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東証IRフェスタ2014

金融最前線

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東京証券取引所は2月21、22日の両日、東京国際フォーラムで「東証IRフェスタ2014」を開催しました。アベノミクスによる株高効果は昨年末で一服。やや調整色の濃かった時期ではありますが、個人の株式投資に対する関心は高く、2日間で約17,500人と昨年を上回る来場でにぎわいました。

72社が出展 プレゼンテーションに力が入る

今年の出展企業数は72社。開催日の前週、前々週と、関東地方は大雪に見舞われ、会場への搬入の遅れが心配されましたが、無事、開催されました。
大賑わいの会場では、各企業のブースで企業経営者、IR担当者らが、集まった個人投資家を相手に、事業内容、現在の業績動向などについて説明。投資家も熱心に耳を傾けていました。2014年3月期決算は、多くの企業が好業績の見通しを打ち出しているだけに、投資家の関心度の高さが伺われます。
また企業だけでなく、投信会社もブースを出し、ETFのプレゼンテーションを積極的に展開。Jリートコーナーでは、不動産証券化協会のほか、Jリートの投資法人各社が、ファンドの運用状況、商品説明などに力を入れて説明していました。
一方、イベントステージも大盛り上がり。株式評論家の木村佳子氏が司会を務めた「大学生投資サークルプレゼン大会」は今回が3回目。東京大学、慶応義塾大学、明治大学など関東圏の大学に、同志社大学、京都大学など関西の大学も加わり、各校がどういう視点で銘柄を選んでいるのか、そのなかでどの銘柄に今、注目しているのかどのような視点で投資先銘柄を決めているかなどを、来場していた個人投資家にプレゼンテーションをしていました。

ブース
出展企業のブースには熱心に説明を聞く個人投資家が集まった。

+YOUプロジェクトの公開収録が初登場

イベントステージでは、2012年から東証が推進している「東証+YOUプロジェクト」とタイアップした番組を放送しているラジオNIKKEIのステージが初めて登場。公開録音が行われました。
番組パーソナリティの和島英樹記者、内田まさみアナウンサーの進行により、前半のステージではミネベア株式会社代表取締役社長の貝沼由久氏と、草食投資隊のメンバーで、コモンズ投信株式会社取締役会長の渋澤健氏が登壇。後半のステージでは、ブラザー工業株式会社代表取締役社長の小池利和氏と、レオス・キャピタル・ワークス株式会社取締役最高運用責任者の藤野英人氏が登壇し、投資する者と投資される者との熱いトークが繰り広げられた。公開収録ということもあり、ステージの観客席は満員で、立ち見も多数。この日の模様は、ダイジェスト版としてラジオNIKKEIで放送されたのとあわせて、下記のサイトからアーカイブで聴くこができます。

オンデマンド放送(ラジオNIKKEI)
東証+YOU~ブラザー工業小池利和社長(IN 東証IRフェスタ)
東証+YOU~ミネベア貝沼由久社長(IN 東証IRフェスタ)


満員の講演会 高まるアベノミクスへの関心

今回の東証IRフェスタの講演会場はほとんどの講演会が満員。金曜日、土曜日の両日、著名な専門家の方々が登壇。個人投資家の関心が高いテーマで講演を行いました。特に、昨年の株高の原因ともいうべき「アベノミクス」をテーマにした講演が多かっただけに、すでに株式のポジションを持っている投資家にとっては、自分の資産が増えるのかどうか。これから買いにいこうと考えている投資家にとっては、今が本当に買うタイミングなのかどうかを見極めようと、真剣に耳を傾けていました。
おもな講演の概略は下記のとおりです。


<講演1>
ロバート・アラン・フェルドマン氏
(モルガンスタンレーMUFG証券チーフエコノミスト兼債券調査部長)
「アベノミクスのABC理念A;内容B;実現C」
ロバート・アラン・フェルドマン氏
モルガンスタンレーMUFG証券チーフエコノミスト兼債券調査部長
ロバート・アラン・フェルドマン氏

