株式・投資信託・ETF・退職・年金 投資に役立つ「ケイゾンマネー」

ドイツ取引所駐日代表事務所バイス・プレジテント浦﨑俊樹氏に聞く 「世界的ブランド企業で構成されたDAX指数の魅力」

 

FX・CFD [CFDと株価指数]

【第2回】ドイツ取引所駐日代表事務所バイス・プレジテント浦﨑俊樹氏に聞く

「世界的ブランド企業で構成されたDAX指数の魅力」

ソブリンリスク問題に揺れる欧州経済。統一通貨ユーロの矛盾点が浮上してきた感もありますが、ユーロ経済圏のなかで最も大きな規模を持つドイツ経済は、このところ堅調に推移しています。それを受け、ドイツの代表的な株価指数であるDAX指数も、リーマンショックの暴落から立ち直り、上昇傾向をたどっています。今回は、くりっく株365にも採用されているDAX指数について、話を伺いました。


DAX指数はどういう銘柄で構成されているのですか?


ドイツ取引所 駐日代表事務
所バイス・プレジデント
浦﨑俊樹氏

浦﨑氏:

DAX指数はドイツ取引所グループのフランクフルト証券取引所に上場されている株式、30銘柄によって構成された株価指数です。この30銘柄で、ドイツ国内上場銘柄の時価総額の8割を占めていますから、いずれの銘柄もドイツを代表する企業ということになります。

もちろん、これら30銘柄については、すべてドイツに本社を置くか、もしくはドイツ国内で本業を行っている企業が中心です。BMWグループ、ダイムラー、BASF、バイエル、シーメンス、アリアンツ、アディダスなど、誰でも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

この他にも、ニベアクリームの開発元であるバイヤスドルフなど、会社名はあまり知られていなくても、商品が幅広く認知されている会社もあります。

このため、DAX指数に投資するということは、ドイツ経済全体に投資するのと同じ意味を持つと考えていただいて結構だと思います。

日本では、まだあまり馴染みのない株価指数ですが、海外では非常にメジャーな株価指数のようですね。

浦﨑氏:

そうですね。世界的には、ドイツの株価指数と言えばまずDAX指数と言われます。ETFをはじめファンドを組成したり、デリバティブを組んだりする時には、最も用いられているのがこのDAX指数です。

最近までは欧州との時差とともにDAXの名前の歴史がそれほど長くなかったのが今まで過小評価されてきた理由のような気がしますね。

DAX指数の算出を開始したのは1988年ですから(1987年12月末を基準値とする)、今から20年ほど前の話です。もちろん、それ以前も株価指数は存在していたのですが、それらはリアルタイムで算出されるものではありませんでした。それが、80年代後半から世界的にデリバティブ市場が誕生し、ドイツでもデリバティブ取引の機運が高まり、リアルタイムで株価指数を公表するニーズが生じた結果、DAX指数が開発され、リアルタイムで公表されるようになったのです。

加えて、この20年間で、ドイツ国内の証券市場が政府の振興策などもあり、急速に発展したことも、DAX指数の存在感を大きく向上させるきっかけになりました。

また、DAX指数の特徴の一つに各採用銘柄の配当落ちが指数に直接影響しないように調整し、指数の連続性を維持するシステムを採用するパフォーマンス・インデックス(トータル・リターン・インデックス)であることです。このため、くりっく株365でもDAX指数は他の指数と異なり配当相当額が発生しないのです。


DAX指数に組み入れられている30銘柄は、どういう基準で選ばれているのですか?

浦﨑氏:

現在、フランクフルト証券取引所に上場されている株式の銘柄数は、全部で1,300銘柄以上あるのですが、このなかから浮動株比率を加味した時価総額ベースで、上位30銘柄を機械的に選んでいきます。

ですから、ある意味では非常に透明性の高い株価指数であると考えることもできます。というのも、時価総額ベースで上位30銘柄をピックアップするというルールを厳格に守っていますから、「どうしてこの銘柄が入っているのかよく分からない」というような他の指数でありがちな事態は起こり得ないのです。また、採用銘柄の見直しも定期的に行っており、時価総額ベースで上位30銘柄からこぼれおちた銘柄については、当然のことですが、見直しの対象となり、ルールに照らして採用対象からはずします。

構成銘柄を見ていると、製造業が多いという印象を受けます。ドイツの製造業というと、やはり輸出中心ということになると思うのですが、その場合、ユーロ安には強くても、ユーロ高には弱いということになるのでしょうか。

浦﨑氏:

ドイツも日本と同じように、外国やEU域外に製品を輸出する貿易立国ですし、実際、DAX指数の構成銘柄には多くの輸出企業が含まれています。したがって、ユーロの為替動向は指数にとって大きく影響する事が少なくありませんし、十分に注視することが肝要と思われます。

ただ、DAX指数の構成銘柄には、輸出企業だけでなく、金融などの内需関連銘柄も含まれています。そのため、為替が大きく変動して輸出関連企業の業績に対する見方が変化したとしても、一方で金融等を中心とする内需関連企業の業績への見方は大きな影響を受けないので、DAX指数全体で見れば、それほど大きな変化にはつながらない可能性もあります。

また、ドイツ経済そのものが強ければ、多少、為替変動が拡大しても、経済そのものが強ければ、DAX指数のダウンサイドリスクは、緩和されると思います。

確かに、直近のDAX指数の上昇は、ユーロ安の影響によってもたらされた面が大きかったと指摘されている事もあるようです。ユーロが誕生した当初のドイツ経済は、労働コストの安い同じユーロ圏の周辺国との域内格差などで成長が一時的に見劣りする場面もありましたが、ユーロ誕生から10年以上が経過し、ドイツ企業・経済はスリム化して強い経営体質が作られました。

そのうえ、リーマンショック後のソブリンリスク問題で、周辺諸国の経済が大きく落ち込んだことから、相対的にドイツ経済の信頼性が高まり、ドイツの長期金利が低下し、それもDAX指数の上昇に貢献しています。結果的に、ドイツ経済のファンダメンタルズが強ければ、たとえユーロ為替相場が一方向に変動しても、DAX指数はそれほど大きく下げることはないと考えられます。

今、ソブリンリスクの話が出ました。今、ユーロ経済圏では、ポルトガルやスペイン、イタリアなどの財政問題がクローズアップされています。こうした国々のソブリンリスク問題が、ドイツ経済にマイナスの影響を及ぼす心配はありませんか?

