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三井住友信託銀行のファンドラップ・セミナー。下振れリスクを抑えた国際分散投資を強調

投資信託 [ 注目の投信 ]

 

 去る9月27日(土)、東京大手町で三井住友信託銀行のファンドラップ・セミナーが開催された。題して「人気のヒミツ教えます!今、話題の『ラップ口座』セミナー」。

 休日の土曜、しかも午前中だというのに、100名近くの参加があったのは少し驚きだ。ラップ口座の運用資産残高は業界全体で1年前に比べ倍増と急拡大している。セミナー参加者の多さからも、投資家の関心の高まりがうかがえる。参加者の年齢層としては、60才前後の男性が多かったように見受けられ、女性の姿もあったが全体の1割程度だった。中には20代後半とおぼしき青年や若い女性の姿もちらほらと。

「三井住友信託銀行・ラップセレクション」の預かり残高推移

「三井住友信託銀行・ラップセレクション」の預かり残高推移


■第1部「資産運用のトレンド紹介」。「下振れリスクを抑えた国際分散投資」の有効性

 セミナーは3部構成で進んだ。第1部はファンドラップを統括する投資顧問業務部長・太田剛氏による「資産運用のトレンド紹介」。

 日本経済がデフレを脱却しインフレの扉を開けつつあることに加え、少子高齢化の加速でGDP(国内総生産)の世界シェアが低下していることや経常収支の悪化を背景に、円安要因が顕在化している点、さらには金利上昇への備えが重要になるなどをかいつまんで説明。資産運用では、こうした経済環境の変化に対応するには「下振れリスクを抑えた国際分散投資」が有効となることを強調した。

■第2部「金利・為替の中期展望」。中長期的な円安・ドル高を見込む

 第2部は、為替相場動向のメディア向け解説などで活躍中の同社マーケット・ストラテジスト、瀬良礼子氏による「金利・為替の中期展望~経済・市場の流れを読み解く」。

 専門的な金融用語の使用が避けられないテーマながらも、要領よく解説。今後日本は人口動態が変化し、以前の日本とは逆に資金不足世代の数が資金余剰世代を上回ることから、金利に上昇圧力がかかる。ただ、世界では資金不足世代と余剰世代がほぼ均衡するため、金利は横ばいをたどるとし、結果的に、金融のグローバル化の影響を受け、日本の金利上昇圧力はやや緩和される、と読み解く。

 そのうえで、ドル・円相場に関しては購買力平価の考え方をベースに、日本がデフレを脱却し日本の物価上昇率が米国を上回るなら、中長期的な円安・ドル高を見込むと説明した。

■第3部「急増するラップ口座のヒミツ」。4資産分散の中庸なパフォーマンス

 第3部が「人気のヒミツ」セミナーのハイライトの「急増するラップ口座の"ヒミツ"~ラップ口座の活用方法をご紹介」。

 講師の投資顧問業務部・小宮山真司氏は、カラダならぬ投資の「体幹」を鍛えるとして、具体的な数字を答えるクイズから入り、参加者の関心をぐいぐい引きつけた。

 Q1:(1985年以降の期間で)国内株式の長期リターンは年平均約2%だった。この時、国内・海外の株式・債券の4資産に分散投資した場合の長期リターンは?
 A1:年平均5・5%で、国内株式を上回った。

 Q2:日本株式の最大下落率は?
 A2:時に年4割下がる。

 Q3:資産配分が運用成果を左右する割合は?
 A3:運用成果の9割を資産配分が左右する。

 クイズの答えを切り口に、小宮山氏は「分散投資と長期投資が資産運用で有効」を示す具体例を、説得力のある数字と共に小気味よく繰り出していく。

■分散投資によるリスク軽減や価格変動リスクを抑制する具体例

 「標準偏差」という価格変動リスクを示す専門用語をさりげなく使いながらも、「分散投資によるリスク軽減の本質」をつく説明を次のように行った――国内債券・海外債券・国内株式・海外株式の4資産に均等配分した「4資産分散」の標準偏差の大きさが、4資産個々の標準偏差を足して4で割った数値(4資産平均)よりも小さくなる。

 「価格変動リスクを抑制する」具体例としてはこんな数字も。1000万を投資して50%上昇した後に50%下落。上げ下げ足して変化無し(変動率=0%)と勘違いしやすいが、実際には250万円の損失(1000万円×1.5=1500万円。1500万円×0.5=750万円)。

 一方、上げ下げ足すと同じ0%だが、上げ下げの幅が小さい10%上昇の後10%下落だと10万円の損(1000万円×1.1=1100万円。1100万円×0.9=990万円)にとどまる。「損失は許容できる損失の範囲に抑えることが大切」であることをうまく表現した。

 この他、「長期で保有するほど元本割れの確率が下がる傾向があり、プラスリターンになる可能性が高まる」ことや、資産別年間騰落率ランキングの推移を基に、好調資産と不振資産の顔ぶれは毎年のように入れ替わるので、収益のけん引役を予測するのは困難だが、こうした中でも4資産分散は中庸な実績を上げた点を数字で説明。

■三井住友信託銀行ファンドラップ・サービスの運用成績

 このように「リスクを知り、リスクを上手に取り続けることが資産運用の秘訣」になるとまとめたうえで、最後に三井住友信託銀行ファンドラップ・サービスの内容を簡潔に紹介。同社サービスは、顧客のリスク許容度に応じて、基本5コースを用意し、専用の投資信託を組み合わせて運用する。5コースそれぞれについて、ヘッジファンド型投信などを組み入れるかどうかで、合計10コースを用意している。資産の配分比率を基本比率に戻すリバランスと呼ぶメンテナンスは定期的(3ヵ月毎)や臨時に行い、組み入れ投信も定期的に見直す。

 気になる運用成績は、8月末までの約1年間(2013年9月末から)で国内株価指数が8・4%上昇した中、「中庸コース」は8・6%上昇し、「保守的コース」は6・7%の上昇。ただ、値動きのグラフをみると、国内株価指数の変動が荒っぽかったのに対し、両コースとも「下ブレを抑えながら安定的に上昇」してきたことを強調。

 その他、同社独自のサービスとして、プロフィットロックやロスカット設定機能があり、毎年発生する固定報酬率は500万円契約の場合、年1.512%(時価500万円の場合は年約7万5千円)だが、3年目からは3割引きとなることや、ガン・介護保険を無料付加するサービスを用意しているなどを紹介。

■質疑応答。フォンドラップ・サービスの核心に迫る質問3点

 講師の説明終了後に質疑応答の時間があったが、最低投資金額が500万円であり、年間費用が発生するファンドラップのセミナーだけに、会場からの質問はサービスの核心に迫るものだった。

Q:説明資料にある「保守型コースの約1年リターン=6.7%」(2013年9月末~14年8月末)は組み入れ投信の運用コスト(信託報酬)やサービスの固定報酬を控除したものか?

A:組み入れ投信の運用コスト(信託報酬)を控除した実績値だが、年間の固定報酬は差し引いていない。

Q:「積極的コース」の約1年リターンは?

A:8月末時点で10%。

Q:リスクの異なる複数のファンドラップのコースを複数契約することは可能か?

A:顧客のリスク許容度に応じた資産運用を行うファンドラップの考え方に沿って、1契約=1コースが原則。それでも、リスクの異なる商品を組み合わせたい場合は、ファンドラップとは別の個別投資信託の選択を提案している。


(セミナー風景写真)

(第1部)

(第1部)

(第2部)

(第2部)

(第3部)

(第3部)



QBR 高瀬浩(掲載日:2014年10月23日)

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