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-1- グレーゾーン金利「貸金業規制法改革とは?」 多重債務問題への政府側対応がいよいよ本格化か - 経済トピックス - 話題とコラム

 

特集・コラム [ 【経済トピックス】 ]

【第1回】グレーゾーン金利「貸金業規制法改革とは?」

多重債務問題への政府側対応がいよいよ本格化か

最近、個人を対象とした貸出に関連する話題が多くなっていますが、深刻化する多重債務問題への政府側対応もいよいよ本格化してきたのでしょうか。これまで問題視されていたグレーゾ-ン金利の撤廃を盛り込んだ「貸金業規制法」の見直しが正式に決定された事、さらには消費契約法で定められている遅延損害金の適用金利(14.6%)を超えた部分について違法性があるとの解釈が出される等、これまでの貸金業界におけるビジネスモデルを抜本から見直すべき時期が到来したのか、今後の業界の方向性を考えてみましょう。
 
貸金業界といえば、消費者金融会社を想定されますが、銀行やクレジットカード会社、更には大手都市銀行と消費者金融会社が共同で設立した新会社、異業種からの新規参入組みも同様の貸金業務を行っていることから、様々な範囲に影響することが想定されます。

グレーゾーン金利の考え方と法改正の方向性・・・

お金を貸し借りする際に、貸主と借主が金銭契約をする際に適用する利率は自由に決めることができますが、その際の上限金利は「利息制限法」により以下のとおり定められており、これを超える利息分は無効となります。
 
元本が10万円未満 年利:20%
元本が10万円以上100万円未満 年利:18%
元本が100万円以上 年利:15%
しかし、この上限金利を越えていたとしても、罰則の対象にはならないことから、通常はこれよりも高い金利を適用している商品が多数存在しています。
ただ、罰則が設けられている法律「出資法」では、貸金業者の場合「29.2%」を超える金利の適用は認められず、違反した場合は「5年以内の懲役若しくは1000万円(法人は3000万円)以下の罰金」が課せられることから、大半の貸金業者が罰則規定の上限金利を目安に適用金利を定めているのが現実です。
この、「利息制限法」の上限金利と「出資法」の上限金利の差が、いわゆる「グレーゾーン」金利と言われていたもので、今回、多重債務者問題対策の一環として、見直しが行われたのです。 今回の見直しに関しては、様々な議論があり最終的にどのように決定されるか不透明な部分もありますが、法改正の概要を図にまとめました。
基本的には、出資法の上限金利を利息制限法の上限金利に合わせることを目的としていますが、法律施行後実施までの期間、更には一定条件を満たした場合の特例措置から、全ての金利が一つにまとまるには8~9年後となるのが実態です。ただ、新たに開発される商品への金利適用を考えると、業態間の競争が激しくなっている環境下、社会的責任も含めた企業イメージの向上という点を考えれば、来年以降、法律施行後の適用金利を視野に入れた対応策を講ずる企業が多くなるものと思われます。
図 利息制限法改正の概要
利息纏め図
新金利適用は法律施行から3年以内とし、下記条件の場合特例金利(=28%)を最長5年間認める
1.小額短期=「50万円以内、1年以内」
2.小額短期=「30万円以内、6ヶ月以内」を3社まで
 
※事業会社融資も含める

法改正後の業界の競争状態を考えると…

今回の見直しの特徴として、金利部分というよりは適用金額の範囲が拡大した点が重要なポイントとなるでしょう。 出資法の上限金利を引き下げる一方で、利息制限法の金利決定の方法はこれまでどおりとなるかは明確ではありませんが、 現状どおりとすれば銀行やクレジットカード会社は利息制限法を前提とした金利の設定を継続するものと思われます。 ただ、利息制限法の金利も合わせて改定となれば、50万円未満の小口カードローンに関しては上限20%の適用が認められること、更には500万円未満の無担保型ローンについても18%までの金利適用を前提とした商品設計が可能となり、 金利を引き上げた商品を提供することも考えられます。
おそらく、一律同一の金利を適用する考え方から、お客様の取引状況や収益性等の要因を考慮し、優良なお客様とそうでないお客様とでは適用金利に、今まで以上に差がでることも考えられます。
現在は、銀行単体の審査基準では融資が難しいお客様に対しては、銀行と消費者金融会社が提携し、貸し出しした債務者が返済を滞った場合の債権回収業務を消費者金融会社側が担う「保証契約」による商品設計により融資残高を伸ばしているのが現状ですが、 これら商品の上限金利の変更もありえるでしょう。
社会的責任が強く求められる銀行界において、消費者金融会社との提携商品の適用金利は消費者金融会社への保証料が5~8%含まれているため18%前後と、一般の銀行商品よりは高いケースが一般的です。利息制限法により定められている遅延損害金の適用金利(=法定金利の1.46倍)と消費契約法で定められている遅延損害金の上限金利=14.6%には「差」があるのですが、どの金利を適用すべきかの解釈も含めて問題が大きくなっています。一部消費者金融の間では、遅延損害金の適用金利を14.6%に改定する企業もあります。
この提携商品は、銀行側(~顧客獲得力)、消費金融側(~債権回収ノウハウ)双方の強い点を互いに活用したビジネスモデルで、ここ数年急速に拡大しましたが、貸し出すまでは銀行側が積極的に推進し、回収時点では消費者金融側に責任を持たせ、遅延損害金の利率も利息制限法の条件を適用し消費契約法以上の金利を適用すると同時に、強引な督促により消費者に不利益を与えるというような社会的な批判を生む可能性が極めて高く、ビジネスモデルそのものの見直しも必要になる可能性があります。
事業性融資をなかなか増加させることが出来ない一方で、個人に対する貸金業務は利益性が高いことから、銀行、カード会社、消費者金融、更には異業種からの新規参入組みも含め競争が高まる状況下、今回の法改正は、「儲かる事業」という神話を根底から見直し、お客様=消費者を重視した「マーケットイン」型の営業モデルを確立するための重要なインパクトになるのは間違いないでしょう。
この環境変化に適用できない企業は、当然社会からの淘汰を受ける事は容易に想像でき、新たなビジネスモデル構築に向けた対策をいち早く打つ事ができるか否かが、 企業成長の分かれ道になる可能性が高いのではないでしょうか。
以上
【コンテンツ提供:金財総研】
(掲載日:2006年10月3日)

   
    

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