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日本経済新聞社インデックス事業室担当部長加藤岳彦氏に聞く「日経平均株価 日本を代表する株価指数、世界的にも抜群の知名度」 - CFDと株価指数

 

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【第3回】日本経済新聞社インデックス事業室担当部長加藤岳彦氏に聞く

「日経平均株価 日本を代表する株価指数、世界的にも抜群の知名度」

日経平均株価。日本だけでなく、世界的に広く知られている株価指数のひとつです。日々の株式市場を語る際にニュースなどで報じられるほか、先物・オプション、CFD(株価指数証拠金取引)などの金融派生商品(デリバティブ)取引や投資信託、ETF、仕組債など、指数に連動するさまざまな金融商品で使われているため、投資経験の浅い方でも、一度は耳にしたことがあるでしょう。今回は、その日経平均株価を算出・運営している日本経済新聞社インデックス事業室の担当部長、加藤岳彦氏に、日経平均株価の特徴、算出方法などについて話を伺いました。


まず、日経平均株価の特徴からお話をお聞かせいただけますか?


日本経済新聞社インデックス事業室
担当部長加藤岳彦氏

加藤氏:

日経平均株価は、昨年9月7日に公表を始めてからちょうど60周年を迎えました。非常に長い歴史を持つ株価指数であり、日本のみならず世界中の投資家からも注目されて、高い知名度を誇っています。

何しろ1950年から公表が始まっています(東証が取引を再開した49年5月まで遡及算出)から、その足跡は戦後日本経済の復興期、高度経済成長、80年代のバブル形成、90年以降のバブル崩壊、そして現在に至る日本経済の流れを映し続けています。

そのため、少しでも株式市場に関心を持っている方ならば、それぞれに印象に残っている日経平均株価の水準があると思います。たとえば、1989年12月末の過去最高値3万8,915円、2001年9月米同時テロ直後の1万円割れというように、日本経済や歴史の重要な転換点を、その水準で覚えている方もいらっしゃるでしょう。

株式に投資されている方の間でも、「今の株価はいくら?」「きょうは上がったね」と言ったら、暗黙のうちに相場を日経平均株価の水準で語っており、このように主語なしで普通に言われること自体が、その高い認知度を物語っているように思います。

海外での認知度はどうですか?

加藤氏:

英語での正式名称は「Nikkei Stock Average」ですが、225銘柄で構成されるということから、国内だけでなく海外でも「Nikkei 225」という名称でよく知られており、実際、日経平均株価に対する外国からの問い合わせはとても多いです。欧米に加え、最近はアジア、中東やアフリカなどからも、「Nikkei 225」についての質問が寄せられます。具体的には、投資銀行や運用会社などの金融機関、メディアなどからの問い合わせが目立ちます。


どういう質問が多いのですか?

加藤氏:

日経平均株価の算出方法や、銘柄入れ替えのルールなどテクニカルなご質問が多いですね。背景には、連動する金融商品を組成したり、運用管理していることがあると思います。

日経平均株価の算出方法について教えてください?

加藤氏:

「平均株価」という名称が示すように、日経平均株価は、世界中の株価指数のなかでは数少ない、株価平均型の指数です。現在、同様な方式を採用している株価指数には、米国のニューヨーク・ダウ工業株30種平均があります。

算出方法は、1,700銘柄ほどある東証1部上場銘柄の中から、225銘柄を選んで、その株価を平均したものです。

225銘柄を選ぶ基準は2つあります。ひとつは銘柄ごとの市場流動性であり、もうひとつはセクター間のバランスです。

市場流動性については、「売買代金」と「売買高当たりの価格変動率」の、過去5年間の推移を計測し、流動性の高い銘柄を選びます。

またセクターバランスについては、産業構造の変化を反映させるという観点から、構成銘柄を、「技術」、「金融」、「消費」、「素材」、「資本財・その他」、「運輸・公共」という6つのセクターに分類したうえで、セクターごとの市場流動性の変化を織り込んで、特定のセクターに銘柄が偏らないようにバランスを取っていきます。

このようにして選びだされた225銘柄の株価を旧商法時代の額面の概念を継承した「みなし額面」という係数で平準化したうえで合計し、「除数」で割って求めます。「みなし額面」で調整するのは、たとえば旧5万円額面の銘柄と旧50円額面の銘柄では株価の水準に大きな違いがあるためです。また「除数」は、銘柄入れ替えや構成銘柄の株式分割・併合で株価に断層が生じることを調整するためのもので、当初は銘柄数でしたが、こうした事象が発生するつど修正され、2011年4月21日時点での除数は、24.917になっています。

でも、東証1部約1,700銘柄のうちの225銘柄では、なかなか市場全体の流れを表すのが難しいのではありませんか?

加藤氏:

ところがそうでもないのです。というのも、日経平均株価に採用されている225銘柄だけで、東証1部上場銘柄全体の時価総額ならびに売買代金の約7割を占めているからです。つまり、225銘柄は日本を代表する企業の株式で構成されており、したがって、日経平均株価の値動きは、日本株式相場全体の傾向を判断するうえでも十分に活用できると考えて良いと思います。

日本を代表する株価インデックスといえば、もうひとつ東証株価指数(TOPIX)がありますが、相違点はどのようなところでしょうか?

