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投信フォーカス ETFに関わる3つの値段、市場価格は指数値には一致せず - 注目の投信(第106回) - 投資信託

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投資信託 [ 注目の投信 ]

【第106回】

投信フォーカス

ETFに関わる3つの値段、市場価格は指数値には一致せず

ETF(Exchange Traded Funds、上場投資信託)とは、株価指数をはじめ様々な指数の値動きへの連動を目指しながら、株式と同じように取引所に上場し、取引時間中での売買が可能なファンド(投資信託)のこと。現在、東証と大証に合計69本のETFが上場している。ETFが実際に組み入れているのは、国内の株価指数やREIT(不動産投資信託)指数の構成銘柄、海外株価指数や金価格などに連動する仕組みを持ったリンク債(仕組み債)など、投資対象の多様化が進んでいる。ETFの分配頻度は年1回、年2回に加え、年4回や隔月(年6回)も登場してきた。分配しないETFもある。新興国株や商品など海外資産を投資対象としていても、一般のファンド(投信)と同様に円建て価格で売買できるのも利便性の一つだ。

ETFの市場価格は"指数値"には一致せず――"変動率"が連動

ETFに関わる"値段"には3つの異なる価格が存在する。一つ目は(1)投資家が取引所を通じて実際に売買する際の値段となる市場価格、次に(2)ETFの投信としての時価を示す基準価額、そして三番目が(3)ETFが連動を目指す指数値(円換算値の場合もある)。3種類の値段の間には、指数値の変動は基準価額を通じて市場価格に反映されるという関係がある。

"ETFが指数と連動するということは、ETFの市場価格は連動する指数値に一致するように動くはず"――と考えがちかもしれないが、これは正しくない。ETFの市場価格は基準価額とのかい離幅が拡大しないように動き、さらに連動するのは指数値自体ではなく、指数値の変動率となる。3種類の値段の関係として重要な点は、市場価格が直接連動するのは指数値ではなく基準価額であり、基準価額はその変動率が指数値の変動率に連動する。結果的に、市場価格はその値自体が指数値と一致するよう上下するのではなく、変動率が連動指数の変動率に連動するような動きをとる。ETFの基準価額と指数値は値自体が一致する訳ではなく、一致しなくても変動率の差が小さければ連動上の問題はない。

ETFの運用会社は、基本的にETFの基準価額の日々の変動率が指数の変動率に一致するよう運用する。連動を目指すのは指数値の水準ではなく、あくまで変動率となる。これに対し、市場価格は投資家がETFの基準価額を取引所で売買する値段であり、原理上は、市場での取引価格と基準価額の間の乖離(かい離)が拡大しないように市場価格が動く。乖離幅は市場での売買活発度合い(流動性)などにより、広がったり縮小したりする。乖離があると基準価額に比べ割安・割高となり、投資家にとって有利・不利どちらにもなり得る。ただし、一般に流動性が低いと乖離しやすくなる傾向があると同時に、投資家がETFを自由に換金できないリスクも増す。

日経平均連動型ETFの市場価格には差異――ETFの分配方式が影響

例えば、日経平均連動型ETF5本の終値(3月19日時点)は7890円~8090円の間にバラつき、指数である日経平均の終値7945円と異なる。このETFどうしの値段を比較して、終値が安い日経平均連動型ETFの方が割安で、高いETFの方が割高とは一概に言えない。5本の基準価額の方も7951円~8108円と差がついており、基準価額との乖離を考慮したうえでないと割安・割高は判別できない。

ETFの基準価額が指数である日経平均と乖離する第一の理由は、日経平均が構成銘柄の配当金を含まずに株価のみで計算する指数なのに対し、ETFでは組み入れ銘柄の配当収入がETFの決算日まで基準価額に上乗せされるためだ。さらに、同じ日経平均連動型でも運用会社によってETFの市場価格が微妙に異なるのは、ETFの分配金の差異が関係している。日経平均連動型ETFについて昨年決算時での分配金をみると一口あたり、162円~218.5円の間にバラつき同額ではない。その他、市場での需給も市場価格に影響する。

"同じ日経平均への連動を目指し、同一の255銘柄をほぼ同比率で組み入れているはずなのに、なぜ分配金が異なるのか?"その答えは、ETF特有の分配金の決定方式にある。ETFの分配金は分配可能額を決算時点の総口数で割った額として定まる。株価指数連動型の場合、分配原資の配当金総額は組み入れ銘柄の配当権利確定日(注1)の口数で決まる。このため、ETFの決算時点(注2)の総口数が配当権利確定日(注1)に比べ増減すると、それだけでETFの一口当たりの分配金は薄まったり、増えたりする。この総口数は、ETF投資家による市場での売買動向とは関係なく、金融機関によるETFの組成や交換(解約)に伴い随時変動するため、一般投資家がETFの分配金の水準をあらかじめ知ることは難しい(ETF決算日の数日前に運用会社が分配金予想を公表している)。

