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-2- 日の出証券 女性だけの販売チーム「H_it」 高齢化社会に対応し、顧客にも身近な存在に - 特集「証券会社の地域密着サービス」 - 経済トピックス

 

特集・コラム [ 証券会社の地域密着サービス ]

「証券会社の地域密着サービス」-2-
日の出証券 女性だけの販売チーム「H_it」

2回目は女性だけの金融商品販売チーム「H_it(ヒット)」を結成した大阪の日の出証券についてレポートする。6月に発足したH_itのメンバーは、投資信託や国債の販売業務に限らず、認知症サポーターの資格を受講するなど、高齢化社会に備えた顧客サービスに臨むという。
 同社自身、社団法人成年後見センター・リーガルサポートの賛助会員となり、成年後見制度を活用できる態勢を取っている。家族のことなどで困っている顧客と接してきた経験を踏まえ、「顧客の何らかのお役に立ちたい」という趣旨で対面業務を強化しているようだ。

●日の出証券の概要
    創業; 1889年(明治22年)2月、福田証券として発足
    取締役社長; 平林 正樹
    本店; 大阪市中央区高麗橋2-3-9
    従業員数; 226名
    営業網; 大阪府、東京都、兵庫県、和歌山県、福岡県、宮崎県、大分県(計12店舗)

女性も働きやすく、顧客も相談しやすいイメージ作り

日の出証券が女性だけの販売チームを作った背景には、2006年に大和証券グループ本社の連結子会社となったことが影響している。選択と集中を進めながら、「これからは若い人が成長してくれなければいけない」という考えのもと、女性の営業員が活動しやすい環境を整える必要があったからだ。同社営業企画部長の冨山晃伸氏は「当社には男性だけでなく、女性の営業員もいるということで、お客様から分かりやすい彼女たちのイメージを作ろうと考えました」と語る【写真1】。H_itの名前は、日の出(HINODE)の「H」と、投資信託(Investment Trust)の頭文字からとった。
写真1 日の出証券の冨山晃伸氏写真1 日の出証券の冨山晃伸氏
新人の勤務地限定の女性社員は全員がH_itのメンバーとなり、テレコール・来店誘致を中心に活動するという。団塊世代の大量リタイアを控え、対面営業を他社とどう差別化するかが課題となっていたため、彼女たちへの期待も大きいようだ。
H_itには現在、本店、東京、福岡などを中心に15名が在籍。「株式や投資信託のお取引に限らず、お客様も気軽に相談できると思います」(同)。メンバー達は定期的に、本店に集まって研修や勉強会などを行うため、普段は離れた地域で仕事をしていてもH_itの一員として連帯感も増すという。

販売する商品は個人向け国債・ミルフィーユの二本立て

写真2 H_itのロゴが表紙下部に入ったミルフィーユのパンフレット写真2 H_itのロゴが表紙下部に入ったミルフィーユのパンフレット
H_itの普段の仕事は、新規顧客のために個人向け国債や、投資信託「ダイワ・マルチアセット・ファンド・シリーズ(愛称;ミルフィーユ)」を販売することである。個人向け国債は安全性が高く分かりやすい商品のため、投資の第一歩として代表的なものである。一方のミルフィーユは、分散投資をケーキのミルフィーユ(パイ、クリーム、果物が層になっている)で表現している【写真2】。
ミルフィーユは国内外の株式・債券・REITに分散投資するファンド・オブ・ファンズ(FOFs)で、しかも安定型・高金利型・積極型などのポートフォリオ配分が選べ、分配金の仕組みも含めれば新入社員が販売するには難しい商品だろう。これについて前出の冨山氏は「お客様にとって分散投資ができる良い商品ですし、社員もこれでFOFsの仕組みを理解できれば、ほかの投信に関する知識もつきます」と指摘。5~6月にみっちりと商品説明の研修を行ったため、顧客に分かりやすい説明ができるという。

