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【第10回】ETFの三つのリターン - ETF

 

ETF [ ETFの基礎 ]

【第10回】

ETFの三つのリターン

最近では日本でも容易に海外のETFを購入することができるようになりましたが、海外のETFの運用報告書やホームページなどを読んでいると、「market return(マーケット・リターン)」、「nav return(ナビ・リターン)」、「index return(インデックス・リターン)」という3つのリターン(収益率)が頻繁に出てきます。これらの3つのリターンにはどのような違いがあるのでしょうか。

Market returnは取引所価格を基本にした収益率のことです。ETFの価格は取引所における需要と供給で決まります。投資家がETFを購入する際の価格は取引所価格で、その収益率のことをmarket returnと呼びます。

Nav returnは、ETFが実際に保有する株式や債券などの資産価値から算出される1口当たり純資産額(基準価額)を基本とした収益率です。

Index returnは、ETFが連動の対象とする指数の収益率のことです。指数には投資できませんが、参考として運用会社が収益率を算出しています。いずれの収益率の算出においても、税引前分配金を再投資したものとして算出されています。

ここでは、米国で最大のETFであるSPDR S&P 500 ETFを例に見てみましょう。同ETFのホームページでパフォーマンスの欄を見ると、次のような表が掲載されています。


この表は2010年8月末現在のSPDR S&P 500 ETFパフォーマンスを示しています。Index(指数)欄はファンドが連動の対象としている株価指数の「S&P 500 index(S&P総合500種指数)」の騰落率です。Market Valueは取引所価格、NAVは1口当たり純資産価値です。

過去1年の収益率を見ると、Index(指数)は4.91%上昇、Market Value(取引所価格)は4.81%上昇、純資産価値は4.86%上昇と、ファンドのパフォーマンスは指数に概ね連動していることがわかります。

ETFは、収益率の変化率が指数の変化率に連動するように設計・運用されていますが、取引所価格は市場での需給で決まるため、資産価値から算出される基準価額との間にわずかな違いが生じます。通常は、ETFの取引所価格と基準価額の間に乖離が生じた場合には、機関投資家による裁定取引によって乖離はすぐに解消される仕組みです。特に、SPDR S&P 500ETFのような純資産総額が大きく、流動性の高いETFにおいては、この裁定がよく効くと言われています。一方、流動性の低い資産に投資するタイプのETFや、市場の流動性の低いETFでは乖離が解消されにくいので注意が必要です。

また、ファンドが保有する資産価値から算出された基準価額(NAV)でみると、過去1年のNAVの収益率は4.86%で、Indexの4.91%を若干下回っています。ETFや他の投資信託では信託報酬や保有証券の売買委託手数料などの各種コストがかかりますが、Indexにはコストが発生しないため、NAVとIndexの収益率の間には乖離が生じます。


執筆:トーキョー・インベスター・ネットワーク(掲載日:2010年12月15日)


   
    

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