(注1)配当権利確定日:日本株の多くは3月本決算期末と9月中間決算期末。
(注2)ETFの決算時点:日本株指数連動型ETFは、6月末に集中する企業の株主総会で配当金が確定され、実際に配当金を入手した7月に決算を行うのが代表的。

ただ、ETFの基準価額の水準自体が分配金の違いでバラついても、ETFの価値そのものに差異が生じる訳ではない。株式を直接組み入れたETFでは、決算で組み入れ銘柄の合計配当金から運用経費(信託報酬など)を控除した額を全額分配金として支払うが、分配金支払い後の基準価額は分配金の分だけ減額する。結局、分配金が異なっても分配金を基準価額に戻すよう足し込んだETFの価値は、指数との連動性が保持されている限りほぼ同等と言える。例えば、日経平均連動型ETF4本について、2008年1年間の分配金込み基準価額の騰落率(分配金再投資ベース)を計算すると、1本がマイナス41%で、残る3本がマイナス41.2%とほぼ等しい。これに対し、日経平均の年間騰落率はマイナス42.1%。日経平均の騰落率に比べ0.9%~1.1%上方乖離したことになるが、この差が配当金から運用経費を控除した分に相当する。

基準価額の公表は夕方――市場価格が需給要因にさらされ先行して変動

ETFの市場価格が基準価額に収れんするように動くといっても、基準価額の公表タイミングは一日一回、夕方以降であり、取引時間中には公表されていない。このため、日中のETFの市場価格は、指数値がどのように変動しているかその変動率も参考にしながら、投資家間の需給要因に影響されながら動くことになる。

市場価格は売買参加者の相場感や需給要因にも左右されるため、基準価額との乖離は少なからず発生するが、原理的には、先物と現物との関係のように、市場価格と基準価額との間の乖離が拡大すると、サヤ取り狙いの裁定取引が働き、乖離が解消する方向に動く。ただ、乖離には流動性が関係し、総じて売買が活発で流動性が高いと乖離幅は小さくなる傾向にある。日本株指数やREIT指数など国内資産で運用するETFの場合、日々のETFの終値(取引終了時点とは限らない)が夕方以降に公表される基準価額とどの程度乖離しているかで、ETFの市場価格と基準価額との連動性を測ることができる。

夕方公表となる海外資産ETFの基準価額は、実質前日時点

海外資産で運用するETFの市場価格と基準価額の関係には注意を払う必要がある。時差の関係で日本の取引時間が海外に先行し、基準価額は海外市場での取引が終わる前(もしくは始まる前)に公表となるからだ。しかも、ETFの市場価格は円で取引するため、連動するのは円換算した指数の変動になる。このため、日本の取引時間を中心に考えると、当日夕方以降に公表される基準価額の基になる指数値や円相場は、日本時間の当日午前中までに確定した値を採用している。この結果、当日公表される基準価額は実質的に前日の値となり、日本時間で取引されるETFの市場価格は基準価額に先行するうえ、それを一日程度飛び越して動くことになる。「ETFの年初来騰落率ランキング」で、特に海外株指数での乖離幅が目立つのは、需給関係や流動性要因以外にも、この時差要因が関係している。

市場価格は日中変動――投資成果は終値ベースに比べ有利・不利どちらにも

ETFは日中自由に売買が可能な半面、基準価額に対応する終値(取引終了時点)の売買は通常難しい。買った日の安値で買い、売り値は売った日の高値となるのがベストだが、ワーストとなる高値買い・安値売りの可能性も残り、投資成果はこの両極端の間に収まる。当日の終値ベースで計算される基準価額との乖離という観点からは、実際に売買する市場価格は投資成果に対しプラス(有利)、マイナス(不利)どちらにもなり得る。

ETFは運用経費の信託報酬が割安な点が特色ではあるものの、運用経費の安さが直接反映されるのはあくまで基準価額である一方、投資家が実際に売買するのは基準価額ではなく市場価格だ。市場価格は日中変動し、終値ベースの基準価額に比べて有利にも不利にも乖離して、不利なケースでは信託報酬程度の投資成果は吹き飛ぶことがある点は認識しておきたい。

関連記事:注目の投信(ニューフェース&フォーカス)よりETF関連を抜粋!!


執筆:QBR 高瀬浩(掲載日:2009年3月23日)

<注目の投資信託 ETF関連>

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