アベノミクスに関しては、理念・哲学については賛成だ。しかし、安倍首相と自民党の哲学が、果たしてどこまで一致しているのか。たとえば成長の源泉は何かという場合、安倍首相はサプライサイドの考え方に立脚していて、イノベーションが大事だと言う。でも、大半の自民党政治家は、次の選挙のことに頭が行っているので、公共事業で橋を架けることが大事だと思っている。こうした哲学の相違が、アベノミクスの進行に悪影響を及ぼさないことを祈っている。
実際、これからの日本経済はどうなるのかというと、恐らく1~3月期は非常に良い数字が出ると思う。しかし、4~6月期は消費税増税の影響が出てくるので、悪くなる。
異次元金融緩和とされる第一の矢は、昨年の株価や円安の動きからすれば、ほぼ所定の目的は達成したと見て良いだろう。
問題は、第二の矢、第三の矢である。
第二の矢は財政再建だが、現状、財政そのものが非常に厳しい状況にある。特に社会保障費が歳出全体に占める比率が年々上昇しており、その問題を解決するためには、消費税増税ではなく、社会保障制度の見直しが必要だ。現状、そこまで思い切った財政見直し案は出ておらず、したがって道半ばの印象を受ける。
第三の矢は成長戦略。とくにかく既得権益者の抵抗が物凄いが、日本は今後、生産性を上げていかないと、経済自体が立ち行かなくなる。また法人税の減税は財務省の抵抗が極めて強い。風向きはあまり良くないが、どれだけ抵抗があろうとも、成長戦略の成功なしに日本経済の未来はない。
こうして見ると、アベノミクスは理念こそ素晴らしいが、その実行段階でまだ課題が山積みになっている。
マーケットの見通しだが、為替は円安が続くだろう。貿易赤字はますます増えていく。1ドル=109円は通過点であり、来年末には120円とみている。株価は、さまざまな課題はあるが、基本的に株高基調。海外に比べて出遅れ感があるため、上昇余地はあるとみている。

<講演2>
広木隆氏(マネックス証券チーフ・ストラテジスト)
「アベノミクス相場第2幕! どうなる2014年度の株式市場展望」
広木隆 氏
マネックス証券チーフ・ストラテジスト
広木隆氏

株価のフェアバリューをどう考えるか。基本的には企業の業績、利益のトレンドが株価を形成する。
今年度の業績はどうか。上場企業が過去最高益を更新したのは2007年度のことだが、2013年度はその9割くらいまで回復する。そして来期は更に伸びると見ている。つまり、企業業績はリーマンショックの前の水準まで戻るということだ。
リーマンショック前の株価は、日経平均株価で1万8,000円台。業績がリーマンショック前まで戻るなら、株価もその水準まで回復すると見るのが自然だろう。
昨年、日経平均株価は57%も上昇した。理由は、アベノミクスによるデフレ脱却期待だが、理由はこれだけではない。もうひとつの大きな理由は、グローバルな投資環境が大きく改善したからだ。
ひところ、大騒ぎになった欧州債務危機は影を潜め、ユーロはむしろ上昇してさえいる。
米国経済も堅調で、実質GDPは3%成長だ。
来年度は先進国主導の世界経済回復が期待され、日本の消費税増税にともなう停滞は、一時的なもので終わるだろう。
また、新興国経済の行方を懸念する声もあるが、今や経済はグローバル化が進み、多くの国がリンクしているため、先進国経済が回復すれば、新興国経済にも徐々にプラスの効果が波及していくはずだ。
米国経済に関していえば、1、2月の非農業部門雇用者数が大幅に落ち込んだことを懸念する声もあるが、これは寒波の影響という一時的要因に過ぎない。
このように外部環境は良好だ。
そのなかで日本の株価をどう見るか、だが、2014年2月時点のEPSは1,000円前後。PERが15倍程度だとすると、日経平均株価は1万5,000円前後になり、目下の株価水準はフェアバリューであると言える。つまり割安ではないが、割高でもないというところだ。
ただ、2015年3月期はさらに日本の企業業績が回復していくので、EPSで1,200円程度を見込んでいる。これをPER15倍として株価を割りだすと、日経平均株価で1万8,000円くらいになる。もしPER20倍程度まで買いあげられたら、日経平均株価は2万円台が見えてくる。
2014年度の国内株式市場も、基本的には強気の路線で良いだろう。

<講演3>
竹中平蔵氏(慶応義塾大学総合政策学部教授グローバルセキュリティ研究所所長)
「2014年日本経済とアベノミクスの新段階」
竹中平蔵 氏
慶応義塾大学総合政策学部教授グローバルセキュリティ研究所所長
竹中平蔵氏

