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投信ニューフェース 『上場外債』(日興AM) - 注目の投信 - 投資信託

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投資信託 [ 注目の投信 ]

【第126回】

投信ニューフェース

『上場外債』(日興AM)

――初の毎月分配型外債ETFが東証に上場。毎月分配型に投資家ニーズ。運用コストは格安。連動するのは代表的債券指数の「シティグループ世界国債インデックス(除く日本、ヘッジなし・円ベース)」

“日本を含まない”先進国債券指数(円換算)に格安運用コストで連動

日興アセットマネジメントが運用する同社10本目のETF『上場外債(1677) 』<正式名称:「上場インデックスファンド海外債券(Citigroup WGBI)毎月分配型」>が2009年9月30日に東証に上場する。毎月分配型のETFは国内初となる。売買単位は10口で、最低売買代金は当初50万円程度の見込み。信用取引も可能で運用コストの信託報酬は0.2625%(税込み)。外債で運用する国内設定の公募投信(確定拠出年金専用投信を除く)の信託報酬では最低水準の部類に入る。

上場外債」の運用で連動を目指すのは、海外債券指数として代表的な『シティグループ世界国債インデックス(除く日本、ヘッジなし・円ベース)』(以下、『世界国債インデックス』)。「世界国債インデックス」は現地通貨ベースの指数値を日本時間の午前中の円相場を採用して円換算したもの。「上場外債」の基準価額(注1)の変動率と「世界国債インデックス」の変動率が一致するよう運用する。「上場外債」の信託報酬は格安のため、「上場外債」の基準価額(注1)の変動と「世界国債インデックス」との間には長期的な連動性の高さが期待される。ETFの特性から、個人投資家が実際に売買する市場価格は基準価額に収れんするよう動くものの、市場での需給関係にさらされるため、売買値段次第では基準価額に対し、プラスとマイナス両方に乖離する。マイナス乖離の場合、信託報酬の格安メリットは吹き飛んでしまう可能性もある。さらに、毎月の分配金は税金分が目減りするうえ、自動再投資はできない。

(注1)厳密には、分配金込みの基準価額。

「世界国債インデックス」は、シティグループ・グローバル・マーケッツ・インクが開発した、世界主要の国債の値動きに利息収入を加えた投資収益(トータルリターンとも呼ぶ)を時価総額加重平均方式で指数化した債券インデックスだ。先進国の国債を構成銘柄とするため、組み入れ債券の格付けはすべて投資適格級で信用リスク(債務不履行リスク)が小さく、高格付けなのが大きな特色。2009年8月末時点の格付け別構成比は、最上位格のトリプルA格の国債が73%、ダブルA格9%、シングルA格が18%の比重(09年8月末、出所:日興アセットマネジメント販売用資料)。

国別では欧州と米国の国債が占める割合が大きく、通貨ではユーロと米ドルで大半を占めるのも特徴。通貨別比重はユーロ53%、米ドル31%、英ポンド8%、カナダ・ドル3%、その他5%(出所は同)となっている。

「世界国債インデックス」の採用国は“日本を含まない”。これに対し、毎月分配型外債ファンドの代表格「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」(国際投信投資顧問、信託報酬(税込み)は年率1.3125%)がベンチマーク(運用目標、注2)としているのは同じ「世界国債インデックス」でも“日本を含む”方。実際「グロソブ 」では、金融危機に見舞われた2008年末には為替変動リスクを抑えることなどを主眼に、日本の比重を18%近くまで高めたことがあった(この時のベンチマークの日本債券の比率は33%弱)。

(注2)「グロソブ」ではベンチマークへの連動を目指す訳ではない。

上場外債」の連動指数の“日本を含まない”「世界国債インデックス」は年金運用など機関投資家の間でもベンチマークとして多用されており、この指数への連動を目指す公募の債券インデックスファンドも珍しくない。古くから運用しているインデックスファンドには、2001年3月設定の「PRU海外債券マーケット・パフォーマー」(プルデンシャル・インベストメント)や、2001年10月設定の「年金積立インデックスファンド海外債券(ヘッジなし)」(日興アセットマネジメント)などがある(注3)。株式、債券、REITなど複数の資産に分散投資する資産分散型ファンドの海外債券運用部分でも活用されている。例えば日興アセットマネジメントでは、資産分散型ファンドの先駆けとなった「財産3分法ファンド(不動産・債券・株式)毎月分配型」(設定は2003年8月)の海外債券運用(全体の約25%の比重)において、「世界国債インデックス」への連動運用を行っている。

