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グローバル経済 米国・欧州 2012年のグローバル経済を読み解くヒント -株365

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FX・CFD [経済の達人に聞く「2012年世界経済の行方」]

【第4回】(グローバル経済 米国・欧州)大阪経済大学 客員教授 岡田晃氏

2012年のグローバル経済を読み解くヒント

2012年の最大テーマは「ユーロ」

大阪経済大学客員教授 経済評論家  岡田晃氏

大阪経済大学客員教授 経済評論家

岡田晃氏

岡田氏:


2012年のグローバル経済がどうなるのかを考えるうえで一番のカギを握っているのは、やはりユーロ経済圏の動向でしょう。そもそもユーロという枠組み自体が、さまざまな矛盾点を抱えていました。

まず、経済的に格差のある国が同じ枠組みに組み込まれることの矛盾。本来、ユーロという大きな枠組みに組み込まれることで、経済力の弱い国が、強い国に引っ張られて経済力を高めていくと期待されていましたが、それはあくまでも経済が右肩上がりで成長している局面でしか通用しませんでした。今のように逆境になると、とたんにマイナス面が浮上し、昨今のような、ユーロ危機ともいうべき状況を招いてしまったのです。

次にECB自体が抱えている大きな矛盾です。ECBは、ユーロ加盟国の中央銀行で、原則としてユーロ加盟国はECBの金融政策に従うことになります。つまり、政策金利は一本化されています。

前述したように、ユーロ経済圏を構成している国々の経済力には格差がありますから、政策金利が一本化されると、どうしても問題点が生じてきます。たとえば、ドイツは好景気なので金利を引き上げたい、でもイタリアは不景気なので金利を下げたいという場合、どちらに合わせて金融政策を行うかという大きな矛盾が生じてきます。あるいは、金融政策が一本化されているのに、財政政策が各国に任されているというのも、やはりユーロ経済圏が抱えている大きな矛盾点でしょう。たとえば景気が冷え込んでいる国が財政出動によって景気浮揚を行おうとしても、景気が過熱気味の国に引っ張られて金融引締め政策が行われていたら、いくら財政を出動させても、景気浮揚効果は半減してしまいます。

実際、2011年4月、6月と二度にわたって行われた利上げは、景気回復期待とインフレ懸念が高まった結果として行われたものですが、この判断基準はあくまでもEU全体の平均値によるものでした。あくまでも平均値ですから、なかには平均値以下の国もあるはずです。そういう国にとって、二度にわたって行われた利上げは国内景気を冷え込ませる結果につながりました。

今回、ユーロ経済圏を襲った債務危機は、これらの矛盾点が、ひとつの臨界点を迎えた結果として生じたものと考えられます。この危機に対して何ら有効な対策を講じられなかったら、ユーロ発の世界的な金融危機に発展してしまう恐れがあります。

打開策としては、ユーロ経済圏のなかで最も高い経済力を持つドイツが、債務危機に陥った国に対して支援する姿勢を明確にすること。そして、債務危機になりそうな国の国債をECBが積極的に買い支えること、という2つの方法が考えられます。

ただ、両者はあくまでも緊急措置に過ぎないので、より抜本的な対策を講じなければなりません。つまり、緊急措置によって目先の危機的状況を回避させるとともに、抜本的対策として財政規律を高めるという、両睨みの対策が必要です。

政治と市場のギャップ

岡田氏:

2012年のグローバル経済は、前述したようにユーロ問題が大きな注目材料になりますが、もっと根本的なところを見ていくと、政治と市場のギャップという問題が根底に流れているように思えます。言い方を変えると、民主主義という政体と市場経済との間にミスマッチが生じているのです。経済は生き物なので、日々、変化しています。その動きが最も先鋭的に表れるのがマーケットです。こうした動きに対して、果たしてどこまで政治がビビットに対応できるかということが、今、問われているのではないでしょうか。そして現状を見ると、残念ながらマーケットの変化に対して、政治が付いていけていないように思えます。

たとえばユーロ危機でも、政治と市場のギャップが垣間見られました。本来、ギリシャを救済するということを前提に考えれば、経済的に強いドイツが積極的に救済の手を差し伸べるということが最善の策であるはずですが、メルケル首相は自身の政治的な人気と天秤にかけ、ドイツ国民の感情を優先しました。つまり、ドイツ国民がギリシャ救済に対して反対だから、自分自身も反対するということです。

