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金商法で「お客さま本意」のサービスへ 前金融庁金融商品取引法令準備室長の松尾直彦氏に聞く - 特集 【ネット銀行の上手な使い方】 - 経済トピックス - 特集・コラム

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特集・コラム [ ネット銀行の上手な使い方 ]

「ネット銀行の上手な使い方」-1-
金商法で「お客さま本意」のサービスへ 前金融庁金融商品取引法令準備室長の松尾直彦氏に聞く

ネット専業銀行が人気を集めている。店舗や人件費などのコストを抑えられるメリットを生かし、定期預金金利の高さ、外貨預金手数料の安さなどが評価されているようだ。特集「ネット銀行の上手な使い方」では、各社の特徴と次のサービス展開を探る。
写真1 東京大学公共政策大学院の松尾直彦客員教授  第1回目はネットでの金融商品の説明の問題を取り上げる。ネット銀行に限らず、証券会社や銀行、運用会社などがホームページで金融商品を説明することは、9月に施行される金融商品取引法(金商法)で広告規制の対象となる。これまで商品の詳しい説明が不十分だったり、手数料などのコストが幾ら掛かるのか分かりにくいケースもあったが、投資家保護のため改善されるのだ。
 金融庁で金商法の立案に携わった前金融商品取引法令準備室長の東京大学公共政策大学院・松尾直彦客員教授【写真1】に、個人投資家として注意すべき点、また日本の金融サービスの展望などを聞いた。

▼松尾直彦(まつお・なおひこ)氏の略歴
    1985年 司法試験合格
    1986年  東京大学法学部卒、大蔵省入省
    1989年  米国ハーバード・ロー・スクール修了
    1990年 米国ニューヨーク州弁護士登録
    1996年  司法修習修了
    2002年  金融庁総務企画局国際課企画官
    2006年  金融庁総務企画局市場課金融商品取引法令準備室長
    2007年8月 現職

ネットでの商品説明も「広告」として規制対象となりましたね 

ネットでも金融商品を説明する、つまり広告である以上メリットを強調したいのは当然でしょうけれど、デメリット、特にリスクもお客さんが分かった上で購入することが大事です。情報開示が必要なのです。金融機関は「良い情報」も「悪い情報」も出して、お客さんが自分で判断できるようにして欲しいというのが金商法の趣旨です。
個人投資家の立場になれば、「分からないものは買わない」ようにすれば良いでしょう。どうしても「分からないのは恥ずかしい・・・」と思って、理解しないまま投資してしまうこともあるでしょうが、分からないのはお客さんの責任ではなく業者側の責任です。普通のお客さんに分かるよう説明しなければなりません。

分かりやすく説明するとは、具体的にどうすれば良いのでしょう?

写真2 松尾氏が収集している新聞広告の一例写真2 松尾氏が収集している新聞広告の一例。「リスク情報の書き方は、以前に比べてだいぶ分かりやすくなりました」。
※上記の新聞広告と記事の中でのコメントとは直接関係がありません。
最近の新聞広告が良い例です。以前と比べてだいぶ良くなりました。従来よりもリスク情報の書き方や位置が工夫されて、新しいタイプの広告が増えています【写真2】。
例えば変額年金の広告なら、保険の費用、注意点やリスクが大きな文字で表示されているものもあります。手数料などのコストは表組みにしてあって、具体的な数字も書いてありますから、だいぶ分かりやすくなっています。

細かく説明すると、「文字が多くて逆に分かりにくい」という意見もあります

文字が増えるのは、難しい商品を売っているからです。株価指数に連動するインデックスファンドなら説明もしやすいわけで、変額年金のように複雑な商品は文字量が多くなっても、より丁寧に説明する必要があるでしょう。投信ならヘッジファンド型のものなどはやや仕組みが複雑です。
こういった説明はネット上でも同じです。金融機関はホームページに「元本割れのおそれがあります」、「投資の際の主要なリスクは何々、何々、何々です」、「手数料や信託報酬はこれだけ掛かります」ときちんと書いて、投資家の方が理解しないまま購入することのないようにして欲しいです。分からないままネットで商品が購入できるような仕組みになっていると、投資家に不適当な勧誘をするおそれがあるということで適合性の原則でも問題となります。

金融機関の負担が増えると、投資家にも負担が跳ね返りそうです 

最近、良い例として申込手数料の掛からないノーロード型の投信が増えています。競争によって手数料が下がり、投資家にメリットが還元されるようになってきたということです。
手数料がお客さんにとって正当なコストなら良いでしょう。最近の新聞報道を見ると、「投信を売ったきりで、その後は何の説明もない」という個人投資家の意見がありました。投信の信託報酬のかなりの部分は毎年販売会社が受け取ります。投信の残高が積み上がれば、何もしなくても金融機関は信託報酬を得られますが、業者はそれをラッキーと捉えてはいけません。各社の創意工夫でお客さんに還元すべきではないでしょうか。お客さんもコストに見合うサービスを期待しているでしょう。
なお、販売手数料と信託報酬で気をつけなければいけないのは、アメリカで問題になったクラスA、クラスBという種類の違いです。クラスBは買付の時に申し込み手数料が掛からない投信ですが、毎年掛かる信託報酬が高い。投資家からすれば、最初のコストが少なくて済むため割安に感じますが、長期運用ではデメリットになります。
逆にクラスAは販売手数料が掛かりますが、信託報酬は安いため長期運用に向いています。投資家は自分の投資スタイルにあった商品を選ぶのが大事でしょう。

金商法を機会に、日本の投資環境や金融業界は変わりますか?

写真3 手に持っているのは、松尾氏が監修を手掛けた「金融商品取引法制に関する政令案・内閣府令案等」に対するパブリックコメントとコメントに対する金融庁の考え方。写真3 手に持っているのは、松尾氏が監修を手掛けた「金融商品取引法制に関する政令案・内閣府令案等」に対するパブリックコメントとコメントに対する金融庁の考え方。関係法令が多く、業界から膨大な質問が寄せられたため、全709ページにも及んでいる。
政府が掲げる「貯蓄から投資」、成熟化社会での「少子高齢化」という流れの中、資産運用業界は発展が期待されています。最近の投信販売の伸びに代表される販売チャネルの拡大によって、さらに飛躍を遂げるチャンスがあるのです。
各金融機関がそれを自分のものにするためには、お客さんにきちんと情報を開示しなければなりません。どんな金融商品を作り、販売するかは、法令の枠内で民間に自由にやってもらって結構です。行政が過度に介入するのは好ましくありません。
一方で、マーケットは右肩上がりの世界ではなく、アップ・アンド・ダウンがあります。この8月、サブプライム問題で世界中のマーケットが急激に動きました。そういう時こそ、手数料やリスク情報をちゃんと説明し、納得して買って貰っていればトラブルは起こらないでしょう。
金商法はとらえ方によると思います。これをチャンスとして金融機関がお客さま本意のサービスに転換するのか、法律を守るために面倒でコストも掛かるけど仕方なくやるのかです【写真3】。お客さんから見てもずいぶん差が付くと思います。個人投資家の方も、販売会社の説明を鵜呑みにするのではなく、新聞・雑誌などを読んで勉強していただければと思います。お互いにハッピーになれるよう、前向きに金商法を捉えて欲しいと思います。
【インタビュー:2007年8月、聞き手:MoneyLife 片平正二】
掲載日:2007年9月4日
●第2回目は定期預金・外貨預金・投信などの金融商品についてネット銀行のメリットをお伝えします。
 
   
    

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