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投信ニューフェース 『上場MSCIコクサイ株』『上場MSCIエマージング株』(日興AM) - 注目の投信 - 投資信託

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投資信託 [ 注目の投信 ]

【第141回】

投信ニューフェース

『上場MSCIコクサイ株』『上場MSCIエマージング株』(日興AM)

――――個人投資家待望の海外株ETFが東証に上場。海外株式市場全体を1万円程度から売買可能に。世界水準の低コスト運用を行い、株式配当金に関わる税制上の不利益を解消するため、世界各国の株価指数先物を多用する方針。

日興アセットマネジメントが個人投資家待望の海外株価指数連動型ETFを世界水準の格安運用コストで投入。少額資金で日本以外の全世界の株式市場をまるごと購入可能。

日興アセットマネジメント(以下、日興AM)が運用する『上場MSCIコクサイ株(1680)』<正式名称:「上場インデックスファンド海外先進国株式(MSCI-KOKUSAI)」>が2010年1月29日に東証に上場。続いて1ヵ月後の2月24日には『上場MSCIエマージング株(1681) 』<正式名称:「上場インデックスファンド海外新興国株式(MSCIエマージング) 」>が同じく東証に上場する。信用取引による売りと買いも可能となり、売買単位は共に10口で最低売買金額は1万円程度となる見込み。ネット投資家を中心に、インデックス運用に関心が高い個人投資家が登場を待ち望んでいたETFだ。しかも格安の運用コストが大きな売り物となる。両ファンドの信託報酬(0.2625%、税込み)は現在、国内で購入できる米国籍の同タイプETFと遜色のない低水準だ。

円換算したうえで連動対象となる「MSCIコクサイ株価指数(MSCI Kokusai Index)」は日本を除く主要22ヵ国(現在)の株式市場の平均的な動きを示し、採用銘柄の合計時価総額(注1)の変動を計算する株価指数。「MSCIエマージング株価指数(MSCI Emerging Markets Index)」は新興国22ヵ国(現在)の株式市場の平均的な動きを示し、同じく時価総額型の株価指数。世界的な指数提供会社の「MSCI.Inc」が算出している。日本を除く海外先進国全体および新興国全体の株価変動を表す指数として最も普及している指数の一つとされる。

(注1)指数の計算で使用する個々の銘柄の時価総額は、株価に発行済み株式数を掛け合わせた額ではなく、発行済み株数から固定的な政府保有株数などの大口株数を引いた、実際に売買が可能とみられる株(浮動株)数を掛け合わせた浮動株数調整(free float adjusted)後のもの。

MSCI社の株価指数は、国内公募の株式投信でも運用目標のベンチマークとして古くより採用されている。「MSCIコクサイ」をベンチマークとするインデックスファンドおよびアクティブファンドは現在60本強あり、純資産残高は計2千5百億円程度に達する。「MSCIエマージング」をベンチマークとするインデックスファンドおよびアクティブファンドは20本強、純資産残高は計1千6百億円程度。日興AMが2001年10月から運用している「年金積立インデックスファンド海外株式(ヘッジなし)」(税込み信託報酬は0.882%)、2008年4月から運用している「年金積立インデックスファンド海外新興国(エマージング)」(税込み信託報酬は0.8925%)も、それらの一例。

「MSCIコクサイ」指数が組み入れ対象とする海外先進国株の時価総額は合計約1700兆円に達し、東証1部株価指数(TOPIX)の10倍程度(注2)。そのうち、米国株の比重が約半分強を占め、日本を除くG7諸国をはじめとする上位10ヵ国の株式が94%程度を占める。組み入れ銘柄数は1300以上。「MSCIエマージング」指数採用銘柄の時価総額は計280兆円弱でTOPIXの約1.6倍の規模。ブラジル・ロシア・インド・中国のBRICs4ヵ国で全体の約5割、他に韓国、台湾、南アフリカ、メキシコ、マレーシア、イスラエルを加えた10ヵ国(地域)で全体の9割の比重を占める。組み入れ銘柄数は700以上。つまり、今回のETF『上場MSCIコクサイ株(1680) 』と『上場MSCIエマージング株(1681) 』の両方に約1万円投資すると、あわせて2万円程度の資金で世界44ヵ国の2000銘柄以上、市場規模が日本(東証1部)の約12倍近い海外株式市場全体にアクセスすることが可能となる。

