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FP神戸孝氏に聞く「運用に回せるお金を分けて考えよう」 東証ETF

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東証ETF・ETN活用プロジェクト [ ETFがわかれば世界がわかる 著名人にインタビュー ]

【第39回】

FP神戸孝氏に聞く

「運用に回せるお金を分けて考えよう」

今持っているお金のなかで、どこまでを投資に回せば良いのか。恐らく、多くの方が、ここで誤解をし、あるいは悩んでいると思います。今回はファイナンシャルプランナーで、FPアソシエイツ&コンサルティング代表を務める神戸孝氏に、投資をするうえでの注意点、ポートフォリオの考え方、ETFの活用方法などについて伺いました。
まず、ETFのメリットはどこにあるのでしょうか。
神戸氏
神戸氏 FPアソシエイツ&コンサルティング
代表取締役 神戸孝氏
メリットは2つあります。ひとつは売り買いしやすいという点。特に短期トレードを行いたい方にとってのメリットと言えるでしょう。マーケットに上場されていますから、株式と同じ感覚で売買できます。
2点目は保有コストが低いこと。こちらは、特に長期保有を考えている方にとってのメリットと言えるでしょう。通常、株式投資信託だと年間1.5%程度取られる信託報酬が、ETFだと0.2%程度で済みます。信託報酬のように、定率でかかってくるコストは、長期で保有するほど、コスト負担が重くなってきますので、ETFのように保有コストが低い商品は、長期保有にも打ってつけということになります。
また、最近はETFの商品性も多様化が進み、レバレッジ型やインバース型も登場してきました。特にインバース型のように、インデックスとは逆の値動きをするETFは、リスクヘッジ目的で購入すると効果的です。現物やETFの信用売りを行えば、株価の下落局面にも対応できますが、信用売りを行うのにはかなりの勇気が必要でしょう。でも、インバース型のETFなら、買うだけで株価の下落局面に対応できますから、投資初心者を卒業すれば、おそらく多くの方が手軽なリスクヘッジ手段として、このETFを活用できるようになるはずです。
その意味では、投資初心者から中上級者まで、非常に多様な投資家ニーズに対応できる商品と言えるでしょう。
実際にETFをポートフォリオに組み入れて運用しようと考えた場合、ETFに回すお金はどのくらいが理想なのでしょうか。
神戸氏
年齢が若い時期でかつ夫婦共働きの子供なし家庭、あるいは独身というのは、かなり高いリスクを取って運用しても大丈夫だが、逆に高齢者になるほどリスクが取れなくなるなどとよく言われますが、結局のところ、本人のリスク選好度によって、どこまでリスク商品での運用に回すかというのは異なってくるというのが実情でしょう。
FPの立場でお話ししますと、まずはキャッシュフロー表を作成して、そこから長期的な運用資金をどの程度捻出できるのかを確認することが大事です。具体的に個人の保有するお金には3つの異なるタイプの資金があると考えてください。
第一は生活資金です。日常生活を送るために必要な食費、住居費、光熱費など、いわば暮らしていくための必要経費のようなものですが、このお金は投資を考えてはいけません。基本的には流動性重視でいつでも元本割れを起こさずに換金できるというのが、大事なポイントになります。金額的には、半年間程度生活できるくらいの金額をこれに充て、運用は今の金利水準ならば普通預金などで十分と考えましょう。
第二はゆとり資金。これは、そう遠くない将来に使う可能性のあるお金です。具体的には自動車を買う、住宅を買うための頭金にする。あるいは自分の老後の生活に使うといった性格のお金です。この手のお金は、流動性以上に安全性を重視して運用先を選ぶ必要があります。定期預金や円建ての債券、あるいは老後資金ならば年金的に元本部分を取り崩していける、リスクが低めの分配型ファンドなどが、運用に適しています。
そして最後に残す資金。具体的には、生活資金とゆとり資金を除いて残ったお金であり、この部分を投資に回します。その場合は、ポートフォリオによる長期運用を心がけ、リスクを分散するのが基本です。
投資をする場合、「今ならどの商品で運用すれば有利なの?」という質問をよくされるのですが、その前にまずは前述したようなお金の分類をしっかり行うことが大切です。
なお、残す資金の運用については、本人がどのくらいのリターンを望んでいるかによって、取る必要のあるリスクも変わってきます。
極力、元本が減らないようなポートフォリオを望んでいるのであれば、目標収益率はせいぜい2~3%程度になるでしょうし、そこそこ大きく増やしたいというのであれば、5~7%程度を狙うことになるでしょうが、当然ながら元本が減る可能性も高くなってしまいます。
具体的に、どのようなポートフォリオが考えられますか?
神戸氏
仮に、目標収益率を3~5%程度に設定した時のポートフォリオAと、より大きく増やすために目標収益率を6~8%程度に設定した時のポートフォリオBを比較してみましょう。
ポートフォリオAの場合、債券の組み入れ比率を65%とし、残りを株式、その他資産に分けます。これに対してポートフォリオBの場合は、債券の組み入れ比率を50%まで下げる一方、株式の比率が上がります。
基本的に外国株式は新興国を中心とするべきでしょう。たとえばポートフォリオBでいうと、株式35%のうち外国株式への投資が25%になっていますが、実はこのうち新興国の株式に15%を配分しています。長期の株式投資では成長性の高いものを選んで行うのが鉄則ですから、現状ではどうしても日本株への投資比率は低めにならざるを得ません。一方、新興国への投資比率が高くなるのは、当然といっても良いでしょう。
ポートフォリオA(資産保全タイプ:安定型)
ポートフォリオA(資産保全タイプ:安定型)
ポートフォリオB(資産形成タイプ:安定成長型)
