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蟹瀬誠一の人生を豊かにするおすすめの2冊 【第4回】

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特集・コラム [ 蟹瀬誠一コラム ]

蟹瀬誠一の人生を豊かにするおすすめの2冊

今回は、全く性格の異なる2冊の本を紹介します。ひとつは復興院総裁として、関東大震災からの復興計画を練り上げた後藤新平氏の書簡集、もうひとつは日本の財宝を海外に売った美術商の話。全く関係のない2冊ですが、いずれも歴史を語った書物です。今を知るために過去を知ることは大事。それは、復興についても、あるいはビジネスについても共通する真理のひとつではないでしょうか。

復旧ではなく復興  「世紀の復興計画」 後藤新平著

本表紙
後藤新平という人物は、1857年に生まれ、1929年に亡くなった歴史上の人物。満州鉄道の総裁、逓信大臣、内務大臣、外務大臣などを歴任した、生粋の政治家だ。
その後藤新平が過去に書いた論文、講演録などを1冊にまとめたのが本書である。
個人的には、それほど興味のある政治家ではなかったが、今回の震災を機に、改めて読んでみようという気になった。
というのも、後藤新平氏は1925年に起こった関東大震災において、内務大臣兼帝都復興院総裁として震災復興計画を立案した人物だったからだ。東京が焼け野原になり、新しい道路をはじめとするインフラ整備を進めていくに際して、彼は震災以前に比べて幅広い道路を造ることを提唱した。
なぜかというと、モータリゼーションの時代が来ることを予見していたからだ。もちろん、当時はまだそのようなことを考えて道路の整備を行おうなどというアイデアは、どこからも出てこなかった。当然、幅広い道路を造らなくても、これまでのままで良いではないかという意見も多かったという。いや、むしろ圧倒的に多数が、そういう意見だった。
また、今の東京を網羅している環状線、ならびに東京都を中心にして放射状に広がっている道路の両方も、やはり後藤氏の主張に基づいて築かれたものだ。
いずれも、さまざまな反対に遭いながらも、それを実現化させていった。これは、相当に意思が強くなければ出来ないことだろう。果たして、今の政治家に、そこまでの覚悟、意思はあるだろうか。改めて問うてみたいものだ。
後藤は、関東大震災の被害から東京を立ち直らせるのに、「復旧」ではなく「復興」という言葉を使った。災害前の状態に戻す復旧ではなく、新しい都市を抜本的に創り直すという意味で、復興であるということ。今、まさに復興を目指して立ちあがろうとしている被災地をどう創り変えていくのか。その参考になるのは間違いない。

世界を舞台にビジネスをする「ハウス・オブ・ヤマナカ」 朽木ゆり子著

本表紙
最近も、「クール・ジャパン」などといって、日本のアニメなどが海外で高い評価を受けているが、本書は、まさに明治時代のクール・ジャパン物語だ。
日清戦争が終わった1884年、ニューヨークの一等地に店舗を構えた日本企業があった。山中商店がそれだ。
山中商店の社長は、「世界のヤマナカ」と呼ばれていたその人物の名は山中定次郎。日本の美術品を欧米に売りまくったビジネスマンだ。
日本がバブル経済に浮かれていた1980年代。美術品の投機が非常に盛り上がったが、その時、なぜこれだけたくさんの日本の美術品が、海外にあるのかということを不思議に思った記憶がある。その秘密が、本書を読むことで明らかになった。そう、山中商店が、どんどん海外に日本の美術品を売っていたのである。
本書は、単なる美術史の話ではない。鎖国を解いてからまだそれほど歳月が経っていないのにも関わらず、ニューヨークの一等地に店を構えることができたという事実の裏側に、日本政府の思惑があり、異国の地で商売を成功させようとして、鼻血が出るまで働き続けた、当時の猛烈な日本人ビジネスマンのドラマがあり、順調に商売が拡大していったと思いきや、第二次世界大戦が激化するなかで試練の時を迎えていくというように、さまざまなドラマが展開していく。
著者の朽木ゆり子氏は、ほとんど歴史的な資料が残されていなかった山中商店について、長い年月をかけて取材し、歴史をひも解いていった。多数の参考資料にもあたっており、文章も実に引き込まれる面白さがある。
物語としても、あるいは美術史としても、一級品の読み物といえるだろう。
掲載日:2011年月08月05日

プロフィール
蟹瀬誠一(かにせ せいいち)氏プロフィール
明治大学国際日本学部長
元スーパーモーニングニュースキャスター

米AP通信社記者、仏AFP通信社記者、米『TIME』誌特派員を経て、91年にTBS『報道特集』キャスターとして日本のテレビ報道界に転身。 文化放送「蟹瀬誠一、ネクスト」のパーソナリティ、『経済討論バトル頂上決戦』 (朝日ニュースター)『賢者の選択』(BS朝日) 『地球感動配達人 走れ!ポストマン』(TBS)などのキャスター・レギュラーコメンテーターを務め、カンボジアに小学校を建設するボランティア活動や環境NPO理事としても活躍。2004年から明治大学文学部教授、2008年から同大学国際日本学部長に就任。
 
   
    

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