(注2)東証のETF説明資料の数値(09年12月1日時点)を円換算、時価総額は浮動株数ベース。TOPIXの時価総額(12月1日時点)も浮動株数ベース(TOPIXの発行済み株数ベースの時価総額は300兆円弱)。

上場MSCIエマージング株(1681) 』の上場日が1ヵ月後の2月下旬になるのは、「投資国によっては、現地証券口座の開設申請手続きをファンド設定・運用開始後に受け付ける国があり、その準備期間を設けた」(今井幸英・日興AM商品企画部ETFセンター長)ため。

投資国に納める株式配当金に対する源泉課税分の目減りや株式の売買・決裁コストを限定化するため、投資対象各国の株価指数先物と金利運用を駆使し、現物株での運用と遜色の無い運用を目指す。

運用形態は日興AMが運用する国内籍のファンドに投資するFOF形態で行う。投資先のファンドで実質的な指数連動運用を行う。同時に組み入れる「マネー・アカウント・マザーファンド」はFOF形態にするうえでの付随的なファンドで、組み入れ比率はごくわずか。FOF形態にする理由は、「投資先のファンドを将来的に他のETFからも買い付けられるようにする。新しいETF商品の展開をしやすくし、投資先ファンドの拡大に伴う規模の利益(管理コストの低減)を追求する」(今井氏)ためという。

さらに今井氏は、「日本株ETFのように、海外株式の現物を拠出してETFを設定するスキームにする場合、設定者が現物株(海外株式)をETFの口座に振り込むことになり、海外の各振替機関にて設定者の口座とETFの口座間での株式の振替(所有の移転)が発生する。ただこの時、振替の指図後に実施される現物株の受け渡しが何らかの理由により失敗する(履行されない=フェイルする)ことが往々にして起こりうる。日本でその振替失敗が分かった時には、海外の各振替機関は既に業務を終了している時間にあたり、リカバリーが効かない。そもそも国によっては株式の振替が制度的にできない国もある。振替できない部分の代わりに現金をETFに拠出するという方法も考えられるが、日本の現行制度上、現物株と現金双方を混合して拠出する仕組みのETFの組成ができない。米国では現物株と現金双方の混合拠出が可能となっている。今回のETFは現金設定・現金償還型のETFだが、日本の現行ETF制度の下では現実的な仕組み」と説明する。

『上場MSCIコクサイ株(1680)』『上場MSCIエマージング株(1681)』はFOF(ファンド・オブ・ファンズ)形態で運用

(出所)日興アセットマネジメント、運用会社サイト:http://www.nikkoam.com/products/etf

ただETFが株式に直接投資するにせよ、ファンドを通じて投資するにせよ、株式が出す配当金(注3)に対しては、投資先の各国に源泉課税(現在の税率は各国まちまち)を納める(注4)。

ただし租税条約の取り決めがある国においては、税率の低減や還付ができる国がある。例えば米国の場合は、非居住者の米国株配当に対する課税率は30%だが、租税条約のある国の投資家への適用税率は低減税率(日本人の場合は10%)になる。このため、一般の国内籍公募投信が米国株を組み入れた場合、10%の低減税率(現在)が適用されているが、これは日本の投資家のみが100%保有するということが前提になっている。一方、国内の取引所に上場するETFは、海外居住者が海外から自由に売買できる。この時に例えば米国株の配当課税を10%の低減税率で処理した場合、結果として租税条約上の恩典を受けられないはずの海外投資家にも恩典が及ぶような商品性になっていると、各国課税当局から指摘を受けるリスクがあるといった背景があるようだ。

このため、「もしETF(投資先ファンドを含む)で現物株を保有した場合は、低減税率方式をとる国の配当金に対し、現状では、租税条約上の恩典を受けない高率な方を選択せざるを得なくなる。これでは運用効率が落ちてしまい、投資家の利益が損なわれる可能性がある」(今井氏)。そこで運用効率の低下を限定化するため、日興AMは『上場MSCIコクサイ株(1680) 』『上場MSCIエマージング株(1681) 』の投資先ファンドの運用において、各国の株価指数先物と短期金利を使った運用を駆使する。現物株拠出に固執していては決して生まれない、発想の転換による新たな指数連動型運用手法とも言える。

