【第5回】くりっく365などの取引所FXは税金が有利って聞いたけど?
FX・CFD [FX 基本編]
【第5回】
くりっく365などの取引所FXは税金が有利って聞いたけど?
くりっく365などの取引所取引と店頭取引の最大の違いは、税制にある。個人の投資家の場合、店頭取引では為替差益やスワップポイントは雑所得として総合課税の対象になるが、取引所取引では雑所得として20%の申告分離課税になる。果たして、どちらが有利なのか、取引所取引と店頭取引の税制の違いについて考えてみよう。

「FXで得た為替差益やスワップポイントには税金が掛かってきますよね。どういう仕組みになっているんですか?」

「実はくりっく365などの取引所取引と店頭取引とでは、利益に対する税制が違うんだ。これはしっかり覚えておいた方がいい。税金で支払う部分は、結構大きいからね」

「税制が違う?具体的にどのような違いがあるんですか?」

「店頭取引の場合は雑所得として総合課税、取引所取引の場合は申告分離課税」

「総合課税と申告分離課税の違いって?」

「総合課税は、勤務先からの給与所得などと合算して、収める税金の額が決められる。これに対して申告分離課税は、勤務先からの給与所得などとは分離して、あくまでもFXで得た利益として、税金の額が決められるんだ」

「どっちが有利なの?」

「雑所得として総合課税される場合、日本では累進課税制度なので、所得の額やFXで得た利益が大きいと、税率が高くなる。ちなみに所得税と住民税を合わせた最高税率は50%だ。これに対して、申告分離課税の場合は、得た利益の額に関わらず税率は一律20%になる。ただ、雑所得の場合、年収2000万円以下の給与所得者で、他にまったく所得がなく、FXの利益が年間20万円以下であれば、申告する必要はないので、利益の額が小さけれ ば、総合課税の方が有利といえるかも知れないね」

「でも、利益が大きくなると税金の負担が重くなる?」

「わかりやすくたとえば、給与収入における課税所得700万円の人が、FXで300万円の利益を得たと仮定して実例を挙げて比較してみようか。(黒板に)書いて説明をするので理解するように。

「49万円もの差は大きいですね」

「もっとお得な話があるぞ。取引所取引の場合は、他の取引所に上場されている株価指数先物取引や商品先物取引との損益通算が可能であること、3年間の損失繰越控除もできる。このような税制に優位性を感じる人も多いはず」

「せっかくの利益だし、税制にも気を配る必要があるということですね」

「もちろん、きちっと利益が得られればの話だがね」

「・・・・・・」
<川瀬先生のワンポイントレッスン>
●損益通算●
取引所取引のFXの場合、FXで得た利益と他の取引所に上場している先物取引で得た利益との間で損益を相殺させることができる。たとえばFXで得た利益が30万円、他の取引所に上場している商品先物取引や株価指数先物取引で20万円の損失が生じた場合、FXの課税対象となる額は、30万円の利益から20万円の損失を差し引いた10万円となる。
●損失の繰越控除●
取引所取引のFXで年間の損失が50万円、利益が20万円だったとする。この場合、年間の損益を通算した場合の損失額は30万円。したがって、この年は課税されない。さらに、翌年は10万円の利益が出たとしても、前年の通算した損失額30万円を繰越控除できるため、10万円の利益に対しても課税されない。取引所FXは、最長で3年間、損失の繰越控除をすることができる。ただし、損失の繰越控除を受けるためには確定申告が必要だ。
執筆:MoneyLife(掲載日:2010年05月06日)