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投信ニューフェース 東証ETF『日経平均カバードコール』(シンプレクス) - 注目の投信 - 投資信託

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投資信託 [ 注目の投信 ]

投信ニューフェース

東証ETF『日経平均カバードコール』(シンプレクス)

――連動指数の騰落率は日経平均の膠着と下落局面で日経平均に勝つが、急騰には追随しない傾向。過去十年間では日経平均と大差ない値動き。日経平均銘柄の配当金とオプションプレミアムを原資として、ETFは年4回分配。

※以下、断り書きの無いデータはすべて2011年12月16日時点。

コール・オプションの売りで得られるオプション・プレミアムを活用。ETFは年4回分配。日経平均採用銘柄の配当金とオプション・プレミアムが分配原資。分配金を出した分だけ、ETFの基準価額および市場価格は下がる。

12月22日、東証に新たなETF『日経平均カバードコール指数上場投信、以下「日経平均カバードコール(1565)」』が上場した。運用はシンプレクス・アセット・マネジメントが行い、運用コストとなる信託報酬は税込みで年0.294%以内。1口単位で売買が可能で、最低売買金額は1万円程度(21日のETF設定当初元本は1口=1万円)。信用取引による買いと売りも可能。ETFの実際の運用は指数連動のリンク債に投資するため、リンク債を発行する金融機関の格下げなど、発行体の信用リスクがETFの時価に影響する可能がある。

シンプレクス・アセット・マネジメントのETFサイト:http://www.simplexasset.com/jp/etf/top/index.html

オプションは株式など原資産を一定の権利行使価格で買う権利(コール)と売る権利(プット)を売買。コートとプットそれぞれについて買い手と売り手に分かれ、合計4通りの投資が可能。買い手は行使価格で買う権利を行使できるが、原資産価格と権利行使価格の大小関係次第で権利放棄も可能。売り手は買い手の権利行使に応じる義務がある。「カバードコール」とは4通りのうち、コールの売りを活用した手法だ。

権利行使価格の他に、オプション取引に関して重要な点として、オプションには満期がある。1ヵ月後など定まった日に、株価と権利行使価格の差額に基づき決済する。コール・オプションの場合は、満期日の株価が権利行使価格を超えると、超過額と売買時のオプション・プレミアムの差額が買い手の利益、売り手の損失になる。この時、株価次第では売り手の損失は無限大に膨らむ。一方、株価が権利行使価格を超えないと、買う権利を行使する意味がないので買い手は権利を放棄。売買オプション・プレミアムが買い手の損失、売り手の利益となる。このように、コール・オプションの買い手の損失は最大でオプション・プレミアムの範囲に限定される。

オプション・プレミアムは時々刻々と変動し、最終的に満期日にはオプション・プレミアムは株価と権利行使価格の差に収れんする。コール・オプションの場合、満期には株価を超す権利行使価格のオプション・プレミアムはゼロになる。その他、オプション・プレミアムは株価変動リスク(ボラリティリティ)の予想値や満期までの日数などにより、日々変動する。

「カバードコール」とは株式を保有(買い持ち)している場合に、その株数に相当する株式コール・オプションを株式の時価よりも高い行使価格で売る投資戦略。株価が行使価格を超えて上昇しない限り、コール・オプションの売りで得られるオプション価格(プレミアム)分だけ、株式の買い持ちに比べ投資成果が有利になる。反面、株価が行使価格を超えて上昇するとオプション価格を超す値上がり益は放棄することになる。

このように「カバードコール」は、株式の変動が小幅・膠着・レンジ相場・ボックス圏で推移すると想定する場合に、その投資成果が株式の買い持ちに比べ、オプション・プレミアムの範囲内で有効となる手法。株価が急落した場合には「カバードコール」も急落するが、その下落幅はオプション・プレミアム分だけ縮小する。こうした点から、「カバードコール」の値動きは原資産の値動きよりもやや緩かになることが期待できる。「カバードコール」に関する解説は東証のサイトに詳しい。

(例):http://www.tse.or.jp/rules/etf/indices/covered_call.html

http://www.tse.or.jp/rules/eqop/strategy/eop12.html

新ETFの「日経平均カバードコール(1565) 」は、年4回決算(1月25日、4月25日、7月25日、10月25日)を行い、分配金を出す。初回決算日は2012年4月25日。分配金額はリンク債の利息収入から運用経費(信託報酬など)を除いた額を基にし、分配金が必ず出るとは限らない。リンク債の利息収入の実質的な原資には、日経平均構成銘柄の配当金とコール・オプションのプレミアムが充てられる。リンク債から利息収入を受け取って、分配する仕組みのETFは国内初とみられる。