また、特に海外株式売買においては売買や決裁コストが高くつく。これに対し先物の運用では、複数銘柄の現物株式売買に代えて一本の先物で売買することになり、売買や決裁コストをセーブ(節約)することにもつながっているという。今井氏は「MSCIワールド(日本を含まないMSCIコクサイについて、日本を除く前段階の先進国23ヵ国の指数)やMSCIエマージングの先物はロンドン市場に上場しているが流動性が低い。投資先ファンドに組み入れるのはあくまで各国を代表する株価指数先物。現物株にも投資するが先物運用が軸となる。国によって適当な先物が無い場合、欧米上場のETFを限定的に組み入れる場合もある。米国株については、現物株をほとんど組み入れない見込み」と説明する。

この今井氏の説明を裏付けるように『上場MSCIエマージング株(1681) 』の目論見書の“投資対象とする投資信託証券の主な投資方針”の部分には、“・・・内外の短期公社債などに投資しつつ、株価指数先物取引に係る権利を中心に投資・・・”という記載がある。

「なお『上場MSCIコクサイ株(1680) 』『上場MSCIエマージング株(1681) 』では、年1回の決算時(1月)に、ETFを保有する日本人および各国居住者の比率が判明する。租税条約上の恩典を税金還付によって与えている国に対しては、ETFでの日本人保有分(全体での日本人保有比率分)についてのみ、納めた株式配当源泉税の一部を還付請求することができる。ただし還付が認められるかどうかは各国の税務当局の判断に委ねられ、還付されるとしても時間を要する」(今井氏)。

「先進国債券指数連動型の『上場外債(1677) 』では、債券利息収入に対する源泉課税に対処するため、現在、米国債券部分はユーロ市場で流通している源泉税が無いユーロドル債を組み入れている。他国の国債に関しては源泉税が無い国の債券を選択的に投資している。中国株指数連動型の『上場パンダ(1322) 』については、中国株の配当金に対しては現在10%源泉課税され、還付請求はできない」(今井氏)。

(注3)「MSCIコクサイ」と「MSCIエマージング」指数の実績配当利回り(現地源泉課税徴集前)は過去4年間の平均で2.5%前後。

(注4)現在国内で購入できる米国籍ETFにおいても、組み入れ株式の配当金に関し、米国からみた米国株以外の海外株については、租税条約に基づく源泉税を納めるのが一般ルールのようだ。このため、ETFの分配原資となる株式配当金については、米国株以外は一定の税率による源泉課税額を差し引いた(徴収後の)配当金がETFの分配原資に回る。米国籍ETFに関し、日本居住者が海外株式配当金に対する源泉税を取り戻すための制度上の一般的な手段は存在しないとみられる。

現物株を組み入れるのではなく、こうした先物を使い株価指数の変動に連動させる運用は決して珍しくないようだ。先物で現物株指数運用を模擬できる背景には、株価指数先物の理論価格と現物株価指数と配当金、短期金利の間には密接な関係があるためだ(注5)。この理論的な関係式をたよりに、指数先物価格と現物株価指数値、各国の短期金利の関係をうまく調整すると、投資先ファンドの運用成績は、現物株価指数の変動に源泉課税前の配当金が上乗せされたものになるというのが運用のエッセンスのようだ。

(注5)株価指数先物の理論価格 = 現物株価指数 + 先物満期までの短期金利収入 - 先物満期までの現物株価指数に対する配当金収入

分配方針として『上場MSCIコクサイ株(1680) 』と『上場MSCIエマージング株(1681) 』は共に、現地源泉課税が徴収された配当金に源泉税の還付金と先物運用での短期金利収入を加え円換算し、それから運用経費を除いた額を1月の決算で分配する。先物を多用するため、金利収入次第で分配金は少額にとどまる可能性がある。

先物運用では株価指数先物取引の満期(最終取引日)が訪れるごとに次の限月に切り替える限月切り替え(ロールオーバー)が必要となる。限月切り替えが低コストでスムーズに進むかどうかも運用の鍵になる。先物運用でMSCI指数採用銘柄の現物株運用を完全に模擬できたとすると、(国内税引き前分配金込みの)基準価額の変動は、現地源泉課税前の配当金込みMSCI指数値の円換算値に理論的には一致するよう近づくはず。日興AMの運用力の見せ場となる。

ただ、日興AMが運用でMSCI指数(円換算値)への連動を目指すのはあくまで基準価額。その一方、個人が東証で売買する価格は基準価額そのものではなく、株価と同様に時々刻々と変動する市場価格だ。ETFは一般原理として、中長期的に市場価格と基準価額との乖離が広がらないように変動するという仕組みを内包するが、市場価格は需給関係にさらされながら上下変動する。基準価額は一日一回夕方以降に公表され、しかも、先物など前日の海外市場時価を、日本時間当日の午前中の円相場で円換算した値であり、取引時間からみると過去の時価。こうした点からも、市場価格が、基準価額の理論値に比べ、格安運用コストや海外配当金の源泉課税分以上に乖離することは常に起こり得る。

