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【第8回】年金を減らさない働き方

退職・年金ナビ [ 定年退職前後の手続きガイド ]

 

 最近は、再雇用や再就職で60歳以降も働く人が増えています。年金は働きながらでも受け取ることができますが、60歳以降の給与次第では年金が減額されたり、また給与の額が大幅にダウンした場合には雇用保険から給付金がもらえる制度もあります。そこで年金を減らさない働き方について考えてみましょう。

60歳以上65歳未満の在職老齢年金
 会社に再就職をして、厚生年金保険に加入した場合、報酬比例の特別支給の厚生年金の額と給与や賞与の額(総報酬月額相当額)に応じて年金の一部または全額が支給停止になる場合があります。これを在職老齢年金といいます。年金が減額されるのは概算で60歳から64歳の間は、毎月の年金額と給与+賞与の12分の1(直前1年間)の総額が28万円を超えた場合です※1。
60歳から65歳になるまでの在職老齢年金の計算式(※1)
基本月額 総報酬
月額相当額
計算式
28万円以下 46万円以下 基本月額-(総報酬月額相当額+基本月額-28万円)÷2
28万円超 46万円以下 基本月額-総報酬月額相当額÷2
28万円以下 46万円超 基本月額-{(46万円+基本月額-28万円)÷2+総報酬月額相当額-46万円)}
28万円超 46万円超 基本月額-{46万円÷2+(総報酬月額相当額-46万円)}
※基本月額:特別支給の老齢厚生年金の月額
※総報酬月額相当額:年金の受給権が発生した月以後の報酬に該当する標準報酬月額とその月以前1年間の標準賞与額の総額を122で除した額を合計したもの
65歳以後の在職老齢年金
 65歳以後の場合は、合計額が46万円以上になると減額されます。また、調整の対象になる年金月額は老齢厚生年金だけになり、老齢基礎年金部分は減額されません※2。
65歳以後の在職老齢年金の計算式(※2)
基本月額+総報酬月額相当額の
合計が46万円以下
全額支給
基本月額+総報酬月額相当額の
合計が46万円超
46万円を超えた額の2分の1が支給停止になる
※基本月額:加給年金額を除いた老齢厚生年金の月額
※総報酬月額相当額:年金の受給権が発生した月以後の報酬に該当する標準報酬月額とその月以前1年間の標準賞与額の総額を12で除した額を合計したもの
減額されない働き方
 年金が一部支給停止などで、調整されるのは、あくまで60歳以降も厚生年金に加入して働く場合のみです。厚生年金に加入しなければならないのは、そこで働く正社員の所定労働時間と労働日数の3/4以上働く人です。おおよそ週30時間以上で月16日以上と言われています。そこで所定労働時間30時間未満のパートとして働けば、厚生年金に加入する必要はありません。また、自営や個人の飲食店、共済年金適用事業等で働く場合も年金額に影響はありません。厚生年金に加入して働くと年金額が減額されることがありますが、大きなメリットもあります。退職後に60歳以降に働いた部分が、今の年金にプラスされ年金額が増えることになるのです。
高年齢雇用継続給付
 定年退職後、再雇用や再就職で安定的な職業についたものの賃金が大きく下がってしまうという人に雇用保険から給付金が支給されます※3。
 再雇用の場合は「高年齢雇用継続基本給付金」といい、65歳まで給与額により支給されます。会社を退職後、失業手当の一部を受給したあとに再就職した場合は「高年齢再就職給付金」といい、残日数によって1年または2年間受給できます。両方の給付金とも雇用保険の被保険者期間が5年以上あり、再雇用、再就職後の給与が60歳時点の給与の75%未満に低下していることが給付の条件です。支給率は、最高で給与の15%となります。さらにこの給付金は非課税で、毎月60歳到達時の給与と現在の給与を比較して支給されます。給付金の申請の窓口はハローワークですが、これをもらった時は、年金事務所への届け出が必要です。
高年齢雇用継続給付金の額(※3)
60歳時点での賃金を100%として、60歳以後の賃金の割合により支給額が決まります。
75%以上 支給されない
61%以上75%未満 支給対象月の賃金×(15%から0%の範囲で逓減)
61%未満 支給対象月の賃金×15%
※60歳到達時賃金は、60歳到達前の6カ月間の賃金の合計額(賞与を除く)を180日で割った額×30日分をいいます。
※60歳到達時賃金の上限は448,200円で、それを超える場合は448,200円で計算します。
※賃金の額が341,542円を超える場合は支給されません。
※給付金の額が1,848以下の場合は支給されません。
給与と年金と給付金のトリプル受給
 以上のように、定年退職後は、給与、年金、高年齢雇用継続給付金の3つをもらうことができるようになります。年金、給付金の両方をもらえる範囲の給与で働くことは、会社にとっても効率がよいので、定年後の再雇用、再就職では話し合って給与を決めている会社もあります。では、年金を減額されずに受け取りながら、さらに給付金も支給される働き方とはどのような働き方なのでしょうか?厚生年金に加入せず、雇用保険に加入するためには、週20時間以上30時間未満で働きます。さらに31日以上の雇用見込みが必要です。 定年後に働く場合は、ただ給与額だけで考えるのではなく、年金と給与と給付金の3つをよく考えて最適な働き方を見つけましょう。なお、減額される年金や高年齢雇用継続給付金については、年金事務所で実際に計算をしてもらえます。定年前に退職後の給与等がわかる方は、いくら年金が減額されるのか、そして65歳まで働くといくら年金が増えるのかをシュミレーションしてもらうと安心できるでしょう。
注:※1、※2、※3の内容は平成26年4月現在の年金制度と雇用
 保険制度に基づきます
執筆:社会保険労務士/ファイナンシャル・プランナー  菅田 芳恵
所属:プラチナ・コンシェルジュ
改訂:2014年11月17日
掲載日:2010年6月22日

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