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-2- 東証マザーズ 国内外の企業に選ばれる『東証ブランド』を目指す 外国企業の上場にも意欲的なマザーズは、著名・優良企業の誘致を積極化する - 特集【2007年新興市場IPOを占う】 - 経済トピックス - 話題とコラム

 

特集・コラム [ 2007年新興市場IPOを占う ]

【第4回】東証マザーズ 東京証券取引所 常務執行役員(資本市場プロモーション部門担当)清水 寿二氏に聞く「国内外の企業に選ばれる『東証ブランド』を目指す」

IPO特集第1回目は、東京証券取引所の清水寿二常務執行役員に話を聞いた。2006年のマザーズのIPO数は41社となり、前年の36社から増加に転じた。「数」もさることながら、多くの著名企業の上場が相次いだことで、「質」の面でもマザーズに復活の兆しが見られる。外国企業の誘致にも意欲的な姿勢を示し、「2007年中には外国企業10社の上場を目指したい」と語る。

▼東京証券取引所(西室泰三代表取締役社長)のマザーズとは
1999年に開設された新興市場で、現在の上場銘柄数は184(2006年12月20日時点)となっている。「高い成長可能性を有していると認められる企業」が数多く上場しているため、いわゆるIT・ネット系のマーケットというイメージが強いが、昨今はサービス業・小売業などの業種でも著名企業が上場。なお、2006年12月には「マザーズ・グローバル」と称し、外国会社であることを明確にして外国株を取り扱いはじめた。

2006年を振り返って

清水氏:

資本市場プロモーション、企業誘致を担当している立場からいえば、国内・国外ともに積極的な誘致活動を展開してきたといえます。マザーズの上場銘柄数も180を超え、順調に育ってきています【図参照】。その一方で東証に限らず、新興市場全体では企業ディスクロージャーの問題、内部統制が課題となっていましたので、いろいろと検討、対応してきた1年でした。

外国企業では、2005年に韓国のポスコが市場第一部外国株として上場したわけですが、2006年は12月に、英国の情報提供会社であるジャパンインベスト・グループ・ピー・エル・シーが上場しています。マザーズの中に「マザーズ・グローバル」という枠組みをつくって、中国をはじめ、アジア・欧米の成長性のあるベンチャー企業を誘致していきたいと思っています。

なぜ「マザーズ・グローバル」を新設したのですか?

清水氏:

マザーズという枠組みの中で、これから成長しそうなアジアの企業を誘致する上での看板にしたいと考えています。やはり流動性などを考えますと、単独上場が望ましいでしょう。アジアの企業が日本でビジネスの足がかりをつくる際、海外へ向けて積極的にアピールしていきたいと思っています。

また、日本の法制度・ルールとは違う外国企業が対象になるということを投資家に認識してもらう意味もあります。ディスクロージャーなどを通じて、外国会社の特性を理解して、投資家の皆様には理解して投資していただければと思います。

2006年までは「種まき」の時期で、5月18日には「日中証券会議」というセミナーを東京で開催しました。これは上海証券取引所や深セン証券取引所との協力で開かれたもので、中国の企業にも東証に目を向けていただく機会となりました。これ以外にも、中国の主要都市をまわって企業訪問もしています。

ただ、中国の企業にとって、外国上場となれば香港市場、シンガポール市場、あるいは欧米市場がまっさきに浮かぶのが現状でもあります。外国市場というカテゴリーとして、東京市場で外国企業が上場できるということがなかなか認識されていません。外国企業の誘致には苦労していますが、西室社長が「外国企業の上場は、今年度中に10社くらいを目指したい」と申しております通り、2007年中にはそれくらいの数の上場を実現したいと思っています。

企業誘致では、どのような対応を?

