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エイチスクエア代表佐藤隆司氏に聞く「コモディティ市場の今後」 東証ETF

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東証ETF・ETN活用プロジェクト [ ETFがわかれば世界がわかる 著名人にインタビュー ]

【第31回】

エイチスクエア代表佐藤隆司氏に聞く

「コモディティ市場の今後」

2011年のコモディティ市場は、前半と後半とで、相場が大きく異なる展開になりました。具体的には前半高、後半安の展開だったわけですが、このように流れが大きく変わった背景にあったものは何だったのでしょうか。2011年のコモディティ市場の流れを総括するとともに、2012年の注目点について、エイチスクエア代表の佐藤隆司氏に伺いました。
2011年のコモディティ市場は、どのような特徴がありましたか?
佐藤氏
佐藤氏 エイチスクエア代表
佐藤隆司氏
ひとことで言えば、「前半高、後半安」の展開となりました。前半は、コモディティ市場全般が強い動きとなりました。
背景にあったのは、北アフリカで民主化運動が広まり、政治的な緊張状態に陥ったこと、米国の超金融緩和によって過剰流動性が生じ、コモディティ市場に資金が流入したことなどが挙げられます。その結果、金や原油、穀物などが高騰しました。また、この時点ではユーロ債務危機についても比較的楽観視されており、コモディティ高によるインフレ懸念を受けて、ユーロ圏では4月と7月の二度にわたって、利上げが行われました。
しかし、こうした動きも7月までで、それ以降はコモディティ市場全般が崩れ始めました。常に過剰流動性は供給されていたのですが、7月をはさんで、2011年の前半と後半とでは、大きく状況が変わったのです。
具体的に言うと、前半は過剰流動性に対してポジティブに反応し、投資家の買い意欲が高まったものの、後半ではキャッシュ化の動きが広まったのです。いわゆるリスクオフの動きが加速したということです。
前半と後半で、そこまで大きく展開が変わった一番の要因は何だったのでしょうか。
佐藤氏
過剰流動性によって株価が上がっていく時というのは、含み益の拡大によって、投資家のリスク許容度が上がりますから、新興国の株式市場やコモディティ市場にも資金が流れやすくなります。前半の動きは、まさにそれでした。
ところが、ユーロの債務危機が思ったよりも深刻な状態であったということが、市場参加者の共通認識になっていく過程では、当然株式が売られ、投資家のリスク許容度が低下していきます。
加えて、今回のユーロ債務危機では、欧州の金融機関が経営破たんに陥るのではないかという見方が広まりました。当然、経営が厳しいということになれば、欧州の金融機関は資金繰りを付けるため、海外に投資している資金の回収に動きだします。
特に欧州の金融機関は、ブラジルをはじめとするBRICs諸国に多額の投融資を行っていましたから、それらの資金が引き揚げられるということになれば新興国の株価は急落しますし、それにつられてコモディティ市場からも資金が流出することになります。まさにキャッシュ化の動きが加速したため、コモディティの価格も急落する形になりました。
それともうひとつ、年半ばの急落はテクニカル的な要素も強かったことも理由のひとつとして挙げておきます。具体的には、先物市場の証拠金引き上げです。過剰流動性がコモディティ市場に流れ込み、コモディティ価格が高騰し、インフレを引き起こしかねない状況になりました。そこで米国はマーケットを冷やすため、先物取引の証拠金を引き上げる規制を行ったのです。これが思ったよりも強いインパクトになり、コモディティ価格の暴落を招いてしまったという側面もあります。
恐らく今後も、過剰流動性が解消されない限りコモディティ価格の高騰といったミニバブルが生じる可能性がありますが、その度に規制が入って相場が崩れるということを繰り返していると、やがてマーケットそのものがシュリンクしてしまう恐れがあります。基本的にマーケットには価格の自動調整機能があるのですから、規制によって冷やすのではなく、自然のままにしておくのが理に適っているのではないかと思います。
2011年の前半にかけて高値更新を続けていた金市場の現状は、どうなのでしょうか。
佐藤氏
金に関しては、そのもの自体に価値があるという点で株式や債券など他の資産とは異なる性質を持っています。つまり、欧州などのように、国境線を巡って戦争が繰り返されてきたようなところでは、金そのものに価値があるという特性が、非常にありがたがられます。
お金などのペーパー資産の場合、それを発行している国、企業などが破綻すれば、単なる紙切れになる恐れがありますが、金はそれ自体に価値があるため、たとえば戦乱の地を逃れて他の国に移り住んだ時も、簡単に現金化できます。こうした特性があるので、金は他の資産よりも重宝がられるのです。
