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投信フォーカス “投資信託は長期投資”ばかり言うのをやめよう――カブコム証券臼田氏の提言 - 注目の投信 - 投資信託

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投資信託 [ 注目の投信 ]

投信フォーカス

“投資信託は長期投資”ばかり言うのをやめよう

――カブコム証券臼田氏の提言

ネット証券4社は今年3月、投資信託の販売を共同で推進する「ネット証券4社共同プログラム資産倍増プロジェクト」を立ち上げた。4社は共同イベントの開催やキャンペーンの実施、共同広告などのPR展開を通じて、投信の販売シェア拡大したい考えだ。4社の1つであるカブドットコム証券(8703)の執行役営業本部長臼田琢美氏は、その目的を一言で言うと「ネットで投信を買う魅力を伝える」ことだと語る一方、投信が現状抱える問題点についても厳しい目を向ける。その具体的な中身と改善策について、同氏の見解を聞いた。

■投信でもロスカットでリスク管理すべき

最近投信の問題点を指摘する発言が目立ちますが、具体的に投信の何がいけないのですか。


カブドットコム証券
執行役営業本部長
臼田 琢美氏

臼田氏:

まず、投信といえば長期投資や分散投資、ポートフォリオやアセットアロケーションとみな言うことが同じ。いまだにそれしかないように言われるのはおかしい。長期投資に反することを言うのはタブーかのような風潮さえある。

長期投資について言えば、証券会社が短期売買ばかりさせている販売方法へのアンチテーゼ的な意味合いから出てきた側面がある。これはこれで正しい。苦言的な意味合いから聞こえもいい。ただ、投信は株とは違って保有コストがかかる。例えば、日本株のインデックスファンドを長期で保有するより日本株に直接投資したほうが、保有コストがかからないメリットがある。その意味で株の直接投資のほうが合理的だ。

あとは投信会社や大口運用での理屈がある。長期間にわたって信託報酬が安定的におちる投信会社にとっては、長期保有を黙ってしてくれるほうがありがたいからだ。

当社の顧客は震災の急落直後にインデックス型やブルベア型を買ったり、為替が極端に円高に振れたら外貨ものを買ったりしている。新興国のインデックスファンドも価格が上がるときは大きく跳ね上がる魅力ある商品だ。要は投信を使ってマーケットの波で売買している。投信でもその時どきの金融情勢、パフォーマンスを見て投資して悪いわけがない。実際、プロでも個人でもそういう投資家が大勢いる。

せっかく投信という投資対象や特性の幅広い商品があるのに、自分のニーズに合った使い方をしないのはもったいない。投信といえば長期投資、分散投資しかないというのは思い込みの世界。長期投資、分散投資は成功を求めているのでなく、失敗を防いでいるだけ。なんとなく平均(の成績)でいけばそれが成功という世界だ。それが悪いというわけではなく、そればかり言ってると興味を持ってもらえない人も沢山いるということ。株式投資のみの人にも、もっと投信を使って分散したり、多様な投資対象を活用することを勧めている。

株式ならデイトレーダー、ファンダメンタリスト、株主優待狙い、と色んな考え方やアプローチがあるのに、投信は表に出てくる話が偏っている。でも、現実には投信ももっと多様な使われ方をしているのに、ずっと同じような話ばかりというのは発展を阻害すると思う。

業界には、現実に即していない長期投資ばかり言うのは考え直して欲しい。

長期投資に関連して言えば、もう一つ声を大にして言いたいのは、投信でもロスカット(損切り)でリスク管理すべきだということ。

投信と言えども資産運用なのだからリスク管理は大事。失敗したと思ったときは、早めに傷を拡大させない処置をとることも考えるべき。長期投資の投資信託だから放置して良いなんてありえない!大きく損する、失敗するのは、どのような商品であれ悪い状態で長期間放置した結果。他のことより、ここをもっと意識して欲しい。

投信は長期投資だからとロスカットが遅れたり放置して損失が拡大する弊害を、もっと考えなければならない。

 

■ETFの夜間取引を熱望

投信に関する考え方が画一的になるのは、フルインベストメントやロング中心の商品構成にも問題があるのでは。

臼田氏:

商品の品揃えにも問題がある。最近ではVIX指数に連動するETFなども出てきたがまだまだだ。投信会社には以前から、他が下がっているときに上がるようなファンドを作ってくれと言っている。その意味では、ETFのカラ売りの活用なども有効だ。

ただ、ETFに関してはもっと利便性が高まるよう関係者に様々な要望をしている。まず、海外指数のETFなどについて夜間取引を実施することだ。海外指数のETFを日中に売買しても動くわけがなく、夜やったほうがマッチしている。夜間取引の実現は個別株では難しいかもしれないが、ETFならそれほどハードルは高くないはずだ。あとは流動性を高め、そこそこのボラティリティがあることだ。流動性は業界の努力で向上させる他ない。動かないないもの(ボラティリティが低い)は投資家にとって何の魅力もない。投資家が求めているのは流動性とボラティリティが揃ったもののみ。揃っていないものを沢山出してもダメ。