清水氏:

全国津々浦々、有望な会社には直接誘致を働きかけています。IPOは取引所だけでできることではありませんので、引受証券会社、監査法人、証券代行、銀行、地方公共団体といった関係各所との連携を深めています。さらに大学でベンチャービジネスに取り組んでいるところの協力をいただきながら、幅広く各都道府県を回っています。幹事証券が来てくれるのを待っているということはありません。

最近では、銀行が市場誘導業務として、取引関係のある地元企業に向けて株式公開などに関するアドバイスをしています。これもネットワークの1つです。従来の証券会社経由のルートに加え、銀行を通じた情報収集は増えていますね。今後は地銀と東証が組んで、企業向けセミナーなどを地方で活発に開きたいと思っています。

もともと東証では、「コミュニティ・ミーティング」と称して既上場の会社と地方で対話する機会を設けています。この機会を利用して、私どもでは未上場の企業を集めたセミナーを同時に開催しています。上場先がメインボード(一・二部市場)か、それともマザーズなのか、マザーズから直接一部へ、二部から一部に行くのか。東証なら、企業の発展度合いによっていろいろな枠組み・成長のストーリーをご提供することができます。

業界内では、マザーズの上場審査は厳しいとの声も聞かれています

清水氏:

審査の厳しさ・上場の難しさというところで、様々な意見があるのは承知しています。ただいえることは、安易な競争によって「安きに流れる」ようなことがあっては、東証のバリューを落とすことになってしまいます。

上場の基準は、時代時代によって変わってきます。不祥事などが起これば厳しくしようというモードになりますし、良い会社がたくさんそろってくれば、多少なりとも緩和して良いという流れになることもあるでしょう。昨今は米国や国内も含めてコンプライアンスの強化が求められている時代ですから、われわれも厳しく企業を見るでしょう。現在、審査部の人員は徐々に強化して約50名となっています。どのマーケットに上場するかは各企業の判断だと思います。われわれが自ら、審査基準を下げるということはありません。

2006年はミクシィやGCAなどが話題を集めました

清水氏:

手前味噌ですが、東証のバリューを評価していただいたのかと思います。各企業が東証に上場することを選んでいただけるブランドを維持できるよう、われわれも努力したいと思っています。

マザーズ発足当初は、ITやバイオといった「新規性のある企業」を中心とした市場というイメージが強かったと思います。実際、われわれもそれを目指していました。しかし最近は、将来性に広がりがある企業であれば、業種は関係ないと考えています。マザーズはもともと、メインボードと違って「リスクのあるマーケット」ですが、リキッドオーディオ・ジャパンのようなこれまでの苦い教訓を生かさなければいけません。

上場後のIRなど、企業へのサポートは?

清水氏:

必要に応じてアドバイスなり、指導をしていくのも東証の役割です。われわれ取引所は、正しい情報が投資家の皆様に届くような「枠組み」を提供するところだと思っています。タイムリー・ディスクロージャー、定例開示・決算発表などを正しく公表してもらい、コーポレートガバナンスの観点から内部統制や経営のあり方についてガイドラインを出すなど、幅広く啓蒙活動を進めています。

定期的な支援策としては、「東証アカデミー」の一環として上場会社向けのセミナーを開催しています。セミナーへの参加者は年々増えています。上場規則が変わればそのつど開催しますし、最近では金融商品取引法の対応などで、企業も頭を痛めています。皆さん非常に真剣です。

2007年に向けた展望、投資家へのメッセージなど

清水氏:

これから上場を検討している企業に向けては、マザーズ、一部、二部という品ぞろえを持つ「バリューのある東証」を使っていただければと思います。海外でも誘致活動をさらに活発にしたいと考えています。

また投資家の皆様については、市場間の競争がある中、東証のブランドを生かしてさまざまな企業を誘致しますのでご期待ください。まだ上場していない会社でも、一般的に知名度の高い会社は数多くあります。そういった著名企業・優良企業への誘致を今後も働きかけていきたいです。


インタビュー:2006年12月、聞き手:MoneyLife 片平正二
(掲載日:2007年1月4日)



   
    

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