株式・投資信託・ETF・退職・年金 投資に役立つ「ケイゾンマネー」

【第17回】ETFの分配頻度

ETF [ コラム ]

 
ETFの分配頻度

 ETFの分配頻度はファンドにより異なります。年1回、年2回、年4回、年5回、年6回、年12回のもの、そして、分配を行なわないファンドがあります。

 ETFが最初に登場した2001年から2005年頃は年1回、年2回のETFが多かったのですが、ETFの投資対象の多様化と共に、分配頻度も多様化してきました。海外の債券に投資するETFでは毎月分配のファンドもあり、REIT(不動産投資信託)に投資するETFでは、年4回や年6回分配が行われています。分配頻度が年5回というのは、投資信託全体で見ても稀ですが、これは四半期ごとの分配に加え、会計期間の終了日を分配金支払い基準日としているETFです。ただ、実際には年1回又は2回程度の分配実績になっています。

 分配頻度の内訳を見ると、年1回分配のETFが最も多く、195本中90本ありました。年2回が60本、年4回が14本、年5回が2本、年6回が3本でした。また、無分配(分配を行わない)のETFが25本でした。過去10年の間に、一般の投資信託において年12回分配金を支払う毎月分配型ファンドが数多く設定されてきたのとは対照的です。ただし、これは分配方針に記載されている分配頻度であって、分配実績とは異なります。

【ETFの分配頻度の分布】

(2015年12月末現在)

分配を行わないETF

 195本のETFのうち25本では、分配方針において分配は行なわない旨が明記されています。これらは金などの貴金属やとうもろこしなどの農作物に投資するタイプのETFです。ETFは、決算期間中に受け取った配当や利息などの収益から信託報酬などの費用を控除した全額を投資家に分配することが法律で定められていますが、現物の貴金属や農産物への投資においては配当や利息が発生しません。つまり、分配のための原資がないわけです。

【分配方針において分配を行わないとしているETF】

分配が行われないETF

 一方で、目論見書の分配方針において、分配を行うことを定めていても、実際にはその通りに分配が行われないことがあります。年1回分配を方針とするETFで、一度も分配が行われないケース、あるいは年4回や年2回など複数回分配すると定めていても、年1回しか分配が行われないというケースです。

 分配方針において分配を行うことを定めているのに、分配が行われないのは、ETFが受け取る配当や受取利息よりも経費が多いことが要因です。このようなケースには2通りあります。

1.今期ファンドが受け取った配当・受取利息が、今期の経費を下回ったケース

2.今期ファンドが受け取った配当・受取利息は、今期の経費を上回ったものの、前期から繰り越された分配準備積立金のマイナス分を補填することができなかったケース

 ETFでは、ファンドが受け取った配当・受取利息が、経費を下回った場合、分配金は支払われません(1のケース)。この控除しきれない経費は、分配準備積立金の負数として次期に繰り越されます。次期になって、ファンドが受け取った配当・受取利息が同じ年の経費を上回ることができたとしても、前期から繰り越した分配準備積立金の額(負数)を補填できなければ、再び分配は行われないことになります(2のケース)。

配当の計算を表にすると次のようになります。

● 当期配当等収益額 (A)
● 分配準備積立金 (B)
  ※ 前期控除しきれなかった経費の場合は負数
● 配当等収益合計額 (C) =(A)+(B)
● 経費 (D)
● 収益分配可能額 (E) =(C)-(D)
  ※(E)が負数の場合、分配は行われない
● 収益分配金 (F)
● 次期繰越金(分配準備積立金) (G) =(E)-(F)
● 口数 (H)
● 1口当たり分配金 (I) =(F)/(H)

 当期配当等収益(A)と分配準備積立金(B)を合計した配当等収益合計額(C)が、経費(D)を上回った分である収益分配可能額(E)がプラスであった場合、そこから収益分配が(F)が行われます。この収益分配金を口数(H)で除した値が1口当たり分配金として投資家に分配されます。

 なお、株式、債券、REITに投資するETFにおいては、分配方針通りの分配頻度で分配が実施されているケースが多いのに対し、レバレッジ型ETFでは年1回分配としているETFがほとんどです。ただし、通常では受取利息等の額が経費を上回る水準に達しないため、レバレッジ型ETFでは分配は行われていないケースが多くなっています。

どの頻度のETFを選択するか

 どの分配頻度のETFを選択するかは、投資家一人ひとりのニーズにより異なります。ただ、仮に、条件を全く同じくする年1回と毎月分配型のファンドを比べた場合、リターンがプラスであれば、毎月分配型では分配した分だけ運用されない部分の機会損失が生じるため、年1回のファンドの「基準価額」+「累積の分配金」の方が、毎月分配の「基準価額」+「累積の分配金」よりも多くなります。一方で、リターンがマイナスになった場合は損失が少なくなるため、毎月分配型の方が、結果的に収益性が高くなることもあります。

 定期的な分配金の獲得を目的としてETFに投資する場合には、分配方針だけでなく、分配実績を見たうえで、期待される分配が実施されてきているかを確認することが大切です。また、これまで高い分配が実施されてきたファンドであっても、日本とドイツがマイナス金利となったように世界的な低成長・超低金利時代において、分配金利回りは低下する可能性が高くなっていることも考慮すべきでしょう。

【第16回】ETFの分配金利回りはなぜ高いのか はこちら
【第18回】分配金利回りの高いETF はこちら

執筆:トーキョー・インベスター・ネットワーク 掲載日:2016年03月04日



   
    

特集

「証券アナリストの調査手法とこだわり」(全6回)

「証券アナリストの調査手法とこだわり」

証券アナリストの行動パターンをご紹介!個人投資家のリスク回避術を学ぼう。

特集を読む »

おもしろ企業探検隊

おもしろ企業探検隊

平林亮子&内田まさみの「そうだ!社長に会いに行こう」ナブテスコ株式会社

特集を読む »