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【第6回】FX投資の高リターン低リスク化の実現法(最終回)

 

FX・CFD [FXテクニカル分析入門編]

【第6回】

FX投資の高リターン低リスク化の実現法(最終回)

前回の第5回まで、テクニカル分析の主なチャートについて説明してきました。今回の第6回で<入門編>は終了します。

投資の目的は、利益をあげることです。いつ利益を確定させるか。どのタイミングで損切りをするかによって、収益の差が大きく異なってきます。高リターン低リスク(益は大きく損は小さく)をどう実現するかです。

それでは、第6回(最終回)「FX投資の高リターン低リスク化の実現法」について説明します。

(1)投資の目的

第1回の冒頭で、「テクニカル分析を用いてFX投資で利益を得る」、「安値の転換点を確認して買いを入れ、高値の転換点を確認して売る(または、高値の転換点を確認して売り、安値の転換点を確認して買う)」と、FX投資でテクニカル分析を利用する目的を記載した。最終回なので、原点に戻って、投資の目的をより具体的にまとめておきたい。

投資の目的は5つに整理できる。(1)どのような手法で、(2)どのくらいの期間で、(3)どのくらいの投資額で、(4)どのくらいのリスクを許容して、(5)どのくらいの利益を得たいのか、である。

(1)の「どのような手法で」は、すでに第1回~第5回で説明をした。他にも投資手法はある。投資対象を絞って、自信を持って投資できるチャート手法を身につけて欲しい。

(2)の「どのくらいの期間で」は、デイトレーダー型(日々、秒単位で売買を繰り返して、その差益で利益を得る)か、スイングトレーダー型(1日から数週間以内での売買を繰り返す)か、ロングタームトレーダー型(おおよそ1ヵ月以上でスワップポイント(金利)を意識した売買)の、どの型かを確立する。

(3)の「どのくらいの投資額」は、投資は余資での分散投資が原則であり、FXの投資額は余資の何%を振り向けるかを明確にする。なお、FX取引の投資額は一般的に最低10万円である。

(4)の「どのくらいのリスクを許容」が最も大切である。年間損失リスク額、売買取引毎の損失リスク額をあらかじめ決めておく必要がある。長期間継続して投資を行うと、必ず損失は被るものである。そのリスク額を明確にしておけば、投機に走らなければ、大きな損失を抱えるリスクは少なくなる。

(5)の「どのくらいの利益」は、年間目標利益を明確にすることである。投資なので、宝くじ、競馬等と同様な奇想天外な利益は決して期待してはいけない。収益率5%~20%の範囲がひとつの目処であろう。利益を得る確率はじゃんけんの例がわかりやすい。「勝つ」、「分け」、「負け」があるが、1回勝つ確率は33.3%である。2回連続して勝つ確率は11.1%、3回連続して勝つ確率は3.7%になり約30人に一人である。10回連続勝ち続ける確率は10万人に一人である。利益は結果であり、「投資の目的は何か」を常に意識しておく必要がある。 

さらに、売買取引履歴を管理することが重要である。目的が達成できたか否かを決算することだ。確定申告や納税を意識すると、自己決算期は12月末がよいと思う。決算期末には1年間の収益の結果が明らかになり、前年比較もわかる。そのまま、税務申告にも利用出来る、などの利点がある。

(2)損切り

目的を明確にしたら、次は、損失の状態になったときの自己ルールを作る必要がある。投資には損失が付き物であるから、損切りのルールをあらかじめ明確にしておかなければならない。損失を最小限にするためである。チャートの売買信号をそのまま損切りルールにするという方法もあるが、損切りは投資額に対する損失率又は損失額で行いたい。

FXの仲介会社では、「強制ロスカット」(強制決済)を導入している。例えば、セントラル短資FXの「契約締結前交付書面(店頭外国為替証拠金取引説明書)平成22年7月版」では、「証拠金維持率が100%を割り込んだ場合は、お客さまの損失の拡大を防ぐため、当社の裁量により、お客さまの計算においてポジションの全てを最終決済します。」と記載されている。具体的には同社ホームページの「レバレッジ計算機」で強制ロスカットレートが計算できる。11/16の日本銀行公表の米ドル/円終値83.05円をベースに計算、レバレッジ(Leverage、テコの作用=自己資金でその数倍売買できる)毎で見ると、10倍の場合、買いで8.51円の下落、売りで8.18円の上昇で強制ロスカットになる。約定値からの騰落率は±10%である。同様に20倍では±4%、同30倍では±2%になる。同40倍では±1%、同50倍では±0.4%である。値幅で見ると、わずか1円未満の騰落でレバレッジ40倍、50倍では強制ロスカットされることになる。

運用額を10万円とした場合、損をどこまで許容するか、投資家によって異なるが、仮に半額減とすると5万円になる。3割減とすると7万円である。自らの損切り値をどこに置くか、損切りルールをどう作成するか。損切りルールを作成しておけば、損は小さくすることが出来る。損切りとは、一度清算して、再度、運用方法を見直し、次回はプラスになるように投資する、出直しのチャンスであると思って欲しい。このような投資の繰り返しで、損は小さく益を大きくして、運用成績が上げられることになる。

損切りルールの作成は、あらかじめ許容損失率又は許容損失額を決め、約定値から何%(何円)の上昇又は下落したら損切りするか、例えば、2%とか3%とか、又は2円とか3円とかを、決めることである(図表6-2参照)。

(3)益出し

FXレートは、第1回の冒頭に示したように、下図のようにトレンドを描くのが一般的である。但し、下降(上昇)期間が長期になる場合がある。移動平均線等を活用してトレンドを見極める必要がある。

