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ラジオNIKKEI記者和島英樹氏に聞く「2013年の国内株式市場」 東証ETF

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東証ETF・ETN活用プロジェクト [ ETFがわかれば世界がわかる 著名人にインタビュー ]

【第44回】

ラジオNIKKEI記者和島英樹氏に聞く

「2013年の国内株式市場」

昨年12月に行われた衆院選挙は、自民党の圧勝となりました。そして安倍政権が発足。マーケットでは、デフレ脱却と景気浮揚に対する期待もあり、株価は連日の上昇。米ドルも買われ続けています。果たして、2013年の株式市場はどうなるでしょうか。ラジオNIKKEI記者の和島英樹氏に、話を伺いました。
いよいよデフレ脱却と景気浮揚を目指して安倍政権が発足しました。期待しても良いのでしょうか。
和島氏
日経ラジオ社情報制作局
マーケット情報部解説委員和島英樹氏
昨年末の日経平均株価は10,395円で終了。昨年1月4日が8,560円でしたから、21.43%の上昇でした。2013年7月に予定される参院選挙までに12,500円というのが、今の想定水準です。
そこまで上昇してから、次の展開を伺うという展開になるでしょう。これがメーンシナリオです。ただし、そのメーンシナリオ通りになるためには、年明け以降も株価の上昇が続くことが前提条件になります。
では、どうすれば株価が上昇し続けるのか。それには、安倍政権の下で実効性のある景気浮揚策が打ち出せるかどうかにかかっています。つまりデフレ脱却と景気浮揚に目処を付けなければなりません。そして、そのためには思い切った政策発動が必要です。それが行われて初めて、株価は本格的な上昇トレンドへと入っていくでしょう。
有効性のある景気浮揚策というのは、具体的にはどういうことでしょうか。
和島氏
今、申し上げたように、真っ先に思い切った金融緩和政策が必要です。
年明けの海外市場では、1ドル=87円台までドル高が進み、現在は89円台に推移しています。今後、米国や欧州が更なる金融緩和策を行ってきた時、日本の金融緩和のスタンスが中途半端なものだと、再びドル安、ユーロ安へと向かってしまう恐れがあります。もし、そうなったら元の木阿弥で、日本の景気は再び後退局面に入ってしまいます。
このため、まずは思い切った金融緩和が必要です。そのための方法としては、昨年10月30日の金融政策決定会合で導入が決定された「貸出支援制度」が注目されます。要は、あらかじめ決められた基準時点から貸出残高を増やした金融機関については、その増加額相当分に対し年0.1%という低金利で最長4年間、資金供給を行うというもので、供給額は無制限ということですが、適用対象が国内金融機関だけでなく、海外のノンバンクにも広げられると言われています。
仮に、これがうまくワークすれば、為替に対するインパクトも非常に大きなものになるでしょう。外国為替市場では、円キャリートレードが再び活発に行われる可能性も出てきます。円で資金を調達し、その調達資金を投資先の外貨に換えて投資するのが円キャリートレードですから、投資が続く限り、円には売り圧力がかかってきます。加えて、1月22日に行われた金融政策決定会合では、2014年以降、期限を定めずに、毎月一定金額の金融資産を買い入れる決定もなされました。
そうなれば、2005年にかけて起こったような、大きな上昇相場が示現する可能性が高まってきます。壮大な金融相場になるでしょう。これが現時点で考えるメーンシナリオです。
逆に、ネガティブシナリオはどういうことが考えられますか?
和島氏
安倍首相は思い切った量的金融緩和を日銀に求めており、デフレ脱却と景気浮揚を目指すとしていますが、一方でこれ以上の量的金融緩和は望ましくないという声もあります。
そういう声に引きずられて、何の決定打も出せずに時間ばかりが経過すると、景気は失速します。
現在、5%の消費税率が2014年4月から8%、2015年10月から10%に引き上げられる予定ですが、デフレ脱却、景気浮揚が実現する前に消費税が引き上げられたら、個人消費は確実に落ち込みます。消費税率の引き上げを最終的に判断するのは、今年の秋口。ちょうど参院選挙が終わった直後ということになりますが、ポイントは、その時点までにデフレ脱却と景気回復ムードがどこまで広がっているかということでしょう。
もし、景気回復ムードが広がっていなければ、消費税率引き上げの是非を巡って再び政治がこう着状態に陥る恐れがあります。政治がこう着状態に陥れば、有効な景気対策はますます先送りになり、景気はどんどん沈んでいくでしょう。
かといって、デフレ脱却と景気回復の目処がついていないのに、財政再建を優先して消費税率引き上げを強行すれば、景気はさらに落ち込みます。まさに最悪のシナリオ展開になります。