「MSCIエマージング(円換算)」は10年間で約2.4倍に。「MSCIコクサイ(円換算)」は10年前の水準を回復。

現地源泉課税前の配当金を含むMSCI指数の動きをみると、日経平均が半分近くまで下がったこの10年間に「MSCIエマージング(円換算)」は約2.4倍に上昇。ただ2008年の落ち込み方(下落率は約6割)は厳しく、2007年秋の高値はまだ回復していない。「MSCIコクサイ(円換算)」の方はほぼ10年前の水準に戻した。

日興AMのETF全12本の価格変動リスクを分析――「上場パンダ(1322) 」、「上場MSCIエマージング株(1681) 」の順に大きく、「上場MSCIコクサイ株(1680) 」は日経平均並み。「上場外債(1677) 」がリスク最小。

日興AMが運用するETFはこれで12本になる。全ETF12本について連動指数(海外指数は円換算)の価格変動リスクを過去4年間で測り、大きい順に並べてみる。リスク最大は中国株指数連動の「上場パンダ(1322) 」で日経平均連動型「上場225(1330) 」の約2倍の大きさ。「上場パンダ(1322) 」の連動指数は過去4年間のうち、年間100%を超す上昇が3年あるが、2008年は7割の大幅下落を記録した。

上場MSCIエマージング株(1681) 」のリスクは2番目に大きかったが、「上場パンダ(1322) 」に比べると小さい。リスクの高い新興国株式市場への投資においても、複数国への地域分散や銘柄分散が効いたとみられる。その半面、新興国株式相場の上昇局面での上昇率は「上場パンダ(1322) 」に及ばなかった。4年間で3.6倍に上昇した「上場パンダ(1322) 」に対し、2割程度の上昇だった。「上場MSCIコクサイ株(1680) 」のリスクは、ほぼ日経平均連動型の「上場225(1330) 」並みの大きさ。騰落率の方をみると、2009年は「上場225(1330) 」の2倍となる約4割の上昇率を記録。過去4年間の騰落率(15.7%の下落)は、リスク最小の「上場外債(1677) 」の約4%上昇に次ぐ4番目の成績だった。

日興AMのETF全12本の連動性(相関係数)を分析――リスク最大の「上場パンダ(1322) 」およびリスク最小の「上場外債(1677) 」とその他との連動性が低い結果に。

同じようにして日興AMが運用する全ETF12本(円換算した連動指数)の間の連動性を、相関係数と呼ぶ連動性を示す統計値で測ると興味深い結果が浮かび上がる。リスク最小の「上場外債(1677) 」とリスク最大の「上場パンダ(1322) 」が共に、他のETFとの連動性が低めとなった。あくまで過去4年間の結果だが、リスクが小さめで他との連動性も低めの「上場外債(1677) 」は、他と組み合わせた全体のリスクを低減しながら収益向上を目指す分散投資には一定の効果を発揮することになる。ただリターンを追求する以上、いくら分散投資しても元本割れリスクが消える(ゼロになる)ことは無い。さらに価格変動リスクや連動性は計測期間によって大きく変動する場合がある。世界的な金融危機が吹き荒れた2008年はほとんどの資産で価格変動リスクが大幅増大し、資産間の連動性も高まった。このような異常事態が起こることもある。

上場パンダ(1322) 」と他の相関が低めになったのは、中国本土株式市場が部分的にしか海外投資家に開放されていないことや、中国が世界経済の牽引役を担うようになってきたことから、中国本土株式相場と世界の株式市場の間に変動の周期的なズレが生じたことが影響したとみられる。ただいくら他との相関が低めといっても、リスク最大の「上場パンダ(1322) 」を組み入れた場合、その比率にもよるが全体のリスクは「上場パンダ(1322) 」組み入れ前に比べ高くなることが一般に想定される。

上場MSCIコクサイ株(1680) 」および「上場MSCIエマージング株(1681) 」との連動性がやや低め(表の○印)となったETFは双方一緒で、「上場外債(1677) 」「上場Jリート(1345) 」「上場新興(1314) 」「上場パンダ(1322) 」の4本だった。

関連記事:注目の投信(ニューフェース&フォーカス)よりETF関連を抜粋!!


執筆:QBR 高瀬 浩(掲載日:2010年01月26日)

 
   
    

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