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日本証券業協会 「金融リテラシーの向上に努力」――きょう投資の日 -株式

 

株式 [ 注目の証券会社 ]

日本証券業協会 前哲夫会長インタビュー

「金融リテラシーの向上に努力」――きょう投資の日

10月4日は投資の日――。日本証券業協会や東京証券取引所グループ、大阪証券取引所、名古屋証券取引所、福岡証券取引所、札幌証券取引所、投資信託協会、名証取引参加者協会の証券8関係団体が参加する「証券知識普及プロジェクト」は毎年10月4日を投資の日と定め、記念イベントを開催している。今年も全国各地で講演会等各種イベントを予定、経済や金融に関する知識の普及・啓発活動に努める。日本経済は不振が長引いており日本株も低迷。個人の関心は投資から離れているように見える。「日本経済の難局を乗り越えるためにも、個人の金融リテラシーを高める必要がある」と指摘する証券知識普及プロジェクトの旗振り役、日本証券業協会の前哲夫会長に話を聞いた。

日本証券業協会 前哲夫会長
日本証券業協会 前哲夫会長

最近、日本経済が元気をなくしているような気がしますが、日本経済の現状についてどう思われますか。

「日本経済だけでなく、欧州、米国、新興国と、世界中どこを見渡しても様々な問題を抱えており、世界経済全体が不確実な状態にあると思います。その中で日本経済は、今年初めに回復基調になってきたところですが、3月11日の東日本大震災と原発事故によって大きな被害を受けました。そして長らく続く円高やデフレ経済のため、株価も震災のときの安値を下回った状況にまで落ち込んでいます」

「海外についても、ドル相場の動向やギリシャ経済に端を発した欧州の経済不安など、米国経済やユーロ圏経済の方向性が見えにくい状況になっています。投資もリスクマネーが減り、安定的な資産に向かっています。これが結果的に円高、スイスフラン高などにつながっています。マネーが極端な動きをしている結果、現在のような状況になっているように思います」

「一方、年金制度をはじめ、社会保障制度の現状から、国民は国の仕組みに頼る老後を不安に感じていると思います。早期に税と社会保障の一体改革を進め、日本経済の成長を強力に推進することが大変重要だと思います」

日本経済が活力を取り戻すためには、どのようにしたらよいと思いますか。

「今後は、経済成長を第一に考えた政策を強力に推し進めていくことが重要であり、野田新政権には大いに期待しているところです。日本はやはり技術立国です。環境、エネルギー、医療、介護など最先端の技術とサービスで、海外に向かいつつある富を日本に呼び戻せると思います。そして、そうした資金の最適な配分には、市場が役に立つのではないでしょうか。3月に発生した東日本大震災は本当に不幸なできごとでしたが、そこからの復興は日本人が日本を見つめなおす過程になればよいと思います」

市場活性化をどのように進めていくべきでしょうか。

「市場活性化のためには、まず第1に、日本市場に内外のリスクマネーを呼び込まなければなりません。そのためには日本市場が魅力ある市場になることが不可欠です。円高、デフレからの脱却を実現し、日本経済を再び成長軌道に導くことが重要だと思います。第2に、国民の皆様方に金融・証券に関する正確な情報や知識を持っていただくことが重要です。つまり、『金融リテラシーの向上』支援が特に大切なのです。第3に、市場と投資家を結ぶ証券会社などは、役職員がより高い倫理観、行動規範意識、プロフェッショナル意識を持つように、今まで以上に研修・教育を充実させなければなりません」

いま、なぜ金融リテラシーなのですか。

日本証券業協会 前哲夫会長

「わたしたちは日本経済の長期低迷や少子高齢化といった将来の不安と向き合っています。それを乗り越えるためには、一人ひとりに経済や金融の知識がぜひとも必要であると考えています。金融リテラシーというと、一般には『自分に合った株や債券、投信といった金融商品を選んで、売買できる能力』と説明されることが多いように思います。しかし、プロでも難しい有望株の選択などを、すぐに身につけようとしても難しいでしょう。それ以前に、株式会社とは何か、会社の資金調達とは何か、上場会社の社会的責任とは何か、といった経済の基礎的な知識を正しく身に付けることが重要であると思います。まず日本経済を正しく理解することで、将来の不安に立ち向かうきっかけになるのではないでしょうか。国民の皆様が投資を将来に向けた生活設計に必要な手段の一つであると認識し、自ら積極的に投資を学んでいくことができるように支援することが大切だと思います。とりわけ、次世代を担う子供たちには、金融・証券に関する知識を学び、理解してもらいたいので、学校教育に取り入れていただけるように、教材の制作・提供など教育現場の先生たちに向けた活動も積極的に行ってまいりたいと思っています」

