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投信ニューフェース TOPIXと日経平均に基づくブル・ベア型の東証&大証ETF - 注目の投信 - 投資信託

 

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投信ニューフェース

TOPIXと日経平均に基づくブル・ベア型の東証&大証ETF

――長期保有には向かない短期決戦型ETF。ETF基準価額の日々の変動率がTOPIXまたは日経平均の2倍(レバレッジ)、もしくは反対(インバース)となる指数に連動。長期の変動率は2倍または反対からは相当のズレ。

※以下、断り書きの無いデータはすべて2012年3月末時点。連動指数の「東証レバレッジ指数」および「東証インバース指数」に関しては、2011年12月末以前の指数値は東京証券取引所の公表値ではなく、東証公開の「東証レバレッジ指数・東証インバース指数の算出要領」を基にQBRが試算した数値を採用してデータ分析。

TOPIXの値動きを基準にするのが東証ETFの「TOPIXブル2倍上場投信(1568)」&「TOPIXベア上場投信(1569)」。日経平均をベースにするのは大証ETFの「日経平均レバレッジ指数ETF(1570)」&「日経平均インバース指数ETF(1571)」。

4月5日、東証に新たなETF「TOPIXブル2倍上場投信(1568)」と「TOPIXベア上場投信(1569)」が新規上場した。運用を行うのはシンプレクス・アセット・マネジメント。主な運用コストとなる信託報酬は税込みで年0.7875%以内。東証では10口単位での売買が可能。4月13日の終値はそれぞれ9530円、10240円なので最低売買金額は現在10万円前後。信用取引による買いと売りも可能(注1)。

連動指数は「TOPIXブル2倍上場投信(1568)」が「東証レバレッジ指数」。「TOPIXベア上場投信(1569)」は「東証インバース指数」。両指数は“日々”の変動率がTOPIX(配当を含まない)の“日々”の変動率に対して、それぞれ2倍、マイナス1倍となるように動く。

このタイプのファンドはブル・ベア型ファンドとして、一般の公募の追加型株式投信では珍しくない。ただし、公募のブル・ベア型投信の売買は1日1回、終値ベースで算出する基準価額で行うのに対し、ETFは流動性次第で日中、何回でも売買機会があり、売買手数料も割安だ。レバレッジ・インバース型ETFはその点で、自らの相場感に基づき、日計り商いに徹する“デイトレーダー” 好みのブル・ベアファンドという棲み分けができそうだ。

売買活況。「TOPIXブル2倍上場投信(1568)」の売買回転率は7日間で1回転以上。

4月5日から13日まで7日間の売買代金(立会市場)を集計すると、「TOPIXブル2倍上場投信(1568)」が約24億円、「TOPIXベア上場投信(1569)」が約11億円で、13日の純資産残高(各約19億円、約15億円)の約1.3倍と約0.7倍。「TOPIXブル2倍上場投信(1568)」の売買回転率は1回転以上となり、7日間で既に全保有者が延べで入れ替わったことになる。

4月12日には、同種のETF「日経平均レバレッジ指数ETF(1570)」と「日経平均インバース指数ETF(1571)」が大証に新規上場した。運用は野村アセットマネジメントが行い、連動指数はそれぞれ「日経平均レバレッジ・インデックス」と「日経平均インバース・インデックス」。主な運用コストとなる信託報酬は税込みで年0.84%以内。大証では1口単位での売買が可能で、13日の終値はそれぞれ4455円、5870円であり、最低売買金額は現在4千円~6千円台。信用取引による買いと売りも可能(注1)。

日経平均レバレッジ指数ETF(1570)」と「日経平均インバース指数ETF(1571)」も売買活況。純資産残高(13日時点で各100億円程度)に対し、上場初日(12日)と13日、2日間を通じた売買代金(立会市場)は各約10億円、約1億円だった。

(注1)個人の空売り規制と売買単位との関係
空売り規制の関係で、個人投資家は個々のETFについても株式と同様に、信用取引による空売りは単元株数(=売買単位)の50倍までに制限されている。このため「TOPIXブル2倍上場投信(1567)」と「TOPIXベア上場投信(1569)」の方が、「日経平均レバレッジ指数ETF(1570)」および「日経平均インバース指数ETF(1571)」に比べ、売買単位が10倍で、かつ現在の一口当たり市場価格が倍程度なので、個人が信用売り可能となる“金額”の最大値は大きくなる。