浦﨑氏:

DAX指数は、リーマンショックが起こった時、大きく値下がりしました。もちろん、他の国の株価指数もあれだけ大きく下げましたから、いくらドイツ経済が堅調だったとしても、その影響を無視することはできなかったということでしょう。

実際、DAX指数の構成銘柄には、ドイツ銀行、コメルツ銀行やアリアンツといった金融機関が含まれていますから、リーマンショックで信用問題がクローズアップされれば、こうした金融関連の株式が大きく売り込まれることになります。そのうえ、金融機関は時価総額も大きいため、株価指数に大きな影響を及ぼすことになります。

それを考えると、確かに今後、ユーロ加盟国のなかでソブリンリスク問題が浮上した場合、DAX指数に含まれている金融機関の株式が売られるケースもあり得るわけですが、前述したように、DAX指数には輸出企業も多数含まれているので、それらが金融株の変動を緩和する形になる可能性があります。

加えて、ソブリンリスク問題の浮上でユーロが大きく売り込まれたとしても、ユーロ安がドイツの輸出産業にとって、プラスの効果をもたらすと市場では評価されることが多いので、むしろDAX指数にとってはプラスの材料になると考えることもできます。

日本の個人投資家が資産運用をするにあたって、DAX指数は選択肢として有効ですか?

浦﨑氏:

注目度が高まってきているのは事実だと思います。ドイツは日本と7時間の時差(欧州夏時間の場合)があり、現物株式は日本時間でいうと16時(注1)から取引がスタートして、翌朝(夜中)0:30(注1)まで取引が行われていますから、日本の株式市場での取引が終了して以降も、リアルタイムで取引することができます。オンライン・トレードの普及で個人投資家はご自宅でトレードできるようになり、今までの対面取引では制約であった欧州との時差が在宅トレードにとって好都合の時間帯となっていると思われます。

実際、DAX指数の値動きを見ていると、日本時間の夕方以降から、最も活発になります。最近は、日本の個人投資家も海外市場への分散投資に関心を抱いていますから、DAX指数での運用が可能になれば、自然とDAX指数に対する興味も高まってくると思います。先進国の株価指数なので、日々の取引高が非常に大きく、流動性の面での心配もありませんし、やはり日本の個人投資家の方にもよく知られている銘柄がたくさん含まれているという点が、DAX指数の強みでもあります。

言うなれば、DAX指数は福袋みたいなものです。福袋というのは、何が入っているのか分からなくても、中を開けてみたら結構、誰でも知っている人気商品が入っていて、それがお得感につながるわけですが、DAX指数も同じです。DAX指数という袋の名前だけを見ても、中身は分かりにくいですが、袋の中身を見れば、誰でも知っている企業がたくさん入っています。まさにEUを代表する株価指数のひとつですから、今後、国際分散投資などを行っていくうえでは、無視できない存在になると思います。

くりっく株365にライセンス提供したことによって、日本の個人投資家にとっては新たな投資機会が得られたことになりますね。

浦﨑氏:

DAX指数に続いて「Euro STOXX 50」という、もっと幅広く欧州全体の株価動向をトラックできる株価指数を今後ビジネスチャンスとして提案していきたいと考えております。それが実現すれば、日本の個人投資家にはあまりチャンスが無かった世界標準の汎欧州の株価指数に投資する機会は、さらに増えていくでしょう。

ちなみに、これはくりっく株365ならではというべき特徴だと思いますが、通常、海外の株価指数に投資する場合、その手段が投資信託であれ、ETFであれ、現地通貨建ての場合、為替リスクは投資家が負うことになります。

でも、くりっく株365に採用されている海外の株価指数に関しては、あくまでも指数の値動きにトラックしますから、投資家の為替変動リスクは極めて限定的となります。つまり、ユーロが円に対して下落したとしても、直接、為替差損を被らずに済むというメリットがあるのです。

特にユーロは、複数の国で用いられている通貨ですから、ドイツ経済が堅調だからといって、必ず買われるとは限りません。それこそ、周辺国のソブリンリスク問題に引っ張られて、大きく売られるケースも考えられます。それだけに、欧州に投資しようとしている日本の個人投資家からすれば、ユーロは不確定要素であり、それを考えずに投資できるくりっく株365は、海外投資のツールとして、大きな魅力を持つのではないでしょうか。

(注1)欧州夏時間Xetra取引時間の場合


Fanet MoneyLife(掲載日:2011年04月01日)


   
    

特集

「証券アナリストの調査手法とこだわり」(全6回)

「証券アナリストの調査手法とこだわり」

証券アナリストの行動パターンをご紹介!個人投資家のリスク回避術を学ぼう。

特集を読む »

おもしろ企業探検隊

おもしろ企業探検隊

平林亮子&内田まさみの「そうだ!社長に会いに行こう」ナブテスコ株式会社

特集を読む »