(注3)「PRU海外債券マーケット・パフォーマー」の信託報酬(税込み)は年率0.6825%、年1回決算(12月)で設定以降これまでに分配実績は無い。「年金積立インデックスファンド海外債券(ヘッジなし)」の信託報酬(税込み)は年率0.7035%、年1回決算(10月)で05年以降これまでに各年で10円(1万口あたり、税引き前)の分配金を出している。

仕組みはファンド・オブ・ファンズ形態、ニーズの高い毎月分配型を投入

上場外債」の運用の仕組みとしては「世界国債インデックス」への連動を目指す「海外債券インデックスファンド(適格機関投資家向け)」に投資するファンド・オブ・ファンズ(FOF)の形態を取っている。組み入れ債券の利息収入(円換算)を「海外債券インデックスファンド(適格機関投資家向け)」を通じて受け取り、運用経費を控除した全額を毎月分配することになる。2008年4月に東証に上場した中国本土株価指数連動型の「上場パンダ(1322) 」もFOFの形態を取っているが、今回の「上場外債」では、金融機関など大口の投資家は現金拠出でETFを組成し、解約時も現金で返金される新たな仕組みを活用している。大口機関投資家の換金自由度が増え、ETFの流動性もより高まる可能性がある。この仕組みは2009年7月のETF制度改正に基づくもので、これまではETFの解約時にETFの保有有価証券で返却する必要があった。

 <「上場外債」の運用の仕組みはファンズ・オブ・ファンズ形態>

(出所):「上場外債」有価証券届出書

「上場外債」の運用会社サイト:http://www.nikkoam.com/products/etf/lineup/wgbi

上場外債」が投資する「海外債券インデックスファンド(適格機関投資家向け)」の運用は、「年金積立インデックスファンド海外債券(ヘッジなし)」が投資しているマザーファンドと同じく、日興アセットマネジメントの東京拠点の債券運用チームが担当する。ただし同じ「世界国債インデックス」に連動しても、組み入れ銘柄や銘柄数などは異なる。「上場外債」の組み入れ国債銘柄数は当初数十程度の見込み。これに対し「年金積立インデックスファンド海外債券(ヘッジなし)」の方は536銘柄(09年8月末)。日興アセットマネジメントの今井幸英・商品企画部ETFセンター長はこの差異について「“世界国債インデックス”の構成銘柄をすべて揃えるには数百億円程度の資産規模が必要となる。債券指数連動型のインデックスファンドの特性は基本的に利回りと残存年数で決まるので、株価指数連動型と異なり全銘柄を指数通りに組み入れなくても高い連動性を維持することは可能」と説明する。

このFOFの仕組みを利用すると、税金による分配金の目減りを回避し、さらに利息収入の再投資効果がより高まるような無分配型の債券ETFの上場も技術的には可能とみられるが、日興アセットマネジメントは毎月分配型にした理由として「当社が事前に行ったマーケットリサーチでは、株式型ファンドよりも価格変動リスクの小さい海外債券型ファンドでは投資家の毎月分配金受け取りニーズが高く、この毎月分配受け取りニーズはETFでも変わらないことから、毎月分配型とした。さらに、ETFでは決算時近くの総口数の増減により一口あたりの分配金が増減するということが起こりうる。この増減があっても分配金を加えたETFの価値自体は変わらないものの、ETFの決算回数が少ないと増減が目立つ傾向が強まり、投資家が理解しづらい面がでてくる。実際、ETF先進国の米国の債券型ETFでは毎月分配型が主流となっているが、この分配金の増減をできるだけ避けるのもその理由の一つと思われる。」(今井氏)と話す。