市場価格と基準価額(一口当たり)の価格水準は一致するよう連動。ただし基準価額と指数値は一致しない。市場価格(=基準価額)と指数値は“変動率”が連動。指数先物運用のため、分配金はほとんど見込めない。

ETFの運用では、基準価額の変動率が「レバレッジ指数」もしくは「インバース指数」の変動率に一致するよう目指し、実際の運用では、TOPIX(または日経平均)先物の買い建て、および売り建てを活用する。指数先物には指数採用の現物株のような配当金が付かない。先物を売買するために、ファンドには証拠金に相当する短期金融商品を組み入れるので短期金融商品の利息収入が得られるが、低金利のため利息収入はごくわずか。ETFの分配金には運用経費控除後の利息収入が回るので、年1回の決算(4月もしくは5月)では分配金は出ないか、出たとしてもごく少額にとどまるとみられる。

ETFの取引所での市場価格は基本的に、基準価額との乖離が広がらないように動くが、ETFの基準価額は一日一回、市場での取引が終了した夕方以降に公表される。このため、日中のETF市場価格は前日の基準価額を基にして、TOPIX(または日経平均)のリアルタイム値の前日比変動率との関係で決まる値が理論値となる。ただ、市場価格は需給関係に左右されるので約定価格がその時点の理論値に一致するとは限らない。

注意したいのは、基準価額と指数値の値自体の差は連動性とは無関係な点だ。ETFの市場価格と指数値自体には、はじめから差がある。ETFの運用では基準価格と指数値の一致ではなく、お互いの変動率の一致を目指す。

TOPIXブル2倍上場投信(1568)」と「TOPIXベア上場投信(1569)」の基準価額に関しては、当初元本が指数値の水準とは関係なく1口=1万円からスタートしているため、4月13日の市場終値(各9530円、10240円)は連動指数値(各12459.36ポイント、8880.11ポイント)からは、かけ離れている。これに対し、「日経平均レバレッジ指数ETF(1570)」と「日経平均インバース指数ETF(1571)」の基準価額は一口あたり元本が指数値にほぼ近い値からスタートしており、13日市場終値(各4455円、5870円)と連動指数値(各4431.24ポイント、5856.63ポイント)の差は小さい。ただ連動目標が、基準価額と連動指数値との一定期間での“変動率”であることに変わりない。

株式相場急変時の値幅制限(ストップ高・安)に注意。先物運用のため、基準価額自体も指数変動から大幅乖離するケースもありえる。

株式相場が急変した時には、ETFの市場価格が値幅制限の関係ではストップ高・安となり、当日、売買できない場合がある。さらに、市場価格の基になる基準価額自体も組入指数先物の値動き次第(指数先物の市場価格にも値幅制限のストップ高・安がある)では、当日のTOPIX(または日経平均)の動きからかけ離れ、指数連動性が失われるケースがあることは注意点となる。

例えば、日経平均2倍型ブル・ファンドの基準価額変動率を調べてみる。リーマン・ショック後の2008年10月10日に日経平均は9.6%下落した。この日に、日経平均2倍型ブル・ファンドの基準価額の下落率は約26%に達し、その翌日14日に日経平均が14.2%と大幅反発した日の基準価額は一日で約43%の高騰を記録した例がある。

マイナス1倍の日経平均ベア・ファンドの基準価額例としては、東日本大震災直後の2011年3月14日、日経平均が6.2%下落した日の基準価額は約7%上昇。その翌日15日に日経平均が10.6%続落した日の基準価額上昇率が約8%に止まった。

TOPIX(または日経平均)が仮に1年間に10%に上昇しても、レバレッジ指数が2倍の20%上昇、インバース指数がマイナス1倍の10%下落という結果になることはほとんどない。

「東証レバレッジ指数」と「東証インバース指数」は2011年末=10000(ポイント)として東証が算出。「日経平均レバレッジ・インデックス」と「日経平均インバース・インデックス」は約10年3ヵ月前の2001年末=10000(ポイント)として日本経済新聞社が算出。単位はいずれもポイントで、基準日の指数値はどちらも10000(ポイント)だが、それぞれ指数の基準日は異なる。