分配金の水準は現時点では定かではないが、オプション・プレミアム次第では比較的高くなる可能性もある。ただし「分配金を出した分だけETFの基準価額は下がる」という原則は変わらず、一般の投信と同じだ。基準価額に連動して動くETFの市場価格も株式の配当権利落ちと同様に理論上、分配金分は下がる。なお、日経平均オプション取引に関する税制は現在、税率20%の申告分離課税。これに対し、国内ETFの税制は現在、上場株同様の10%軽減税率が適用され、分配金を含めた損益通算も可能となっている。

「日経平均カバードコール指数」は「カバードコール」戦略を日経平均株価に適用したポートフォリオの時価を指数化。日経平均採用銘柄の配当金は含まずに指数化。

連動指数の「日経平均カバードコール指数」は日本経済新聞社が開発。2001年12月末を基準値の1万として、日々算出している。現在の指数値は8542(ポイント)。「日経平均カバードコール(1565) 」の当初元本は1口=1万円で、指数値の水準とかけ離れているが、「日経平均カバードコール(1565) 」の運用は指数値の水準との一致ではなく、変動率の連動を目指す。

「日経平均カバードコール指数」は「カバードコール」の原資産として日経平均株価を適用した指数だ。日経平均の買い持ち(単位口数)と、同じ単位口数の期近限月の日経平均オプションについて、一定行使価格のコール・オプションの売りを合成したポートフォリオの時価を指数化している。毎月のオプション満期日にポートフォリオを清算し、期近限月の新たな行使価格の日経平均コール・オプションを売ることを毎月繰り返しながら時価計算する。日々の日経平均およびコール・オプション価格、双方の値段が指数値の変動を左右する。「日経平均カバードコール指数」の算出要領の詳細は、日本経済新聞社のサイト「日経平均プロフィル」に公開されている。

日経平均オプションは大証に上場し、毎月10日前後の第2金曜(祝日の場合、前営業日)に期近限月が満期となる。この日に権利行使するかどうかの判断基準となる日経平均の清算値をSQ(Special Quotation、特別清算指数)と呼ぶことから、満期日はSQ日とも言われる。「日経平均カバードコール指数」は毎月のSQ日に前営業日の日経平均に対し5%高い値を超す権利行使価格のうち、最低の権利行使価格のコールオプション(限月は期近の1限月目)を売る。日経平均オプションの行使価格の刻み幅は250円(もしくは500円)なので、実際の行使価格は日経平均の現在値に比べて結構大きくなる。例えば、12月は9日がSQ日だったが、前日の日経平均は8664円で、5%アップすると9097円。これに最も近い権利行使価格は9250円(限月は2012年1月)。日経平均に対し、6.8%アップした水準だ。権利行使価格が9250円のコール・オプション価格は4円だった。

「日経平均カバードコール指数」計算上のオプション・プレミアムの扱いは、コールの売りで入ったプレミアムを指数の外には出さず再投資に回す仕組みになる。ただし「日経平均カバードコール指数」は日経平均と同様に、日経平均採用銘柄の配当金を含まずに計算する。

この点を踏まえると、「日経平均カバードコール(1565) 」ETFの基準価額の一定期間でのリターン(運用経費控除前)と「日経平均カバードコール指数」リターンとの間には理論上、ETFの分配金の水準に関わらず、日経平均採用銘柄の平均配当利回りを足し合わせた関係式が成立する。

日経平均カバードコール(1565) 」ETFの分配金込みの基準価額のリターン(運用経費控除前) ≒ 「日経平均カバードコール指数」のリターン + 日経平均の期間内の配当利回り

つまり、オプション・プレミアムを原資とした分配金が多く出るほど、分配金支払い後の基準価額の下落幅はその分大きくなる。参考までに、米国ではCBOE(シカゴ・オプション取引所)が「S&P500指数」に対するカバードコール指数(CBOE S&P 500 BuyWrite Index、BXM)を算出・公開しており、この指数(株式配当金込み)を連動対象としたETFとETNが2007年から売買されている。ETFは「Invesco PowerShares S&P 500 BuyWrite Portofolio (PBP)」で、ETNはバークレイズの「iPath CBOE S&P 500 BuyWrite Index ETN (BWV)」。双方とも運用経費は年0.75%だが、運用手法は異なるとみられる。さらにETFの「PBP」はオプション・プレミアムを中心とする分配を年4回行うのに対し、ETNの「BWV」は無分配。時価総額はETFの「PBP」が約8千8百万米ドル。ETNの「BWV」が約1千8百万米ドル。

