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【第13回】セカンドライフの公的医療保険

退職・年金ナビ [ 定年退職前後の手続きガイド ]

 

 定年後は、様々な健康保険から自分で選択して加入しますが、65歳以上になったらどうなるのでしょうか。高齢者医療制度は、65歳以上75歳未満の「前期高齢者」と75歳以上の「後期高齢者」に分かれます。また、「高額医療・高額介護合算制度」も新たにスタートしました。セカンドライフに覚えておきたいこれらの公的医療保険の仕組みについてご紹介します。

前期高齢者医療制度
 65歳から74歳までの前期高齢者は、従来どおりの保険制度にそのまま加入し続けます。定年後、加入できる保険制度はいろいろありましたが、最終的には国民健康保険に加入したり、家族の扶養になっていると思われます。その場合、74歳まではそのままの保険制度に加入することになります。つまり、前期高齢者医療制度は、次にご紹介する長寿医療制度(後期高齢者医療制度)のように独立をした制度ではなく、あくまでも「制度間の医療負担の不均衡の調整」を行うための枠組みで設けられた制度なので、被保険者が65歳に達し、前期高齢者になっても何ら加入している保険制度を変わる必要はありません。ただし、医療費の自己負担割合は70歳になると変わってきます※1。
医療費の自己負担割合(※1)
年齢 自己負担割合
義務教育就学前 2割
就学後~69歳 3割
70歳~74歳 2割(平成26年4月1日以降に70歳になる方、それ以前の方は1割)
(現役並み所得者は3割)
75歳以上 1割(現役並み所得者は3割)
(平成26年度の制度による)
(注)現役並み所得者とは
同一世帯の70歳以上の国民健康保険加入者の中に、課税所得が145万円以上の人がいる世帯。ただし、70歳以上の国民健康保険加入者の前年の収入合計が、2人以上の場合は520万円未満、1人の場合は383万円未満の時は、申請により1割負担となる。
長寿医療制度(後期高齢者医療制度)
 長寿医療制度の対象者は、75歳以上の人と65歳以上76歳未満で一定の障害があり認定された人です。長寿医療制度には、「被扶養者」という考え方はなく、介護保険と同様に個人単位で、家族が加入する健康保険で被扶養者として認定を受けていた人も、75歳誕生日から長寿医療制度の被保険者となります。前期高齢者医療制度との大きな違いは、国民健康保険、協会けんぽ、健康保険等の各医療制度とは、異なる制度ということです。
高額療養費
 年をとると病気がちになり、医療費の負担が心配になります。そこで活用したいのが高額療養費制度です。1カ月に医療機関で支払った医療費が自己負担額の上限を超えた場合にお金を返してもらえる制度です。自己負担の限度額は、所得や年齢(70歳未満か70歳以上か)で異なってきます※2。ただし、高額の医療費がかかった場合後から払い戻してはくれますが、一旦は医療機関の窓口でお金が必要となります。そこでお勧めが「限度額適用認定証」の利用です。入院をしたときに、事前に「限度額適用認定証」の申請及び交付を受けておくと、認定証を医療機関で提示をすることで、医療機関の窓口での医療費の支払いが、自己負担限度額までで済みます。
70歳未満の高額療養費の自己負担限度額(※2)
所得区分 自己負担限度額(月額)
上位所得者 150,000円+実際にかかった医療費から500,000円を控除した額の1% 
上位所得者以外 80,100円+実際にかかった医療費から267,000円を控除した額の1%
住民税非課税世帯 35,400円

70歳以上の高額療養費の自己負担限度額
所得区分自己負担限度額(月額)
外来(個人ごと) 外来+入院(世帯ごと)
現役並み所得者 44,400円 80,100円+実際にかかった医療費から267,000円を控除した額の1%
一般 12,000円 44,400円
住民税非課税2 8,000円 24,600円
住民税非課税1(年金収入80万円以下等) 8,000円 15,000円
(平成26年度の制度による)
※上位所得者とは、国民健康保険税算定基礎となる基礎控除後の総所得金額の合計が600万円を超える世帯の人です。
※医療機関ごとに計算します。
※同じ医療機関でも入院と外来、医科と歯科は別々に計算します。
高額医療・高額介護合算制度の仕組み
 医療保険からは「医療サービス」、介護保険からは「介護サービス」が受けられますが、利用者によっては同時期に両方のサービスを受けることがあります。しかし、それぞれは異なる保険者によって運営されていて、それぞれに自己負担額の上限(高額療養費、高額介護サービス費)が設けられています。そのため医療サービスと介護サービスを合わせて受けると高額な利用額となる場合もあるでしょう。そこで、医療保険と介護保険両方の自己負担額を年単位で世帯合算し、基準額を超えた場合には申請することにより超過分が支給される「高額医療・高額介護合算制度」が新たにスタートしました。
 ※3。例えば、夫婦ともに75歳以上で一般の所得世帯の場合、医療と介護に係る費用として、従来は年間98万円までは負担しなければならなかったのですが、この制度によって上限が56万円となり、半分近くに減ることになります。
高額医療・高額介護合算制度の自己負担限度額(※3)
限度額(年額)
現役並み所得者一 般低所得者(住民税非課税)
現役世代(70歳未満) 126万円 67万円 34万円
70歳~74歳 67万円 56万円 31万円
75歳~ 67万円 56万円 31万円
(平成26年度の制度による)
合算単位
 高額医療・高額介護合算制度の合算の対象となる世帯とは、「住民票の世帯」ではなく、「各医療保険制度における世帯」単位です。つまり、国民健康保険、協会けんぽ、健康保険組合、共済組合、船員保険、長寿医療制度それぞれ異なる制度ごとに合算します。それ故、同一世帯であっても、計算は対象年度(8月1日から翌年の7月まで)の末日である7月31日に加入している保険ごとに、別々に計算することになるのです。同じ世帯で、同じ保険制度に加入していることが適用条件となりますので注意してください。
執筆:社会保険労務士/ファイナンシャル・プランナー  菅田 芳恵
所属:プラチナ・コンシェルジュ
改訂:2014年12月15日
掲載日:2010年12月28日

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