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【第8回】中国環境産業に熱い視線を注ぐプライベートエクイティファンド - 中国環境ビジネス ‐ 中国・アジア新興国特集 中国・アジア新興国特集 中国・アジア新興国特集

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中国・アジア新興国特集 [ 中国環境ビジネス ]

【第8回】

中国環境産業に熱い視線を注ぐプライベートエクイティファンド

政府の環境重視政策への転換とそれに伴う環境産業への巨額な政府投資が呼び水に、中国の環境産業は急速に成長し、今後の有望な投資対象として、多くの投資家の注目を集めている。環境関連の上場企業の株式や投資信託に投資するほか、最近活発な動きを見せているのが未公開企業を対象とするプライベートエクイティ(PE)ファンドである。今回は、中国の環境関連企業に熱い視線を注ぐPEファンドの動きを追う。

新エネルギーや水処理に対する注目度が高い

中国政府のグリーンニューディール政策の後押しを受けて、近年、環境保全、省エネ、再生可能エネルギー、クリーン技術など環境ビジネスは、新たな成長分野として大きな期待が寄せられ、多くのPEファンドが環境関連企業に対する投資を増やしている。PEファンドは、未公開企業の株式に投資し、その後株式公開や第三者への売却を通じて利益を獲得する投資ファンドのことである。投資形態は様々で、純投資や、MBO(経営陣による自社の買収)を支援する形態もあれば、新興企業に対するベンチャーキャピタル(VC)などもある。

その投資の性格から、PEファンドの投資動向に関する整備された公式な統計はほとんどないが、中国国内の民間機関の調査資料等から全体像をつかむことができる。中国の大手コンサル会社「清科集団」が発表した報告書によれば、中国のクリーン技術産業に対するベンチャーキャピタル(VC)などPEファンドの投資額は、2006年の4.7億ドル、07年の5.9億ドルから、08年に一気に13億ドルに膨らんだ。投資案件数も、06年と07年の20件台から、08年に55件に増えた。具体的には、新エネルギー、水・汚水処理、廃棄物処理、省エネなど9業種に投資している。このうち太陽光発電や風力発電など新エネルギーへの投資は金額、件数ともに最大である。

環境関連業種へのPE投資 (2006-08年の合計)

br>(出所)清科集団「2008年中国クリーン技術産業投資研究報告」より作成

官民資本の連携や海外資本との共同出資も動き出した

中国の環境関連企業に投資するPEファンドの主体は、中国と海外の民間投資家が中心だが、最近では政府・民間との共同出資のケースもある。例えば、中国の中央省庁のひとつである中国国家発展改革委員会は2009年10月に、北京、吉林、上海など7の地方政府および民間投資家と共同で総額90億元のベンチャーキャピタルファンドを設立した。投資対象は、情報技術、バイオ・製薬、環境、エネルギーなどハイテク企業で、出資額は中央政府が10億元、地方政府が12億元、残りが民間資本で分担する。

中国資本と海外資本が連携するファンドも増えている。日本アジア投資は2008年12月に、中国の大手ベンチャーキャピタルの中国深セン創新投資集団と共同で「中国環境特化型ファンド(仮称)」の設立が合意した。ファンドの規模は1億元で、中国国内の省エネ・環境関連の未上場企業に投資し、日本をはじめとする中国国外からの環境技術の活用や自社開発技術の支援なども計画しているという。

また、今年、中国初の環境産業基金「通用漢能(北京)環境投資基金」が設立され、すでに約40億元の資金を募集した。募集にあたって、中国国内分は中国建銀投資証券が担当し、海外募集分については野村証券が担当する。ファンドの投資対象は、水ビジネス、ゴミ処理、省エネ・排出削減を手掛ける環境関連企業で、将来的には投資先企業の上場を通じて投資を回収する。

活発な資本市場はPEファンドの投資回収に不可欠

PEファンドは、投資先企業の株式公開や第三者への株式売却を通じて利益を得ると前述した。2006年以降の動向をみると、国内外に上場した中国の環境関連企業は28社で、そのうちの17社にPEファンドが入っている。中国国内の新規上場に関する厳しい規制などから、中国企業は香港、ニューヨーク、シンガポール、ロンドンなど海外市場への上場を好む。中国国内に関しては、深セン証券取引の中小企業ボードに6社が上場した。なかでも、有名なのは、2007年に上場した風力発電機大手の「金風科技」である。上場前から、中国・ベルギーエクイティ投資ファンドなど数社のPEファンドが同社に出資しており、1株の平均コストは数元以下だったが、発行価格は36元、上場の初値は138元をつけ、PEファンドはたちまち莫大なキャピタルゲインを手にした。

中国と海外に新規上場の環境関連企業の業種
(2006~08年の合計、シェアは資金調達額ベース)

br>(出所)清科集団「2008年中国クリーン技術産業投資研究報告」より作成

09年10月28日にベンチャー企業向け市場「創業板」(中国版ナスダック)が正式に始動し、PEファンドにとってもう一つの資金回収のルートができた。初回の上場企業は28社で、うちの20社に計33社のPEファンドが入っている。創業板への上場により、この33のPEファンドは平均で6倍近く投資収益を上げることができたという。中国証券監督当局は今後さらに創業板を強化する意向で、すでに191社の上場申請を受け付けた。主に電子、情報技術、新素材、省エネ、環境保全などの業種が多い。上場企業が増え、創業板の取引がますます活発になれば、PEファンドの投資を促すのにも一役買おう。

中国国内で展開しているPEファンド600社に対するサーベイ調査によると、2010年にPEファンドが最も注目している業種は、再生可能エネルギー・エコ産業である。PEファンドの中国の環境関連企業への投資の勢いは当分続きそうだ。

株式会社ニーズ キャピタルデザイン/主席研究員/李 粹蓉
(掲載日:2010年12月01日)


プロフィール
株式会社ニーズ キャピタルデザイン/主席研究員
李 粹蓉  り すいよう Ri Suiyo
1988年京都大学経済学部卒業。1990年野村総合研究所に入社、2004年野村證券に転籍、同金融経済研究所経済調査部シニアエコノミスト、2006年野村資本市場研究所主任研究員、 2007年野村アセットマネジメント総合企画室シニアマネジャー。野村グループでは約18年間勤務、その間エコノミストとして、統計データから経済構造、政治、社会など幅広い角度から、中国経済および中国金融資本市場を鋭く調査・分析。中国の金融・経済情勢に精通。平成13年度財務省委嘱「中国研究会」委員
 

 
   
    

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