こうした基本特性に加えて、1990年代を通じて金の売り手だった中央銀行が、保有金の売却を止めたことで、金市場の需給バランスは徐々に改善へと向かいました。しかも金ETFが登場したことによって、ETFが新たな金の買い手として浮上し、中央銀行のなかでもブラジル、ウクライナ、ロシアなどは積極的に金を購入しています。現状、金の売り手というのは、金を精錬している企業くらいのものでしょう。
そのため、金市場の需給バランスはますますタイトになっています。恐らく、こうした需給バランスを反映して、金価格は当面、高値を伺う展開になると思います。高値のメドですが、1980年に金価格が1トロイオンス=850ドルという高値を付けました。そこから現在のまでのインフレ率で計算すると、1トロイオンス=2200ドルという数字が算出されます。多少のブレがあるということを考慮しても、恐らく2400ドル近辺までの高値は狙えるのではないでしょうか。
今後のコモディティ市場を見るうえでの注目材料は?
佐藤氏
まず米国の大統領選挙です。オバマ大統領は再選を目指して、さまざまな形で景気対策、株価対策を打ち出してくるでしょう。株価が上昇すると、先物取引の担保として預けてある株式の価値が上がりますから、その分、信用枠が拡大して先物取引の買い余地が高まります。つまり、コモディティ市場に資金が流入しやすくなります。コモディティ市場は、株式市場などに比べると市場規模自体が小さいので、ほんのわずかでも資金流入が生じれば価格が上がり易くなります。
第二に本国投資法です。2004年に米国で成立した法律で、米国の多国籍企業が海外に留保している利益や配当金を本国に送金する際、通常だと35%の税金がかかっていたところを、5.25%に引き下げるというもので、これによって米国本国への資金流入を促す狙いがありました。同法は2005年のみ適用された時限立法だったのですが、これが復活する可能性があります。これが再び適用されれば米国に資金が還流し米国国内の投資が促進されますから、ドル高、米国株高、そしてコモディティ高になる可能性があります。
第三はユーロ債務危機の行方ですが、これは何も今に始まった話ではなく、2~3年前からずっと続いていた問題でした。2011年後半にかけて一段と深刻化しましたが、今は若干食傷気味になっている気配があります。市場参加者の間に飽きが来れば、多少、マーケットの混乱が落ち着くこともあるかも知れません。
ただしユーロ債務危機については、早期に根本解決するような問題ではないということには十分注意した方が良いでしょう。どこかの段階で、加盟国の一部が離脱するというケースもあるかも知れません。そのような状態になれば、ユーロが売り込まれて世界的に株価が下落し、コモディティ市場にとって再びネガティブ要因になることも想定されます。
基本的に大統領選挙と本国投資法の復活は、コモディティ市場にとってポジティブ要因ですが、ユーロ債務危機の問題については当面、ネガティブ材料になる恐れがあるという点に注意を払っておく必要があります。
日本のコモディティ価格は、為替レートの影響を受けますが、今後の為替レートはどう推移するのでしょうか。
佐藤氏
佐藤氏
今のドル/円については、多くの方が介入期待でドルを買っている状況にあります。
ただ日銀の介入を海外がどう見ているのかというと、今、最も優先されるべき点はユーロであって、円は全くもって優先事項からはずされています。したがって、日銀介入について海外からの理解が得られないという状況になったら、今のドル買いポジションが売り崩され、1ドル=75円も割り込み72円台に向けて動くことも考えられます。
そして、そこからは徐々に戻ってくるでしょう。何しろ、日本の財政赤字は非常に厳しい状況にありますから、そこに市場関係者が注目すれば、ドルが戻ってくるでしょう。2012年の後半にかけては、ドル高基調になると見ています。
ただし、ドルが対円で戻ったとしても1ドル=85円あたりがせいぜいでしょう。企業が保有しているドルを売り切れていませんし、介入でドルを押し上げるのも難しい。経常収支が赤字に転落するには、あと2~3年はかかるということを考えると、2012年中にドルが大きく上昇する余地は小さいと見るのが妥当だと思います。2012年前半は円高、後半はドル高ということになりますが、振れ幅は小さいでしょう。
ちなみに、国内金価格は為替レートの影響を受けますが、基本的に2012年のドル/円が大きく動かないということを前提に考えると、投資する際には海外の金価格を見ておけば十分だと思います。
掲載日:2012年月02月06日
佐藤 隆司(さとう りゅうじ)氏プロフィール
日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト
佐藤氏 1993年5月 米国 Holy Names University 卒業
1995年2月 株式会社ゼネックス(現株式会社オーバルネクスト)入社 アナリストとして原油、天然ゴムなどを経て、為替を担当。
2010年1月 エイチスクエア株式会社 設立


 
   
    

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