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「カバコ」の実例を検証してみよう! - 先物・オプション

 

先物・オプション [ 「かぶオプ」買い方・売り方 ]

シンプレクス・インスティテュート取締役 塙麻紀子の「かぶオプ」個人投資家向け週刊コラム

「カバコ」の実例を検証してみよう! 


カバコちゃん

2012年の1月も、もう終わりに近づいてきました。昨年秋以降、株式市場は良く言えば穏やかな、悪く言えば動きがなくて退屈な相場が続いています。

さて、このような動かない相場をチャンスに変える戦略がありましたよね。そうです、「カバコ」です。最終回では、私が身銭を切って実際に売買した「カバコ」について説明したいと思います。

ここで、「カバコ」とは、買持ちの株がある時に、その「かぶオプ」のコールを売ってお小遣い稼ぎを狙う戦略です。もっとも、全上場企業に「かぶオプ」が存在するわけではないので、ご自身の保有株で「カバコ」ができるかどうかは、東証のサイト「有価証券オプション取引の対象有価証券」から確認して下さいね。あいにく、私は「カバコ」が可能な銘柄を持っていなかったので、武田薬品(4502)と関西電力(9503)を新たに購入しました。では、各銘柄の売買を、実際の市場で売買するときのポイントと併せて、時系列で見て行きましょう。


武田薬品(4502)カバコ


2011年12月5日(月曜日)

11月までに、武田薬品株はかなり売り込まれていたため、配当利回りは5%を超えていました。高配当に惹かれ、武田薬品株を100株3,155円にて購入しました。

2011年12月6日(火曜日) 

武田薬品の株価は上昇し、株価がちょうど3,200円になった時に、12月限権利行使価格3,200円のコールを1単位(1枚)、24.0円で売ってみました。武田の最低売買単位は100株なので、代金は値段を100倍し、2,400円が手に入りました。

24.0円×1枚×100倍=+2,400円(手数料は除く)

しかし、コールを売った後、その日の武田薬品株はさらに上昇し、高値は3,225円に。「しまった・・・」と思っても後の祭り。

2011年12月8日(木曜日) 12月限権利行使日

権利行使日になりました。15時の大引け時点で、株価が権利行使価格である3,200円を超えると、権利行使される可能性がかなり高くなります。

さて、この日の武田薬品の株価はというと、寄付から3,215円を付けています。このままでは権利行使されてしまいそうですが、まだまだ上がりそうなのに、3,200円なんていう安い値段で手放したくない!と思った私は、株価が3,230円になったところで、コールを泣く泣く買い戻すことにしました。安い値段で買い指値注文を入れて待っていても買えず、結局マーケットメーカーらしき売り指値に注文をぶつけて買い戻しました。売り値(24.0円)よりも高い35.5円で約定。いわゆる「踏み」です。「カバコ」でお小遣いを稼ぐどころか、なんと損をしてしまいました。

(24.0円-35.5円)×1枚×100倍=-1,150円

コールの往復売買手数料(262円×2)を入れると、1,674円の損失となりました。

(注)「かぶオプ」手数料は、光世証券の期間限定キャンペーン価格です(以下全て同様)。

【一般的な「カバコ」との比較】

上記の売買は、以下の3つの点から、少し変則的な「カバコ」だったと言えます。

(1)通常の「カバコ」ではアウト・オブ・ザ・マネー(OTM)のコールを売りますが、私は相場観を入れてしまい、ちょうどアット・ザ・マネー(ATM)のコールを売りました。

(2)権利行使日の2日前にコールを売りましたが、タイムディケイがほとんど取れないという意味では、コールを売るのに相応しいタイミングとは言えません。そもそも、OTMのコールは、ATMと比べてかなり値段が安いのが普通です。だからこそ「カバコ」では、まだ時間的な価値がある銘柄、言い換えると権利行使日まで日数が多く残っている遠い限月のOTMのコールを売ることが多いのです。

