株式・投資信託・ETF・退職・年金 投資に役立つ「ケイゾンマネー」

-2- 地方銀行 コンサルティングや信託業務で差別化へ ライバル行の多い地域ほど、金利競争などが過熱 - 特集【団塊世代の知っ得サービス】 - 経済トピックス

 

特集・コラム [ 団塊世代の知っ得サービス ]

団塊世代の知っ得サービス-2- 地方銀行 コンサルティングや信託業務で差別化へ

第2回目は「地方銀行」の動きをレポートする。投資信託や変額年金の銀行窓販が普及したことにより、地銀でも多くの金融商品が選べるようになった。証券仲介業や信託代理店など横の連携も進む中、関東・関西の地銀がどんなサービスを展開しているか紹介する。地銀はメガバンクとの競争もさることながら、隣接都府県の地銀との競争が激しい地域ほど、金利などのサービスも過熱する傾向が強い。
 団塊世代の退職者向けでは、定期預金の金利優遇、投信などとのセット販売が目立っている。利用者の側もコンサルティングでじっくりと勉強し、リスクとリターンを正しく認識してセット販売を利用する必要がありそうだ。

地銀のサービス、地域情勢とライバル行で激化

地銀の団塊世代向けサービスは地域によって差がある。国勢調査によると、2007年に団塊世代で退職年齢の60歳に達する人が最も多いのは東京都の20.4万人。これに大阪府の15.9万人、神奈川県の14.7万人などが次いでいる【図1参照】。やはり東京・大阪・名古屋の三大都市圏を中心に退職者が多い。
図1 都道府県別の団塊世代の人口
図1 都道府県別の団塊世代人口
総務省「平成17年国勢調査」よりQUICK作成
大都市の地銀はメガバンクや隣接都府県の地銀と競争すべく各種のキャンペーンを展開している。3月20日の日経新聞は「地銀の県境越え拡大」という記事で、宮城県、愛知県、広島県などの各地でも地銀の出店・サービス攻勢が活発化していると報じている。激戦区は全国に広がっているようだ。
ただ、大都市圏の地銀ほどメガバンクの激しい攻勢を受けており、地銀関係者には「サラリーマン時代は都心での利便性を優先してメガバンクを利用していた人も、退職後は地元の金融機関と末永く付き合って欲しい」という思いもある。

団塊マネー向け定期預金でも「千葉金利」が発生?

写真1 金融機関「激戦区」として有名な千葉駅前大通り。
写真1 金融機関「激戦区」として有名な千葉駅前大通り。
通りの両側200メートルほどの区間に主なメガバンク、
信託銀行、証券会社、地元銀行が出店している。
メガバンクが総合力で会員制サービスなどに注力する一方、地銀は定期預金を中心とした商品でキャンペーンを強化している。なかでもサービス合戦の激しいのが千葉県だ。もともと千葉では、「千葉金利」と呼ばれるほどに低くなった住宅ローンを代表として、地銀同士の個人向け営業が激化している。「千葉都民」と呼ばれるような東京への通勤者も多く、メガバンクとの競合も激しいからだ【写真1参照】。
団塊世代の退職者向け定期預金金利(初回特別金利、税引前)も同じようで、千葉銀行では3カ月物で年2.2%、京葉銀行では3カ月物で年2.0%としている。一方で千葉興業銀行は、創立55周年を記念して「プレミアム55」と題したスーパー定期を取り扱い始めた。税引き前の適用金利は3年物で年0.90%、5年物では年1.20%となっている。一般個人客も預けることができるが、もちろん狙いは団塊世代の退職者だ。2006年から資産運用セミナーや相続・遺言入門講座などを開催し、サービスの面でも強化している。

コンサルティング、信託業務でサービス向上図る千葉銀

写真2 千葉銀行の中曽根孝氏
写真2 千葉銀行の中曽根孝氏
千葉銀行は4月2日から、退職者向けの定期預金の3カ月物金利を従来の年1.2%から年2.2%に引き上げたばかり。これは退職金受け取り後1年以内の人に限定したキャンペーンで、千葉県ではメガバンク並みの年2%台が当たり前になっている。
同行個人部金融商品グループの中曽根孝マネージャーは「4月は、年度末に退職となった団塊世代の方々の振込が集中する月なので、思い切った金利設定にしました」と話す【写真2】。同社のサービスは金利だけに限らない。2004年10月からは顧客との接点を増やすため、千葉駅前大通りに「コンサルティングプラザ」も設置した。年間400回のセミナーを行う一方、セミナー後は個別のアフターフォローにも努めている。「窓口行員がお客様から信頼されるよう、コンサルティングセールスの実践研修に繰り返し取り組んでいます」(同)。
2006年6月からは信託業務・相続業務を開始。同年10月には担当者を16人に増やし、大手信託銀行が拾え切れていない中小企業オーナーの相続対策、富裕層向けサービスなどを手掛けている。千葉県では、つくばエクスプレスの開業などの影響で保有していた土地が値上がりし、相続対策が必要になる人も多いという。中小企業の跡継ぎ対策なら、社内のM&Aチームが対応する。
3月28日には、そごう柏店内にコンサルティングプラザ2号店がオープンした。地銀のサービスは日々進化しているようだ。

プラチナ会員が1万人を突破、関西アーバン銀行

写真3 関西アーバン銀行UPBPのエントランス。
会員専用カードでドアを開けると、正面モニターに顧客の名前とウェルカムメッセージが表示される。
写真3 関西アーバン銀行UPBPのエントランス。