益出し(含み益を清算(反対)売買により利益を確定する)は、如何に最大の利益に近づけるかがポイントになる。あらかじめ清算レートを決めて、そのレートに達したので反対売買した後に、さらに上昇(下降)したことで損をしたという話しを良く聞く。結果的に利益が小さくなったためだ。それを回避するためには、格言にある「鯛の頭と尻尾はくれてやれ」(鯛の頭と尾の部分まで欲張って食べずに、余裕を持って、確実に利食いのタイミングを逸さないようにせよ、ということ)のとおり、高値の転換点を確認して売却、安値の転換点を確認して反対売買すればよい(図6-3参照)。

そのためには、「益出しのルール」を決めておく必要がある。転換点の確認方法である。高値から何%下落したところか、安値から何%上昇したところかである。投資家によって異なるが、米ドル/円の日足のレート推移では、売買の期間によっても変わってくるが、例えば、100円近辺であれば、50銭~1円と設定してみてもよい。益出しルールの作成は、「高値(安値)から何%(何円)、上昇又は下落したら益出しするか」、例えば、0.5%とか1%とか、又は50銭とか1円とかを、決めることである(図表6-4参照)。

(4)「休む」も必要

FX市場は、世界を見渡すとほぼ毎日取引が行われている。リアルタイムで動くFXレートを見ていると、つい、売買取引をしたくなるものである。休み無く取引をしても利益が得られるというものではない。取引で自信が無いとき、先の動きが読めない時は、取引を休む、というのも売買手法のひとつである。相場格言に「休むも相場」(いつも売ったり買ったりするだけではなく、時には休んで、売買の機会を探る事が大切)がある。

金銭的に余裕が無く無理をしているとき、テクニカル分析の売買信号に確信が持てないとき、売買の判断に迷うとき、体調が悪いときは、売買取引に休憩を入れたほうが良い。

休んで、改めて、客観的に冷静に、相場全体の動きを見直すという時間を、積極的に設けるべきである。

(5)売買に参考になる運用ルール

1929年の米国大恐慌を生き抜いた伝説の相場師がいる。ウィリアム・D・ギャン(Willium.D.Gann、1878-1955)である。米国テキサスの綿花農家に生まれ、24歳で商品相場の世界に入って、長くマーケットで活躍した。ギャンは市場で売買するときには、「忍耐(Patience)」、「勇気(Nerve)」、「知識(Knowledge)」、「健康と休息(Health and Rest)」が大切であるといっている。また、「ルールに従うことが出来ない人は投資はやめた方がよい。」ともいっている。

ギャンが豊富な経験に基づいて考案した「価値ある28の運用ルール」はFX投資に大いに役立つ(図表6-5参照)。

(6)FX取引の売買履歴の管理・決算

FX取引の売買履歴を管理することが重要であると冒頭にいった。最近、ダイエットをする人が多いと聞くが、体重を減らすには、毎朝夕に体重を計って記録し、その履歴を観察すれば体重は減らせると聞く。体重を減らしたいと思えば、日々の体重の推移と増減が気になり、運動をしたり、食事を減らしたり、という行動をとる。その結果、体重が減ると嬉しくなり、さらに減量行動をとることになる。当初の目的を達成すると、祝杯があげられる。

売買履歴を管理することも同様であり、毎回の売買取引の結果を記載して、その変動を見る。損失を減らしたいと思えば、勉強時間を増やしたり、売買頻度を減らすなどの行動をとるはずだ。取引履歴を正確に管理することをお奨めしたい(図表6-6参照)。

また、目的が達成できたか否かを決算することも必要だ。確定申告や納税を意識すると、自己決算期は12月末がよいと思う。決算期末には1年間の収益の結果が明らかになり、前年比較もわかる。そのまま、税務申告にも利用出来る、などの利点がある。

(7)まとめ

まとめ:第6回「FX投資の高リターン低リスク化の実現法」(最終回)
◎投資の目的
 投資の目的は5つに整理できる。(1)どのような手法で、(2)どのくらいの期間で、(3)どのくらいの投資額で、(4)どのくらいのリスクを許容して、(5)どのくらいの利益を得たいのか、である。
◎損切り
 損切りルールを作成する。
 
◎益出し
 益出しルールを作成する。
 
◎「休む」も必要
 相場格言に「休むも相場」(いつも売ったり買ったりするだけではなく、時には休んで、売買の機会を探る事が大切)を実行する。
◎売買に参考になる運用ルール
 ギャン理論の「価値ある28の運用ルール」FX投資に大いに役立つ。
◎FX取引の売買履歴の管理・決算
 FX取引の売買履歴を管理することは重要であり、毎回の売買取引の履歴を記載して、その変動を見る。自己決算を行うことも必要。決算期末には1年間の収益の結果が明らかになり、前年比較もわかる。そのまま、税務申告にも利用出来る、などの利点がある。

執筆:QUICK 小沢文雄(執筆日:2010年11月22日 掲載日:2010年11月26日)


《筆者紹介》
1952年東京生まれ。1975年(株)市況情報センター(現QUICK)入社。2001年情報本部長、2003年役員待遇情報開発室長などを経て、現在、役員待遇フェロー(新規企画担当)。
NPO法人日本テクニカルアナリスト協会元副理事長。国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)。
主な著書に、『投資家の予想形成と相場動向』(2001年、共著、日経BP企画)、『日本テクニカル分析大全』(2004年、共著、日本経済新聞社)、『株式相場のテクニカル分析【第3版】』(2006年、共著、日本経済新聞社)などがある。


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