(3)今回はコールを買い戻して権利行使されるのを免れましたが、権利行使を受け入れる方が多いでしょう。もともと権利行使されてもいいと思っている塩漬け株などで「カバコ」を行うケースが多数だからです。もちろん、私のようにコールを買い戻して「カバコ」を中断してもいいのですが、イン・ザ・マネー(ITM)になると割高な値段で買い戻す羽目になりがちなので注意して下さい。特に最終売買日である権利行使日当日のITMのコールの買い注文は、市場関係者には、「カバコ」のコールの買い戻しだと推測されます。値段が高くても絶対に買ってくる、と察した売り方は、「買い戻したいならここまでおいで~」と売り指値の値段を釣り上げることでしょう。結果、高値で買い戻さざるを得なくなるのです。

初めての「カバコ」は思わぬ方向に転んでしまいましたが、武田薬品の話はまだ続きます。

■2011年12月30日(金曜日) 大納会

武田薬品株は順調に上昇を続け、この日の始値は3,365円でした。12月限の「カバコ」では損をしましたが、株価は上がったので結果オーライです。

さて、今日は大納会です。年末年始のタイムディケイ狙いで、再び「カバコ」を開始。1月限3,400円のコール25.0円1枚売り、2,500円(=25.0×100倍)が手に入りました(手数料は除く)。その時の株価は3,380円です。

■2012年1月4日(水曜日) 大発会

新年早々、なんと始値は3,405円! 権利行使価格を超えてイン・ザ・マネーになっています。この日の高値は3,420円。前回の「カバコ」の二の舞かと、自分を呪いました。

しかし、ラッキーなことに、翌日以降、武田薬品の株価はじりじり下げていきました。

■2012年1月12日(木曜日) 1月限権利行使日

終値(15時)は、3,230円でした。これなら、権利行使される心配はなさそうです。

コールを売って得た2,500円から手数料262円を差し引き、2,238円の利益が確定しました。

武田薬品の計2回の「カバコ」は1勝1敗。トータルではわずか564円のプラス(=-1,674円+2,238円)になりました。ちなみに、武田薬品の含み益は、3,230円-3,155円=7,500円(手数料は除く)です。最低単位での売買のため手数料率が高くなりましたが、それなりの単位で毎月続ければ、配当ももらえるし、いいお小遣いになりそうです。


関西電力(9503)カバコ


■2011年12月28日(水曜日)

武田薬品だけではつまらないので、関西電力株を、1,144円で100株購入しました。

■2011年12月30日(金曜日)

「カバコ」の開始です。1月限1,200コールを1枚売ることにしました。高いところで指値をして待っていても、待てど暮らせど売れないので、安いのは承知で、買気配になっていた7.5円で1枚売りました。

受取金額:7.5円×100倍-手数料262円=+488円

■2012年1月10日(火曜日)

なんと、株価は高値で1,257円まで上昇!

【コメント】

通常、オプションの売りは損失無限定と言われますが、「カバコ」戦略のいいところは、損益が確実に予測できるところです。株価がどんなに高くなろうとも、権利行使日に権利行使価格で株を売る義務があるだけで、「かぶオプ」を高値で買い戻したりしなければ、大きな損失が発生するわけではありません。市場よりも安い値段で株を売却しなくてはならない、という意味で悔しい思いをするだけです。

■2012年1月12日(木曜日) 1月限権利行使日

関西電力の終値は、権利行使価格である1,200円を若干超えた1,203円でした。若干ITMになったものの、ひょっとしたら権利行使されないかも、という淡い期待を抱いていましたが・・・

ここで、結果をお知らせする前に、少し権利行使の仕組みについて説明したいと思います。

【「かぶオプ」コールの権利行使の仕組み】

「かぶオプ」コールの買い手は、権利行使日の15時10分を過ぎると、権利行使するかしないかを選ぶことができます。厳密に言うと、その時点でITMになっていれば、権利放棄の意思表示をしなければ無条件で権利行使が行われます(「自動権利行使」)。権利行使をしたくなければ、その日の16時までに、証券会社に連絡する必要があります。ちなみに、ATMの場合は自動権利行使されません。また、OTMであっても権利行使をすることはできますが、あえて高い値段で株を買うことは通常は考えられません。