これは何も欧州に限った話ではありません。米国でも同じようなことは、幾度となく起こっています。

たとえば2008年のリーマンショック時も、対策が遅れて金融危機が必要以上に拡大してしまった背景には、やはり政治上の対立がありました。リーマンショックが起こった直後、当時のブッシュ政権下では、金融機関が抱えている毀損した債権を政府が買い取るために、金融安定化法を成立させようとしましたが、ホワイトハウスと議会指導部が法案成立で合意したにもかかわらず、下院本会議で否決されるという事態が起きました。これは、約1カ月後の11月に大統領選とともに、下院議員の選挙を控えていたからです。金融安定化法の成立に反対票を投じた議員は、目下最大の国難である金融危機の解決よりも、自分自身の政治的人気を優先したのです。

2012年は政治の年でもあります。米国の大統領選挙をはじめとして、フランス大統領選、ロシアの大統領選挙、中国の指導部交代、韓国の大統領選挙などが控えています。またギリシャでは経済危機の行方を左右する大統領選挙が実施されることになりました。したがって、政治と市場、政治と経済の関係が、非常に注目されると思います。

政策課題が問われる日本

岡田晃氏

岡田氏:


2012年の日本経済は、政策課題が今以上に問われる1年になるでしょう。すでに東北大震災によるマイナス影響は、マクロ経済的には解消され、2012年は復興需要が期待されるので、相対的に日本経済はマシと思われていますが、株価を見ると、欧米に比べ、日本の下げ方が目につきます。

欧米の株価は、一時的とはいえ、リーマンショック前の水準を上回る場面が見られました。しかし、日本の株価は現時点で8,000円台。リーマンショック前の日経平均が1万2,200円前後ですから、まだリーマンショック前の水準にはほど遠い状況にあります。この原因は、ユーロ危機などの外部要因だけでなく、日本固有の問題があるからです。それは円高であり、デフレや少子高齢化に伴う日本の競争力低下です。

こうした問題点を解決させるためにも、日本の政策課題が問われてきます。特に、増税には慎重に対応するべきです。被災地の復興は大事ですが、財政再建を急ぐあまりに増税を行ってしまったら、景気浮揚効果は一気に後退してしまいます。増税の前に出来ることを優先させるべきです。そのためには、まず公務員改革や議員歳費の削減を通じて無駄を削る必要があります。

次に、歳出の見直しを徹底的に行うこと。それも仕分けによる細かい節約ではなく、社会保障費の拡大に歯止めをかけるといった大きな枠組みの見直しが求められています。

そして第三のポイントは経済成長です。経済が成長して国民の生活が豊かになれば、社会保障に頼らなくても済みますし、税収の自然増にも期待できます。日本の税収は、1990年当時で約60兆円でしたが、その後経済が成長していないため、今では40兆円まで目減りしてしまいました。このうえ税率を引き上げたら、日本経済はさらに落ち込んでしまうでしょう。

日本の税金のうち7~8割は法人税、所得税、消費税で占められています。財政再建を果たすためには、この3つの税金が増えるようなことをしなければなりません。つまり企業が儲かり、それにともなって個人の所得が増え、積極的に消費を行うようにする。それを実現させるためにも、日本経済の成長戦略をしっかり構築する必要があるのです。



Fanet MoneyLife(掲載日:2012年01月31日)


プロフィール
岡田晃(おかだ あきら)大阪経済大学客員教授 経済評論家

経歴

1971年慶応義塾大学経済学部卒業
同年  日本経済新聞入社。松山支局、産業部など
1987年編集委員
1991年テレビ東京出向(日本経済新聞編集委員兼務)「ワールドビジネスサテライト(WBS)」マーケットキャスター
1994年テレビ東京 経済部長「WBS」プロデューサー各種経済番組のプロデューサー、キャスター、コメンテーター
1998年同NY駐在(~2003年)NY支局長、テレビ東京アメリカ(米国現地法人)社長
2006年テレビ東京退職、同年経済評論家として独立、大阪経済大学客員教授に就任(~現在)

主な著書
「これが高齢化社会だ」(共著、日本経済新聞社)
「新・産業革命」(共著、日本経済新聞社)
「21世紀への企業戦略」(共著、日本経済新聞社)
他に、新聞、雑誌、ネットなど寄稿多数
 
   
    

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