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【特別寄稿:弁護士 住田裕子氏】自身の“核”を探しつつ法律・税務・生活設計面で備えておくべきさまざまなこと - 退職・年金ナビ

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【特別寄稿】住田裕子 (弁護士/NPO法人長寿社会の安全安心な暮らしを実現する会代表理事)

自身の“核”を探しつつ
法律・税務・生活設計面で備えておくべきさまざまなこと

意思能力・判断能力の衰えを前提に

70代女性が、換気扇など83台設置して1,500万円の契約をさせられたリフォーム詐欺事件をご記憶でしょうか。また、さる評論家が晩年付き添っていた女性を養女としたところ、自宅を抵当に入れられてしまい、競売にかけられたことも。その他、弁護士なら認知症であったり、寝たきりの方の遺言が、無効ではないかとの争いをいくつか経験するものです。
猛スピードで進展する高齢化に伴う事件の数々。私自身が還暦を前にして人生の収穫期を心豊かにすごすためにも、これらを自分の課題として取り組もうと、医師・FPとともに、NPO法人「長寿安心会」を立ち上げました。そして知ったこと。・・・平均寿命が延び、100歳以上が増えたと言っても、そのほとんどの方々がいわゆる「寝たきり」であること。また、高齢者の約1割が認知症であり、年齢を重ねるに従い、その可能性が高まっていくこと。認知症の人はバカにされたくないというプライドから、理解できたふりをする「取り繕い反応」により、相手に対して迎合的態度になりがちであることなど。・・・先ほどの事件は、いずれもこのような加齢に伴う意思能力・判断能力の衰えが底流にあります。手をこまねいていると同様の事件が増え続けていくでしょう。
認知症の人は年々増加しており、2010年を基準にすると、25年後の2035年には約445万人と1.8倍に増えることが予想されています。
【認知症の人の数と将来の予想】
【認知症の人の数と将来の予想】
出典:栗田主一ほか:平成19年度厚生労働科学研究費補助金研究分担報告書. 2008. P135-156

高齢になるにしたがって認知症の人の割合は増加していきます

年齢別に認知症の人の割合をみると、65~69歳では1.5%ですが、年齢が5歳上がるごとに約2倍になっていることがわかります。85歳以上では約4人に1人が認知症であるとされています。
認知症介護研究・研修東京センターが2011年に自治体に対して行った調査によれば、高齢者に占める認知症の人の割合は、平均で9.1%に及び、11人に1人に相当しています。
認知症の高齢者の数は、全国でおよそ270万人。これまでの国の推計の1.3倍に上がります。
【年齢別にみた認知症の人の割合】
【年齢別にみた認知症の人の割合】
出典:栗田主一ほか:平成19年度厚生労働科学研究費補助金研究分担報告書. 2008. P135-156

収穫期を前に準備すべきこと

人生の収穫期を心豊かにすごすには、できるだけ心身ともに元気な「健康寿命」を延ばすための生活習慣を身につけることが第一。そして、高齢になることを想定して身の丈にあった生活に変革することもお勧めです。実は、私自身、二人の子供が独立したこの機会に、ダウンサイジングの一環として3階建ての自宅から2DKの賃貸住宅に転居したばかりです。自宅売却の決断もして。これは外貨などに分散して投資します。この自宅売却話を伝えたら、知人がため息をつきました。先祖伝来の土地を相続して多額の相続税を納めたばかり、評価額だけ高くても売るに売れない、相続貧乏なのだそうです。
そうならないためにも相続によって愛する家族が途方にくれないよう、元気なうちに、資産の棚卸しをして適切な処理をしておくことが必須ではないでしょうか。突然親の借金の取り立てがきたとか、逆に、かなり金を貸しているそうだが、わけがわからない、などの事例も枚挙にいとまがありません。相続対策は事前に時間をかけて家族と相談しながら進めましょう。

自分の核をみつめる「自己決定リスト」の作成

もう一つ、健康なときに、決めておきたい「自己決定リスト」作成のお勧めです。「エンディングノート」「ウィッシュリスト」と言われるものです。これは、遺言と違って直接的な法的拘束力はありません。形式も自由です。しかし、実際の調停などの場では、遺言があれば、その補完資料となりますし、遺言がない場合は重要な指針となり得るものです。また、遺言では、法定された相続分の指定などの財産行為と、子供への認知などの身分行為のみが有効で、それ以外のものは遺言としての効力はありません。そこで、「自己決定リスト」でぜひ記載しておくことが望まれるのは、医療関係の意思です。多用されている胃瘻手術を望むのか、瀬戸際のときにどの程度までの医療措置を求めるのか、延命治療はどうするのか・・・。
いざとなったら、家族の思いも千々に乱れ、意見もまとまらないものです。そうなると、医師も困ります。そのために、ご自分の意思を明確に記しておきましょう。私自身は、余計な医療は、一切お断りの立場ですが、皆様はどのようにお考えでしょう? 献体や臓器提供の意思も本人の意思決定がポイントです。医学の進展のため、希望しておられる方々のためにぜひ。
最後に、心豊かな収穫期を過ごすために、どんなところで余生を送るか、社会との関わりをどう持ち続けるか、経済面では、どの程度の資産を使っていけるかも検討しておきましょう。法律・税務・生活設計面で、備えておくことはたくさんあります。
来し方と行く末をながめながら、自己決定リストなどにじっくりと自分史をつづっていくことも、よいでしょう。認知症になっても人の精神の中核や、それを形成した思い出は、変わらず残るそうです。そのコアな部分を探しながら自分の思い出、この先の医療、介護など自分の希望を書き留めてみましょう。
執筆:弁護士/NPO法人長寿社会の安全安心な暮らしを実現する会代表理事 住田裕子
掲載日:2012年月04月27日

住田裕子(すみた ひろこ)氏プロフィール

住田裕子(すみた ひろこ)氏

昭和26年6月21日,兵庫県加古川市生まれ。東京大学法学部卒業。昭和54年東京地検検事に任官し,以後,大阪等各地の地検検事として転勤を重ね,昭和62年に女性初の法務省民事局付検事として民法・国際私法等の改正を担当。平成2年に全省庁女性初の法務大臣秘書官に就任。その後,司法研修所教官等を経て,平成8年弁護士登録し,さまざまな公職や獨協大学特任教授などを歴任。現在,NPO長寿安心会の代表として長寿社会の安全安心な社会づくりと東日本大震災の復興支援のために奮闘中。「住田裕子の老後安心相談所」「住田裕子の離婚相談所」などの著書・論文多数。同業の夫との間に2子あり。





 
   
    

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