一方、「かぶオプ」コールの売り手は、権利行使をされたら、権利行使価格で株を売却する義務があります。ITMなのに権利を放棄されたらラッキーです。

さて、私は権利行使日の17時頃に、権利行使されていないことを期待して証券会社に問い合わせをしてみました。しかし、あっさりと「権利行使されました。」と言われ、関西電力株は1,200円で売却する運びとなりました。

ちなみに、コールの売り代金488円は、まるまる手に入りました。

【権利行使に伴う株の売買の決済】

「カバコ」での権利行使がらみの売買も、通常の株の取引口座にて取り扱われます。

ただし、権利行使に伴う株の売買の決済は、権利行使日から起算して5日目に行われます。つまり、権利行使日は木曜日なので、(祝日などがなければ)決済は翌週の水曜日ということです。通常の売買では、決済は売買日から4日目なので注意して下さい。

■2012年1月18日(水曜日) 決済日

関西電力株を1,200円で売却した代金が、入金されました。

ちなみに、この日の関西電力の終値は、1,262円でした。悔しい気もしますが、そもそも1,200円で売ってもいいと思っていたので、仕方がありません。

関西電力「カバコ」の結果のまとめは、下記のとおりです。

株式の損益:(1,200円-1,144円)×100株=+5,600円

株式売買手数料計:-2,999円(注:光世証券にて電話で売買)

かぶオプの損益:7.5円×100倍×1枚=+750円

かぶオプ売買手数料:-262円

合計:+3,089円

「カバコ」まとめ

●保有株は、ある程度まとまった単位があった方がよい

私の売買例では1単位で売買していましたが、「かぶオプ」手数料は割高になりました。また、手間を考えると、「カバコ」はある程度まとまった単位数の株を保有している方にお勧めです。

●株価水準によっては、「カバコ」がやりにくい

その理由は、権利行使価格の刻みです。東証の取引制度概要を見ると、株価500円未満の銘柄の権利行使価格は25円刻みです。例えば、100円の株価の「かぶオプ」の場合、権利行使価格は100円・125円・150円・・・ですが、OTMである125円コールを見ると、権利行使価格が現値より25%も高いため、かなり安い値段が付きます。手数料を考慮すると、止めた方がいいこともあるでしょう。だからといって、ATMのコールを売ると、権利行使される可能性が高まります。したがって、「カバコ」戦略を検討するときは、5~10%位OTMになるコールがある銘柄を検討してみる方がいいと思います。

●反対売買に気を付ける

「かぶオプ」市場は、まだ流動性が十分ではないので、反対売買の際は注意して下さい。買い戻しの注文は、絶対に「成行(なりゆき)」にせず、「指値」で発注して下さい。

今回、「カバコ」を実践してみて、仮想の売買では見えなかった部分が見えてきました。皆さんも、勉強のため、またこれからの投資のために、是非「カバコ」を検討してほしいと思います。もちろん、たった1回の「カバコ」では大した利益は期待できません。しかし、コツコツ続けることで、他人に大きな差をつけることができるでしょう。これは「カバコ」に限った事ではなく、投資に臨む態度として、少しでも工夫してみる、努力してみる、そういったことが大事なのではないでしょうか。

今回で当コラムは最終回となります。皆さんの投資のご成功をお祈りしております。

プロフィール :塙 麻紀子(はなわ まきこ)
株式会社シンプレクス・インスティテュート取締役
 
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会AFP認定者
慶応義塾大学法学部法律学科卒。学生時代より、ベンチャー企業での新事業の立ち上げ等に関わり、2001年よりシンプレクス・インスティテュートに勤務。本業の傍ら、個人投資家として、主に日経平均先物・オプション、日経225miniの売買を行っている。セミナーや講演会にて、デリバティブの啓蒙・教育活動も行っている。
 
 

Fanet MoneyLife(掲載日:2012年01月20日)

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