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「かぶオプ」も年を取る? - 先物・オプション

 

先物・オプション [ 「かぶオプ」買い方・売り方 ]

シンプレクス・インスティテュート取締役 塙麻紀子の「かぶオプ」個人投資家向け週刊コラム

「かぶオプ」も年を取る?

近年、「アンチエイジング」が大ブームで、その勢いはとどまるところを知りません。いつまでも若々しくありたいと思うのは自然なことですが、実は、人間だけでなく「かぶオプ」も年を取ります。すなわち、時間とともに、「かぶオプ」も老化していくのです。たとえ原資産である株価が変化しなくても、また「IV」が変わらなくても、ただ日数が経過するだけで「かぶオプ」は値段が下がってしまいます。この現象のことを、オプションの理論では「タイムディケイ」と呼んでいます。

まずは、「タイムディケイ」を示す過去のデータを見てみましょう。

下の表は、NTTドコモ(9437)の、2011年8月25日と9月6日の株価および10月限130000円プットの価格・IVです。


(注)オプションは市場での実際の約定値段です。IVは、シンプレクス・インスティテュート社のオプション・プライサーで計算しました。
 

8月25日と9月6日のデータを比較すると、プットの値段は434円も安くなっています。IVに変化はありませんでしたが、株価は若干(300円)安くなっているので、プットの値段も少しは上がってもいいはずです。なぜ「かぶオプ」の値段は下がってしまったのでしょうか。もうおわかりのように、これは「タイムディケイ」の仕業です。8月25日から9月6日までは、「12日」という日数が経過しています。日数が経過したことで、「タイムディケイ」が起こり、「かぶオプ」の値段が下がってしまったというわけです。

では、そもそも「タイムディケイ」という現象はなぜ起きるのでしょうか。それは、オプションの世界では、権利行使日までの期間は長いほど価値があり、時間が経てば経つほどその価値が減る、という共通認識があるからです。「時間がある=チャンスがある」と捉えられるため、「残っている」時間そのものに価値が見出されるのです。

イメージを掴むために、簡単な例を考えてみましょう。ある銘柄の株価が80円の時、権利行使価格100円のコールを見て、そのコールを欲しいと思うでしょうか。権利行使日まで1ヶ月ある場合と、1日しか残っていない場合とで比較して考えて下さい。もし権利行使日まで1ヶ月もの期間があれば、その間にいいニュースが出て株価が100円を超えるようなこともあるかもしれません。したがって、ある程度高い値段を出してでもそのコールを買いたい、と思う人も多いでしょう。しかし、残りあと1日しかなければ、もう株価が100円を超える可能性はなさそうです。誰も欲しがらないので、そのコールの値段はうんと安くなりそうですよね。

このように、「時間」には価値があり、オプション理論では実際に「時間価値」と呼ばれています。そして、この「時間価値」はきちんと理論的に計算によって求められ、オプションの値段に反映されているのです。時間が経過することで価値が減り、「タイムディケイ」が起こるというわけです。しかも、権利行使日が近付くほど、通常その劣化は激しくなります。

時間の経過とともに、価値がどんどん減っていく・・・・と聞くと少し恐怖感を覚えますが、「タイムディケイ」をどう捉えるかは、「かぶオプ」の買い手であるか、売り手であるかによって変わってきます。買い手は、保有している「かぶオプ」の価値が高まってくれた方が嬉しいので、当然タイムディケイは敵になります。人間と同じです。逆に、売り手は「かぶオプ」の値段がどんどん下がってくれた方がありがたいので、タイムディケイは味方になるのです。

こう聞くと、「かぶオプ」の買い手は、売り手に比べて不利なようにみえますが、そうではありません。もし本当に売り手のみに有利であれば、みんな売り方に回りますので、買う人は誰もいなくなり、商品として存続していないでしょう。実際、どちらが有利と言うことはありえないのです。例えば、「かぶオプ」の売り手は、株価が予想とは逆に大きく動いた時の損失が限定されないという点で、買い手よりも不利な部分もあるのです。買い方に関して言えば、一般的に、個別株の値動きは指数よりも荒っぽいので、タイムディケイを補うだけの儲けのチャンスがあります。要は、いずれもメリット・デメリットを理解した上で、どう使っていくかが大事なのです。

世の中には、ただ単に加齢に逆らうのではなく、年齢を重ねることでますます輝きを増す人もいらっしゃいます。皆さんも、「タイムディケイ」と上手く付き合い、「かぶオプ」をうまく使って投資人生を輝かせてみてはいかがでしょうか。

プロフィール :塙 麻紀子(はなわ まきこ)
株式会社シンプレクス・インスティテュート取締役
 
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会AFP認定者
慶応義塾大学法学部法律学科卒。学生時代より、ベンチャー企業での新事業の立ち上げ等に関わり、2001年よりシンプレクス・インスティテュートに勤務。本業の傍ら、個人投資家として、主に日経平均先物・オプション、日経225miniの売買を行っている。セミナーや講演会にて、デリバティブの啓蒙・教育活動も行っている。
 
 

Fanet MoneyLife(掲載日:2011年10月03日)

   
    

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