ポートフォリオB(資産形成タイプ:安定成長型)
次に債券ですが、ポートフォリオになぜ債券を組み入れるのかというと、ポートフォリオ全体のクッション役を期待して大負けを防ぐためです。つまり、株式市場がダメだった時に、安定した収益をもたらしてくれる債券をある程度ポートフォリオに組み入れておくことは、長期運用にとって大変重要なのです。
ただ、ここで注意していただきたいのは同じ債券でも先進国の債券を中心に考えること。新興国の債券は、確かに表面利率が高く魅力的に映るのですが、株式市場が下げる時には、同時に暴落しがちです。つまり、ポートフォリオ全体のクッション役を果たすことができない可能性が高いのです。したがって、個人のポートフォリオ運用では、債券部分はあくまでも先進国の債券を中心に投資するべきでしょう。
REITやコモディティをポートフォリオに組み入れている理由は?
神戸氏
かつては株式と債券だけでも十分、分散投資の効果を得ることが出来ました。実際、2003年頃までは、たとえば日本株と米国債はほぼ逆の値動きをしていたのです。
ところが、2004年以降になると、状況が一変してきました。これは、レバレッジのかかったお金が、どんどん国境を越えて移動するようになった時期と一致します。レバレッジをかけていると、仮に株式市場が自分のポジションと逆サイドに大きく振れたような場合、担保割れが生じるとその担保割れを、追加資金で埋める必要が出てきます。そうなると、たとえば債券で安定運用されていたものまでが売りの対象にされてしまいます。結果、株価が下げると債券も下げるというようなことがたびたび起こるようになり、株式と債券だけの分散投資ではリスクヘッジの効果が期待しにくくなってきたのです。
REITやコモディティをポートフォリオに入れているのは、かつて債券が株式と異なる値動きをしたのと同じように、近年は両者とも株式や債券とは異なる値動きをする傾向が見られるからです。これは重要なことなので、ポートフォリオAも、ポートフォリオBも、REITとコモディティの投資比率は同じにしてあります。ちなみにコモディティにもいろいろありますが、やはりリスクヘッジの王道は金といえるので、10%の投資比率のうち半分は金に投資します。この部分を、地金ではなく、金ETFに投資してもいいでしょう。
このポートフォリオを見る限り、ETFでも十分に対応できそうです。
神戸氏
神戸氏
そうですね。細かい点についていうと、まず、あまり高い経済成長率は期待しにくい先進国の株式については、森全体を買うのではなくやはり良木をしっかり見極める必要があります。その意味では、日本株部分はTOPIXよりもたとえばTOPIXコア30のように、日本を代表する、そして世界で活躍できる企業で構成されたインデックスに連動するETFを用いた方が、より良い運用につながる可能性が高いでしょうし、逆に成長性が見込める中小型株や業種別のETFを選ぶというのも考えられます。
外国株式については、成長性という点で新興国株式が中心になりますが、これについては森全体を買うという感覚で、MSCI-KOKUSAIに新興国インデックス型があるのでこれで対応可能です。また、新興国以外という点では、もちろんMSCI-KOKUSAIのように、先進国全般に投資するものでもいいのですが、基本的に先進国の中で成長シナリオを描ける国はあまり多くはありません。現状では恐らく米国とドイツくらいではないでしょうか。したがって、先進国については、網羅的に投資するよりも米国の株式市場に絞って投資してもいいと思います。
外国債券については前述した通り。そして、国内債券については現在、ETFでの対応ができないので、当面は個人向け国債などで代用すればいいでしょう。
始めるタイミングはいつ、またこの手のポートフォリオはずっと持ち続けた方がいいのでしょうか。
神戸氏
まず始めるタイミングについては、やや乱暴な言い方かもしれませんがいつでも大丈夫です。始めたい時に始めればいい。で、購入する際にはマーケットが波乱のまっ最中などでさえなければまとめて買ってもあまり問題はありませんが、もしそれが精神的にきついというのであれば何回かに分けて買うといいでしょう。
本来、このポートフォリオは10年程度以上の長期運用を前提に組んでありますので、スタートするタイミングを計る必要はありません。
若い世代の方の中には、日常の生活資金だけで目いっぱいで、長期運用するための資金を捻出するのが困難という方もいらっしゃると思います。そのような場合は今の預貯金はそのままにしておいて、とにかく何とか月々の収入の中から、積立に回せるお金を捻出し、それを投資に回せばいいでしょう。この場合は、積立部分についてはリスクを取る商品を選ぶこと。そして、積み立てた金額がある程度まとまった額になったら、そこから少しずつポートフォリオ運用を意識して、一部はより安全な資産に切り替えていくといいでしょう。
なお、ポートフォリオの見直しについてですが、一般的にはリバランスは年に1度行えば十分でしょう。あまり頻繁に行うと、その売買で発生するコストで、リターンが下がってしまいます。相場が急変した場合などにリバランスするべきケースもありますが、それ以外の通常時には、年に1度のリバランスで十分といえるでしょう。
掲載日:2012年月08月07日
神戸 孝(かんべ たかし)氏プロフィール
神戸氏 FPアソシエイツ&コンサルティング代表取締役
早稲田大学法学部卒業。三菱銀行、日興證券を経て、99年FPアソシエイツ&コンサルティングを設立。日興證券勤務時代を併せるとFP歴は約25年、資産運用に強いFPの第一人者として評価が高い。日本FP協会理事、金融庁金融経済教育懇談会委員、金融庁金融審議会専門委員などを歴任する。
著書:
勝つ投資信託(2011年3月発行)朝日新聞出版、地獄を見た11人の天才投資家たち(2010年11月発行)道出版(共訳) ほか多数



 
   
    

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