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【第4回】国境を越えた物流でメコン地域は宝の山に 中国・アジア新興国特集

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中国・アジア新興国特集 [ ベトナムの素顔 成長力を読み解く  ]

【第4回】

国境を越えた物流でメコン地域は宝の山に

ベトナムにおける凄まじいほどの経済発展はメコン川流域の物流の発達とパラレルにある。2009年暮れに開催された「メコン地域投資促進セミナー」では、メコン地域における経済回廊のロジスティクス(生産地から消費地までの物流、サービスなどの最適化)、そして産業・工程の域内転換に注目が集まった。
 ベトナムの成長力を読み解くシリーズ第4弾は、このセミナーを主催した国際機関日本アセアンセンター投資部に、今後のメコン地域発展がベトナム投資とどのような関係にあるのかを中心にうかがった。(取材協力:日本アセアンセンター投資部)


大メコン圏地域が脚光を浴びる理由(ワケ)とは?


2009年12月21日ホテルニューオータニ(東京)で開催された「メコン地域投資促進セミナー」ではベトナム計画投資省による投資政策の基調講演も行われた
 

「第2友好橋」とも呼ばれる第2メコン国際橋は円借款としては初の2国間にまたがる広域インフラ整備となった

大メコン圏地域 Greater Mekong Sub-region (以下、GMS) における経済協力プログラムが、アジア開発銀行により提唱されたのは1992年のこと。GMSとはメコン川を取り巻く6カ国(ラオス、カンボジア、ミャンマー、タイ、ベトナム、中国・雲南省)をさしており、その総人口は約2億5千万人に及ぶ。

それぞれの国境を越えてヒト・モノ・カネが往き来できるようになったのは、ごく最近のことだ。特に、2006年に開通した「第2メコン国際橋」は記憶にも新しい。JICAが調査設計を行い、日本の円借款によって完成したこの橋は、タイの東部とラオスを結ぶメコン川に架けられた希望の橋だ。それまでバンコク・ハノイ間を海上輸送で2週間かけていたものが、最短で陸路3日を可能にした。このようにGMSは国際社会の支援を得ながら、広域の陸上輸送網(経済回廊)を発達させてきたのである。

2009年12月に都内で開催された「メコン地域投資促進セミナー」では、日本アセアンセンターのほか、中国を除くGMS各国の在京大使館、投資省が主催側に名を連ねた。一国だけを見る・魅せるのではなく、メコン地域として経済を発展させることが、すなわち自国の発展にもつながる。

通貨も、言語も、暮らし向きも異なる国々が、互いに解りあい手を取るさまは、欧州がかつて歩んだ姿に、朧(おぼろ)げながらも重なりはしないか。メコン地域が脚光を浴びる最大の理由は、一国だけでは完結しえない工業化の具体例があるからだ。


タイや中国をマザー工場にメコン地域が開花する


縫製など労働集約型の工程一部がラオスなど低コストの国へ移転している(ラオスの工場にて)

メコン地域のなかでも、とりわけGDPが高い国がタイである。7千社以上もの日系企業がすでに進出を果たしており、産業集積も進む。首都バンコクにおける最低賃金は、20年前には1日当たり90バーツ程度であったものが、現在では200バーツを超えるほどに上昇を遂げた。そこで近ごろでは、より労働集約的な産業や、製造工場における工程の一部を、他のGMS域内へ移し、タイを「マザー工場」とする動きが活発化している。


産業集積が進むタイ。チャチューンサオ県にあるトヨタ・モーター・タイランド社。

くだんのセミナーでは、ラオス経済に詳しい広島大学大学院国際協力研究科・鈴木基義教授が登壇し、タイの保税輸送(タイでは輸出のための材料輸入に、税金・関税を免除する)の仕組みを紹介。例えばタイをマザーに、ラオスなどコストの安い国へ産業の一部を域内転換させるスキームを描いた。

このように自国だけでなく二国間ないしは三国間で、域内で補完しあいながら工業化を推し進めることは、今後のメコン地域発展の原動力になる。現在、タイや中国を“マザー”にするケースがもっぱらだが、GDPの順でいけばベトナムは“第三のマザー”になり得る可能性を秘める。

そして、こうした域内補完をスムーズにさせるのが物流であり、ロジスティクスという概念なのである。


期待がかかるメコン地域のロジスティクス 難問は“関所”

マレー半島の突端・シンガポールから果ては中国・上海まで、広域陸上輸送網の青写真は現実のものとなり始めている。しかし、物流時間の短縮までには道のりも険しい。とりわけ国境通過時の諸手続きは煩雑で、各国の協力なしには改善できない課題とされる。

セミナーでは、メコン地域の物流を手掛ける山九株式会社ロジスティクス・ソリューション営業部によるプレゼンテーションも行われた。そこで注目されたのが、CIQ(税関Customs・出入国管理Immigration・検疫Quarantine)の簡素化である。CIQの窓口を一元化する「シングルウインドウ・ワンストップサービス」の実現に向け、ラオス・ベトナム間の国境越えを筆頭に、数次の実験段階を経ている最中という。

国境越え―――。いわば“関所”の通過にかかる時間の短縮で、より物流にスピード感が増す。日本アセアンセンター投資部の小貫朋子補佐官は、CIQの簡素化で「以前行われていた、ラオス・ベトナム間におけるトラック積み替えの必要性が(一部)なくなり、よりスムーズに往き来できるようになった」と語る。

メコン地域が今後発展を遂げていくなかで、産業や工程の域内転換、CIQをはじめとする諸手続きや制度の簡素化が大きなカギを握っている。関所の多いメコン地域で、ロジスティクスの進化にさらなる期待が寄せられる。そして何より、ベトナムの成長とメコン地域の発展は、イコールで結ばれることを実感させられる。


聞き手:千葉千枝子(掲載日:2010年02月18日)



プロフィール :千葉千枝子 Chieko Chiba
旅行作家。中央大学卒業後、富士銀行、シティバンクを経てJTB へ入社。96 年、有限会社を設立。旅と金融をテーマに、運輸・観光業全般の論評、執筆・講演活動を行う。著書に「JTB 旅をみがく現場力」(東洋経済新報社)など。今春より東京成徳短大で観光学講師に就任。
 


 
   
    

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