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FP浅井秀一氏に聞く「時間分散を重視しよう」 東証ETF

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東証ETF・ETN活用プロジェクト [ ETFがわかれば世界がわかる 著名人にインタビュー ]

【第36回】

FP浅井秀一氏に聞く

「時間分散を重視しよう」

一般に、ETFをはじめとする価格変動商品で運用する場合、さまざまな資産クラスに分散する資産クラス別分散投資が有効と言われます。ただ、本当の意味で分散投資を考えた場合、それだけではやや物足りません。分散投資で大事なことは、資産クラスを分けるだけでなく、時間も分散させること。ETFの投資で時間分散がどれだけ有効なものなのかを、FPの浅井秀一氏に伺いました。
実際に手元資金の運用を考えた時、どういう資産クラスに分散すればよいのか、あるいは他に注意点があるのかといった点から伺いたいと思います。
浅井氏
浅井氏 有限会社 ストックアンドフロー
代表取締役 浅井秀一氏
たとえば退職金運用を例に挙げて考えてみましょう。定年を迎えて、一度に2,000万円といった退職金を受け取られる方もいらっしゃると思います。これまで手にしたこともないような大金を前にして、どういう運用をすればよいのか、途方に暮れてしまう方もいらっしゃるでしょう。銀行預金にそのまま預けっぱなしにしておいても、この超低金利下では、ほとんど利息が付きません。それでは、運用していないのと同じです。
そのため銀行預金以外のもので運用することも考えていく必要があるのですが、預貯金のような確定利付き商品だけではダメということになると、残されたものは株式や投資信託、あるいは金などのコモディティといった、いずれも価格変動を伴う投資商品ばかりです。
この種の価格変動商品で運用する場合、まずポイントになるのは、いかに価格変動リスクを軽減させるか、ということです。そのために有効な手段として、さまざまな資産クラスに分散させる資産クラス分散という考え方があります。
ただ、それとともに忘れてはならないのが、時間を分散させることです。つまり、購入するタイミングをずらして買い付けるのです。
具体的に、どのような効果がありますか?
浅井氏
たとえば2,000万円の退職金のうち1,000万円を、リスク商品に投資すると決めたとしましょう。仮に、東証株価指数が1000ポイントの時に1,000万円を投資し、その後、700ポイントまで値下がりしたら、この時点で1,000万円が700万円まで目減りしてしまいます。でも、1,000ポイントのときに500万円分(5000口)を購入し、800ポイントまで値下がりしたところで500万円分(6250口)を購入していたらどうでしょうか。700ポイントまで値下がりした時点での評価額は787万5000円(700ポイント×11,250口)ですから、1000ポイントで一気に購入した場合と比べ、評価額は87万5,000円分高くなります。それだけ、評価損を少なく抑えられたことになるのです。ただ、ETFの場合だと、定額購入がやりにくいという問題があります。
時間分散を行う場合、定額購入といって、たとえば毎月1万円で買えるだけの口数を買っていくという方法が一般的です。そうすれば、価格が高いときは買付口数が少なくなる一方で、価格が安いときには、買付口数がより多くなるので、定額購入を重ねていくうちに、平均の買付単価が安くなります。
これが、いわゆるドルコスト平均法と呼ばれる効果なのですが、ここでのポイントは、定額購入もさることながら、やはり時間をずらして購入するということに尽きます。つまり、定額購入ではなく定量購入でも、価格変動リスクを軽減させる効果を得ることは可能なのです。
具体例を挙げてみましょう。TOPIXを投資対象として、月額1万円の定額購入をした場合と、月10口ずつ定量購入した場合との比較です。期間は、サブプライムショックが起こった直前の2007年7月から、2012年5月までの59カ月間です。ちなみに2007年7月末時点のTOPIXは1706.18ポイント。2012年5月末時点のTOPIXは719.49ポイントですから、この59カ月の間に57.83%もマイナスになりました。
これに対して月額1万円で定額購入した場合、買付口数が合計628.95口ですから、実際に投資している金額は59カ月間で59万円。時価評価額は45万2,520円になります。したがって、23.3%のマイナスですから、一括購入した場合に比べると、かなり値下がりリスクが抑えられていることが分かります。
次に、毎月10口ずつ定量購入した場合を見てみましょう。ETFで積立をする場合は、この定量購入がメインになりますが、59カ月間、10口ずつ購入した場合の購入口数は、累計で590口です。この場合だと、毎月の価格が変動しているため、月々の買付総額が変わっていきますから、積立総額は58万5,651円程度になります。そして、これに対する時価総額は42万4,499円なので、27.52%のマイナスです。確かに、定額購入に比べると、ややマイナス幅が大きくなりますが、それでも一括購入した場合に比べれば、はるかに価格変動リスクが軽減されています。
ここから言えることは、ETFで定額購入する方法が少ないからといって、諦める必要はないということです。定量購入でも十分に時間分散効果は得られるのです。
定量購入を行った場合の試算例
※2007年7月~2012年5月にかけて、毎月の月末に10口ずつ、 TOPIX連動のETFを買い付けた場合

各種データよりストックアンドフロー作成


定量購入開始後の価格推移による比較
※毎月10口ずつ、積立で購入(合計口数=50口)