当社の「フリーETF」は流動性を高めるキッカケとなり、大いに注目を集めている。こういう工夫も含めて、良い商品良い市場作りが欠かせない。

 

■分配金の受け取りは利食いの分散

昨今の毎月分配型ファンド人気についてはどう見ていますか。

臼田氏:

当社の顧客の間でも毎月分配型ファンドへの注目度は非常に高い。関心が高いのは他の投信を買うよりパフォーマンスが良さそうだからで、だから売れている。

そもそも毎月分配型というだけでダメと言うのはおかしい。毎月分配型だから悪いのではなく、商品ごとの特性や状況で判断すべきだ。それ以前に自分自身の投資ニーズに合ってるかどうかが重要で、十分に中身や状況を理解し活用するのであれば、世間の評判など気にしなくていい。

毎月分配型ファンドは複利効果が薄まるとの批判もあるが、利点もある。投信では買うタイミングの分散(時間分散)は指摘されるが、売るタイミングについてはあまり言われない。分配はごく一部とは言えある意味売る行為の一つ。分配が売る(=利食い)タイミングの分散だと考えれば、理にかなっており全然おかしくない。「○○だからダメ」という短絡的思考こそダメ。資産運用はそんな底の浅いものではない。

ただ、個別の毎月分配型ファンドを見ていても、今後の金融情勢にもよるがそろそろ美味しい時期は過ぎそうなファンド、(安定的に分配を出す運用が)ちょっと辛くなってくるかもしれないファンドが散見される。これまでのようなパフォーマンスは出せない可能性もあると見ている。また、今秋には毎月分配型と通貨選択型ファンドに対するリスク説明の強化が行われるとのこと。えてして、こういう規制が入る頃には旬は過ぎていたとなりがちなので、秋から年末年始にかけては、一旦この手のファンドを減らす、売却するタイミングとなるかもしれない。

 

■株式相場の市況解説はあるのに、投信にはなぜないの

これまで見てきた問題点を踏まえて、投信についてどんな改善策が考えられますか。

臼田氏:

投資家からすれば知りたい情報が圧倒的に不足している。投信に関する情報といえば、業界の人が伝えたい話や知りたい話ばかりが溢れている。先程の毎月分配型でも、一般的なそのしくみの問題や改善点に興味あるのは、業界の人や専門家だけ。それよりも投資家が知りたいのは、こうしたファンドを買うタイミング、売るタイミングだ。今どんなファンドが魅力あるのかだ。業界はそのニーズにほとんど応えていない。投資家は過去のことには興味ない。

要は情報の見せ方の工夫だ。現状、投信には今後の予想や見通しに関する情報が全くない。株なら毎日日経平均のレンジ予想をやっているのだし、投信でも株のような市況解説があってもいい。こうした情報があれば投信に興味を持つ人が増えるし、投資の参考にもなるはずだ。例えば、○○ファンドは残高が減っている。一方、△△ファンドの流入額が増えている。分配金は○○円を継続しているが今後は厳しいかもしれないといった具合だ。そのためにはいろんなファンドを解説できるファンドウォッチャーが必要だ。

メディアでも株のように「お勧めファンド」を出して、初心者向けです、長期投資です、分散です、と、そこで何十年止まってるんだ、ということ。もっと創意工夫してチャレンジしなければならない、前進しなければならない、リスクを負ってリターンを狙いに行かなければならない。大げさに言えば、安住は衰退の母だ。

シャープレシオをチャート(時系列)で見せるのもおもしろい。こうすることで、シャープレシオがずっと良かったのか、前は悪かったけど今はよくなっているかなどが分かる。投資家は、当たり前のことだが投信と言えども買うタイミング、売るタイミングを知りたがっている。そういう解説や場況でもいいので、もっと具体的なコメントなり、予想なりを増やしていくべきだろう。

こうした問題の根源にあるのは、投信(業界)に多様性がなさすぎるということ。みんな同じことしか言わない体質が染みついている。ファンドも同じようなものばかりで、横ならびでぬるい。株ならファンダメンタルズ、テクニカル、噂、優待狙いでやる人とバラエティに富んでいて、市況解説や銘柄予想もいろんな情報、考え方がある。それが投信にはない。固定観念の話題、勧誘の仕方、同じようなファンドしかない。それに興味あるのは一部の人だけだ。他にもこんなやり方、あんなやり方、様々な情報があると広がっていけば、もっと幅広い人が参加しやすくなるはずだ。そのために他の人とは違うことを言っている。一般論が間違っているとかではなく、もっと他の考え方もあるということを多くの人に知ってもらいたい。


執筆:QBR 鈴木 保博(掲載日:2011年08月01日)


 
   
    

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