIのような、世界の先進国に分散投資するインデックスと、MSCIエマージングのような、世界の新興国に分散投資するインデックスを組み合わせ、それを外国株式のコアとして保有するというのが良いと思います。
そのうえで、年齢層の若い人たちであれば、債券よりも株式、国内よりも海外の組入比率を高めにしてポートフォリオを構築することをお勧めします。
また、長期投資といいますが、ずっと保有し続けるのではなく、ある程度値上がりしたら、その時点で小まめに益出しをしていった方が良いでしょう。あまり欲張らずに、目標収益率に達したら、その時点で売却して利益を固めていく。そうすることによって、きちっと利益を積み重ねていくことで急激な下落リスクを抑えることが、将来、自分の資産を大きく増やしていくうえで、重要なことだと思います。
ETFはどちらかというと機関投資家向けというイメージが強いと思うのですが、将来、もっと個人投資家の関心を高めていくためには、何が必要ですか?
島田氏
確かに、個人の資産形成に利用する場合、いささか使い勝手が悪い面もあります。たとえば分配金が自動再投資できないという点は、複利的な殖やし方をしていくうえで、大きなネックになります。この点は、やはりETFを組成している投資信託会社、ETFを販売している証券会社に、是非とも検討していただきたい点です。
また、東京証券取引所には現在、103本のETFが上場されていますが、その中身を見ると、ポートフォリオのコア部分に用いることができるETFよりも、どちらかというとサテライト的な使い方に適したものが多いように思えます。海外市場に上場されているETFを見ると、たとえばバリュー型ETFやグロース型ETFのように、もっとコアポートフォリオの運用に用いることができるタイプのETFがたくさん上場されています。この点は、もっと日本の投資信託会社、証券会社も見習った方が良いでしょう。
あとは流動性の低さをどう改善していくかということです。流動性が低いと、どうしても価格形成に対する不信感が高まり、それが投資家離れにつながってしまいます。
では、どうやって流動性を高めれば良いのかということですが、ひとつは、やはり個人投資家の参入を、もっと促進させる必要があります。この点については、個人のETFに対する認知度を高めるよう、ETFの売買窓口となる証券会社が、ETFの普及活動をしっかり行うべきだと思います。
そしてもうひとつは、米国など海外の証券市場に上場されているETFで、流動性の高い銘柄を日本の証券取引所にも上場できるような、環境整備が必要です。流動性が高いということは、それだけ投資家の関心が高く、かつ価格形成がしっかりしていることを意味します。これが実現したら、もっと多くの個人から関心を集めることができますし、結果的に市場の流動性を高めることにもつながるはずです。
経済が安定期に入った国の株式市場に連動するETFは、果たしてパフォーマンスが期待できるのか疑問という声が出ているとおっしゃいましたが、そうであれば、新興国の株式市場に連動するETFだけをポートフォリオに組み入れれば良いのでは?
島田氏
これが難しいところなのですが、私自身は、先進国の株式市場に連動するETFも、ポートフォリオに組み入れる必要があると考えています。
というのも、新興国の株式市場に連動するETFだけでポートフォリオを構築すると、ボラティリティが高くなりすぎるきらいがあるからです。
もちろん、それでも大丈夫という方であれば、新興国の株式市場のみで株式部分のポートフォリオを構築するという手もありますが、やはり先進国株式市場に連動するETFとの組み合わせをバランス良く整えた方が、リスク・リターンのレベルから考えても望ましいと思います。当面世界経済を動かしてゆくのは先進国ですから。
最後に、ETFで資産形成を図ろうと考えている個人に対するメッセージをお願いします。
島田氏
島田氏
効率的に資産を運用するにはどうすれば良いのかということを、個人が自分自身で勉強し、考え、判断を下す努力をしてゆくことが大切だと思います。
それに加えて、やはり大事なのは、金融資産のみでポートフォリオを考えるのではなく、人的資産も含めて将来のリターンを決め、両者のバランスを取ることです。人的資産とは、たとえば自営業を営んでいらっしゃる方のように、仕事の面でのボラティリティが高い方は、金融資産について、リスク資産よりも安定資産の比率を高めるといった工夫が必要になるといった考え方です。その意味では、前述したように先進国の株式市場と、新興国の株式市場を組み合わせるだけでなく、状況に応じては、債券やキャッシュなど安定資産との組み合わせを考えるべきでしょう。
ETFというと、株価インデックスやコモディティ価格といった、価格変動リスクの高いマーケットに連動するファンドというイメージが強いと思いますが、数ある東証上場ETFのなかには、債券のインデックスに連動するタイプのファンドもあります。この手のファンドも組み合わせて、安定成長を目指せるようなポートフォリオを構築する必要があります。
冒頭でも簡単に触れましたが、インデックス運用とアクティブ運用のいずれが良いのかという点について、もう少し考えると、やはりアクティブ運用は、インデックス運用に比べて相対的にコストが割高です。そのコストが無駄だと思えば、素直にインデックス運用のファンドを購入するべきでしょう。その点において、ETFは非常に優れた商品性を発揮します。
掲載日:2011年月12月02日
島田知保(しまだ・ちほ)氏プロフィール
島田知保氏 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン株式会社にて、月刊「投資信託事情」の発行人・編集長。またインターネットでも、投資信託の情報ポータルサイトである「投信まとなび」を運営。投資信託に関連する情報提供を行っている。
「投信まとなび」サイト http://www.matonavi.jp/


 
   
    

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