ストックアンドフロー作成
退職金など一度にまとまったお金が入ったとしても、投資する際は幾度かに分けて投資していったほうがよいということですね。
浅井氏
そうです。退職金のようなまとまったお金が入ると、つい一度にまとめて投資してしまうという方がいらっしゃいますが、ポートフォリオは時間をかけて組んでいくものです。庭造りと同じように考えて、じっくり自分の手で作っていきましょう。
よく、投資を始めるタイミングを気にされる方もいらっしゃいます。今から始めた方がよいのか、それとももう少し待って価格が安くなったときにスタートすればよいのか。でも、待っていてさらに上がってしまったら、絶好のタイミングを逃してしまう。このように、いろいろ考えているうちに結局、何もしなかったというケースも多いのですが、基本的にマーケットは常に上下を繰り返すものですし、その意味ではあまり「始めるタイミング」を気にする必要はありません。
大切なのは、積立投資開始後にいったん利益を確定させる、つまり売却する時期です。そして、とにかく高値を掴まないようにすることでしょう。そのためには、定額購入でも定量購入でもよいので、時間分散をしながら、時間をかけて投資することが重要です。60歳で定年を迎え、その後は継続雇用で働き、65歳からリタイアメント生活を送る、という予定であれば、それまでの間、5年くらいをかけてポートフォリオを作っていくというイメージでよいと思います。仮に、1,000万円を投資するのであれば、5年間で60回、積み立てられますから、1回あたり16万円程度の資金でETFなどを買うことができます。
それと、これはもう少し若い人へのアドバイスですが、最近、リレー投資といってETF以外のインデックスファンドで積み立てていき、ある程度、まとまった資金ができたところでETFに切り替えるという方法が推奨されているようです。
確かに、定額でETFを買う方法は一部の「るいとう」を除いて難しいため、一定期間、定額購入ができるインデックスファンドに投資し、ある程度まとまった資金が出来たところでETFに切り替えるという方法は理に叶っています。しかし、定額購入をしているインデックスファンドに利益が生じていた場合は、解約してETFに乗り換える際に税金がかかってきますし、なによりインデックスファンドで保有している期間が長いと、ETFと比べて割高な信託報酬を長く負担することになります。かなりこまめに対応できるならよいのですが、そうでない場合は、定量購入でETFを継続的に購入するという方法も、見直されてよいのではと思います。
ETFの商品性もだいぶ多様化してきました。ポートフォリオを組んでいくうえで、これは入れておいたほうがよいと思われるものは何でしょうか。
浅井氏
浅井氏
いくつかありますが、たとえば日本株式のポートフォリオを持っているのであれば、インバース型やVIX指数連動型などは、リスクヘッジという面で役に立つと思います。インバース型というのは、ブル・ベア型ファンドのベア型と同じです。つまり、株価が下落すると、逆に市場での取引価格が上昇するというものです。
またVIX指数というのは、米国のシカゴ・オプション取引所が算出している指数で、マーケットの先行き不透明感が高まると、価格が上昇します。
いずれも、株価が下落しそうだというときに投資します。実際に株価が下落すれば、両ファンドの取引価格は上昇するので、リスクヘッジにつながります。
ただし、これらは長期で保有してよいものではありません。あくまでも、目先の株価下落リスクをヘッジする目的で使うべきでしょう。したがって、下がりそうだと思われるときに買い、ある程度の値幅を取ったら売却して利益を確定させるという使い方が望ましいと思います。
あとは金ETFですね。もちろん、金価格は天井圏に近いとも思われますし、今後、価格がどうなるのかを予測するのが非常に難しい状況にありますが、キャピタルゲインを狙うというよりも資産全体のリスクヘッジ、資産保全という目的で金ETFを組み入れるのは、資産運用において有効だと考えています。要は、究極のリスクに備えるために投資するのです。
海外の株価指数に連動するETFに分散させる必要はありますか?
浅井氏
確かに、さまざまな資産に分散させたほうが、分散投資効果が得やすいという面はありますが、海外の株価指数に連動するタイプのETFは、全体的に出来高が小さく、機動的な売買には向かないようです。中長期で投資するという考え方もありますが、現状では、株価インデックスとの連動性があまりよくない銘柄もあります。ある程度、出来高が増えてきて、原資産との連動性が高まるのを待ってから、投資するかどうかを検討してもよいでしょう。
あと、海外の指数というと、MSCIコクサイなどのように、さまざまな国に分散投資したのと同じ効果が得られるというインデックスに連動するETFもありますが、基本的にポートフォリオというのは、自分で考えて組むものです。お任せで投資するのではなく、自分の資産を見て、本当に必要と思われる資産クラスに投資するETFを選び、それぞれの投資比率も考えたうえで組入れていくくらいの姿勢で臨むことが大切だと考えます。
掲載日:2012年月06月18日
浅井秀一(あさい しゅういち)氏プロフィール
有限会社 ストックアンドフロー 代表取締役
ファイナンシャル・プランナー(1級FP技能士、CFP)
浅井氏 昭和39年、愛知県生まれ。福井県高浜町育ち。
早稲田大学在学中の昭和61年に、相続と法人(同族会社)の清算を体験。独力で申告・清算事務を成し遂げる。その後ファイナンシャル・プランニング(FP)に興味を持ち、昭和63年に学生では初の日本FP協会の会員となる。
卒業後、独立系FP会社に勤務した後、現在は、ストックアンドフロー代表取締役として、おもに個人に対するファイナンシャル・プランの作成に従事する傍ら、雑誌・新聞等への原稿 の執筆や、講演会などをこなしている。



 
   
    

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