「東証レバレッジ指数」および「東証インバース指数」は東証のホームページで15秒毎に公開されている(注2)。「日経平均レバレッジ・インデックス」および「日経平均インバース・インデックス」は1日1回、日経平均の終値を基に計算。指数値は日本経済新聞社が日経平均プロフィル・サイトで公開している。

(注2)場開始時点の「東証レバレッジ指数」および「東証インバース指数」
前場の指数値は9時00分15秒時点、後場の指数値は12時30分15秒時点から算出が開始。ETFの取引が始まる前場開始9時00分00秒時点、後場開始時点12時30分00秒時点では、まだ指数が算出・公表されていないが、場開始時のETF約定値は指数値公表前に寄り付くことが多いことには注意。

連動指数とTOPIX(または日経平均)の関係で極めて重要なのは、一致する変動率を2倍もしくは、マイナス1倍にする期間はあくまで「1日」単位であって、任意の期間つまり「1週間」「1ヵ月」「3ヵ月」・・・「1年」ではないこと。この結果、一定期間の連動指数の変動利率がTOPIX(または日経平均)の変動率の2倍、マイナス1倍に一致することはほとんどない。

この理由は、一定期間のリターン(騰落率)は日々のリターンを複利で累積したものと同じという複利の計算方法を理解する必要がある。例えば、TOPIXが2日続けて10%ずつ上昇するとTOPIXは2日間で10%の2倍の20%ではなく、複利で21%の上昇となる(1.1×1.1=1.21)。この時「東証レバレッジ指数」は日々20%ずつ上昇するので2日間で44%の上昇(1.2×1.2=1.44)になる。これはTOPIXの上昇率21%を2倍した42%よりも大きい。この時、マイナス1倍の「東証インバース指数」の騰落率はマイナス19%(0.9×0.9=0.81)であり、TOPIXの上昇率のマイナス1倍(=マイナス21%)に比べマイナス幅が小さくなる。

日経平均が約4%下落にとどまった過去10年3ヵ月では「東証レバレッジ指数」は約59%下落、「日経平均インバース・インデックス」は上昇せずに約44%下落。どちらも長期保有には適さない。

こうした日々2倍、マイナス1倍を繰り返していくと、長期間ではTOPIX(または日経平均)の騰落率からかけ離れていく。グラフは2001年末を起点にした過去10年3ヵ月間のレバレッジ指数およびインバース指数の動き。おおむね、レバレッジ指数はTOPIX(または日経平均)の動きを増幅した動き、インバース指数は逆行したことが分かるが、10年3ヵ月間の騰落率を比べてみると、TOPIXは17%下落、日経平均は約4%の下落。これに対し、「東証レバレッジ指数」は約59%下落、「日経平均レバレッジ・インデックス」は約17%下落となり、各2倍以上の下落率となった。

同様にインバース指数をみると、10年3ヵ月間で「東証インバース指数」は約28%下落、「日経平均インバース・インデックス」は約44%下落。TOPIXと日経平均が下落したのにもかかわらず、マイナス1倍どころか、マイナス幅が大幅拡大。レバレッジ・インバース型ETFは「長期保有には適さない」ことを指し示す。


表は暦年ごとの騰落率を比較したもの。2001年末以降の10年3ヵ月のうち、暦年でTOPIXと日経平均の最大上昇率は2005年のTOPIX43.5%、日経平均40.2%。この年の「東証レバレッジ指数」は102.6%、「日経平均レバレッジ・インデックス」は93.1%となり年間で最大の上昇率を記録(上昇率は2倍以上)。この年の「東証インバース」は31.4%下落、「日経平均インバース・インデックス」は30.0%下落と年間で最大の下落率となった。

TOPIXと日経平均の下落率が最大(各41.8%、42.1%)となった2008年に「東証レバレッジ指数」は年間最大の71.6%下落、「日経平均レバレッジ・インデックス」は73.0%の下落。反対に、「東証インバース指数」は年間最大の43.9%上昇、「日経平均インバース・インデックス」は40.2%上昇した。