「学校で経済について習う機会はゼロに近いのが現状です。結果として、株式を保有するのは危険なことであるかのような誤解が広がっていないでしょうか。実際に株式投資するかは別にしても、何らかの形で経済の中でのお金のやりとりに参加することが、経済の活性化につながるということを多くの人に知ってほしいと思います。まずは、一人ひとりがお金の問題をネガティブにとらえることなく、将来へ向けたポジティブな問題としてとらえていただくことから始めなければなりません。そして、その上で『投資を学ぼう』というきっかけを掴んでほしいと思います。本協会では広くそうしたきっかけを提供するための様々な支援を行っています。例えば、一般の方に分かりやすい証券知識を身に付けていただけるような各種刊行物を作成・配布したり、『投資の日』に関連する各種イベントの開催もそうした支援のうちの一つです。昨年7月に日本証券業協会の会長に就いて以来、わたしは金融・経済知識の普及・啓発活動に力を入れてきましたし、今後もより一層の取り組みを推進してまいります」

経済・証券知識普及のため、今年も10月4日の「投資の日」中心にイベントを展開しています。

「昨年初めて開催し、大変好評をいただいた日本橋や兜町の周辺で金融にまつわる史跡や施設を回るウォーキングツアーは、今年はコースを増設して開催しています。経済や市場の知識に直接は関係しませんが、興味を持つきっかけになってほしいと思っています。

また、今回、投資に日頃、馴染みのない多くの方にも、正しい金融・証券の情報に触れていただくために、マスメディアを通した活動を行っています。9月から11月までの3か月間、証券知識の基礎に関する番組を全国でラジオ放送し、ラジオ番組と提携したセミナーも全国9都市で開催しています。このほかにも、地域の特性を生かしたセミナーも全国12都市18会場で実施いたします(※1)」

金融・経済の知識不足で、何か困ったことは起きているのでしょうか。

「身近な例では投資詐欺事件です。最近でも、水資源への投資を装った詐欺や震災復興関連ファンドを装った詐欺が相次いで明るみに出ています。これらも“出資者”の資金がどのように流れるか、落ち着いてよくよく考えると不明瞭な点があったり、情報開示が欠けていて『あやしい』と疑う要素が見つかったかもしれません」

「また、未公開株で取引できるのはグリーンシート銘柄(※2)だけ、という知識が普及していれば、昨今社会問題化している未公開株詐欺の被害も防げた可能性があります。そもそも証券会社や銀行のアドバイザーなど知識を持った専門家に相談する習慣さえあれば、もっと被害は減らせたのではないかと悔やまれます」

「日本証券業協会では警察や国民生活センターなどと協力して、詐欺撲滅のための取り組みを進めており、『未公開株の勧誘にはご注意ください!』と表記した注意喚起のためのポスターやリーフレットなどを作って、全国の証券会社、金融機関、国民生活センターなどにお配りし、皆様の目に触れるように努力しています。これらは本協会のホームページを見ていただければ詳しく載っていますので、ぜひ見ていただきたいと思います。また、本協会では、未公開株通報専用コールセンター(※3)を設置して、皆様からのご相談に応じるとともに、いただいたご相談内容を参考に、警察とも連携をとって詐欺撲滅に向けた努力を続けています。未公開株への投資を勧誘する怪しい電話がかかってきたり、手紙が来たら連絡していただければと思います」

※1.詳しくは、本協会ホームページの「投資の日」記念イベント特設ページをご覧ください。
※2.詳しくは、本協会ホームページ「グリーンシート」をご覧ください。
※3.未公開株通報専用コールセンター(電話0120-344-999、平日の午前9時~午後5時に開設。ただし午前11時半から午後零時半まで昼休み)

取材・執筆:Fanet MoneyLife(掲載日:2011年10月04日)

   
    

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