ただし、「グロソブ」に代表される毎月分配型ファンドのように、過去の値上がり益や為替差益の蓄積などの繰り越し分配金を原資として分配金に充当し、毎月の分配金を一定額に保ったりすることはできない。ETFではインカムゲインに相当する組み入れ銘柄(もしくは投信)の利息収入や配当金は運用経費を除いてすべて分配する必要がある半面、組み入れ銘柄の値上がり益や為替差益を分配金に回すことはできない。

このため「上場外債」の分配金は、組み入れ債券の利息収入(運用経費控除後)を分配原資とし、分配金額は毎月変動する可能性がある。決算時点の円相場の影響を受け分配金が増減する可能性もある。ただこの点に関して、日興アセットマネジメントでは「毎月の分配金の変動はさほど大きくない範囲に収まる見込み」(今井氏)としている。決算は毎月10日で、初分配は2010年2月10日の予定。3営業日前の2月5日(注6)が初分配金の権利付き最終取引日となり、翌営業日の8日には、株式の配当落ち株価と同様にして「上場外債」の市場価格は理論上、(一口あたり)分配金の分だけ前日比で下落することになる。通常、予想分配金は決算日の3営業日前(決算日が2009年11月18日以前は4営業日前)までに取引所の適時開示情報閲覧サービスや運用会社のホームページなどで公表される。分配金の確定値は決算日の夕方以降に公表される。

(注6)2009年11月16日から実施の”株券等の5日目決済の廃止・4日目決済への一本化”に伴い、国内上場の株式・ETF・REITの権利付き最終取引日が基準日(決算日)の4営業日前から3営業日前にシフトする。

上場外債」の分配金は、売買値段にもよるが年間合計で当面4%弱程度が一応の目安となり(注4)、最低投資額の50万円に対して、年間合計で2万円程度(税込み)が概算値となる。ただ分配金も為替変動にさらされるため、円安だとその分増え、円高だと減額する。なお「グロソブ」など一般の外債投信だと分配金のうち、個別元本を割り込んで分配した金額は“特別分配”として非課税になるが、ETFの分配金にはこの特別分配の制度は無い。ETFの売買損益に関わらず、現行税制の源泉徴収方式では一律10%課税が適用される。ただし確定申告を行うことで、ETFの分配金を含む上場株式の配当金および株式投信の分配金と、ETFを含む上場株式の売却損益や株式投信の換金損益の間で損益通算が可能(2010年からは、源泉徴収ありの特定口座の中でも確定申告不要の損益通算が可能となる)。

(注4)債券“額面”に対する利息収入の割合を示す“平均クーポン”は4.18%(2009年7月末時点、出所:東証の「上場外債」説明資料)。債券“時価”に対する利息収入の割合を示す“平均直利”は平均クーポンよりもやや低めとみなし、さらにこれから運用コストの0.2625%が控除された分が分配金に回るとして試算。

長期的には長期金利動向、短期的には円相場がインデックス値を左右

「世界国債インデックス」は債券インデックスのため、その変動要因として投資国の長期金利の変動や円相場の影響を受ける。長期金利が低下すればインデックス値が上昇し、上昇するとインデックス値は下落するのが基本形だ(<補足>“金利上昇でなぜ債券価格は下がるのか?”を参照)。さらに、円高はマイナス要因で円安はプラス要因となる。短期的には円相場の影響を大きく受けるものの、長期には過去14年あまりの動きをみても、この間の米国やドイツなど主要国の長期金利低下基調と歩調を合わせるようにインデックスが上昇してきたことがわかる(約14年間で2.2倍に上昇)。さらに、この間の組み入れ債券の利息収入もインデックス値に上乗せとなってきた。