株式相場の流れに応じて、レバレッジ(ブル)とインバース(ベア)を切り替えていく投資も一法だが、過去10年3ヵ月では機械的な「順張り」が「逆張り」を大幅に上回る結果。

レバレッジ(ブル)・インバース(ベア)ETFは基本的に短期決戦型で、小刻みに損益確定をしていくのが一般的な取引形態になるとみられるが、相場の流れを読みながら、レバレッジとインバースをスイッチングしていく取引も一法になりえる。

そこで、株式相場の動向に合わせて、お互いを切り替えるように投資を継続した場合の長期収益を過去に遡り試算してみた(注3)。仮に前月1ヵ月間の日経平均が上昇した場合には投資金額をすべて「日経平均レバレッジ・インデックス」に切り替え、反対に日経平均が下落した場合は投資金額をすべて「日経平均インバース・インデックス」に切り替える投資を「順張り」とする。反対に日経平均が上昇した翌月は「日経平均インバース・インデックス」、日経平均が下落した翌月は「日経平均レバレッジ・インデックス」に切り替える投資を「逆張り」とする。

この「順張り」「逆張り」ポートフォリオを仮想的に考え、毎月末に投資金額をすべて「日経平均レバレッジ・インデックス」か「日経平均インバース・インデックス」に切り替えるようにした。そうすると、日経平均が5%下落した過去10年3ヵ月の間に「順張り」は約25%上昇し、「逆張り」は約78%下落した。「順張り」と「逆張り」では大差が付き、「順張り」が勝った格好。ただし切り替え手法は千差万別あり、切り替えのタイミングを月末に固定する必要はなく、全額を交互に入れ替える必要もない。このため試算結果は、いつでも「順張り」が勝つことを示すものではなく、レバレッジとインバースETFにはこうしたスイッチング活用方法があるのを示すに過ぎない。

(注3)ETFは金額指定の売買は基本的にできない
ETFは一般の公募ブル・ベア型投信のように金額指定の売買はできず、口数単位で売買する点は考慮していない。試算にあたり、諸経費は考慮していない。


日中の約定値とリアルタイム基準価額との連動性は高いが、前場開始直後など1%以上の乖離も。

ETFの市場終値と基準価額の乖離幅は今のところ1%未満。4月5日から13日まで7日間の売買代金を集計すると、「TOPIXブル2倍上場投信(1568)」と「TOPIXベア上場投信(1569)」について、4月13日までの上場後7日間の日々の東証終値と当日夕方以降に公表される基準価額の乖離幅を集計すると、「TOPIXブル2倍上場投信(1568)」の日々の終値の基準価額に対する乖離幅の割合は最大0.98%、最小0.25%、平均0.61%。「TOPIXベア上場投信(1569)」が最大0.25%、最小0.03%、平均0.14%だった。

同様に、「日経平均レバレッジ指数ETF(1570)」と「日経平均インバース指数ETF(1571)」は13日までの2日間の平均で両方とも0.35%程度。

市場終値ではなく日中のETF市場価格(約定値)について、仮に基準価額がリアルタイムに動いたとした場合の基準価額との乖離幅がどの程度だったかを測ってみる。「TOPIXブル2倍上場投信(1568)」と「TOPIXベア上場投信(1569)」は日中、15秒ごとに連動指数値が公開されている(注2)ので、この指数値を活用(注4)。

上場初日(4月5日)を除く13日まで6日間の日中の市場約定値と、約定タイミング直前・直後のリアルタイム基準価額との乖離率(絶対値)は、「TOPIXブル2倍上場投信(1568)」が平均で0.15%程度、最大が1.5%程度。「TOPIXベア上場投信(1569)」は平均が0.10%~0.12%で、最大は1.4%程度。

前場開始直後の時間帯にリアルタイム基準価額からの乖離が大きくなる傾向があるが、平均で0.1%程度の乖離率からは、市場価格とリアルタイム基準価額との連動性は高いと言えそうだ。

(注4)リアルタイム基準価額の推計
上場日(4月5日)の連動指数値と基準価額が一致(100%連動)していたと仮定して、15秒ごとの連動指数値をリアルタイム基準価額に調整変換した。


執筆:QBR 高瀬 浩(掲載日:2012年04月16日)

   
    

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