加藤氏:

TOPIXは、東証1部上場全銘柄の時価総額をベースに指数を算出しており、イメージとしては、東証1部の取引可能な株式をまるごと購入した場合の、資産価値の動きを示しているとも言えます。具体的には1968年1月4日時点の時価総額を100として、その後の時価総額の変化を指数化する株価指数です。つまり、株価を平均するタイプの日経平均とは計算方法の考え方が異なります。

これは単位の違いにも表れます。時価総額の変化をとらえるTOPIXの単位はポイントで表示されますが、株価平均型の日経平均株価は、円表示になります。日本人にとっては、普段から使い慣れている通貨単位の円なので、それだけ親しみやすいともいえるでしょう。

また指数の仕組み上、TOPIXは時価総額の大きな金融株などの影響を受けやすく、日経平均株価は株価が高いハイテク株などの影響を受けやすいという特性があります。

ただ、このように算出対象や方法の異なる両指数ですが、値はおおむね似た動きをします。両者の相関係数は、たとえば1年間の日々の騰落率で見ると0.97程度(1で完全一致)で、中長期的にはほぼ同じ傾向で推移すると考えても良いでしょう。

銘柄入れ替えは、どのように行われるのですか?

加藤氏:

日経平均株価の銘柄入れ替えは、2種類あります。ひとつは毎年10月初めに行われる「定期見直し」、そしてもうひとつは、上場廃止や合併などで、空席が生じた時に行う「臨時入れ替え」です。直近ですと、3月29日に臨時入れ替えが実施されました。この時は、経営再編で上場廃止となった三洋電機、パナソニック電工、住友信託銀行の3銘柄が除外され、代わりに安川電機、大日本スクリーン製造、第一生命保険を入れています。

定期見直しは、前述のとおり225銘柄の選定基準となる「市場流動性」と「セクターバランス」の観点から、市場流動性が高まった銘柄やセクターは追加採用、低下した銘柄やセクターは除外するかたちで銘柄を入れ替えます。これにより最新の市場環境を映す銘柄構成(市場代表性)を維持します。ここ数年の定期見直しについては、1回につき2銘柄ぐらいの入れ替えが行われていますが、2009年のように定期入れ替えのない年もあります。

臨時入れ替えについては、構成銘柄が合併や経営破たんなどで上場廃止となり、空席が生じる時に実施されますが、この時は原則として、除外銘柄と同じセクターから補充銘柄を選びます。

銘柄入れ替えなどの情報を確実に、より詳しく入手するためには、どういう情報源をたどれば良いのですか?

加藤氏:

インターネットサービスの日本経済新聞電子版に「日経平均プロフィル」というコーナーがあります。ここには最新の銘柄入れ替えに関する情報や過去の銘柄入れ替えの履歴、日経平均株価の計算方法や銘柄入れ替えルール、さらには算出来の過去の日経平均の値や騰落率のランキングなどさまざまな情報を掲載していますので、日経平均株価についてより詳しく知りたいという場合に、参考にしていただけると思います。

日経平均プロフィルサイトへリンク http://www.nikkei.co.jp/nkave/

また、昨年秋から日本経済新聞の朝刊紙面(証券3面)に、「クローズアップ日経平均株価」というコーナーを設けました。掲載は毎週火曜日から土曜日までです。ここでは、日経平均株価に採用されている全銘柄についてセクター別に区分して、PERやPBR、配当利回り、時価総額といった投資指標のほか、前日の株価に対して上昇(○)、下落(●)、変わらず(△)のいずれであるかが、いわゆる星取表の形で表示されています。この前日比の記号を見ると、昨日の相場はどのセクターが日経平均株価の上昇・下落に影響を与えたのかが、ひと目で分かります。

単に株価の値動きや方向性を見るという以外に、日経平均株価の活用法というのはありますか?

加藤氏:

やはり景気の先行指標になるということでしょうね。過去60年間の値動きを見ると、日経平均株価は、景気に対して半年から1年くらい先行して、景気のヤマタニを言い当てていることがわかります。株価自体が景気を形成する企業業績を先取りして動く傾向があること、素材や資本財など景気の先行きに敏感に反応して動くセクターの銘柄が含まれることなどが、その理由として考えられます。

加えて、国際情勢を色濃く反映するということが挙げられます。たとえば少し前の話になりますが、エジプトやリビアなど中東情勢で緊張が高まった時には、世界的な株価下落に連動して、日経平均株価も下落しました。

また為替相場との連動も注目されます。日経平均の構成銘柄は輸出企業などのウエイトが高いこともあり、ここ数年は、「円安・株高」「円高・株安」の傾向が色濃く出ていました。ただ、震災後もこのセオリーどおり、円安が輸出企業の業績回復を通じた株価上昇につながるどうかの見極めが必要でしょう。

日経平均株価は、国際情勢を映しながら、国内景気の先行きを占うインディケーターとしての役割も果たしているといえると思います。


Fanet MoneyLife(掲載日:2011年04月28日)


   
    

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