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投資部門別売買状況を振り返る - 市場の変化を読む - 投資信託

 

投資信託 [ 誕生から10年-市場の変化を読む ]

【第5回】

投資部門別売買状況を振り返る

今回はJ-REITの投資部門別売買状況の動向を振り返ってみます。次のグラフは、東京証券取引所が公表している2003年からの投資部門別売買状況(委託取引・金額ベース)の売り金額と買い金額の差額を示しています。投資部門は、個人、外国人投資家、証券会社、投資信託、金融機関、事業法人、その他の法人で構成されています。

最も特徴的な動向を示しているのが個人投資家です。個人投資家は2003年から2010年まで、一貫してJ-REITを売り越しています。特に2005年から2007年までの3年間は大幅な売り越しが続きました。この期間は、J-REITの分配金利回りが4%を下回るようになった時期でもあり、分配金利回りの低下により個人投資家にとって不動産投資信託の魅力が低下したことが一因だったと考えられます。

一方で、投資信託を見ると、2003年から一貫して買い越しています。これは、2003年7月に投資信託協会のルール変更によりリートを組み入れたファンド・オブ・ファンズの組成が可能になったためです。このルール変更を受け、リートファンドや不動産投信ファンドと呼ばれるリートを投資対象とする投資信託の設定が相次ぎました。2011年9月末現在、リートを組み入れたファンド・オブ・ファンズは169本に達し、純資産総額は4.5兆円を超えています。これらには、J-REITだけでなく、海外のリートを組み入れたファンドも多くありますが、これらの不動産投信ファンドを通してかなりの個人投資家の資金がJ-REITにも間接的に流入していると考えられます。

外国人投資家については、2003年、2004年と売り越しが続いた後に、2005年から2007年までの間は買い越しが続きました。特に、2006年と2007年には大幅に買い越しています。この時期は、不動産投資信託だけでなく実物不動産や不動産会社の株式への外国人の投資が増加した時期でもありました。しかし、2008年以降は米国のサブプライムローン問題の深刻化やリーマンブラザーズの破綻などにより外国人投資家の資金調達環境が変化したと言われており、それ以降は外国人投資家の売り越しが続いています。

金融機関は、国内においてはJ-REITの最大の投資家です。例えば、総資産額で国内最大REITである日本ビルファンド投資法人の投資口の所有者別状況を見ると、次のグラフのように金融機関が過半数を保有していることがわかります(2011年6月30日現在)。

一般に、金融機関の中でも地方銀行を中心とした銀行が積極的にJ-REITに投資してきたと言われています。その一因として、2002 年 12 月に全国銀行協会通達で、会計上、J-REITから生じる損益を本業の儲けを示す業務純益に算入できることが示されたことが挙げられています。ただし、2007年以降は配当利回りの低下、J-REITの運用会社の株主やJ-REITの破綻、リーマンショックなどの影響により売り越しや若干の買い越しにとどまっていました。2010年は分配金利回りが回復する中、金融機関は買い越しに転じました。


執筆:トーキョー・インベスター・ネットワーク(掲載日:2012年02月13日)

   
    

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