昨年、日経平均株価は57%上昇した。これは、ドバイ、アルゼンチン、アブダビに次ぐ世界4番目の上昇率であり、主要国のなかでは断トツのパフォーマンスとなった。米国も良かったが、それでも株価の上昇率は30%弱であり、ドイツも25%だ。確かにアベノミクス効果はあった。
問題はこれからだ。今、日本はチャンスを迎えているが、構造改革などを阻もうとする力が強い。これから半年が正念場で、政治の力が改めて問われるだろう。
ポイントは、3本の矢が現状、どうなっているのかということだ。
第一の矢は「デフレ克服のための金融緩和」。一部では人口が減っているのだからデフレは規定路線と言う人もいるが、世界を見れば、人口が減っているのにインフレになっている国はいくらでもある。
確かにデフレになるリスクは高まるが、人口減でデフレになるという見方は間違いだ。そこで日銀は黒田総裁のもと、量的金融緩和を実施。株価は57%も上昇した。第一の矢は間違いなく飛んでいると見て良いだろう。
第二の矢は「機動的な財政政策」で、当面は財政拡大。でも、中期的には財政再建を行うというのが、この真意である。
今、街を歩くと、あちこちで道路工事が行われている。政府がお金を使っているということだ。これによって、街の景気判断は着実に改善している。ただ、中期的には、年金を減らすなど歳出の改革を進めなければならない。つまり、第二の矢の前半部分は飛んでいるが、後半部分はまだ飛んでいない。
そして第三の矢は「成長戦略」。確実に経済を成長させる打ち出のこづちは存在しないが、GDPは民間企業の活力で増えるものだ。したがって、そのためには規制を無くして減税する。インフラを整備する。この3つが必要になってくる。
しかし、日本には「岩盤規制」といって、それを打ち破るのに非常に大変な規制が存在している。たとえば株式会社が農業を行うことは禁じられているし、医療についても1979年以来、日本には新設された医学部が存在しない。これだけ医者不足が叫ばれ、医療が大きなビジネスチャンスを抱えているにも関わらず、医者の数が増えにくい環境が、依然として残されているのだ。
こうした岩盤規制を突破するため、国家戦略特区を創る。昨年12月に法案も通り、あとは実行に移すだけだ。今後2年間という期間を設けて、国家戦略特区を創り、すべての岩盤規制に突破口を作る。
そして2020年には東京オリンピックが開催される。この効果は大きい。たとえば、前回の東京オリンピックでは、ホテルオークラやホテルニューオータニ、東京プリンスホテルが出来、青山通りも整備された。オリンピックで来日する世界中の人々の食を満たすため、セントラルキッチンシステムが考案された。さらに警備のため、SECOMという会社も出来た。新しいライフスタイルが生まれたのだ。
この半年の正念場を乗り越えれば、日本経済は順調に回復へと向かうだろう。

<講演4>
新井和宏 氏(鎌倉投信取締役資産運用部長)
「会社の選び方とリスク管理」
新井和宏氏
鎌倉投信取締役資産運用部長
新井和宏氏

自分にとって良い会社とは何か。それは人によって異なる。なぜなら、年齢、家族構成、生活のスタイルが異なれば、リスク許容度にも違いが生じてくるのは当然だ。
基本的に、株価が下がっても応援したくなる企業の株式に投資するのが大事だと考えている。応援したい企業だからこそ、株価が下落した時に、バーゲンセールだと思って買うことができるからだ。
ただ、個人の場合、株価が下落した時、なかなかメンタル面でのコントロールできないケースが多い。株価下落によって被るダメージは、金銭的ダメージと精神的ダメージとに分かれる。前者は計算できるが、後者はなかなか計算が難しい。よって、大方の人は、株価が安い時に買えば良いということは分かっていても、なかなか行動に移すことが出来ない。
では、どうすれば行動できるようになるのか。
ひとつはストレステストをすること。株価が悪くなった時でも持ち切れる株式かどうかを考えてみる。具体的には、たとえばリーマンショックのような株価の大暴落が起こった時でも、平然と買いを入れられる銘柄かどうかを考えてみて、買えるという銘柄に投資する。
加えて、マクロとミクロを上手にバランスさせること。往々にして、マクロが好きな人は政策批判ばかりをしているうちに買いのタイミングを逃す。逆にミクロが好きな人は、マーケット全体を俯瞰する能力に乏しい。大事なことは両者をバランスさせることで、たとえどれだけ良い企業であったとしても、景気が悪くなれば株価は下がるという認識を、しっかり持つことだ。
投資をしたらリスク管理が重要になるが、この時のポイントは、ランダムに選んだ銘柄でポートフォリオを構築しているかどうかということだ。ランダムというのは無作為のことである。でも、大概の人は、作為的にポートフォリオを構築する。たとえば、株価や業績の良い銘柄ばかりを集めているケース。自分の好きな企業の株式、もしくは有名な企業にだけ投資しているケース。これらすべて作為的である。そうではなく、あくまでも無作為に銘柄を選ぶ。そうすれば、30銘柄程度でも十分に高い分散投資効果を得ることができる。
プロの運用者は、常にリスク管理を重視する。なぜなら、リターンは運を天に任せるようなものだからだ。
良いリターンが期待できる銘柄だけを選ぼうとしても、それは無理なことである。運用者が出来るのは、成績が落ちるリスクを少しでも小さくするためのリスク管理のみだ。だから、ポートフォリオは出来るだけ無作為に選んだ銘柄で構築すると共に、自分が心底信じられる銘柄をピックアップしておき、その株価が下がったら買う。そうすれば、おのずとポートフォリオのリスク度は低下していく。
最後に、大勢の人が「今は景気がいいね」と言っている時ほど、プロの運用者は「危ない」と考え、株価が下落した時の対応策を練る。もし、日本の景気がアベノミクスで大きく回復し、世の中が楽観ムードで溢れてきたら、株価の急落に備えた方が良い。

掲載日:2014年3月28日



 
   
    

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