秋口に消費税率の引き上げをスムーズに決定できるようにするためには、何が何でも景気回復に目処が付いていることを、数字で証明する必要があります。それは、4~6月期のGDP統計にかかっています。この統計が発表されるのは9月ですから、そこで明確に、日本は景気後退局面から脱したことを示せるだけの経済成長率を達成しなければなりません。
したがって、4~6月期の景況感を良くするため、政府は日銀などと一丸になって、さまざまな政策を打ち出してくると思います。ここが最大のポイントです。4~6月期に景況感の改善が見られなければ、そこで日本の経済は非常に厳しい状況に立たされますし、改善の兆しが現われれば、景気回復とともに財政再建のための消費税率引き上げも可能になります。したがって、金融緩和も含めて何が何でも、政府は景気を回復させるための策を講じてくるでしょう。
金融緩和以外に、景気を回復させるための策はあるのでしょうか。
和島氏
量的金融緩和が重要なのはもちろんですが、それとともに注目しているのが「国土強靭化策」です。
震災復興へのスピード感を高めることに加えて、「国土強靭化基本法」に基づいた減災対策などが盛り込まれています。要は、社会インフラの整備にもっと資金を投入していこうというものです。
ともすれば、かつての公共投資優先政策のようにも見えますが、戦後68年が経過して、老朽化が目立つ施設が増えてきました。トンネルだけでなく、橋梁や道路もそうです。戦後、行われてきた公共事業で築かれた社会インフラが老朽化すれば、先般起こった笹子トンネルの崩落事故のように、安全な生活を脅かすことにもなりかねません。したがって、国土強靭化策で老朽化した社会インフラの再整備を行うことは、非常に重要です。量的金融緩和に、こうした政策が加われば、景気の浮揚にも加速がついてくるでしょう。
他にも、注目される政策はいくつもあります。
個人的には、バイオ関連への予算付けには注目しています。昨年、ノーべル医学生理学賞を受賞した山中伸弥氏のIPS細胞発見を機に、日本の文部科学省はIPS細胞の実用化と国際優位性を維持するため、今後8年間で300億円の予算付けを行いました。これによって再生医療研究が一段と加速して、日本の再生医療が世界に冠たる存在になる可能性があります。
あるいは、来年1月にも導入される日本版ISAも、市場活性化策のひとつとして注目されるでしょう。日本版ISAとは年投資額100万円までの株式や株式投資信託への新規投資からの配当や売却益を非課税にする「少額投資非課税制度」のことです(投資総額は500万円まで)。また適用期間は従来2014年から3年間に限定する予定を、2023年までの10年間と大幅に延ばす方向で検討されています。この制度が稼働すれば、貯蓄から投資へというお金の流れが、徐々に加速していくものと思われます。
日本版ISAなどで市場環境が改善すれば、心理的に景気を押し上げる要因になるでしょう。そして、それを支えるためにも、日銀が金融面でどこまで積極的なサポートを行えるかということが注目されます。資産買い取りを行うのか、国債買取を行うのか、はたまたツイストオペを行うのか。いろいろな方法が考えられますが、とにかく市場のコンセンサスを得るためにも、日銀は積極的な金融緩和を講じてくるはずです。
企業の景況感はどうでしょうか。
和島氏
昨年12月14日に発表された12月の日銀短観によると、企業の景況感を示す業況判断DIは、大企業製造業でマイナス12に落ち込みました。日中関係の悪化や、海外経済の減速などが背景にあると思われますが、こうした悲観ムードの裏返しということも、今年は十分に考えられます。つまり、昨年があまりにも厳しかったので、今年はそこそこ良い状態でも、大きくムードが改善する可能性があるということです。
実際、大手シンクタンクに話を聞くと、2013年度の営業利益は20%近く増加するという見通しを打ち出してきています。この勢いがそのまま2014年度も続くということになれば、企業をはじめとする民間ベースの自律的な景気回復にも期待が持てるようになります。
いずれにせよ政策期待も含めて、少なくとも今年の夏場まで、株価は上昇傾向をたどるでしょう。それ以降も株価の上昇トレンドが続くかどうかは、政策期待だけでなく、実際に景況感が回復しているかどうかにかかってきます。そのためには、前述したように4~6月期のGDPが要注目ということになります。
掲載日:2013年01月29日
和島英樹(わじま ひでき)氏プロフィール
日経ラジオ社情報制作局マーケット情報部解説委員。
日本勧業角丸証券(現みずほ証券)、株式新聞社記者を経て、ラジオNIKKEI記者に。
現在、東証記者クラブ・キャップ。




 
   
    

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