分配金を出すETFの「PBP」と分配金を出さないETNの「BWV」について年初来の騰落率(米ドルベースの基準価額を基に)を比較してみると、連動対象の指数「CBOE S&P 500 BuyWrite Index、BXM」(配当込み)の年初来騰落率が3.5%なのに対し、「BWV」は2.9%で、「PBP」がマイナス7.1%。ただし「PBP」はこの1年に昨年末基準価額比で合計9.7%の分配金を出している。分配金を含んだ年初来騰落率は2.6%となり、「BWV」や連動指数(BXM)に近い数値となった。

「日経平均カバードコール指数」の10年間の騰落率はマイナス14.6%で日経平均のマイナス20.3%を上回ったが大差なし。月間ベースでは日経平均に対し3勝1敗の割合で大きく勝ち越したが、日経平均の急騰局面で追随できず、長期では勝ち負けを相殺。

配当金を含まないで計算する「日経平均カバードコール指数」と日経平均の動きを2001年末からの約10年間で比較してみると、10年間の騰落率は「日経平均カバードコール指数」がマイナス14.6%、日経平均がマイナス20.3%、TOPIXがマイナス29.9%。10年間という長い期間では日経平均と大きな差はついていない。1年間で測った価格変動リスクを日経平均と比較すると、「日経平均カバードコール指数」の価格変動リスクは常時、日経平均をやや下回って推移。オプション・プレミアムが日経平均の値動きを緩和する特性が表れている。ただしTOPIXの価格変動リスクを上回った時期はある。


なお、連動指数の「日経平均カバードコール指数」は日経平均銘柄の配当金を含まずに計算するが、ETFの「日経平均カバードコール(1565) 」に関しては、日経平均採用銘柄の配当金がプラス収益として分配原資になる。現在、日経平均採用銘柄の予想配当利回りは平均で2%強の水準。

10年といった長期間ではなく、短期間での日経平均騰落率との勝ち負けを比較していくと、「日経平均カバードコール指数」は日経平均の膠着状態で有利という特色が鮮明になる。この10年間の月間騰落率120ヵ月のうち、「日経平均カバードコール指数」の月間騰落率が日経平均の月間騰落率を上回ったのは91ヵ月。勝ち負けの割合はおよそ3対1で「日経平均カバードコール指数」が圧勝。

ただし「日経平均カバードコール指数」が負けた29ヵ月のうち、日経平均が下落したのは5ヵ月で残り24ヵ月は日経平均が上昇。しかも日経平均は月平均で5.8%上昇と大きく上昇したのに対し、「日経平均カバードコール指数」は平均で3.8%の上昇にとどまり、日経平均の大幅上昇局面で、それまでに小幅に積み上げてきた勝ち幅を縮めた。一方、日経平均に勝った91ヵ月は月平均で0.6%だけ、日経平均騰落率を上回った。しかも、この時の日経平均騰落率は月平均で±3.8%程度と比較的小さめの変動だった。グラフを見てもこうした状況が分かる。


日経平均カバードコール指数」の変動は、日経平均の変動が小さい時は日経平均に対するプラス乖離を小刻みに積み上げていくが、一旦、日経平均が急騰すると、日経平均の上昇率に大きく引き離されることが確認できる。「日経平均カバードコール指数」は日経平均の騰落率に対し、小幅に上回って推移することが多いが、日経平均の大幅上昇が数回でも発生すると、その時の負け幅で積み上がった勝ちが相殺されたという格好だ。

こうした「日経平均カバードコール指数」の値動きの特性を踏まえると、日経平均連動型ETFとの比較という観点では、「日経平均カバードコール(1565) 」は長期に保有するというよりはむしろ、日経平均の小幅変動を想定した比較的短期間での投資を小刻みに行い、分配金をもらいながら収益確定するような投資スタイルを期待する投資家に向いているかもしれない。ただし注意点として、日経平均が大幅下落するとETFの基準価額および市場価格も同程度に下落する。取引所での流動性などにより、市場での売買価格と基準価額との間にズレが生じるのは他のETFと共通する。


執筆:QBR 高瀬 浩(掲載日:2011年12月22日)

 
   
    

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