コンサルティングサービスでは、大阪の関西アーバン銀行も注目される。富裕層取引の拡充を目的として、心斎橋にある本店14階に「アーバンプラチナバンキングプラザ(UPBP)」を開設し、会員専用のハイエンドな金融サービスと高度なコンサルテーションを提供している。
このUPBP会員となるためには、預り資産残高が2000万円以上など所定の取引が必要。UPBPを利用する際には専用の会員カードが必要となっており、顧客のプライバシーに配慮した【写真3参照】。会員数も2005年11月のオープン当初の約6700名から2007年2月時点で約1万2000名へと順調に増加している。
UPBPでは、各種相談業務を予約制で受け付けている。その一方、いつでも会員にくつろいでもらうため、ラウンジやドリンクカウンターなども用意。同行営業統括部部長代理の森本勇氏によると「相談だけでなく、心斎橋の買物のついでにお立ち寄りいただくなど、大変ご好評をいただいております」という。このプラチナラウンジは池田支店(2月13日オープン)に続き、東大阪支店(5月28日)、豊中支店(7月23日)にも設置していく予定だ【写真4参照】。
写真4 関西アーバン銀行本店14階のプラチナラウンジの様子写真4 関西アーバン銀行本店14階のプラチナラウンジの様子
同社では、団塊マネー、それにまつわる資産運用ニーズの高まりなどを千載一遇のチャンスと捉え、「積極的に富裕層や企業オーナーとの取引深耕を図っていきたいと考えています」(同)。すでに住友信託銀行の代理店として遺言信託・遺産整理業務も取り扱っている。住信の高度な金融ノウハウ、地域金融機関との提携実績が豊富であることなどを勘案し、提携したという。「信託業務に対するお客さまのニーズは高く、引き続き注力していきたいと考えています」(同)。従来は支店で実施していた「年金相談会」に加え、2006年5月から「シニアライフシミュレーション」という独自のサービスもスタート。これは双方向TV相談システム「アーバンバンクTV」の相談コンテンツの1つ。いつでも顧客の都合に合わせて、普段利用している支店から本店の社会保険労務士とTV電話で年金相談ができるようになっている。さらに、SMBCフレンド証券と提携し、証券仲介業務にも参入している。
大阪は、もともと旧住友銀行、旧三和銀行といった都銀勢が強かったが、いまでは京都銀行や南都銀行といった近隣の地銀が進出し、サービス競争が激しくなっている。三井住友銀行と近い関西アーバン銀行は、自社オリジナルのサービスに加え、信託・証券などの分野で提携することで競争力を高めているようだ。

生活費を取り崩せる定期預金も、セット販売には注意

元金と利息を定期的に引き出せるユニークな定期預金を提供する地銀もある。主な商品は京葉銀行の「ふたつのひきだし」、足利銀行の「ゆとりごよみ」、広島銀行の「マイライフアップ」など。年金だけでは不足する生活資金を定期的に補う商品で、京葉は1カ月複利、足銀は半年複利という特徴もある。利息部分を受け取る商品では、七十七銀行、横浜銀行、山梨中央銀行、南都銀行、福岡銀行などが取り扱っている。
外貨定期預金の利息部分を円で受け取れるものもある。外貨定期預金は金利の高さに目が行きがちだが、本来的には為替リスクがある商品だ。自分の資産・生活にあったリスクを許容できるのか判断し、長期投資で臨みたい。
また地銀に限らず、多くの銀行が提供しているサービスで、投信や外貨預金、変額年金などを一緒に購入することで定期預金の金利を優遇するものには気をつけたい。いわゆるセット販売(クロスセル)である。金融庁は1月、「円定期預金とセットの投信販売に関する相談」が寄せられているとして、ホームページ上に注意喚起する文章を掲載した。その中で金融庁は「優遇金利が適用される期間は制限されている」としながら、「実際に受け取る利息がどの程度になるか予め把握することが重要」とアドバイスしている。
セット販売では、3~6カ月物定期預金と同じ金額の投信、外貨預金などを一緒に申し込むと、定期預金金利が優遇される。優遇金利はメガバンクで年利5%近辺、地銀でも年利4~6%と普通の定期預金よりも高めだ。しかし仮に100万円を年利6%の3カ月物定期預金で運用しても、20%の税金が引かれれば受取利息は1万1836円にしかならない。これは確かに優遇されているが、100万円分の投信を一緒に買った場合、投信の販売手数料は概ね1~2%程度のため、金利優遇のメリットはほぼなくなる。
利用者がもともと投信を買うつもりだったら良いが、金融機関としては投信の販売手数料、外貨預金の両替手数料などを得るため、本来なら必要としない顧客もリスク商品を買わされる恐れがある。長期運用を考えればメリットがあると一概にいえるサービスではないため、キャンペーン金利の高さに惑わされず、コンサルティングを受けてじっくりと資産運用の方針を検討した方が良さそうだ。
【執筆:MoneyLife 片平正二】
(掲載日:2007年4月10日)
●第3回目はバランス型ファンドを中心とした「投資信託」についてレポートします。
   
    

特集

「証券アナリストの調査手法とこだわり」(全6回)

「証券アナリストの調査手法とこだわり」

証券アナリストの行動パターンをご紹介!個人投資家のリスク回避術を学ぼう。

特集を読む »

おもしろ企業探検隊

おもしろ企業探検隊

平林亮子&内田まさみの「そうだ!社長に会いに行こう」ナブテスコ株式会社

特集を読む »