長期金利動向に関する留意点として、世界的に長期金利は数年前に比べ低下し、長期金利の下げ余地が全般に縮小している点が挙げられる。金融危機による深刻な景気後退を免れるため、世界各国は政策金利の大幅利下げを実施したためだ。足元の長期金利は、デフレ圧力が払しょくされない中、しばらく長期金利が低位で推移するという見方と、景気回復期待や財政出動を支える国債増発の需給悪化面から長期金利は上昇に向かうとする見方が対立するように、上下しながら推移している。さらに、海外先進各国の長期金利が下がると債券価格が値上がりし「世界国債インデックス」値自体は上昇するものの、分配原資となる利息収入の低下につながる点には注意が必要。先進国の政策金利の急低下と円急伸が響き、先進国の債券で運用する毎月分配型ファンドの分配金が軒並み減配となったのは記憶に新しい。

一般の外債ファンドを売買する際の基準価額は通常、売買申し込み日の翌営業日の基準価額を採用することが多い(FOF形態の場合、翌々営業日の基準価額の場合もある)。「上場外債」の当日の基準価額も、日本時間でみた前日の組み入れ債券時価を当日午前中の円相場で換算した値として、夕方以降に公表される。これに対し「上場外債」は日中の売買が可能なため、結果的に「上場外債」の基準価額に先行する形で、円相場の変動や海外金利動向をにらんで、市場での需給関係の影響を受けながら取引価格が形成される。一般に海外資産で運用するファンドでは、海外市場の休業日(クリスマスやイースターなど)には売買申し込みができない場合があるが、「上場外債」などETFでは日本の全営業日で売買が可能なのも利便性の一つと言える。ただし海外市場に急変が起こっても、祝日など営業日以外に売買できないのは一般の公募ファンドと同様の制約事項となる。

外債ファンドと他資産の分散投資効果も回復基調

上場外債」など外債ファンドと他資産との資産分散効果は、昨年の金融危機の際のボラティリティー(価格変動リスク)急上昇で消え去ったかに見えたが、最近はどうか。分配金を受け取らないで再投資したと仮定した場合のケースだが、「世界国債インデックス」と日経平均、国内REIT指数(注5)について、過去5年間のボラティリティーおよび3資産間の連動性の関係を分析してみた。

昨年の金融危機で一気に高まったボラティリティーはいずれも低下してきた。次に連動性を統計的に示す相関係数をみると、「世界国債インデックス」と日経平均の間の相関係数はそれほど下がっていない。日経平均とユーロ・円相場、日経平均と米ドル・円相場の間には、連動性が比較的高い局面がたびたびあったことが影響しているとみられる。一方、「世界国債インデックス」と国内REIT指数、国内REIT指数と日経平均の間の相関係数は低下傾向にある。ボラティリティーと相関係数の全般的な低下により、各資産の比重にもよるが、異なる値動きの傾向をとる複数の資産を組み合わせることで、価格変動リスクを抑えながらより高めのリターンを追求するという“分散投資”本来の効用は回復しつつあると言えそうだ。

(注5)「世界国債インデックス」は、日興アセットマネジメント「年金積立インデックスファンド海外債券(ヘッジなし)」の分配金込み基準価額を採用。日経平均は配当金を含まない。国内REIT指数は「QUICK REITインデックス(配当込み)」。

(補足)金利上昇でなぜ債券価格は下がるのか?
市場金利が上昇すると債券の利率(100円など債券発行額面に対する利息の割合、クーポンとも呼ぶ)が上がるので債券価格も値上がりするのでは――というのは間違いやすい誤解だ。確かに、通常市場金利が上昇するとこれから新たに発行する債券の利率は上がる。ところがこれに対し、発行済みの既存債券の利率は発行時に何%と決まっており、満期まで変わらない。このため、仮に金利上昇時に新たに既存の債券を購入する場合、債券価格が下がらなければ、利率の低いままの既存の債券を買うよりも、利率が高くなった新規発行債券を購入する方が有利になる。この結果、新規発行債券と同じ利回りとなるまで、既存の債券の市場価格は下がるように動く。これは、既存債券では債券価格が下がらないと利回りが上がらないことに対応する。反対に、市場金利が低下すると債券価格は通常上昇する仕組みになる。

関連記事:注目の投信(ニューフェース&フォーカス)よりETF関連を抜粋!!


執筆:QBR 高瀬 浩(掲載日:2009年09月29日)

 
   
    

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