自己紹介カードで親近感? 長く取引してもらえる会社に

その新規営業の時に役立っているのが、H_itメンバーの自己紹介カードである【写真3】。ここには似顔絵のほか、生まれた年、出身地や趣味・抱負が書かれていて、親しみやすさを演出している。「初めは写真を印刷することも考えましたが、女性社員のプライバシーに配慮して、専門のイラストレーターに似顔絵を描いてもらっています」(同)。
写真3 H_itメンバーの似顔絵。本人や社員からはよく似てると評判の似顔絵も?写真3 H_itメンバーの似顔絵。本人や社員からはよく似てると評判の似顔絵も?
まだH_itとして営業がスタートしたばかりのため、顧客獲得に繋がった件数こそ少ない。しかし夫婦で個人向け国債を購入した大阪のケースや、株券電子化(※注)を前に自宅の株券を取りに来て欲しいと依頼された大分のケースもあり、徐々に成果が出始めているようだ。
同社では、個人向け国債にあえて景品や手数料のキャッシュバックをつけずに販売している。社内でも「販売強化のためには、景品をつけた方が良いのではないか?」という意見もあったようだが「短期的なコストメリットではなく、お客様に信頼して長く取引をしてもらえる会社・営業員になって欲しいという趣旨で、景品は一切つけません」(同)という。仮に似顔絵で顧客の関心を惹きつけたとしても、後のフォローがしっかりしていなければ長い関係は築けない。地道な積み重ねが大事なのである。
※注 株券電子化=紙の株券を電子化して、証券保管振替機構(ほふり)や証券会社などの金融機関に開設された口座で管理する制度のこと。移行する期限は2009年6月8日まで。
 自宅で紙のまま保管する「タンス株券」の状態にしていると、電子化後には株主名簿上の株主の名義で、発行会社によって設定される「特別口座」で株式が管理される。相続などで所有者本人と株券の名義が異なる場合、電子化後に名義書換をするためにははん雑な手続きが必要で、譲渡の場合にも振替口座を開設する必要がある。まだ手続きが済んでいない投資家は、早めに近くの証券会社に相談した方が良い。

認知症サポーターや成年後見で、顧客のサポート

その地道な積み重ねの1つとして、H_itメンバーは全員が認知症サポーターの資格を取った。認知症サポーターとは、自治体などが開く養成講座を受けることで得られるもので、認知症に悩む人たちを理解し、社会的に支えようという仕組みである。認知症の人に対する特別な技能・資格を得るものではないが「ご家族のことなどで困っているお客様にアドバイスしたりして、何らかのお役に立ちたいとH_itメンバーには社員研修の中で全員に義務づけています」(前出・冨山氏)という。
また同社は、社団法人成年後見センター・リーガルサポートの賛助会員となっている。同センターは、高齢者や障害者の人の判断能力がなくなった時に、司法書士の支援を受けて財産管理などができる成年後見制度を支援している組織。第一生命保険や中央三井信託銀行など、大手金融機関も賛助会員となっている。
成年後見制度を活用すれば、顧客が認知症にかかった時でも本人の意思を尊重して株券や財産を管理したり、残された親族のために活用することもできる。「過去に当社のお客様が認知症にかかった時、親族が財産を管理するためには裁判所や医療機関、介護施設への手続きなどで時間・プライバシー上の問題が多いと分かりました」(同)という。顧客や親族の役に立てなかった失敗を教訓にし、高齢化社会にあったサービスを用意しているというわけだ。

AFP・環境問題を勉強中、若手の成長が会社の成長へ

H_itは今後、日本FP協会が認定するAFPの資格をメンバー全員が取得する予定である。このほか、各自が得意分野の1つとして環境問題に関する勉強を続けており、ゆくゆくはエコファンドの販売などでその知識が生かされる見通しだ。「証券マンはどうしても広く・浅く知識が求められますが、これからの時代は深い知識が必要になってくるでしょう」(同)。
日の出証券としても、この7月からはホームページをリュニューアルし、ここにH_itの専用コーナーを設け、7月5日から関西ローカルで始まったCMをホームページ上でも配信を始めた。「本社にH_it室を作り、女性指導員と連携しながら対面営業の良さを知ってもらえる体制作りに努めます」(同)というだけに、若手社員の定着と成長を図りながら、顧客にも選ばれる存在として注目したい。
【執筆:MoneyLife 片平正二】
掲載日:2007年7月9日

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